管理人NEROが映画について語ります。

Caramel Cinema


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アイデンティティー (2003/米) 90分


 キャストはジョン・キューザック(女優の運転手エド)、レベッカ・デモーネイ(女優)、
レイ・オリッタ(囚人を連れて来た警察官)、ジェイク・ビューシイ(囚人)、
アマンダ・ピート(娼婦)、ジョン・ホークス(モーテル管理人)、
クレア・デュバル(カップルの女)、ウィリアム・リー・スコット(カップルの男)、
ジョン・C・マッギンレー(家族連れの夫)、レイラ・ケンズル(家族連れの妻)、
ブレット・ローア(家族連れの子供)、アルフレッド・モリナ(医師)。
監督は「17歳のカルテ」「ニューヨークの恋人」のジェームズ・マンゴールド。
巧みなストーリー展開と驚きの結末が評判となり全米でスマッシュ・ヒットを記録。

 ある大雨の夜。エドは誤って家族連れの奥さんを轢いてしまい、
近くにあったモーテルに駆け込んだ。そこには管理人ひとり。電話も通じない。
雨の影響で道路も通れなくなり、次々に娼婦、カップル、囚人連れの警官が
モーテルに避難。偶然集まった11人が次々と殺されていくことに…

 前々から気になっていた作品。
面白かった!そう来たか!!と。…ある意味、それってアリ〜?なんだけど。
新鮮でしたね。アイディア勝負。でもコレ、題名が軽くネタバレかもしれない。
大雨で、モーテル。そう、まるでヒッチコックの「サイコ」を連想させる。
ミステリー系なので、観客は最初のうちから隠れたヒントを見落とさないようにする。
でも、私は見事に騙されました。あの伏線は囮だったのか!!
鍵のナンバーが何故…な疑問も、部屋のプレートが6から9になるのも、
大した意味ではなかったんですね。いやはや、あんな少年を真犯人に持ってくるとは。
しかしそれも、すべては精神世界の人格同士にしてしまえば何でもあり。
人格統合の治療といってますが、ティミーは治療に協力してるんですな。
人殺したのが別の人格だからって…とか、じゃあ主人格は何処?とか
その治療法はおかしくない?などツッコミ所もあるんですけど、
夢オチならぬ精神世界オチってのが素晴らしく感じましたね。

冒頭の、皆がモーテルに集まるキッカケも連鎖してて良かった。
最初から最後までひきつけられっぱなしで面白い映画でした。
ただ、変な詩や医者が集まる云々の場面は少々退屈だったなぁ。
ジョン・キューザック演じる正義漢ある男エドはなかなかやってくれました。
彼女を残せば…と思い相打ちになったものの、真の敵は他にいたと。
皮肉な結末も私好みで
ニヤリとさせていただきました。
後半の展開に憤ることがなければ、凄く見ごたえのある凝った作品です。


アザーズ (2001/米・西・仏) 104分


 製作総指揮トム・クルーズ、主演にコール・キッドマン
1945年、第二次世界大戦末期のイギリス、ジャージー島に立つ巨大な屋敷で
戦地に赴いた夫をひたすら待ち続ける母と子供たち。
子供たちは太陽の光りを浴びてはいけない体質で、
部屋の行き来は鍵をそのつど開け閉めする。窓にはどれも真っ黒なカーテン。
その屋敷で起こる不可解な現象に怯える親子。その真相とは…?

ホラーと聞いていたので構えて見てたんだけれど、そういう類の怖さはなかった。
この世界の不気味さと、主人公たちの不安や恐れを一緒になって体験し、
ラストには衝撃の結末が待つ。
…シックスセンスと同じ同じと言われているけど。
こっちの方が幻想的で好きだ。真相を知ったあとの展開も。
その時代の風格みたいなものも滲み出てたし、何よりにコールが綺麗。

この映画の解釈でいくと、自分は…いやひょっとしたら身近な人達全員そうかも
そもそも、そう判断する定義とは何だ?と考えさせられる。
「そんな場所なんてないんだよ」と言われたような気がする。
雰囲気で禍々しいものを感じるけど、
過激な映像のみで怖がらせることはしてない。
この映画は、上品な印象を受ける。



穴 (2001/英) 102分





 「穴」というタイトルの作品は多いので、ご注意を。
18歳のときに書き上げたガイ・バートのデビュー小説を、
「アメリカン・ビューティー」のソーラ・バーチ主演で映画化したミステリー。
「スター・ウォーズEP1」で注目を浴びたキーラ・ナイトレイも出演している。
監督は「マーサ・ミーツ・ボーイズ」のニック・ハム。
音楽は「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」で注目されたクリント・マンセル。

 イギリスでも指折りの名門パブリック・スクール、プレイボーン学園。
ここに通う4人の生徒が、野外実習の日から忽然と姿を消した。
やがて、失踪から18日後、4人の生徒のうちの一人、
女子高校生リズだけが薄汚れ、憔悴しきった姿で発見される。
リズに、そして3人のクラスメイトにいったい何が起こったのか?

 ジャケットに惹かれてレンタルしてみました。
謎の穴から生還した黒髪ショートの地味めな女の子リズ、
リズの親友の学園マドンナ・モテモテ系活発美女のフランキー。
そのフランキーに気があるジェフと、その親友
有名ロックスターの息子であり、学園1のモテモテ男のマーティン。
この4人が退屈な野外実習をサボり、学校にも親にも内緒で
リズの幼馴染で彼女に気があるらしいマイクの提供で、
昔使われていた防空壕らしき洞穴で1日遊んで過ごすことになった。
夜になれば真っ暗、光の届かない湿気と汚らしい防空壕。
リズはマーティンと何としても恋愛関係になりたかった為に、これを企画した。
最初はリズがカウンセラーに穴での出来事を話し、閉じ込めたマイクの話をする。
マイクが拘束されるも、容疑を否認、確かな証拠もない。
リズの証言があやふやなのは当人も記憶が曖昧なのもあり、次第に記憶が蘇える。
フランキーとジェフがイチャイチャし出し、マーティンはリズに興味をそそられない。
マーティンを帰したくないリズはこっそり内側から鍵をかけ、閉じ込められたフリをし
4人はいつまでも助けの来ない洞穴で気を滅入らせていく…
恐い恐い。恋愛に夢中になってる女子はこれ程までに恐いのか。
食料も底をつき、体調不良になっていくフランキーを尻目に、リズは彼との距離が
縮まっていくのを喜び、3人の心境も考えずにこの状況を楽しんでいた。
フランキーが死んでしまい、鍵を出そうにも出せなくなったリズ。

あぁ〜すっごく怒りがこみ上げてきます。何ということだ!!
もう後にはひけなくなって、つまらないイザコザでジェフ死亡。世界は二人だけ…
リズはマーティンの言動で少しも幻滅することはなかったんだろうか?おかしい。
告白しちゃったけど罪を公には認めず、哀れなマイクに濡れ衣を着せ微笑むリズ。

現実じゃこうはいかない。それは判るんだけど歯をぎりっと噛締めちゃう。
発想はとても興味をそそられるし、真実はそれなりに理解できたんだけど、
心の中に恋愛定義や倫理のモヤモヤが発生して仕方なかった。
割りと見やすい映画ではあるので、興味があればどうぞ。53点。


ヴィレッジ (2004/米) 108分





 「シックス・センス」「サイン」のM・ナイト・シャマラン監督作品。ミステリー。
主演は「サイン」にも出演したホアキン・フェニックスと
ロン・ハワード監督の娘でもあるハリウッド注目の新人ブライス・ダラス・ハワード。
他、エイドリアン・ブロディ、ウィリアム・ハート、シガニー・ウィーバーなど。

 ある深い森に囲またひとつの小さな村があった。
村人は大きな家族のように強い絆で結ばれ、外の世界とは干渉しない。
広大な森には“語ってはならぬ者”が住んでおり、村人は森に入らないし、
彼らも村へは来ない。という協定が結ばれているという。
を抜けた先には町があるが、そこは悪しき者達の住む場所だと教えられている。
人々は忠実に掟を守り、掟を破った者がどうなるかは誰も知らなかった。
そんな小さな世界で生きてきた村に住む盲目の少女アイヴィーは、
寡黙な青年ルシアスに想いを寄せるのだった…。

 この監督はすっかり“どんでんがえし”映画のイメージ付いちゃって
それ系じゃない作品作ろうとしてもペナルティが出来てしまうんだろうな。
この作品は例えば「世にも奇妙な物語」の短編としても出てきそうな内容だったけど
描き方が凝ってるな〜と感じた。二人のロマンスも結構ハラハラドキドキした。
ルシアスの気持ちが読めなくて観客も勘繰る。特に姉の告白の仕方にビックリ。
「愛してるのよルシアス!愛は賜物、感謝しなくては!さぁ“ありがとう”と言って!」
その直後、「。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン」とカットが入るのがナイスだった。(笑)
アイヴィーは最初、盲目っぽく見えなかった。全然。
人の顔の位置を見極めて目を見て喋ってるし、普通にかけっこしてたし。
いくら“色が見える”っていっても、ちょっと違和感あった。
アイヴィーまで、「気持ちを隠さないで言って」って言い出して、
これでルシアスが気がなかったら姉妹そろって自意識過剰女になっとったな…

ノア役をやったエイドリアンは上手かった。不気味さがよく出てた。
刺されるシーンもかんなり吃驚してまった。全体の音楽の使い方もイイ。
やたらと人を驚かせる演出が多すぎて、ちょっと勘弁してよって思った。

そういう過程を経てたどり着いたオチがアッサリしてたから評価が割れるのかな?

 
町で大切な人を失くし、傷ついた人たちがアイヴィーの祖父の財産で
閉鎖された心優しき者たちだけの住む“ユートピア”を創り上げたつもりでも、
その世界しか知らされない子供たちや若者にとってはどうだろう?
いずれにせよ、あのまま暮らしが続くわけはない。テーマは良い。
柵を登った先は、もっと奇想天外な未来都市が広がってるかと予想してしまった。
謎の箱に入ってるものも、未来のアイテムとか…やり過ぎか。

今回も監督が出演。見逃さなかったぞ!ガラス扉にさりげに映るその演出。
ご丁寧に、不自然過ぎる程分かり易く設定を説明してくれているしね。
赤マントが出てきてこっちも凍り付いちゃったよ。走り出したら滑稽だったけど。
ノアは、何がしたかったんだろう…死に際はちょっと切なかった。

いや〜結構楽しんで見てしまったな。中盤ちょっと退屈だったんだけどね。
ルシアスが紙を読むくだりとか「???」だったし。
「サイン」より好きかも。あんまり希望を感じる映画じゃないけど。魅力はあった。
劇場で観てたらオチに憤慨してたかも…?オチのみ求める人はお勧めしない。


隠された記憶 (2005/仏・独・伊・オーストリア) 119分


 「ファニーゲーム」「ピアニスト」の奇才ミヒャエル・ハネケ監督が、
ミステリー仕立ての巧みな語りで描いた衝撃のサスペンス・ドラマ。
カンヌ映画祭では監督賞を含む3部門を受賞。
出演は「メルシィ!人生」「八日目」のダニエル・オートゥイユと
「イングリッシュ・ペイシェント」「ショコラ」のジュリエット・ビノシュ。

 テレビ局の人気キャスター、ジョルジュは美しい妻アンと
一人息子のピエロと幸せな日々を送っていた。
そんなある日、彼のもとに送り主不明のビデオテープが届く。
そこにはジョルジュの家を正面から隠し撮りした映像が映っていた。
テープは何度も送られてきて、言い知れぬ不安にかられたジョルジュは
ふと少年時代の頃のある記憶を思い出していく…

 評判が良いのでレンタルで見つけて借りてみました。
ドイツ人監督のミヒャエル・ハケネ作品は初です。
ヨーロッパ系ならではの、BGMを多用しない静かな撮り方。
そして正直、観客に優しくない物語の進め方に戸惑いながら鑑賞。
寝転んで鑑賞したら確実に安眠しそうだったので突っ立って鑑賞。
“人は生まれながらにして罪を犯している”という自論の元、
ハケネ監督は格差社会や差別なんかを根底に置いてるようです。
次第に明らかになる主人公の記憶なんですが、それほど衝撃でもない。
むしろ、人間誰しも幼さ故に起こすだろう残酷な悪戯といおうか。
結果的にそれは後々の未来に大きな違いを齎すターニング・ポイント。
色々と謎だけが積み上がる中、突然喉を切り裂くショッキング映像。
このシーンで映画館の客席から悲鳴が上がったという。
観客は“結局、誰がビデオ送っていたのさ”と思わざるを得ないのだが、
監督は答えを用意せずに観客の個別の解釈を求めている。
ラストシーンはさりげなくピエロとマジットの息子の接点が描かれている。
共犯なのか、しかしマジットの息子は送っていないと断言している。
直接送ったのはピエロだったのか、はたまた登場してもいない誰かか…

私はこういう映画は苦手だ。2回目見ることはないかもしれない。
決して娯楽作品ではないし、センスを楽しむにしても楽しめない。
ちゃんとした終わりを用意してくれないのでモヤモヤは解消されない。
解消されないから他の映画批評サイトを回ってみるものの、
監督のやっつけ仕事だったような気がして、う〜んと唸る。
ただ、主人公の家に遊びに来ていた客人が喋っていた話題はなかなか。


シークレット ウインドウ (2004/米) 96分


 スティーブン・キング原作の『秘密の窓、秘密の庭』を映画化。
主演にジョニー・デップを抜擢したサイコ・スリラー。
人里離れた湖畔に建つ別荘で執筆中の小説家モート・レイニー。
彼は最近、妻の不倫が発覚し別居し離婚調停中。
そんなある日、シューターと名乗る男が訪ねてきた。
彼は自分の書いた小説をモートに盗作されたと訴える。
最初は取り合わなかったモートだったが、執拗に付きまとわれ
周りでも不可解な事が起こり…

 宣伝を見た段階で、あんまり興味が沸かなかった。
だって、「盗作したな?」「何が狙いだ!」みたいな感じで流れていって
何に興味を持って観ればいいのかわからん映画だなと思った。
小説が一字一句同じなんてあり得ない…っていう事実をどう片付けるんだ。
でもいざ映画を観てみたら、これは最初のとっかかりに過ぎなかった。

 冒頭からいきなり深刻そうにカメラ目線で睨むジョニデ。
妻の浮気現場を発見してしまう場面から唐突に始まる。
観客は主人公のモートを妻に裏切られた同情すべき相手と見る。
別荘付近の風景の撮り方はまぁ美しいし
鏡の使い方が洒落てるなと思った。

 前半はほとんどどこかで見たような展開。
あれもこれも、予想できる範囲内のことが起こる。
浮気相手のでしゃばりに自分もむかついた。
雇っていた掃除婦がいきなりいなくなってるのはおかしい。
自然に解雇する場面入れてくれると良かったのに。
あれではゴミ箱から小説を取り出す為だけに存在した人みたい。
ひょっとしたら、そうなのかも…??

 この映画の肝心なネタバレは既に知っていたので
このまま、読み通りに終わるのかと思った所、まんまと一杯食わされた。
真相がわかってくるシーンは見せ方がうまいと思ったし
ジョニデの面白い演技が見れる。
助けに来た間男がアッサリ殺され、妻も殺されるのが意外だった。
「シャイニング」や「ハイドアンドシーク」曰く、
二重人格や狂人系は最後は殺されて終わるのが多いのだが
この映画では彼が勝利する。それがいかしてたね。
この展開も簡単に読めた人にとってはアレかもしれない。
爽やか気分のモートが皮肉が効いてて面白い。よかったね(笑)
最も、落ちた車や腕時計の複線もあるので逮捕も時間の問題かもしれないが。


 「物語はラストが肝心」確かに其の通り。
斬新なラストシーンでこの映画の前半部分も良いように思えてきた。
あと、ジョニデは変な格好が多いけど不思議と似合うね。
そのみょうちくりんな格好で街行くのか?なんて思ったけど。
いかにも変わり者の小説家って雰囲気は出てたと思う。
軽く侮って見ると楽しいかもしれない。


ジャンプ (2003/日) 115分





 佐藤正午の同名小説を映画化した感動のミステリー・ロマンス。
主演はお笑いグループ・ネプチューンの原田泰造、牧瀬里穂。
フリーの助監督として活躍してきた竹下昌男の監督デビュー作。

 三谷純之輔は福岡への出張前夜に恋人の南雲みはると飲んでいた。
その日たまたまカクテルを飲んで酔っ払ってしまった三谷はみはるに介抱されて
彼女のアパートに着く。彼女はコンビニにりんごを買いに行くと告げて、
そのまま帰ることはなかった…朝目覚めて、とりあえず急いで出張に向かった三谷。
その後、彼女は一度も自分のアパートに帰っておらず、音信不通。
事の重大さに気づいた三谷は手がかりを辿って彼女を捜し始めるのだが…

 原田泰造ですよ。この映画を観る理由はタダそれだけ。
まず率直な感想を言いますと…静かな映画だなぁ…ってこと。
とことん現実的で、何の盛り上がりもないまま謎解きが進み、真実が明らかになる。
私はずっと失踪した彼女の方を牧瀬里穂だと勘違いしてました〜アイタタ
しかし、終わってみれば女2人に振り回されたけど、それなりに幸せ。
でもこれから、その腹にイチモツあった現女房の所に帰るのが複雑〜ってとこか。
私は勝手に、この映画の要点が、「俺も時々、ゼロになりたいって思うことある。
でも出来ない。人ってさ、一人で生きてるわけじゃないし」みたいなセリフのとこ。
遠まわしだけど、彼女の仕打ちを批難しつつ、身近な人たちの大切さに気づくような。
みはるが言う「あの時別れていなくても、いずれはここに辿り着いてたと思う」
という言葉も理解出来る。人にはそれぞれ、自分に似合いの居場所がある。
なるべくしてなった、二人はそれぞれ幸せを手に入れたことには違いない。
ここらへんが、ミステリーなのに、緊迫感がなく、ほんわかムードな要素の答え?
あと、私的に泰造が5年後にみはるとヨリを戻して帰ってこなくなり、
泰造の娘が小学生になって、いずれ写真を持って二人の下へ訪ねて行く…
そしたら急に泰造が急病で死亡…って話がループしたら益々ミステリー。なんてね。


 そうやって色々突き詰めてみれば、それなりに良作に思えるけど、
普通に若干見辛い映画でもある。人には簡単に薦められない映画だなぁ。
泰造は相変わらず演技はまずまず。評価高いとファンとしても嬉しいね。
青木さやかが小さいテレビ画面に映ってて、声だけで青木だ!と判った。
仕事場、会社の描写が真面目そうで、勝手に社会に嫌気が差すプーです;
あとりんご、電車の中でかじってられないでしょ。汁が出てきて困るし。


スイミング・プール (2003/仏・英) 102分




  ミステリー。監督は「8人の女たち」のフランソワ・オゾン。
出演は共にオゾン作品に出演歴のある「まぼろし」のシャーロット・ランプリングと
「焼け石に水」のリュディヴィーヌ・サニエ。惜しげもなくヌード姿を披露している。

 見るからにしかめ面、欲求不満顔になってスランプ状態に陥っていた
英国の女流ミステリー作家サラは、出版社社長ジョンの勧めで
南フランスの彼の別荘に滞在することになった。
そこは明るく静かで、誰にも邪魔されずに執筆できる最適な場所だった。
しかし、サラがいよいよ仕事に取り掛かろうとした矢先、
社長の娘ジュリーが別荘にやって来る。裸でプールを泳ぎ、
毎夜男を連れ込んでは嬌声をあげるジュリーに苛立ち筆が進まないサラ。
だがやがてサラは、ジュリーの若さと妖艶な振る舞いに強い刺激を受け、
いつしか彼女をモデルに物語を紡ぎ始めるのだった…。

 エロだけの映画かなと思っていたんだけど、
フランスの田舎町の景色や環境が素晴らしかった。
あたたかい陽射し、サラッとした風までこちらに伝わってくるようだ。
あんな部屋数いくつもある別荘を持てて、自由に利用できるなんて素敵だなぁ。
でかい水溜りなだけのプールも、凄く鮮やかに美しく撮ってある。
そしてその隣りに若く豊満な裸体をさらすサニエも。
最初は不機嫌を顔にしたようだった作家のサラが、どんどん活き活きとしてくる。
最終的には印象がかなり変化して、女優って凄いなと感心した。

 キャッチコピーを読んで、殺人事件が起こるサスペンスかと思ってたけど
最終的には「えっ??」で終わって、後で自分なりの解釈をする映画。
主要人物が少なくて、舞台がハッキリしてて、謎を残す余韻が好きだ。
サラが作品を書くにつれて想像で登場させたジュリーで、
実際はフランクは殺されて埋められたわけでもないという妄想オチ。
…という解釈が一番普通だろうけど、まだまだ出てきそうでもある。
ジュリーの母親の件で、意味深なリアクションしてた子供も気になる。
最初は反発し合ってた二人がどんどん仲良くなってくくだりは楽しいし、
ジュリーが読んでショックを受けてたサラの原稿の中身も気になる。
ジュリーが連れ込む男がなかなか冴えない野郎ばかりだったのも。
サラの二面性、二重人格を作って共犯に及んだとも考えられ…る?

雰囲気だけに期待してたんだけど、思った以上の収穫があって嬉しい。
ヨーロッパの田舎町の雰囲気が好きな人にもお勧め。
男性は女性のヌードで退屈しないだろうし、女は女の感性で共感できるかも?


双生児−GEMINI− (1999/日) 84分







 鉄男」の塚本晋也監督が、本木雅弘、りょう主演で、
江戸川乱歩の同名小説を大胆にアレンジして映画化したホラー(?)
明治末期。大徳寺雪雄は、父の大徳寺医院を継ぎ、
戦場で軍医として活躍し金鵄勲章を貰い、地位と名誉を手にし
そして若く美しい妻・りんに囲まれ、誰もが羨むような境遇にあった。
ただ、悩みといえば妻りんが記憶喪失であり素性の知れぬ女性である為
母には快く思われていないということ。
そんなある日、父が変死し、家で奇妙なことが起き始める…

 キャストは本木雅弘、りょう、筒井康隆、藤村志保、石橋蓮司、麿赤児、
もたいまさこ、竹中直人、浅野忠信、田口トモロヲ…
ちょい役も多いけど、なかなかの顔ぶれです。
「鉄男」は滅茶苦茶な映画だったけど、これは物語の筋は通ってる。
変わったセンスを持った監督が撮れば映画は凄い変貌を見せるのですね。
出てくる人物は全員、眉毛が無い!まずここに驚く。
まず、そういう異質な世界観を創り上げているのが凄い。
音楽もド派手。静と動のメリハリがあって
喋る声は少し小さめだが、何だか深みを感じる。
乱歩原作というだけあって、気持ち悪い描写もあります。

 この映画を観て、本木雅弘って凄いなって思った。
アイドル出身なのに、演技派。個性的で惹かれるものがある。
今作では二役をこなし、演技が評価され日本アカデミー主演男優賞ノミネート。
眉毛無いけど、格好いい。つくづく男前ですねぇ〜
角砂糖と、包丁のシーンが好き。
りょうは、一見美人には見えないタイプなんだけど、
キャラの魅力を引き出すのに長けていると思う。
シゲさんと、掃除しながら笑い出すシーンが面白い。
いやはや、凄い髪型だよなぁ〜それでも似合ってしまうんだから…
二人の裸の絡みもあるので、家族との鑑賞はお勧めできません。
でもこの二人の絡み合いが、無機質で芸術的に見える。

 劇中、貧民窟というものが出てくる。
その名を示す通りの場所なんだろうけど、この世界ならでは、ちょっと異質。
住民が着てる服がド派手。そして破れた布を何重かにして着ている。
これが斬新だな〜と思った。演劇みたいな世界。
本木雅弘もりょうも浅野忠信も明らかにおかしい格好なのに…
りんの隠れた過去が明らかにされていき、ウルッと涙腺緩んだ自分がいた。
しかし、この作品は…あのラストはどう受け止めればいいんだろう。
あの川でりんが見たのは待ち焦がれていた本当の捨吉の姿に見える。
しかし中身は雪雄。りんはどんな心境になるだろう。
妻は自分の気が動転してただけで夫が入れ替わったことすら知らずにいるのか。
その後落ち着き、子供も産まれ、幸せになった夫婦
雪雄は貧民窟に回診に赴く。それは一種の贖罪なのだろうか。

観た人によって解釈の仕方が違うのかもしれない。
分類的にホラーらしいけど、ホラーでもないような…
最初にこれ見た時は、そりゃ衝撃的だった。
美術や音楽、踊り…怖いんだけど、おかしくて、強い印象を残す。

 特典映像も豊富で、ベネチア国際映画祭に来た両人や
メイキング、眉毛の秘密、井戸のセットなどなど、面白い映像が見れます。


ナインスゲート (1999/仏・スペイン) 133分





 ジョニー・デップ主演のオカルト・ミステリー。ロマン・ポランスキー監督作。
原作はアルトゥーロ・ペレス=レヴェルトの同名小説。
世界中の希少本を探す、書籍の探偵コルソ。彼はある富豪の依頼を受け、
世界に3冊しかないという伝説の悪魔の祈祷書を探していた。
ニューヨークからスペイン、ポルトガルと祈祷書を追って旅するコルソ。
だがそんな彼の周囲では、不可思議な殺人が続発してゆく…

 前々からテレビ放送はあって、そのたびに挑戦するんだけど
結局最初から最後までちきんと観たことなかったのでレンタルして見ました。
監督のポランスキーは「戦場のピアニスト」の監督だったんだね。
13歳のモデルの少女をレイプした容疑で国外追放になってて
戦場のピアニストのアカデミー賞受賞しても会場に現れることが出来なかったとか。
この映画に出てくる謎の女を演じたエマニュエル・セニエは監督の妻。
見所のひとつはジョニー・デップのインテリ眼鏡のヒゲ男ぶりなんだけど
地味だったね〜眼鏡が変わってから、やっぱり田代まさし似になるという。

 禁断の悪魔の本を巡って…と面白い題材を扱っているんだけど
9つの扉を開いて悪魔を召喚して…何がしたいんだろ?て思ってしまった。
その謎解きもイマイチで、版画の絵も特に惹き付けられなかった。
スペインやフランスに行って景色が綺麗だったのとか良かったけど。
あと、貴重な本を読む時はタバコ吸うなんて言語道断じゃないだろか。
ラストも凄い肩透かし食らった気分で「はぁ?!」ってなって
いろんな映画サイトに行ってこの映画の解釈を捜した。
要は、
9枚の版画を揃えることが重要だったようで、
3冊の本の版画で絵の間違いを見比べて本物の9枚を揃えて扉を開く。
依頼主のバルカンはスペインの兄弟の贋作版画が1枚混じっていたことで
儀式に失敗して、コルソは堕天使である謎の女に気に入られていたので
その残された本物の版画を手に入れて異世界(地獄?)に行くことが出来た。
あと、残された版画の図がコルソと謎の女が性行為をした時と
全く同じ絵図だったので、その再現がされた時に既に扉は開かれた、
という説も読んだ。…なるほど…ねぇ…。
残された版画が見つかった時、やった見つけた!さぁ儀式…ってアレ?
ってその先を期待してしまった私だけど、あれはあれでエンドだったのね。


 しかし、こんな判りにくい、判っても何か盛り上がらない映画って珍しい。
特典映像で監督の音声解説や版画をきちんと観ることが出来る。
ホラー分類の場所に置いてあったんだけど、微塵も怖くはない。
最初の方、あんなにワクワクしたのになぁ。謎解きの雰囲気は好きなんだが。
この映画好きって言ってた専門学校時代の先生は、やっぱジョニデ萌えだろう。


NOTHING ナッシング (2003/加・日) 89分


 「CUBE」「カンパニー・マン」の奇才ヴィンチェンゾ・ナタリ監督が、
「ある日突然、世の中から全てのものが消去され、そこに
何もない世界が広がっていったら?」という奇想天外な設定を実際に映像化した、
斬新かつ実験的な異色なミステリー・コメディ。低予算映画バンザイ☆
主演は、共に「CUBE」にも出演したデヴィッド・ヒューレットとアンドリュー・ミラー。

 デイブとアンドリューは幼い頃からの親友同士。
デイブは協調性が全くない自己中男で、アンドリューは極度の心配性で
家から出られない引きこもり。ルームメイトの2人は、デイブが外で働き、
アンドリューが家事を引き受けることで、なんとか互いに助け合いながら生きていた。
しかしそんなある日、デイブは恋人と同棲すると言い、家を出て行く。
会社で、たび重なる不幸に見舞われ、帰ってきたデイブ。
アンドリューはアンドリューで小さな誤解から大事に発展。
二人はついには住み慣れた家からも追い出されようとしていた。
すっかり何もかもが嫌になった2人は、思わず“放っといてくれ!”と叫ぶ。
するとその瞬間から、驚いたことに彼らの周りから全てが消えてしまった…。

 「CUBE」を期待してたら見事に裏切られた。でも面白い。
確かに、誰しも考えたことある設定ではある。でも私の頭の中では
すべてが消えて、二人だけになって、それから先のストーリーが浮かばない。
なので二人がどうなっていくのかかなり興味をそそられた。
食べ物は家にあるものだけ、外の世界は行けども行けどもナッシング。
テレビゲームは心強い味方ですね。日本の格ゲーらしい。

 “消す”能力だけあってもどうするよ?って思ったけど、
空腹感や記憶、気持ちまで消せてしまうなんて…凄いけど、怖い。
でもテレビ番組や電気が通っているから、やっぱりおかしいんだけどね。
ポヨンポヨンとした空間で、ピョンピョン跳ねてみたい。1日だけ。
二人が見た意味不明な夢やラストの展開からバッドエンドを何度も予想した。
でもそれを親友同士、首だけになってまで和解してくれてホッとした。
エンディングのラストに10年後のシーンがあるけど…動物??


 でも世間様の評判の通り、ちょっと長い、って思ったね。
世にも奇妙な物語で、短編として30分くらいで収めてくれれば傑作だった。
デイブが何度もトム・ハンクスっぽく見えた。家族鑑賞も出来るかな?
って思ったけど、ちょっとグロ描写がちょこちょこ入ってて無理だなこりゃ。
自分だけ残って無の世界になりました、その先を知りたい方、御覧下さい。


変身 (2005/日) 108分




 人気ミステリー作家・東野圭吾の同名小説を映画化したミステリー。
主演は「雨鱒の川」の玉木宏と「花とアリス」の蒼井優。
共演に佐田真由美、山下徹大、松田悟志、釈由美子。
監督は「ジュブナイル」の助監督や「ウルトラマンメビウス」の監督・佐野智樹。

 病院のベッドで目覚めた青年・成瀬純一。
事態が飲み込めなかったが、後に自分が銃弾を受け、
脳に損傷を負い、他人の脳の一部を移植されたことを知る。
工場で働き、恋人の絵を描き、幸せな暮らしを送っていた純一。
退院し、恋人の葉村恵と再会した純一は元の生活に戻ろうとするが…

 深夜放送で拝見。玉木宏も蒼井優も東野圭吾の小説も好きだしな…
しかし、これは救いようがない。超駄作。原作は知らないけど、
小説は確実に出来が良いそうだ。いつか読んでみようか。
「変身」ってどうしてもカフカの小説の方が浮かぶなぁ。
じゃあ、ダメな点、疑問点を羅列していってみようか。
・他人の人格に支配されていく設定はまだしも、何であそこまでキレ易いのか。
脳の提供者は犯罪者だが、心底悪人ではないし、殺人狂でもないのに。
・恋人を抱く気になれず追い出し、美人医師と関係を持つまではまだいいが、
あの流れは強引過ぎる。意味が判らない。早速裏切ってますw
・その美人医師と復讐に来る輩の関係性が全然描写不足。
・犯人の双子の妹役。釈由美子があり得ん程、ブサイクに撮れてるのは何故?
・普通の流れでいったら、犯人の無念が晴れていないから暴走してる?
と考えて不動産屋の社長に復讐をすると思ったんだけどな…
・そもそも脳の部分的には純一の方が占める割合大きいのに何故支配される?
影響を受けて別人格の片鱗が見えるなら判るけど消えてくって何でよ。
・初の脳移植成功で実験体扱いを受けているが、
ピアノ弾く少女のシーン、付いてきた女助手監視してねぇw何しに来たんだ。
・ラストの自殺シーン、泣かせ演出が酷くてゲンナリ。伸ばし過ぎ。
・興味津々なあの医者、結局暗転した部屋で固まったまんま??

 最初のぎこちない出会いとかは微笑ましく見れたんだけどなぁ。
純一が絵じゃなくて音楽に興味があるのが発覚していくシーンで、
純一が徐々に千秋先輩になっていったら面白いのに…なんてw
最終的に完成した絵が綺麗だったので、まぁ…10点てとこですかね。
時間の無駄、俳優の無駄、全くもっていいとこなしでした。
人物描写を丁寧に、終わりの持っていき方を変えれば良作になったのかな。


マシニスト (2004/スペイン・米) 102分





 不眠症で1年間も眠れずにいる男が、不可解な出来事に巻き込まれ、
次第に精神を蝕まれていく恐怖を描いたサイコ・スリラー。
監督は「ワンダーランド駅で」「セッション9」のブラッド・アンダーソン。
主演のクリスチャン・ベールは役作りのため30キロ近いダイエットを敢行、
ガイコツのように痩せ細った姿を披露し話題となる。

 工場で平凡な機械工(マシニスト)として働くトレバーは、
極度の不眠症に陥り、すでに1年間もほとんど眠っていない状態だった。
身体は痩せ衰え、「これ以上痩せたら死ぬよ」と誰もが心配する中、
それでも毎日仕事に向かい、黙々と働くトレバー。
そんなある日、見ない顔の同僚のアイバンと知り合いになり、
その後から彼の周囲では不可解な出来事が次々と起こり始める。
同僚が機械で片腕を失う事故に遭い、その影にアイバンが居るのではと疑うが、
トレバー以外の誰もそのアイバンという男の存在を知らなかった…。

 不眠症に悩む男の話なのに、この映画見て2度も途中で寝てしまった。
「バットマン・ビギンズ」では鍛え上げた肉体を披露していた彼が
この映画では激痩せ。もうね、気色悪いったらありゃしない。
浮き出た肋骨や背骨、くびれちゃってる腰、細い首、こけた頬…
この映画の為に絶食してダイエットしたっていうんだから、役者魂。
こんな無茶されちゃブリジット・ジョーンズの太り方なんて容易く見える。
しかし、この映画は終わってみると大した秘密は無いです。
サイコ・スリラーと銘打ってはいても、直接的恐怖はない。
人間関係や生活感、現実的過ぎる、ある種の精神的恐怖はあるけど。
ただ描き方が凝ってる、って点だけで内容的には在り来たりな展開。

 タイトルのマシニストが機械工って意味なんだけど、
本題の事件の内容とは直接何の関係も無いっていう。
青を主流にしたクールで冷たい、閉鎖的な雰囲気は好きだ。
そしてあんなガリガリでも結構モテてるトレバー。
謎の同僚のアイバン、パッと見「マトリックス」のモーフィアスみたいだった。
冷蔵庫に張られた謎の絵の本当の意味は割と早く判った。
1年間ほとんど眠れていない、なんて普通なら死ぬし、凄い辛いと思う。
まぁ、クリスチャンの激痩せっぷりと雰囲気だけは見物。
大人しい作品で、でかい衝撃も興奮も無いので、割り切って御覧下さい。
見終わっても残るのは彼のガリガリの身体と映画独特の不思議な空気。
真実を知って
自首する展開は意外性はないが実直で良い。


ゆれる (2006/日) 119分






 「蛇イチゴ」で注目を集めた新鋭・西川美和監督が描くミステリードラマ。
ある出来事をきっかけに対照的な兄弟の間に巻き起こる
心理的葛藤が巧みな構成で緊張感いっぱいに描かれてゆく。
主演にオダギリジョー、香川照之。
共演に真木よう子、伊武雅刀、新井浩文、蟹江敬三、
木村祐一、ピエール滝、田口トモロヲ。

 東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛(タケル)。
母の葬式にも顔を出さなかった彼は、その一周忌に久々に帰郷し、
そこで父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔と再会する。
猛は頑固な父とは折り合いが悪かったが、
温厚な稔がいつも2人の間に入り取りなしていた。
翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く智恵子と3人で近くの渓谷に足をのばす。
ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。
橋の上で呆然とする稔の姿。橋の下にいた猛は惨事に気づき、稔に駆け寄りる。
兄弟の証言から、最初は不幸な転落事故として処理されたが、
数日後、稔が突然“自分が突き落とした”と自供し、
事件の真相を巡って裁判へともつれ込む。
猛は弁護士である伯父を立て、稔の無実を晴らそうと努めるが…。

 評判が良いのでレンタルで鑑賞。
こういうミステリーは非常に自分好みでしたね。人の心の汚さも突いてて。
まず観終わって誰しも思うこと。あの事件の真相だよね。
弟が実際は観ていなかったことは確かだ。見る人によって変わると思う。
香川照之が橋の上で女性にしがみついてるシーンは、確かに
好いてない女性の立場なら気持ち悪い存在にしか映らない。
そのナヨナヨした姿勢にうっとおしくなって、つい暴言吐くこともあろう。
そして核心を突かれたことにより動揺し突き飛ばすことも人なら有り得ること。
でも最終的に、兄の腕に残った彼女の爪あと。これが全てじゃないかな。
彼女が落ちそうになって、腕を掴んだんだけど、残念ながら助けられず。
兄は弟の本音を言い当てる。自分の身内から殺人者が出るのが嫌なだけだと。
田舎に縛られて生きるパッとしない地味で女にモテない兄と、
人生謳歌し都会で気ままに好きなことやって暮らすイケメン弟。
兄の稔にはこう投影され、好意を抱いていた女性が弟に惚れてる事実も知る。
家を守って真面目に尽くしている社交的な兄と、やりたくないことはしないだけ、
面倒事から逃げてばっかりでちょっと情けない弟。弟の弁解はこうだ。
お互いがお互いに持ってないものに憧れ、奥底にコンプレックスを抱く。
男の兄弟とは人生において最も身近なライバルである。
しかし主観でも客観でも、弟の人生の方がどちらかといえば羨ましい。
だから兄は、そんな弟に戒めたかったのかもしれない。
もしくは、自分自身を真に信じてくれていない弟を突き放したのかもしれない。

 裁判が終わり月日が流れ、弟も以前のような派手な暮らしはしていない。
ガソスタの店員だった男にファミレスで奢ってもらうような立場だ。
終わってみれば、兄には今でも信頼してくれてる仕事仲間がいて、
弟には相変わらず特定の恋人もいない、寂しい生活をしているようだ。
あの店員君は最初から最後まで兄の無実を信じて疑っていないんだね。
だからこそ、法廷で嘘(正確には怒りのあまり見たと思い込んでたんだが)を
証言し彼を刑務所に送った猛を責めているのだ。
一番可哀想なのは娘を亡くした母親…といいたいところだが、
再婚して娘とは疎遠になってたようで、哀しむ描写は控えめでしたね。
何故娘が死んだのか、事件の真相を知りたいという権利は充分あるけども。
しかしこの作品では彼女の死によって疑心暗鬼に陥る兄弟が主体なので
彼女のことにはあまり触れられない。弟もあまり哀しんでないしね。薄情者。
彼女も田舎特有の空気が嫌で弟と一緒に逃げたかったんだろな。
そして、そんな空気が分かるから、ちょっと鬱陶しかったんだな弟。

 フィルムを見返して、自分の手を引いている兄を見て、
弟は深く後悔し、彼の出所に駆けつけようと車に飛び乗る。
バス停で自分に気づき、振り返る兄。あの笑顔。

やっと分かってくれたんだな」そんな言葉が浮かびました。解釈様々でしょうが。
裁判シーンの粗野な木村祐一のキャラはちょっと嘘臭かったけど、
この映画で初めて、香川照之という役者が好きになりました。
寂れた田舎町、人間模様、心の探りあい、そんな描写がリアルで良かったです。
濃いヒューマンドラマが好きな人にオススメですね。ジャンルはミステリーですが。


Re:プレイ (2003/米・英) 92分


 「アイデンティティー」の脚本家マイケル・クーニーの舞台劇を映画化。
監督は「トンネル」のローランド・ズゾ・リヒター。
主演は「クルーエル・インテンションズ」のライアン・フィリップ。
共演にサラ・ポーリー(「死ぬまでにしたい10のこと」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」)
スティーヴン・レイ(「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」)
パイパー・ぺラーボ(「コヨーテ・アグリー」)など。

 ある日、緊急で病院に運ばれた男サイモン・ケーブル。
彼は2分間の心拍停止に陥るも、奇跡的に命を取り留めた。
ところが目覚めたとき、彼は過去2年間の記憶を失っていた。
そんな彼のもとに金髪の女や妻だと名乗る黒髪の女アンナがやって来る。
「ゲームから降りる気?」だが、彼は何も思い出せず混乱する。
そして、兄のピーターが既に死んでいることを聞いて、愕然とする…。
彼のバラバラになった記憶のピースは徐々に明らかになっていく。

 題名その通り、過去と現在を何度も繰り返して
真実を明らかにしていく形の映画…なんですが。
登場人物が少なく、ほとんど病院と主人公の屋敷だけが舞台で
主人公が登場していないシーンはほぼ存在しないという狭い世界観。
普通に1回通して見ただけでは、なかなか理解し難い映画だな、って印象です。
とりあえず、ラストで全て明らかになっているようで、どうもスッキリしない。
いくつかの別の解釈が出てくる映画なのかもしれないけれど、とりあえず
 
2000年のあの事故で、主人公と兄貴と、クレアは死んでいた。
その後悔と自責の念から、現実では死んでいるけど何度も過去をやり直してる。
父親と医師が同じ顔だったこと、アンナは病院で見ただけで深い関わりはなかった
ことから、身近に感じた人間を登場人物にして世界を構築していた?

主人公が冒頭から記憶喪失で、見ているこっちも全く新しい情報を見ていく。
「なんだなんだ?」ってドキドキはしたものの、明らかになる真実が
思っていたよりも衝撃的じゃないし、ラストもタイトル通り…スッキリしない。
どちらにせよ、あまり見る側にとっては親切じゃない作りだなと思った。
なんだか、「メメント」の方が複雑かつ簡潔で面白い描き方をしてたな。
ライアン・フィリップは最初「54」の人だとは気づかなかったよ。
他にも仕事に恵まれればいいね…




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