管理人NEROが映画について語ります。

Caramel Cinema


オススメ映画 オススメ本 オススメ曲 プロフ ブログ BBS リンク メール
アイズ・ワイズ・シャット (1999/米) 194分


 かのスタンリー・キューブリックの遺作となった作品です。
はっきり言って宣伝に騙されていました。
トム・クルーズとニコール・キッドマンが裸でいちゃつく映画かと…
でもキューブリック監督だから、そこはまたひと味もふた味も違いました。
衝撃的で異色な忘れられない作品になりそうです。

 ニューヨークに住む医師ウィリアム・ハーフォードとその妻アリス
ふとしたことで妻から性への欲望を赤裸々に告白された夫は
嫉妬と葛藤から夜を彷徨い歩き、危険な冒険をしてしまう…
行きずりの女性の部屋を訪れて金を払って寝ようとしたり
知人のピアニストが目隠しをされてとある秘密のパーティーに行くと知り
乗り込んだそこは、仮面の乱交パーティーだった…

 冒頭から、美男美女ぶりに見とれてしまいました。
ふたりとも別れてしまったのが実に勿体ない…
でもトムってやっぱ背が低いね。二コールの方が若干高いような。
トムと二コールの丁寧で真に迫った演技には驚かされました。
監督と3年間も一緒になってこの作品を作った賜物でしょうね。
 観ているうちに、どんどんストーリーに引き込まれ
謎が謎を呼び、興味は深まるばかり。
常人の知らない未知の世界を垣間見てしまった夫はどうなってしまうんだ?
あの女性は?アパートの子は?貸衣装屋の娘は?
ラストの〆セリフがこの映画のすべてを語るのか?

 この映画のテーマは…ちょっとでも足を踏み外せば
この社会には異形の世界が広がっている。
あの時の電話に出なければ?そのままアパートで続けていればどうなったのか
あのパーティーであの女性がいなかったら?
留まるところ、女は強いね。
妻の助言で何とか救われたような気がしてホッとした。

 特典で二人が故キューブリック監督のことを語っていて
目頭が熱くなっていたり、涙を流したりしてる二人を観て
でつくづく惜しい人を亡くしたんだなと実感した。
キューブリックの作る映画の世界観は芸術的だと思う。
部屋と色の妙な統一感や流れる音楽、それによって加わるムードと緊迫感
映画館に行かずして、心の中すべでが夢中になり、他の事は一時的に吹っ飛び
映画に吸い込まれるような感覚が味わえる映画はそう少ない。
終わったあと、こんなに時間が経っていたのかと驚いた。


犬神家の一族 (2006/日) 135分




 “角川映画”の第1回作品として76年に製作され大ヒットした
横溝正史原作ミステリーを、豪華キャストを迎え
市川崑監督自らが再びメガフォンをとり完全リメイク。
名探偵・金田一耕助役はオリジナル版と同じく石坂浩二が演じる。
野々宮珠世役には松嶋菜々子、ホテルの女中役に深田恭子。
松子役に富司純子、竹子役に松坂慶子、梅子役に萬田久子。
佐清役に尾上菊之助、佐武役に葛山信吾、佐智役に池内万作。
等々力署長役には前作と同じく加藤武。
琴の先生を演じた草笛光子も前作と同じ役。
他、仲代達矢、大滝秀治、岸辺一徳、尾藤イサオ、
奥菜恵、三谷幸喜、林家木久蔵、中村玉緒など。

 信州の犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が永眠した。
佐兵衛には腹違いの3人の娘、松子、竹子、梅子がおり、
それぞれに佐清、佐武、佐智という息子がいた。
さらに、犬神家の屋敷には佐兵衛の恩人の孫娘、野々宮珠世も住んでいた。
しかし、全員が固唾をのんで見守るなか公開された遺言状には、
「佐清、佐武、佐智のいずれかとの結婚を条件に、
犬神家の全財産を珠世に譲渡する」と記されていた。
この予想外の事態に、一族の間で血で血を洗う惨劇が繰り広げられていく。
事件の調査を開始した金田一耕助は、次第に大きな謎を解き明かしていく…

 家族で正月に劇場へ足を運びました。
ちなみにオリジナル版未見。兄が持ってて、その後見たけど
大した違いはなし。キャストの違いと編集の仕方を見比べて楽しむべし。
松嶋菜々子綺麗だったな〜背が高すぎるとか、見た時気にならなかった。
石坂浩二は30年経ってもまだ金田一が演じれるんですな。
スケタケとかスケキヨとか、結構ややこしかった。誰が誰やら。
遺言開いて、
「私のことなんか全然書いてないじゃない〜!」と
嘆いていた奥菜はその後、気が狂っても誰も相手にされなかった
ナ。
フカキョンは田舎娘っぽくはなかったが、天然娘って感じで良かった。
全体的な評判はイマイチですが、私はこのストーリー、他に
どうすれば良くなったかも分からないので何も言わずに楽しんだ派。
昔の小説だから、映像も古い感じにして時代を感じたし、
戦争が終わって兵士が帰ってくる映像で勝手にウルッときてしまった。
松子と佐清を演じた二人は実際に親子だから、面白い。

 
静馬親子が長年恨みを持った3姉妹の仕打ちが、
フラッシュバックした時、あんまり陰惨に見えなかったのが残念。
何か原作では琴の先生が実は青沼菊子だったとか。
金田一耕助は30年経っても、やはり殺人は未然に防げず、
最後に犯人を追い詰めて自殺させちゃうのよね。
私は特に、二度と会えないと思っていた佐清と珠世が再会するシーン、
佐清と母親が再会するシーン、ジーンときました。弱いです、ああいうの。
オリジナルでは自害した時、奥菜の子供にも遺産を分けてやって、と
松子が言うらしいですね。そのシーンは今回もあった方がよかったのでは。

しかしあれだねーやはり殺人事件には金と美女と怨みがツキモノね。


オールド・ボーイ (2003/韓) 120分






 2004年のカンヌ映画祭で審査委員長を務めたタランティーノ監督が絶賛、
みごと同映画祭グランプリに輝いた衝撃のサスペンス。
土屋ガロン(作)と嶺岸信明(画)の漫画を「JSA」のパク・チャヌク監督が映画化。
理由も分からぬまま15年間も監禁された男の壮絶な復讐の旅路を
ユーモアをにじませつつ力強く描く。主演は「シュリ」のチェ・ミンシク。

 妻と一人娘を持つ平凡なサラリーマン、オ・デス。
彼はある夜、突然何者かに誘拐され、小さな部屋に監禁されてしまう。
テレビもあり食事も与えられるが、理由は決して明かされなかった。
そのまま15年間監禁され続けた後、突然解放されたデス。
いったい誰が、何の目的で?必ずお前を見つけ出して、復讐を果たす!
 デスは偶然知り合った女性ミドの助けを借りて、監禁した相手の正体を探る。
そして何度かの危機を乗り越えいつしかミドはデスに愛情を抱くようになる。
そんな2人の前に現われた謎の男ウジンは、オ・デスを監禁した張本人だった。
“5日以内に謎を解き明かせ。もし真実を見つけられたら、自殺してやる”と、
互いの命を賭けた“ゲーム”を提案するのだった。

 韓国映画はほとんど見ないんだけど、これはタラちゃん絶賛、
色んな映画サイトでも評判良かったので、見てみることにした。
原作は日本の漫画らしいね。こっちも、機会があったら読んでみよう。
主人公と同様、何故監禁したんだろ?奴は何をさせたいんだろ?って
アレコレ考えを巡らし、徐々に筋が掴めてきて、…何だぁ、そういうことか。
って思った矢先、もっと驚く事実が明らかになり、「やられた!」って思った。
冷静に見ていれば、それとなく察せるらしいけど、私は判らなかったな。

 残酷描写や下品、エロもあって、こりゃ好きな人は好きな映画だなと思った。
でも、何が一番顔がひきつったか、って言ったら生タコでした。(笑)
あと、彼がリモコン式の〇ースメ〇カーな必要ってそんなに無いよな。
オ・デス、自殺者に話すだけ話して相手の話を聞いてやらないの酷っ。
さりげなく言った言葉が、後にとても大きな意味を持って人を殺す…
例え小さな小石でも波紋は広がるってわけですね。
オ・デスの懇願ぶりと、笑いを堪えるウジン…壮絶だった。
てっきり、それでも非情を通すのかと思ったよ。
近親相姦していたので自業自得っちゃそうなんだけど、可哀想。
でも、自分の人生を賭してまで、あんな復讐を決行するんなら
姉弟揃って駆け落ちでも何でも出来ただろうに…姉は後悔してない、って言うんだし。
エレベーターのシーンはジーンと来たな。
でも、一番納得いかないのはラストだな。あれ、私は失敗したと捉えたけど。
記憶を失くしてもらうべきなのは、娘の方だろうに!!
自分のことを忘れてもらって、誰か他の男と幸せになってくれ…って思うんじゃ?
ギリシャ神話の「オイディプス王」の悲劇をベースにしているらしい。
あの言葉、つまり獣なら近親相姦とか関係ない、ってことか。


 ハリウッドでのリメイクも決まってるらしい。
結末は変えて欲しいな。それに、色々と脚色も欲しい。テンポも良く。
タブーな要素が入ってるので、家族や恋人と見る映画じゃない。
暗い映画なんだけど、アクションとユーモアで少しカバーされている。
韓国四天王とか、アイドル要素が前に前に出ている映画ばかりじゃなく、
こういう映画も作れるんだな、って感心しました。久々にこんなにドキドキした。
韓国映画やドラマによくある熱過ぎる演技やセリフ、違和感は感じなかったし。
日本には凄いどんでん返しの濃厚サスペンスが少ないので頑張って欲しい。
「見て良かったな」って普通に思った映画。余韻も深かった。


溺れる魚 (2000/日) 101分


 「池袋ウエストゲートパーク」の堤幸彦が監督した異色のサスペンス。
出演者は椎名結平、窪塚洋介、仲間由紀恵、渡辺謙、伊武雅刀、白竜、
野際陽子、宍戸錠、IZAM、あの成宮寛貴も映画初出演。

 横領等で懲戒免職寸前の刑事二人白戸と秋吉が罪を不問とする条件で
ある秘密クラブに潜入捜査することになるのだが…
一方、大手フィルムメーカーが脅迫されるという事件が発生。
犯人は店の現像液に漂白剤を混入し、客のフィルムを台無しにされ
会社の評判と信頼関係を壊したくなかったら、と条件に
会社重役に公衆の面前で屈辱的な行為をしろと強制する…

 独特の堤ワールド全開映画。好きなら楽しめること間違いなし。
ストーリーが破綻してるとか原作と違うとか、そういうことは抜きにして
ブラックジョーク満載の豪華キャストで贈るスペシャルドラマとして観よう。
冒頭のシーンは結局、題名を暗示させるだけかな〜

 椎名演じる白戸のジョーオタクというキャラが活きていて後半夢の出逢いが…
窪塚の女装趣味でマゾっ気ある秋吉も笑える。叶恭子みたい笑
仲間のキャラは「トリック」の田中がしっかり者になったバージョンかな。
渡辺謙も不思議な雰囲気を持つ奇妙な人物だった。ラストは仰天。
IZAMのキャラ構成が酷かったかもしれない。何がしたいかようわからん。
ゲイナイト侵入とか、ゲイカップルを装って調査とかネタ満載。
あのダンサーが成宮だよね?そうだよね?

 会社でモーニング娘。の衣装にこだわる奴とか笑えた。
もうこの曲聴くたんびにこの映画のシーン思い出すんだろな。
股間モザイクとかグロい描写もあるので家族鑑賞はお勧めしないかな。
でも俳優が好きなら許せるお遊び。うちは家族鑑賞。

 舞台挨拶とかで例のキスシーンの説明してた。
楽しそうな現場だよなぁ和気藹々としてそうで。
伊武さんや白竜さんはお馴染みなポジションだったね。
変な宗教団体が居合わせた銃撃戦でビームが飛び交う。
会話が何気に面白いづくしだと思う。
こういうユーモアあふれる作品を作れる堤監督は偉大だな。


危険な遊び (1993/米) 87分


 マコーレー・カルキン(ホームアローンの有名子役)と
イライジャ・ウッド(指輪物語フロドで有名になった子)
が共演したサスペンス映画
 もうふたりともまんまあの顔が成長したんですねー!!
イライジャの瞳のでかさもフロドの時のまんま
マコーレも前に観た「パーティーモンスター」とまんま同じ顔
しかし彼は悪魔的な役が凄い型にはまってて恐いくらいですよもう。

 母を亡くして父は長期出張で叔父夫婦に預けられたマーク
その家の息子のヘンリーと友達になり、彼に誘われ遊ぶことに。
しかし次第に遊びはエスカレートしていき、近所の犬をボウガンで撃ち殺し、
道路で衝突事故を引き起こす。
ヘンリーの異常さに恐怖を覚えたマークは周囲の大人に助けを求めるが…

 あんな小さい子供が??と考えると本気で恐ろしい内容です。
流れてくる音楽が凄い寂しさを強調してて、
直接的な感情を正直に表す子供ならではの素直な狂気が描かれてた。
ラストの展開は正直、ゾッとしました。
 ヘンリーは母親の愛情を渇望し固執していたわけではなく
あんな幼いながら世の中をずるく渡る仮面と狡猾な嘘を使い分けている。
あの天使のような笑顔の奥に潜む悪魔の心…凄かったです。



ギフト (2000/米) 111分


 『ダークマン』『シンプル・プラン』最近では『スパイダーマン』で知られる
サム・ライミ監督作品。彼の有名な『死霊のはらわた』も見てみたい。
主演は『エリザベス』のケイト・ブランシェット。
共演にキアヌ・リーヴス、ヒラリー・スワンク、
最近トム・クルーズとの婚約話で話題になったケイティ・ホームズ。

 “ギフト”と呼ばれる特殊な超能力を持ったアニーは
夫に先立たれ4人の子供を抱え、小さな町で占いをして暮らしていた。
夫の過剰な暴力に悩み、それでも別れることができない女性や
小さい頃のトラウマが原因で情緒不安的な男性など…
そんなある日、結婚を間近に控えた若い女性が失踪する事件が起こった。
手がかりの掴めない警察は彼女に協力を依頼するが…

 ホラーコーナーに置いてあったけど、サスペンスの部類じゃなかろうか。
突然の音にビックリすることはあったけど
(あと、ケイトの思わぬパンチラシーンにもビックリ)
どちらかと言うと『シックス・センス』みたいな類かも。
ケイトは儚げで透き通った美しさが在る不思議な女優さんですね。
ヒラリー・スワンク、最初全然彼女だと気づかなかった。
キアヌ…暴力夫の役なんだけど、顔が何故かちっとも恐くない。
彼の底の浅過ぎるキャラに、こいつじゃないだろうと普通に思った。
ケイティはこの映画で初めて観た。

 キャストがなかなか豪華だし、一見の価値はあり。
撮影に使った場所は実際に心霊現象で有名な場所なんだとか。
撮影ではそれぞれ皆、心霊体験のようなものもしたとか、しないとか。
バディ役の人がかもし出しでいる危うい雰囲気がよく出てた。
ジョヴァンニ・リビシ。『プライベート・ライアン』等に出演。

 ストーリーを観ると、対して凝った脚本ではないんだけど
サム・ライミが撮るだけあって不思議と入り込んで観れた。
展開も、結構ありきたりではある。
ただ、息子との関係が中途半端だったような気がしないでもない。
学校での態度が云々ってシーンが出てきて
母親と和解するもっと具体的な出来事が用意されててもいいような。
ドニーのその後も凄く気になる。

 超能力は存在するとは思うけど自分とは縁が無いと思ってる。
劇中ケイト演じるアニーがカードを使って占うんだけど
どういう基準でやってんのかチンプンカンプン。直感勝負っぽい気もする。
ヴァレリーもバディも「カードで占って」って訪問してくるけど
実際は占いの結果じゃなくてアニーに相談しに行くことが大事なのかも。
占い師っていうよりカウンセラーな印象。
「そんな気分じゃないの」って断った所が今でも凄い残ってる。
あの時、ああしてたら…ってずっと悔やんでしまいそうな瞬間だ。


クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち (2004/仏) 100分


 フランスのベストセラー小説を映画化した「クリムゾン・リバー」の続編。
今回は、リュック・ベッソンによるオリジナル脚本。
キリストと12使徒をなぞらえた一味を巡る陰謀を追う2人の刑事の姿を描く。
出演は「レオン」のジャン・レノ、「ピアニスト」のブノワ・マジメル。

 ある日、フランス・ロレーヌ地方の由緒ある修道院で、
壁に掲げられたキリスト像から血が流れ出すという奇怪な事件が起こる。
さっそくパリから派遣されたニーマンス警視が捜査を開始。
間もなく壁に埋め込まれた死体を発見。横には紋章のような印が残されていた。
一方同じ頃、若手刑事レダは麻薬捜査中、道路でキリストに似た
傷だらけの男と遭遇し、精神錯乱している彼を病院へ運ぶ。
黒マントの男が彼を狙い病院に現れ、レダはニーマンスと再会し、捜査を開始。
12人の使徒、黙示録の天使…点と点が線で繋がり始める。

 前作はテレビで随分前に見た。もうほとんど内容は忘れた。
今回は続編だけど、若手刑事レダがヴァンサン・カッセルからブノワに変更。
フランス製作のサスペンスもの、って形で何だかアメリカ作とは雰囲気が違う。
黒マントの男を追っかけるアクションが凝ってて、ここは良かった。
レダの身のこなし、犯人をどこまでも追う執念は凄いな〜なんて(笑)
てか、思いっきりヤマカシしてますね。あんな超人いるんですか?!
終盤になって説明もされるけど、あんな魔法みたいなことは…
連続猟奇殺人事件と、修道院連中が隠している謎。
何かここらへんの設定や展開が着いていけなかった。何故?何故?って。

 悪役にクリストファー・リー様も出演。もっと活躍して欲しかったな。
映画の始まりでは、あんなに雰囲気を持たせていたのに、
終わり方は単純なアクション・アドベンチャーみたいなノリで驚いた。
物語に隠された深い意味とかは別にないんですね。
黙示録の天使たち、って副題付いてるから、驚愕の真実が明らかになり…とか
多少現実離れし過ぎてても衝撃が欲しかった。
あんな凝った方法で殺人犯す理由は特になかったんだろうし。
まだ前作の方が事情に奥行きがあって、膨らみが感じられた。
追いかけっこのアクションは映像的に良いけど、話自体は薄かったです。


黒蜥蜴 (1968/日) 87分


 原作:江戸川乱歩、戯曲:三島由紀夫、監督:深作欣二という豪華さ。
主演に丸山明宏(現、美輪明宏)、木村功、川津祐介…キャストも凄い。
こんなに特別な映画なのになぜ未だにDVD化されてないのか?

 ストーリーはいたって単純明快。
名探偵明智小五郎が黒蜥蜴と名乗る女賊とダイヤと美女を巡って対決する。

 冒頭のセリフから世界に引き込まれてしまった…
「あなたは批評家?」って続くセリフに。
暖炉と花束の話もぶっ飛んでて興味深い。
言葉のひとつひとつが芸術的に凄い。
こんな表現でしか感動を表せない自分が嫌だ。

 すっごい惹かれちゃって…2回目で更にはまってしまった。
どんどん観るごとに惹かれていく気がするよ。
美輪明宏…なんて素敵な人なんでしょう。
 もう彼(彼女と呼ぶべきか)が画面に映るだけで退屈しない。
話し方、身のこなし、しぐさ、かなりのハマリ役だと思います。
京マチ子バージョンもあるが、やっぱりイメージ的にこちらの方が強いと思う。
彼女の為にこの戯曲を書いたという三島由紀夫もゲスト出演。
事実、恋人同士だった二人のラブシーンは必見です。

令嬢さなえと雨宮もいい味出していました。
二人のスキップ姿はかなりきます!そんな展開…!でもアリか!!
川津祐介を見た瞬間、「どっかで観たことある顔だ!!」とハッとしました。
色々出てたんですね…「地雷を踏んだらサヨウナラ」とか
「ひとつ屋根の下」「きらきらひかる」等ドラマにも。

ラストのセリフとか理屈抜きにして・:*:・(*´エ`*)ウットリ・:*:・してた自分がいた。
くさいセリフって、はまったら凄い感動を呼ぶのですよ。
昔の映画って間とか雰囲気とか退屈するのが常なんだけど
これは何の苦もなく観て楽しめる作品だな〜
時間は短いし、どのシーンも全て目が離せない。釘付けです!


氷の微笑 (1992/米) 128分


シャロン・ストーン、マイケル・ダグラス共演のエロティックサスペンス。
この映画で一躍名が知れわたったシャロン・ストーン…綺麗でした。
惜しみなく脱いでるしね…女優魂だわ。

ある晩、男が全裸でベッドに白いスカーフで両手を縛られたまま、
アイスピックで滅多刺しにされ殺された。
その残忍な殺しの手口は以前出版されたサスペンス小説と全く同じ…
刑事の男が調査に乗り出す…そこで容疑のかかった作家女性と
疑いあいながらも、しだいに仲良くなっていき…

冒頭のシーンとシャロンの微笑だけ凄いと思った。
あとはよくあるストーリー展開かも。
マイケル・ダグラスはどうも好かない。しかし老けているなぁー
主役の刑事がどう心動こうとも、観てる側には犯人まる分かり。
シャロン演じる悪女の心境になって見たほうが楽しそうだ。

刑事の方にも隠したい過去の事情があって、
調べる正義という立場にも後ろめたい事実があると厄介なもんだなと思った。
「こうしてセックスして、日々幸せに暮らす」って言われて
シャロンと一緒にげんなり顔になっちゃったよ。
「つまんない。そんなの」と。


コール (2002/米) 106分


 誘拐犯が親子を三つの場所で監禁して身代金を要求する映画。
30分置きに連絡電話入れて、もし連絡なかったら娘が殺されるって計画犯罪
母親役にシャーリーズ・セロン
この女優さん顔立ちが好き。「ディアボロス」でキアヌの奥さんやって
「ノイズ」でジョニデの奥さんやって…そして今回
父親役にスチュアート・タウンゼント
最後のスタッフロールで初めて気づいた。
クイーン・オブ・ヴァンパイアの時と変わって見えた。案外普通の顔してたんだな…
娘役の子は、ダコタ・ファニング売れっ子じゃーん
犯人役はケビン・ベーコン 悪役最高!!
「インビジブル」「激流」「スリーパーズ」といい頭の中はやることだけっていう
犯人の女にコートニー・ラブが!!豪華だ。

 今回は動機が後から分かってきて、同情というか可哀想になってきた。
犯人は三人いて、それぞれ母親の所に男、
父親の所に女、子供監禁におっさん、っていう合わせ。
でも最初から素直に従って事なきを得た方がよかったよ〜な。
だって犯人に危害を加えたら子供が危ないんだよ?
相手はプロの誘拐犯だから仕事が終わったら無事になるし…
私怨が絡んだことは後から分かったけど、それでも子供に危害は無いし。
子供の為だと思ったら抵抗なんてできないと思うんだけど
金持ち医者のくせに金が惜しいのか?って思った。

 そりゃ誘拐は悪いことだし犯人が悪なのは分かるけどさぁ
正義感バリバリなアメリカっぽさなのかな。
と、まぁ納得できない点は多々あった。
あんな場所で話が終わるとはついぞ思わなかったよ。



コラテラル (2004/米) 120分


 トム・クルーズが悪役を演じ話題になった犯罪サスペンス。
監督は「アリ」「ヒート」のマイケル・マン
共演は「Ray/レイ」でアカデミー主演男優賞受賞のジェイミー・フォックスと
ウィル・スミスの妻のジェイダ・ピンケット=スミス。
マトリックス・シリーズのナイオビ役が記憶に新しい。

 ロサンゼルスでタクシー運転手をしているマックスがその夜も仕事中。
最初に乗せた客は敏腕女性検事のアニー。親しくなり浮かれるマックス。
次に乗せたのはビジネスマン風の男。
不幸にも、彼はヴィンセントという名の殺し屋だった。
一晩のうちに5人始末する為、タクシーを移動手段として使われ
無理矢理同行を余技なくされたマックスだったが…

 なんだろう…たった一晩の出来事で、目を見張るシーンも特に無い。
土曜日の深夜にでもながら観するタイプの映画かな。
トム・クルーズの白髪、髭顔を見て、老けたなぁ…と思った。
ヴィンセントはもうちょっと手際よく仕事すると思ったが、グダグダじゃん。
冷酷非道っぷりは出てはいたけど中途半端にマックスに甘い。
要領も悪いし、あれでよく6年間も殺し屋が務まったもんだ。
警察も役立たずばっかりね。

 映像自体は少し地味だが全編夜の独特の雰囲気作り。
上空からのロサンゼルスの夜景はちょっと素敵だった。音楽も。
意外と、二人のする会話がシビアだったりする。
夢追い人は、耳が痛い事を云われます…
サスペンスやホラーでは定番だけど、何も知らない人に
電話かけて急いでヤバイ状況伝える時って
「何云ってるの?冗談はよして」「いいから聞くんだ!」
ってなやり取りが判っちゃいるけど、一緒に苛々してしまう。
マイケル・マンの作品とトムクルが好きなら観ればいい、って映画かな。
今時は珍しい、大人の男の世界っぽい渋さがある映画。

 ロサンゼルスという街、ってことで
最初に出た話とラストが皮肉にダブる洒落た作りになってた。
好きになった女性の為とはいえ、土壇場になってから行動起こす彼は
正直、どうかとも思うけど…うぅ〜ん。
あと撃たれた刑事、てっきり防弾チョッキ装備で
ラストで警官隊と一緒に出てくるかと思った。


サイン (2002/米) 107分





 全世界で大ヒットを記録した「シックス・センス」「アンブレイカブル」の
鬼才M・ナイト・シャマラン監督がメル・ギブソン主演で描くミステリー。
映画史上最高額の値(1000万ドル)が付いた脚本は、
公開直前までトップ・シークレットとして扱われた。
共演はホアキン・フェニックス、ロリー・カルキン、アビゲイル・ブレスリン。
レイ役としてシャマラン監督も出演している。思いっきりインド人。

 不慮の事故で最愛の妻を亡くし、信仰を捨てた牧師・グラハムは
弟のメリルと、息子のモーガン、娘のボーと4人、人里離れた一軒家で暮らしていた。
ある朝、グラハムが目覚め、息子の声でとうもろこし畑に向かってみると、
そこには巨大なミステリーサークルが出現していた。
警察に届け出をし、最初は悪質で手の込んだイタズラだt思っていたグラハムだが
やがて世界中で似た現象が起こり、各地でUFOまで出現。
困惑しながらも、一家は宇宙人の存在を認識し、身を守る為に一致団結する。

 観よう、観ようと思っていたけど、なかなか観る機会がなかった。
テレビで放送してた時も見逃した。そして今回ようやくレンタル。
とりあえず仰天な展開と、意外に笑える、ってのと糞下らないって前評判ね。
実際観てみた感想としては…はっは〜ん、なるほどね。アリっちゃアリ!
まず、あざと過ぎる位、演技過剰なメル・ギブソンに苦笑。
狙っているのか?それは狙った演技なのか?と裏を勘繰ったよ。
そしてホアキン演じるメリルの仕草や行動に不意打ちのような笑いを食らう。
「水着特集」を宇宙人特集に上書きされちゃう時のさりげない反応、
テレビのドッキリ映像に本気になってリアクションしちゃう、
アルミ箔の帽子被って子供に挟まれてソファに座ってたり、
夕食時、親子の抱き合いにシャツ引っ張られ強制参加させられたり。
やはり監督がインド人な為か、妙な展開や突っ込み所がある。
子供が買ってきた宇宙人の本を本気で信じちゃったり、
奥さんの遺言もいくら映画の流れとはいえ、死ぬ間際に「見て」と「打って」って。
宇宙人もどうすんのかなと思ってたらラスト、あっさり登場してましたな。
結局、目的も判らないんだけど、何か家族愛と神の啓示の話だもんな。
だいたい水に弱いって…「宇宙戦争」といい、ダメね〜宇宙人は。
雨が降ったら総崩れだったんでしょうか。


 偶然が起きた時、ただラッキーだったと思うか、何かの啓示と思うか。
牧師が「何で愛する人を殺したんだ神なんて糞食らえだ!」と思っていたが
偶然が重なり息子が助かることで「すんません、ありがとうございました。」
と神への信仰を取り戻す話だったんだな。
世界規模の出来事だけど閉鎖的な田舎の一軒家で収めている。

大作扱いしなければ、許せる作品。オカルトB級ですよこれは。


Jの悲劇 (2004/英) 101分




 ブッカー賞作家イアン・マキューアンの世界的ベストセラー『愛の続き』を
「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督の心理サスペンス。
主演は「ロード・トゥ・パーディション」のダニエル・クレイグ。
彼は新007ジェームス・ボンド役としても注目の役者。
共演にリス・エヴァンスとサマンサ・モートン、ビル・ナイが脇を固めている。

 快晴の青空の下、恋人クレアと草原でピクニックを楽しんでいたジョー。
すると偶然、暴走する気球が。中には子供。外で老人が必死に綱を握っている。
ジョーをはじめ近くに居合わせた4人の男たちが気球を抑えようと駆け寄り、
ロープを握り、気球が安定を取り戻しつつあったが、突風が吹き、
気球が空中に浮上し始める。ジョーと2人の男はすぐさま手を放し難を逃れるが、
ひとりロープにつかまったままの男はそのまま空高く上がり、墜落死する。
あの時、手を離さなければ…誰かが手を離して、他の2人も離した。
自分が最初に手を離したから…とジョーは激しく責任を感じてしまう。
事故のことが頭から離れなくなったある日、現場に居合わせたジェットという男から
「会って話しがしたい、話すべきだと思う」と電話を受ける。。。

 レンタルのミニシアター・コーナーでたまたま目を惹いた作品。
新・ジェームス・ボンド君は結構老けてるね。この時38歳か…
イギリス映画のいい面がよく出てて、非常に映像に魅力を感じた。
赤い気球が青空を登っていくシーン、男が落下する所を静観してしまう。
いい天気で、悲劇なのに、何だかポカーンとしてしまう。
その後、落下した男が結構エグい死に様なのでちょっと吃驚した。
ジェットの目的が、2回目会った時ぐらいに「まさかな…」と思ったら
ホントにそれ目的だったとは
…物語的には新鮮じゃないし、在り来たりだけど
魅せ方が良かったのか、最後までハラハラしたし、
終盤にさしかかると、
ジェットとキスする寸前のシーンで「こわいよぉ〜(T。T)」って声が出てしまった。
ジョーがストーカー男を邪険にする反面、彼女に話す時は何気に庇う。
段々、発狂していき、彼女は愛想を尽かし始めるわけだ。
カメラがグルグル回る所でいきなりグサッとするシーンも斬新だった。
正直、気球男と罪悪感の話から反れちゃったなと思ったら
最後は何となく、決着はつけている。でもコレ原題が「愛の続き」だから…
ジェットは刑務所でもニヤニヤしてるから…ヒイィィィ!!!!(゚ロ゚ノ)ノってことよ。

いい掘り出し物でしたね。なかなか楽しめました。
色使いが鮮やかで、愛の定義とか文学的っぽい雰囲気も味わえます。


シャレード (1963/米) 113分




 オードリー・ヘップバーン主演のサスペンス。
共演にロマンスコメディ界のスター、ケイリー・グラント。
原作・脚本ピーター・ストーン、監督・製作スタンリー・ドーネン。
オードリー作品の中でも1,2を争う名作として挙げられている。

 女友達とのバカンスを終えてパリに帰ってきたレジーナは
冷え切っていた夫婦生活にピリオドを打とうとしていた矢先、
家財道具一式すべて消え去ったからっぽの家と、
夫が列車からパジャマ姿で放り出されて殺された事実を聞かされる。
怪しい人物が現れた葬儀の後、途方に暮れたレジーナは大使館に呼び出され、
情報局長から夫が戦時中、軍の資金25万ドルを持ち逃げしていたことを知らされ
夫と一緒に金を盗んだ仲間たちが金の行方を追って自分の命を狙うことになり、
旅先のスキー場で知り合った男性、ピーターに助けを求めるのだが…

 良質サスペンスと聞いていたけど、観てみたらこれは
流石、オードリー作品なだけあってどこかやんわりとした映画でした。
人が殺され、なかなかヤバイ状況が続くにも関わらず、どこか優しい。
主人公の置かれる状況が二転三転するのは見ていて楽しい。
電話ボックスで…マッチ、捨てられる前に息ふきかけて消せばいいじゃん。
金の為なら手段を厭わない連中も、金は何処に隠されてるんだ?と
レジーナとピーターと一緒に、普通に部屋を探してまわる様が滑稽ね。
切手売り場で( ゚д゚)ハッ!として部屋へ急ぐ二人だけど、
私は切手の絵柄にヒントがあったのかと思っちゃった。鈍くさいわ。
偽局長、昔の仲間たちに何でバレなかったんだろ。整形でもしたの?
ピーターが4つの顔を持っていたことには仰天でした。
もうね、何回嘘つくんだよこの色男!って思った。
レジーナは新たな真相を聞かされるたんびにアッサリ手の内明かしちゃうし。

パリが舞台で、絵的に様になっていたのとオードリーのファッション。
可笑しなストーリー展開とこれに尽きるかもね!
“楽しいサスペンス”とでもいおうか、今じゃなさそうな映画です。
2002年にマーク・ウォールバーグ主演でリメイクされてますが、
役者に華がありませんよね。やっぱり華は大事です。


スネーク・アイズ (1998/米) 99分


 ブライアン・デ・パルマ原案・製作・監督作品。
主演にニコラス・ケイジ、共演にゲイリー・シニーズ、カーラ・グキーノ。
ハリケーンが上陸中のアトランティック・シティのドーム会場で
観衆が大熱狂するボクシング王座決定戦が行われた。
金に弱い汚職刑事のリックは同郷出身のチャンプに金を賭けて大ハシャギ。
そこに、国防長官とその警護を務めるリックの親友ダン中佐も観戦しに訪れる。
試合が佳境に入った時、銃声が鳴り響き、長官が暗殺されてしまう。
大パニックになる会場。狙撃犯の他にも何かこの事件に陰謀があることを
突き止めたリックは長官が死ぬ直前まで話し込んでいた謎の女を捜すのだった。

 登場人物の視点で動くカメラワークが好きな人におすすめ。
陰謀を操る犯人が誰かは早い段階で分かるけど、最期まで飽きさせない。
カジノやホテル内を流して映していくシーンはドキドキした。
ニコラス・ケイジの出てる映画ってなかなか良作が多いですよね。
ゲイリー・シニーズは「フォ
レスト・ガンプ」でダン中尉という役名だったんですが
引っ掛けているんでしょうかね?スーツのビシッとした姿が格好良かった。
カーラ・グキーノは「スパイキッズ・シリーズ」のお母さん。ナイスバディ。
ダン中佐がホテルを歩くシーンではハラハラしました。
今までは賄賂で目を瞑ってきたリックが親友も大金も断って正義を選ぶのが
何とも印象強かったです。私だったら負けちまうなぁ…最低?
ダン中佐が最期までリックを殺そうとしなかったのも切ないなぁ。
予言通り、英雄になってもすぐボロが出て結局失ってしまうリック。
だけど、彼は彼なりにへこたれず、飄々とした人生を送るのであった…。
スネーク・アイズ=親のひとり勝ち。スタッフロールの最期まで見ると登場。
真っ赤な宝石。共犯者の死体が埋まっている。陰謀の張本人の社長は
逮捕されることもなく街にのさばり続けるのであった。社会の皮肉。

深夜作業の休憩にGyaoで見始めたら、一気に目が醒めた。
なかなか酷評も目立つ作品だったけど、私は好きです
。こういうの。
そういえばニコラス・ケイジが刑事役やってるの観たの初めてかも。


セブン (1995/米) 126分


 「エイリアン3」「ファイトクラブ」のデヴィット・フィンチャー監督
ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー共演
「羊たちの沈黙」に続きサイコサスペンスブームを巻き起こした大ヒット映画。

 キリスト教の”七つの大罪”を題材にした連続猟奇殺人事件を追う二人の刑事。
「食欲」の罪で無理矢理食事を食べ続けさせられ食道を破裂させられた肥満の男
「怠惰」の罪で拉致監禁され麻薬づけで生かされ続けた男…
エグイ、酷い、惨い描写が盛り沢山あります。
普通の人ならとてつもない不快感に襲われる。観ていられないだろう。
私も、テレビ放送されてても途中で見るのを止めていた。
しかし興味を持った時、この映画を最初から最後まで真剣に鑑賞した。

 この映画を観て、モーガン・フリーマンの演技は勿論、
ブラピの真に迫った慟哭の表情が凄かった。
若い刑事役の彼のその後を思うととてつもなくやりきれない。
実際の殺人事件の犯人に関してもだけど、どうすることが正しいのか
よく犯人が「死刑になりたくてやった」など発言していると深い憤りを感じる。
映画の犯人は違うけど、根本は似たようなものだと思う。

 禍々しい雰囲気で血や悪臭がこちらにまで匂いそうなりアルさがあった。
雨ばかり降り続いて街自体に暗い印象があって
喫茶店でサマセット刑事と奥さんが話していた内容もあって
本当に嫌な世界だった。でも何故か魅力みたいなものを感じてしまう。

 この映画では犯人はある大儀を成し遂げたかのように誇っている。
肥満男に対して彼が語った言葉は、ある意味日常でも人が感じる不快感で
軽いノリでそう云ったとしても実際には実行しない。
犯人の言いたいことはだいたい判ったけど、卑劣だ。
後味が悪いけど、サマセット刑事がラストに言った言葉を私も信じたい。


ソウ (2004/米) 103分


 目覚めたら老朽化したバスルーム。足には鉄の足枷、
部屋の中央には自殺死体。対曲線上に同じ状況下におかれたもう一人の男…
「セブンより怖いらしい。CUBEより凄いらしい」が宣伝文句のサスペンスホラー。

 正にシュミレーション系ホラーゲームのようなオープニングだ。
そのまま戸惑いつつも状況を段々理解して脱出の手段を考えるのかと思いきや
しょっちゅう過去へフラッシュバック。これはあまり頂けない。
最初の衝撃の状況から、普通のサスペンス映画の世界に戻された。

 正体不明の連続猟奇殺人鬼の話をゴートンがし出して事態を飲み込む二人。
最初はお互い知らない者同士のはずだったのに、アダムは隠してただけだった。
映像からして、低予算でサイコ勝負の映画だと思っていたんだけど…
アマンダの回とか、色んな人の危機的状況を見せるのは良いと思う。
犯人の世直し感覚の自論も聞けるわけだ。
でも刑事が一度犯人追い詰めていくのは苛々してしょうがない。

 出来るなら、映画すべてがバスルーム内で始まって終わった方が凄いと思う。
勿論、それは観客を飽きさせない俳優の天才的な演技力が必要だけど…
二人が途中、罵り合うシーンももっと工夫が欲しかった。
最初からずっと不吉な空気が漂いまくっているので
結末は予想は出来たけど、流石にラストは仰天もの。
でもあれはネタばれされたら相当つまらなくなるね。
後から考えればどうしても不自然な点も出てくる。

 犯人のダークな動機は好みだけど、続編もあるとなると…
もう同じような手は通用しないだろうし、どうするのだろう。
セブンとCUBEを引き合いに出してハードル高くしてしまったのは失敗。

 最初は二人どちらか生き残った方が出れるのかと思っていたけど、
アダムには最初から助かる手段が用意されてなかったわけだ。
あと、どうしてももっと早く奴の拳銃で足枷撃たなかったんだろうと思ってしまう。


ソウ3 (2006/米) 108分


 斬新なトリックと壮絶な残酷描写で世界的に大ヒットした
シチュエーション・スリラーのシリーズ第3弾。
謎の殺人鬼“ジグソウ”が仕掛ける新たなゲームが幕を開ける。
シリーズの生みの親ジェームズ・ワンとリー・ワネルは原案・製作総指揮担当。
監督は「ソウ2」に引き続きダーレン・リン・バウズマン。

 密室での爆死事件が発生。またしてもジグソウの仕業と
警察が騒ぎ、一人の女刑事が何者かに誘拐される。
女性外科医リンが何者かに拉致され、目覚めた場所は廃工場。
目の前には瀕死の殺人鬼“ジグソウ”が横たわっていた。
ジグソウに付き従うアマンダがリンにルールを伝える。
それは、ある男に仕掛けたゲームが終わるまで、ジグソウを延命させること。
ジグソウの心臓が止まれば、リンの首に巻かれた爆弾も爆発する──。
その頃、食肉工場の地下室で一人の男が目を覚ます。
彼はひき逃げで最愛の息子を失った父親ジェフ。
彼はそこで鎖につながれた3人の男女を目撃するのだった…。

 
一人はひき逃げを目撃しながら法廷で証言しなかった女。
もう一人は、犯人に軽い罰しか与えなかった判事。
そして最後に、愛する息子をひき殺した男。
ジェフは、この3人の運命が自分にゆだねられていることを知る。
カセットテープの主は彼らを凄惨かつ絶対絶命な状況下に置き、
ジェフが自らリスクを侵しながらも鍵を入手し助けることが出来る。
…私なら先に鍵を取ってから相手がどう謝罪するか様子を見て、
その言葉を聴いて気が変わったなら助けることにするかな。
とりあえず、ただ肉体的苦痛に苦しむのではなく、
自分が過去、こんな過ちを犯したことにより、こんな状況下にある、という
激しい後悔、罪悪感、精神的に深いダメージを与えてやりたいような気もする。
そして、最後に何でジグソウを殺したい程憎んでるのか判らなかった。
確かに仕組んだのは全部彼だけどさ。救急車も来るって言ってるんだし、
何よりも大事な妻に寄り添って止血しててあげるのが当たり前じゃん?
あんな動けない病人にムキになってもね…そう思った。

 とりあえず命を大事にしろと訴え拷問をするサイコ・ジグソウと
被害者になりながらもジグソウに心酔し弟子となったアマンダ。
この二人にイライラし
…というか登場人物みんなイライラするんだけど。
どんどん残虐描写が増し、サスペンス要素を追求しなくなったな。
後継者だったアマンダだが、単なる殺人狂になりさがり、
どうあがいてもクリアできない拷問クイズで命を弄ぶ。
ジグソウとアマンダの1と2の伏線みたいなのを3で断片的にやられても、
フラッシュバックが多すぎて(しかも暗闇シーンも多くて)
何を意味しているのかよく判らなかったなぁ…
一番痛そうだったのは足枷外す為の足グキィッツ!だったけど、
ブタの腐肉ミックスを全身にあびるのも臭いを考えると発狂もんだろうな。

1の伏線を回収する為にも4が待ち構えていますよーってつもりなんだろう。
こういう映画は劇場では観たくないもんですな。ゲンナリしちゃう。
この映画のせいかはよく判らないけど、観てるうちに頭痛がした。
恐いもの見たさというか、シリーズを見守る惰性というか、
とりあえず見とこう精神で見たけど、コレ何回も見たがる人いるんだろか。
まぁ“拷問”がウリだった「ホステル」よりはこっちの方が凄かったです。
少なくとも2よりはシュチュエーションは良かったけど、
残虐性をこれ以上エスカレートさせるよりもシナリオで凝って欲しい。
2の感想すっとばして書いてしまった。そのうち書きますね。


太陽がいっぱい (1960/仏・伊) 122分





 アラン・ドロンの美しさを世に知らしめた映画。日本でも大ブレイク。
監督は『禁じられた遊び』、『パリは燃えているか』等で知られるルネ・クレマン。
出が貧しい青年トムは幼馴染の大富豪の息子であるフィリップと旅行中、
彼を船上で殺害し、海に沈めてしまう。
フィリップのサインを真似てパスポートを偽造し、預金を引き出す。
フィリップの名前でホテルに泊まり、彼が生きているよう工作するトム。
タイプの手紙しか来なくなったことを不審に思う婚約者のマルジュ。

 今観ても完璧なまでに美男子なアラン・ドロンにはまいったなぁ〜
この映画、両親も大好きでよく観てたらしいけど、こりゃ名作になるわな。
まずイタリア地中海の舞台が美しい。町並み、市場、真っ青な海。。。
映像の古臭さもかえって映画の魅力を引き立たせる。
シャツ一枚でペンダントがチラ見しているドロンの着こなしも惚れる。
ギラギラした視線、ギラギラした太陽、どこか闇を秘めた表情、
どこか影のある音楽、吸い込まれそうな瞳、、、虜になります。
ちなみにフィリップ、最初出てきた時からどうしても
ドロンの方が上品に見えちゃったんだけどなぁ…仕方ないの?
殺害前のトムの方が垢抜けていなくて、何かひ弱に映って、
殺害後の方がトムの男前っぷりが上がっていると言われているんだけどね。
ちなみにドロンは演技の方はあまり上手い方じゃないらしい。
でも字幕頼りな日本では全然判んない。アッパレ。

 
船上やホテル廊下での長回しは今の映画なら編集してしまう所、
主人公の気持ちになってハラハラし、息を呑みました。
見る前から結果は判っていたのですが、有名なラストシーンには脱帽もん。
ずっと船にひっかかっていたのか…リアルにドキッと戦慄走った。
あそこであえて、マルジュの悲鳴に顔アップしなかった所と、
トムが呼び出されて一瞬怪訝な顔をしながらも、微笑って画面から去る。
残されたのは海。トムは観念したのか、それとも知らずに行ったのか…
それとも、満たされた今、もうどうでもよかったのか…


 映画解説者淀川さん曰く「この映画は同性愛を描いている」とは言うものの、
直接的な表現は無く、トムもフィリップも心理描写は無い。
でも見ていると、トムはそれほどマルジュに執着がないようにも思える。
映画の流れ的には婚約者に金を相続させて、彼女と一緒にモノにしてしまえ!
と捉えるのが普通なんだけど…フィリップのようになりたかったのだし。
生まれが卑しく、努力しても金はなかなか稼げない。
そういう人間が大金を手に入れようとして犯行に及んだと思うと凄く暗い話だ。

アラン・ドロンといえば、これと『アラン・ドロンのゾロ』と『レッド・サン』しか
見ていないわけだけども…『サムライ』って映画もいつか見てみたいな。
有名なサムライって香水はアラン・ドロンが『レッド・サン』で共演した、
侍役の三船敏郎をイメージして作ったらしい。
とにかくこの映画を見て、アラン・ドロンに惚れなさい!!おすぎもそう言うはず!


ダ・ヴィンチ・コード (2006/米) 150分






 全世界で500万部突破したダン・ブラウン著、同名の大ベストセラーを映画化。
監督は『アポロ13』、『ビューティフル・マインド』のロン・ハワード。
主演にトム・ハンクスを迎え、『アメリ』のオドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、
ジャン・レノ、ポール・ベタニー、アルフレッド・モリーナと豪華俳優を揃える。

 閉館後のルーヴル美術館。ダヴィンチの素描<ウィトルウィウス的人体図>を
模して横たわる、ソニエール館長の死体が発見された。
死体の周りに残された不可解な暗号。その中にはハーヴァード大学教授の
ラングドン(トム・ハンクス)の名前が…彼をホシと決め付ける警察。
殺人の容疑者として連れてこられたラングドンは拘束されそうになるが
暗号解読官で館長の孫娘でもあるソフィー(オドレイ・トトゥ)によって助け出される。
ファーシュ警部(ジャン・レノ)らフランス司法警察に追われながら、
隠された暗号を解読し、謎を解き始める二人。館長を殺した謎の組織も動く。
ダヴィンチが自らの絵画に残した歴史を覆す衝撃の真実とは…?

 世界同時公開!でキリスト教徒からブーイングの嵐、批評家からは
ウケが悪いと評判ですが、普通に謎解き映画として楽しんで観ましたとも。
キリスト教とキリスト教の基礎知識が無いと辛いもんがあるそうだけど
私は映画の中に出てきた説明とキリスト教の大まかな知識だけでも
まぁ映画の主役の行動と言葉に着いていけたんじゃないかな?ってとこです。
まずルーヴル美術館のロケが見所のひとつですよね。綺麗。
あの透明ピラミッドは知らない人は知らないいんだね。この映画を期に
ルーヴル美術館混みそうだね〜皆トムの真似してあそこに屈みそう。
かく言う私もまた改めてじっくりルーヴル美術館周りたくなっちゃった。
謎を解きながら色々教会を回るので視覚的にも何か目の保養。
説明上、昔の時代の映像とかも見れて、想像もし易かった。

 キリストは神じゃない?っていうよりトムの髪は本物じゃない?と
疑ってしまう彼のヘアスタイルも見てみればそんなに気にならなかった。変だけど。
服装からも連想して、何か古畑任三郎みたいと思ってしまったのは私だけ?
ポール・ベタニー演じる怪しげな修道僧がいい味出してて好きだったな。
何故あんなに不気味な形相?って思ったら
色素欠乏症で迫害を受けてたという
設定があったんですな。自分拷問シーンの顔の歪みに自分も顔が歪んだよ。
顔だけで2時間半、全身だと3人がかりで6時間もかかるメイクなんだそう。
導師は利用してただけだけど、オプスの幹部のアリンガローサとは
信頼関係があったんだな、って思うとシラスのラストがモノ哀しげ…。
オプス・デイって実在する宗教団体なんだね。原作者訴えられてるそうじゃない。
ジャン・レノって結構蚊帳の外的な役回りだったんですなぁ。消化不良。
リー・ティービングは執事使って一芝居打つ必要あったのか?
そのまま付いていってれば普通に二人が謎解いてくれたと思うのだが。
何よりもソフィーが末裔だって知ってたあの教会連中は本人が来るまで
何の干渉もしなかったの??事故死とかしたらどうすんのさ。
そして宣伝でも印象的だった館長のあの死に様が自分でやったことだとすると
素っ裸であんなポーズ取って死を迎えるなんて…ちょっと信じられんわ;

 キリストに妻がいて子孫が息づいてるって知っても、教徒以外はフーンでしょ。
しかし教えを守る為に魔女狩りとか子孫を潰しまくっていたとか
2千年も経てば、子孫がめちゃんこ居てもいいはずだけどねぇ。
日本の天皇家の血筋が元辿れば大勢の日本人に混じっちゃってるのと一緒でさ。
終盤に行くまでにソフィーが末裔だろ、って誰でも気づくよね。

原作読んでからだと映画に不満を抱く人がほとんど。これは仕方ない。
映画観てから原作読むとはしょった部分も読めて楽しいらしい。読もうかな。
キリスト教徒ではないがキリスト教にそこそこ興味持ってる私としては
面白い解釈のひとつだと思うし、なかなか考えさせられるテーマもあった。
ラングドンのラスト近くの神の存在意義みたいなものも素直に飲み込めるし。
この映画を観て何よりも真っ先に主張したかったことといえば、コレ
ダヴィンチのモナリザあんま関係ないじゃん!!あんなに宣伝に使っておいて…
とりあえず私は『ナショナル・トレジャー』よりも好きですね。


テイキング・ライブス (2004/米) 103分





 殺した相手の人生を乗っ取り、別人になりすます連続殺人鬼を追う
女性プロファイラーを主人公にした犯罪サスペンス。
主演にアンジェリーナ・ジョリーを向かえ、その他キャストも豪華な面々。
イーサン・ホーク、キーファー・サザーランド、ジーナ・ローランズ、
オリヴィエ・マルティネス、チェッキー・カリョ、ジャン・ユーグ=アングラード。

 ある日、工事現場で白骨化の進んだ両手の切断された死体が発見される。
モントリオール警察にFBI女性特別捜査官イリアナ・スコットがやって来る。
プロファイルの天才。今回も彼女の分析で捜査は進展を見せ始めた。
そんな矢先、新たな殺人事件が発生する。しかし今回は目撃者がいた。
その男の情報から犯人がマーティン・アッシャーであると判明するのだが、
彼は随分前に死亡したことになっていたのだが、
最近になってマーティンの母親が旅先で彼を目撃したという…

 題材からして、面白そうだな〜と思ったけど予想と違う映画でした。
冒頭が何か青春ものロードムービーみたいな始まりで、
あれ?と戸惑っていると衝撃シーン。始まり方は凝ってると思う。
アンジーは綺麗だな…変なアクションものよりも、こういう魅せる演技がいい。
特に目のアップとか。女の私でも普通に見とれてしまった。
殺した相手になりすます…この設定があまり活かされてない気がする。
演じる役者も変える位、整形で完璧に成りすまして、
何回か警察を煙に巻くような展開があったら面白かったのに。
どんでんがえしが用意されてて犯人を捜す映画だけど、
犯人丸判り前提で観てももう少し楽しめる内容にした方がよかったかも?

 
最初から怪しかった彼とほのかな恋心を抱いて、
キーファーを噛ませ犬にして事件が解決したと思わせて
女捜査官と殺人犯がベッドイン。ある意味、一番の見せ場。
なるほど、これが見せたかったわけか〜アンジー脱いでるし。
イーサン・ホークは今までの役柄から一変してて面白かった。
判っていつつも、彼が変貌したくだりやエレベーターのシーンは印象強い。
キャリアウーマンだった女捜査官が骨抜きにされ、失態を犯して解雇され、
淋しい家に住んで…7ヵ月後に彼が再びやって来る。
このシーンはBGMなしで結構ハラハラした。
完全にか弱い女性になってしまったと思ったイリアナが…。
一瞬「何じゃこりゃあ」と思ったけど、まぁ笑えたしいっか。
キーファーの出番があまりに少なかったし、正体も冴えなかったな。


 中盤少し退屈するし、前半の新鮮さに比べて
後半はありきたりなサスペンスになってしまっているのが惜しいけど、
アンジーやイーサン、好きな俳優目当てで見る分には楽しめるかな。
劇場公開バージョンに衝撃の追加映像が加わっているらしいが
劇場で観てない人には何処が追加シーンなのかは判らない。
どうやらエロ系とグロ系のシーンらしいんだけど…何処なの??
真面目なサスペンスなのにNG集が付いてるのにビックリ。


DEATH NOTE デスノート 前編 (2006/日) 126分






 「週刊少年ジャンプ」での連載スタートと同時に、
その衝撃的な内容と独自の世界観が話題を呼び、
圧倒的な人気を巻き起こした大ベストセラー・コミックスの実写映画化。
予算20億円を費やし、前編・後編連続公開という日テレの大プロジェクト。
そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ。
死神のノートを拾った一人の天才が実行した、生殺与奪の犯罪者裁き。
ノートを巡り、繰り広げられる、闇の救世主キラvs世界の名探偵Lとの心理戦。
主役の月役に藤原竜也、探偵L役に松山ケンイチ(『NANA』のシン役)
夜神総一郎役に鹿賀丈史、弥海砂役に戸田恵梨香、
FBI捜査官レイ役に細川茂樹、南空ナオミ役に瀬戸朝香、
更に実写版オリジナルキャラ秋野詩織役に香椎由宇、ワタリ役に藤村俊二。

 まず、原作漫画に思い入れのある人は100%は楽しめないのは確実。
ただでさえ長く、そしてセリフ量も半端でない漫画をまとめきれるわけないし、
忠実に全てを違和感なく再現など出来ないし、どうしても時間が足りない。
それを大前提に劇場公開当日に友達と映画館に足を運びました。
とりあえず、始まりあたりはよくやっていたと思う。
中盤ダレる。ホントに、「実写やってみたけど、どうですか?」って感じで
実写映画『NANA』と似たような感覚でしたね。
藤原竜也の舞台演技が故にか、喋り方が甘くて臭くて笑えた。
ある意味、月っぽいのかもしれないが、それでも若干キャラに変化あったね。
L役の松山ケンイチはキャストが決まった段階から批難轟々だったこと思うと
まぁまぁ健闘していたように思える。座り方、手、しぐさはよく似てた。
ビジュアル面はメイクの勝利だが、想像以上に若すぎる気がしないでもない。
一番、役者的にダメ出ししたいのが瀬戸朝香。彼女は下手です。
そして哀しいかな、レザージャケットが物凄く似合っていない。
ミサミサ役はあまり登場シーンなかったけど、結構雰囲気は出てたかも。

 まずレイ・ペンバーがレイ・イワマツになってたのにがびーん!
月が法律の限界に絶望してノートを拾うという設定は良かったとは思う。
デスノートが結構大きかったのが意外。街頭で堂々と出すんじゃありません!
グッズに絶対デスノートあるって信じてたのに…ないじゃんか。
死神リュークのCGも、PS2ゲームのCGレベルだったけど、段々慣れた。
声優の中村獅童も悪くはなかった。リンゴねだるとこ良かったよ。
オリジナルキャラって必要か?って思ったけど、ラストああなるわけね。
彼女もあまり演技上手くなかったなぁ…全然可哀想に思えなかった。
バス運転手に田中要二さんがいましたなぁ(笑)
ナオミがLに電話した段階で、何じゃこの展開はぁ〜ってワクドキしたけど
どうも映画全体、映像の質がチープでテレビのSPドラマ並なのが痛い。
月には落ち込んだように見せた次の瞬間、ニヤリと笑って欲しかった。
Lの甘党ぶり、お菓子おでんや毛布シーンなど、サービス映像だね。


 原作ファンには消化不良や不満タラタラは仕方なしにしても、
漫画を未読の人が映画だけ初見したとして、吸収できる内容説明に至ったのか?
そこら辺がちょっと疑問だね。ホント、前後関係や設定とか細かいから。
映画が気に入った人が漫画を読んだとしたら、やっぱり漫画の方が
もっと面白いと思うことは間違いない。それだけ、漫画が完璧過ぎるのだ。
映画としては一本調子な気がして、雰囲気でもっとメリハリ付ける必要ある。
「バトルロワイヤル」もリメイクされることだし、これもなりそう。
そうなった時、設定をもっと大まかに改変して大胆にリメイクした方がイイね。
とりあえず後編も見るけど、どういう結末でもやはり叩かれちゃいそう。


DEATH NOTE デスノート the Last name (2006/日) 140分




 人気漫画デスノート映画化、その後編。
恋人を無残な形で亡くした夜神月は父も所属するキラ捜査本部に入る。
Lと腹の内を探り合いながらも、キラ捜査を進めていた矢先、
さくらTVに“第二のキラ”と名乗る人物からのメッセージテープが送られてきた。
キラの意志に賛同し、キラに協力すると発言し、過激な方法でアピールを開始。
月が持っていない、相手の名前と寿命が見える“死神の目”を持つ第二のキラ。
二人のキラが手を組む前に捕まえたいL(捜査本部)と、
L側に見つかる前に第二のキラと接触する必要が出来た月。
原作とは異なるラストを用意し、映画オリジナルのストーリーを展開する。
前作のキャストの他に、高田清美役に片瀬那奈、上原さくら、
もう一人の死神レムの声優は池畑慎之介が担当。

 原作と異なるオチとは?早く見たくて劇場に足を運んだ。
前半は何ちゃってFBIや地下鉄のシーン、詩織イマイチ、と不満が多かったけど
後半は思ってたよりずっと全体的に出来が良かったように感じる。
下手にチープなBGMを入れなかったせいかな?(スガシカオとか不要)
極端に大根な瀬戸朝香も居ない!ミサ役は別に下手じゃなかったと思う。
やはり漫画とは違う展開が新鮮な分、楽しくなったと思う。
映画自体のクオリティは高くないし、エキストラの演技は相変わらず酷いけど、
犯罪者が裁かれていくシーンも前半より見せ方上手くなってるような気するし。
ミサは確かに漫画とはキャラ若干違うけど、アリ。結構はまってた。

 
高田清美が原作の火口と役割を被せて、色気も見せて好演してたな。
堂々と裁き過ぎ!とかなんでそんな変なお面飾ってるの?とか思ったけど。
前半の詩織の葬式写真でかすぎ。そんな偉人でもなかろうに…
月役の藤原はどうしてもちょっと演技臭めに見えるけど、それが受けてるのかな。
総一郎役も芝居がかり過ぎた喋りで、いい意味似た者親子だな。
漫画の総一郎ともちょっとキャラ違うと思う。息子がキラだって知ったら
漫画の親父だったら逆上してもっと感情的になりそう。
ラスト近くの人間の作った法律のくだりは、いい演説でした。
月の「名前くらい知りたかったよ…バカ」のシーンが最高だったね!
Lもまさか先に自分で書いちゃうとは、正直ビックリした。
末期ガンで死亡にすればもっと生きられたかもだけど、美しい去り際ですね。
総一郎と会話してる所で前半の監視中寝てるLに毛布かけるシーン思い出した。
ワタリの写真が置いてあるの見て、これも漫画Lとは違うなと思った。
ミサも自殺しませんでしたねぇ。哀愁漂うラスト素敵ですが。
東京タワー飛んで笑ってるリュークはいなくても良かったと思うけど。

レッチリの曲もだんだん好きになってきた。前半・後半のシングル曲欲しいな。
原作での終わり方に納得しなかった人はむしろ映画版の終わりが好きかも。
私も正直、ちょっとこっちの終わりの方がいいかも、なんて。
とりあえずどういう終わりか見ておこうと軽い気持ちで観に行ったんですが、
前半よりも満足度高かったですね。うん、面白かった!
ニアとメロには悪いけど、二部は蛇足だったのかもな…


デビル (1997/米) 111分


 ブラッド・ピット、ハリソン・フォード共演のサスペンス。
アメリカN.Yに住む警察官のトム(ハリソン)の家に上司の紹介で
アイルランド人の青年がホームステイすることになった。
ローリー(ブラピ)は好青年で家族ともすぐ打ち解けるが、彼の正体は
アイルランドIRAの国際テロリストだった…

 あまり評価は高くないけれど、私は好きでした。
冒頭からアイルランドの悲しい歴史と、戦い続けるIRA組織を見せる。
悲しげな音楽と憂いを含んだブラピの瞳が印象的だった。
アメリカが舞台になってから、安直な流れになったとは思うけど…
ハリソンがもう、かなり老けてて刑事役で走ってるの見るのが辛いわ。

 ローリーは故郷に武器を持ち帰るつもりで武器商人に交渉するんだけど
そのギャングが出てきたりする過程がおかしかった。
ブラピを単に格好よく見せたかっただけの引き立て役っぽい。
同郷の女の人と故郷の話をするシーンが印象に残ってる。

 なぜ「デビル」という題名なのかよく判らない。
アイルランドのテーマをもう少し取り入れて欲しかった。
単純だけど、トムの説得はもっとも。
しかしアメリカという国自体、そういうことを何倍にして返してきた国だしな…
ラストの悲しい余韻で胸がいっぱいになった。

 ハリソン・フォードがこの映画に出たい、とか刑事役がいい、とか
しゃしゃり出たせいで大分映画制作が破綻したらしい。
ハリソン・フォードって結構我侭なんだね。ちょっと幻滅
そのせいもあってか、二人の仲は険悪ムードだったとか。
そんなエピソード知ってしまってはこの映画の良さが消えてしまう…
でも彼がしゃしゃらなかったらどんな出来になっていたのかと思うと惜しい。


トウキョウ アンダーグラウンド (2004/独) 85分


 外国人が日本の東京を訪れるドイツ製作の劇場未公開作品。
主演の少女アンジェラを演じるはクロエ・ウィンケル。
日本人DJヤマモトを演じるのはヨン・ヤン(日本人じゃないじゃん)

 幼い頃に父を亡くし、片親で育てられたアンジェラは
中学の卒業パーティーで知り合ったDJヤマモトの紹介で、東京へ。
小さなマンションの一室で数人の外国人女性が共同生活を送り、
夜は水商売へと繰り出す。アンジェラは戸惑いながらも接客を続け、
若くて綺麗だと客の評判になる。勿論、新人イジメにも遭う。
DJヤマモトとは連絡が付かないまま、ひたすら趣味のデッサンを続け、
ある時、警察署で行方不明の外国人女性の写真に強く興味を抱いた彼女は
その行方不明の女性がかつて同じマンションで暮らしていたことを知る。
その女性の痕跡を探るうちに、危ない所に足を踏み入れていくのだった…

 「ロスト・イン・トランスレーション」と何となく似てるかも。
こっちはロマンスじゃなくて、サスペンスミステリーだけど…
共通するのは、電車の中でエロ漫画読むサラリーマンの描写。
他の国の人にとっては、それが日本のイメージのひとつなのかな(恥かしい)
でもでも、漫画のタッチが明らかに日本の漫画じゃなかったぞ;
主演の女の子は一見地味だけど、確かに可愛い。少しエロあり。
日本のアパートで、あれくらいで壁がぶっこわれるなんて(笑)
要は、日本で働く外国人で、正式な滞在許可を持たない人たちは
危ない事件に巻き込まれても簡単に警察には駆け込めなくて
同僚が消えても自分が強制送還されるのを恐れて届けも出さない。
…なので、不正滞在してる外国人は食い物にされちゃうぞ、って話を
ラストはやわらかくオチつけて、主人公の妄想オチにしたわけ??

日本人から見ても、東京はやっぱり汚いし、見所は夜中のネオンと道路くらい。
そろそろ、東京ばかりじゃなく、沖縄や田舎でも舞台に撮ってくれないか。
良くも悪くもC級臭がしますね。アンジェラ、何がしたかったのよ。


8mm (1999/米) 123分




 監督は『セント・エルモス・ファイアー』『評決のとき』のジョエル・シューマカー、
脚本は『セブン』『スリーピー・ホロウ』のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー。
主演にニコラス・ケイジ、共演にホアキン・フェニックス、ピーター・ストーメア等。
『処刑人』のノーマン・リーダスがちょい役で出演。(刑務所の彼)
PG-12指定。05年に『8mm2』なる作品が製作されたが本作と関連はない。

 細々と探偵業を営むトムに舞い込んできた依頼。
ある大富豪が亡くなり、金庫から出てきた謎の8mmフィルム。
その中には若い女性が無残に殺されるショッキングな映像があった。
この映像は本物か?偽物か?女性の安否を知りたいと、
年老いた未亡人からの依頼を引き受けたトムは、
少女の身元を割り出し、その足取りを追ってハリウッドへ飛び
過激なAV専門店の店員と協力し、本物のスナッフビデオを求め、
その危険な闇商売の世界へと足を踏み入れる…。

 普通の社会で暮らしている人には理解出来ない世界。
何処からか騙して連れて来たか、借金の清算の為か、
人間を本当に殺して、それを金持ち連中、特異な嗜好の人間が楽しむ。
信じたくはないけど、実在するアンダーグラウンド。
ホアキン演じるデビル頭の店員は、最初組織と繋がってるかと思ってドキドキ。
ただのいい兄ちゃんだっただけに、あのアッサリ感は悲しい。
折角、これ以上は危険だから帰れって言ったのに…
女優を目指して駆け落ちし、男に捨てられ堕ちて行った少女。
知られてないだけで、こんな末路は山ほどあるだろうと思うとゾッとする。
失踪した娘を何年も待ち続ける母親の寂しさと後悔も痛いほど伝わったし、
伝わったからこそ、トムの処刑人行為も映画ならではだが、熱くなる。
長年連れ添い、良き夫と思っていた人がそんな酷いことを…と
罪の意識に耐えられなくなった未亡人は命を絶ってしまう。
マシーンの正体が思わせぶりだが、要はそこら辺にいる普通のおっさん。
外見普通のおっさんだけど、裏では何やってるのか判らん恐怖。
あんな荒っぽい方法で殺しておいて、よくトムは逮捕されなかったな。

そこらへんはやはり「映画だから」なんだろうけど。
ニコラス・ケイジにこういう役は合うのか?と思ったけど、結構ハマっていた。
主人公の強い正義感と思い切った行動にハラハラしました。
夜中に1人で見るのに適した映画かと。
評判に違わず、なかなかスリルがあるよく出来た作品でした。



ニューオーリンズ・トライアル (2003/米) 128分




 「ザ・ファーム/法律事務所」「ペリカン文書」など多くの
ヒット映画の原作者としても知られるベストセラー作家ジョン・グリシャムの
『陪審評決』を基に、訴訟内容をタバコ訴訟から銃訴訟に置き換え映画化。
監督は「コレクター」「サウンド・オブ・サイレンス」のゲイリー・フレダー。
主演はジョン・キューザック。共演にレイチェル・ワイズ。
なお、下積み時代からの親友というジーン・ハックマンと
ダスティン・ホフマンの記念すべき初共演が実現したことも話題。

 ある朝、ニューオーリンズの証券会社で銃乱射事件が発生。
犯人は16人を死傷させ、自殺。この事件で夫を失った女性セレステが
地元のベテラン弁護士ローア(D・ホフマン)を雇って、
犯人の使用した銃の製造メーカーを相手に民事訴訟を起こす。
被告側は、会社の存亡に関わるこの裁判に伝説の陪審コンサルタント、
フィッチ(G・ハックマン)を雇い入れ、彼はあらゆる手段を駆使し
陪審員候補者の選別に取り掛かり、やがて陪審員団が決定するが、
その中には謎に包まれた男ニック(J・キューザック)も含まれていた。
ひとつの銃訴訟を巡って三すくみの法廷外バトルがはじまる!

 かなりの豪華キャストだけど、日本では話題はあまり上がらなかった。
裁判に勝訴したいローア、会社側に有利な陪審を得たいフィッチと、
二人の間で『陪審員全員の票を売る』と駆け引きを迫る謎の美女。
実際は銃の製造メーカーを訴えるなんてこと不可能らしいですね。
アメリカは法律も認めている銃社会ですから。
銃の売り上げで政府も大いに儲かってる。戦争すらもビジネスだもの。
自衛や狩猟の為に銃が一般で売られているのは判るんだけど、
連弾式の銃は明らかに虐殺用な気がする。
陪審員を全員買収、なかなか興味深い設定で、
暗躍するフィッチの組織とニック&美女のグループの動向も気になる。
最終的に
はかなり気長に計画された復讐だったとはね〜
この展開が気に喰わない人も多いみたい。

もっと突飛な目的で盛り上がったら傑作になったかもしれない。
でも私は、この映画普通に面白いと思うし、充分合格点ですよ。
ホフマンとハックマンの初共演もファンにはたまらない。
法廷ドラマものの中でも上位に食い込む面白い出来だと思います。


ノー・グッド・シングス (2002/米・独) 97分


 原作はダシール・ハメットの短編小説『ターク通りの家』。
サミュエル・L・ジャクソン、ミラ・ジョヴォヴィッチ共演映画。
共演者は他、ステラン・スカルスガルド、ダグ・ハッチソン。
監督は「ファイブ・イージー・ピーセス」のボブ・ラフェルソン。

 チェロと孤独を愛する刑事ジャックは、糖尿病を患っている。
インシュリンを打ち、数日後開かれる音楽会の為に練習をしていると、
隣人の女性が来て、娘が男と家出したと泣きつかれ、渋々捜索することに。
そして、ターク通りへとやって来たジャックは偶然車を止めた先の家の玄関で、
転んで荷物を落としてしまった老女を助け家に荷を運んでやることに。
そのまま老女の家に招かれたジャックは、突然何者かに殴られ意識を失う…

 ミラ・ジョヴォヴィッチ棚にあったので、借りてみる。
「バイオハザード」と「バイオハザードU」の合間に撮った作品。
ミラの役柄は犯罪者一味のボスの傍らに付き従う美女エリンなのだが、
このエリンというのが、ちょっとお間抜けで子供じみた感性を持っている。
主人公であるジャックが偶然が重なり不幸にも犯罪に巻き込まれるのだが、
ドキドキさせておいて、そのドキドキがそのうち嫌な形で冷めてくる。
この犯罪集団、見ているこっちがイライラする程、計画が適当で、手口が荒くて、
トラブル続きで、ボスもボスで移り気過ぎて、ダメダメ集団なのである。
エリンもエリンで、狙いがあって男たちを上手く操るつもりが、捌ききれない。
それが天然キャラっぽくてまたアレなんだけどね。
小さい頃からボスに引き取られ、色んな仕事をやらされてきたんだろうけど。

フープ役のダグ・ハッチソンはどっかで観た顔だなと思ったら、
「グリーン・マイル」のこれでもかと言う程憎たらしい看守役の人ね。
誘惑するエリンがフープと並ぶと背があり過ぎて笑える。
ミラとサミュエルの絡みが思った以上に違和感あり観てて恥ずかしくなってきた。
エレンが来ないとパスワードを教えないとゴネる銀行員だったが、
あんなバレバレのパスワードを設定するなんて、お間抜け過ぎる。
ボスもボスで、失敗続きで命令無視するし、自分に銃を向けるフープを
それでも使い続けてる神経が理解できん。余程他に信用出来る奴がいないのか。
クオレル夫婦は、妻が撃たれた時に何故ボスを撃たないで勝手に死ぬのだ。
すべての人物が根性なしで情けなくて参ったね。このグズグズ感は苦手だ。
ショットガンの弾って車のナンバープレート2,3枚で防げるのかしらね。
最後、去っていくエレンを見つめながら、ジャックが思い直したのか、
彼女を逮捕するように言う。う〜ん何だこの妙な残尿感。
最初、ジャックはエレンを本当に解放するつもりだったのかな。
それとも自分に付いてこないなら別なのか。
それとも署での彼女の話ぶりから、エレンは微塵も悪気を感じておらず、
野放しにすれば出逢う男性を不幸にし、混乱を招くだけだと思ったのか。

微妙な出来の映画でした。ミラのセクシー衣装を堪能する位の価値しかない。
そのミラも、やっぱり胸の小ささが気になるなぁ。20点。


バッド・エデュケーション (2004/スペイン) 105分




 「アタメ!」「死ぬまでにしたい10のこと」のペドロ・アルモドバル監督作品。
主演は「モーターサイクル・ダイアリーズ」のガエル・ガルシア・ベルナルと
「アナとオットー」のフェレ・マルティネス。自伝的な同性愛を背景に描く。

 1980年、スペインのマドリード。新進映画監督のエンリケのもとに、
少年時代の親友イグナシオが脚本を手に突然訪ねてくる。
神学校寄宿舎では強い愛で結ばれていた2人で、その頃の話を題材にした
脚本を読んでいたく感動したエンリケは彼の本を映画にしようと約束する。
劇団出の俳優志望だったイグナシオは主人公の役をやりたいと頼み込むが、
一緒に過ごすうちに彼の変貌ぶりに戸惑い、疑念を感じてしまうエンリケ。
その後、エンリケはイグナシオの大いなる秘密を知ることになるのだった…。

 「欲望の法則」のエンドクレジットで監督が、これに似た映画をまた作ると
宣言していて、それがこの『バッド・エデュケーション』になったわけです。
外国映画賞を受賞し、なかなか好評で衝撃的な内容が気になっていました。
もうね、まず最初に思うことは、役者さんたち、頑張って撮ってるんだな…って。
きわどいシーンが出てくるたんびに息を呑み、股間にカメラが寄ってくシーンに
何か恥ずかしさのあまり、笑いがこみ上げてきてしまった。
そういうとこメインで見るなよ!って思うけど、どうしても見てしまう想像してしまう。
私はガエル君よりもフェレ・マルティネスの色っぽい視線が魅力的に見えた。

 スペイン映画って見る前に抵抗あるんだけど、この映画は
少しもダレることなく展開していって、あっという間の105分でした。
流れる音楽も歌声も良かった。ドロドロ感が独特なんだよね。汗の匂いがする…
寄宿学校時代の話もハラハラし、歌声の美しさに感動し、神父に苛立ち、
気づけば立派なエロティック・サスペンス?謎が解けてハッとした。
ああいうダメ人間になってしまってもエンリケと出会っていたら…なんて
思うし、真実を知ったからにはフアンを許さないエンリケは当然のことながら、
罪を感じないフアンも、それはそれで後々、栄光に影が差す。
金をせびられる神父も哀れだけど、最初から最後までどうしょうもない人だな。
フアンを女に置き換えてしまえば、正に“悪女”と言えるんでしょうな。

サハラが登場してきた時、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』思い出した。
一緒にいたおバカなオカマ友達が笑えたなぁ〜楽しそうでいいなオイ。


ハンニバル (2001/米) 131分


 「羊たちの沈黙」から10年…レクター博士とクラリスのその後。
「グラディエーター」のリドリー・スコット監督、アンソニー・ホプキンス主演。
残念ながらジョディー・フォスターは脚本を読んだ段階でクラリス役を断り、
代わりにジュリアン・ムーアが演じる。

 レクター博士が逃亡し、月日が流れた頃クラリスに彼から手紙が届く…
「羊たちの悲鳴はまだ聞こえるか?」
レクター博士は重大犯罪人として情報提供者に多額の報酬が用意され
彼に恨みを持つ富豪、メイスンが彼を執拗に捜すなか、
イタリアで彼に気づき、金目当てでタレこもうとするパッツィ刑事…

 冒頭の鳩のシーンが綺麗。ヨーロッパ舞台だといい画が多いね。
全体的にどよ〜んとした空気が漂う映画だけど
富豪メイスン演じるゲイリー・オールドマンは誰だか判らなかったが
「レクター博士、どうするんだ?」って思ってちょっとワクワクした。
パッツィが彼を尾行したりする所では街の美しさも楽しめたし
レクターが主人公だし、彼の手腕が見事に格好良いと思えてしまった。
教会でメイスンの部下に後ろから話しかけて鋭利な刃物でズバッ!
顔についた血をスルッと手で拭くシーン。カッコいい!
あと、「私のせいにしろ」のシーンが最高に好きだ。
正直、クラリスとレクターがそういう関係を匂わせるのはおかしかった。
ジョディもそういう所が納得いかなくて降板したらしいし。
結局、レクター博士はクラリスをそういう目で見てたのかな?何か変。
でも何だかんだいってもクラリスには優しいレクター博士。
尾行させながらも靴プレゼントしたり、何気にデレデレだ。
正直、イタリア去った後はレクターがストーカーになっちゃって、
もうちょっと底知れない不気味さを演出できなかったんだろうか。
ホプキンスも結構年をとってきて、電気ショックのシーンは心配しちゃった。

グロさを出し過ぎて引くのもあるけどレクター万歳精神なら許容範囲。
テレビ放送では問題シーンがカットされるので、あの刑事のことが繋がらない。
前作ほどのインパクトや斬新さはないけど続編としてはまぁ面白いと思う。
レクター博士ファンの為に作られた、ある種ファンタジーだそうですから。


ハンニバル・ライジング (2007/米・英・仏) 121分






 あのハンニバル・レクターの誕生秘話が明らかに!
「羊たちの沈黙」「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」に続く
(本当は86年製作「刑事グラハム/凍りついた欲望」もあるが)
シリーズ最新作にしてエピソード1。
原作者のトマス・ハリスが初めて脚本として参加。
監督は「真珠の耳飾りの少女」のピーター・ウェーバー。
青年期のハンニバルを演じるのはフランス若手俳優ギャスパー・ウリエル。
ハンニバルに深く関わることになる日本人女性役にコン・リー。
他、共演にリス・エヴァンス、ドミニク・ウェストなど。

 1944年リトアニア。貴族の家に生まれたハンニバル少年は、
戦争の混乱の中、両親を亡くし幼い妹ミーシャと2人山小屋に隠れ住んでいた。
ある日、残忍なドイツ逃亡兵グループが山小屋を乗っ取り、
か弱いミーシャは“ある事情”の為、彼らに殺されてしまう。
その後、心を閉ざしたまま孤児院で成長したハンニバルは脱走し、
唯一の親類を求めてパリの叔父のもとへ行くが、叔父は亡くなっており、
未亡人の日本人女性レディ・ムラサキが、ハンニバルを迎え入れる。
ハンニバルは彼女のもとで教育を受けながら、妹の復讐を思案する。

 映画は過去3作品見てきましたが原作小説は未読。
ウリエル君のお陰もあって映像はなかなか綺麗で、
前半の戦争シーンの力のいれように「おっ」と期待大。
ムラサキさん登場して剣道シーンになってからは「ヤバイこの流れ」
多くの映画批評でも語りつくされてますが、シリーズものとしては
繋がりが若干おかしくてレクター博士の過去としては受け入れ難いが
復讐劇としての単品作品なら、充分楽しいかも。
…いや楽しいって表現はおかしいんだが、サクサク見れるのさ。

 
肉屋を切刻むシーンは華麗で何か妙に格好よかった。
でも妹があんな殺され方したら普通はベジタリアンになって、
で、復讐最終段階で自分もミーシャ食べてたことを自覚し、
憤怒で相手を食べちゃう…って流れにした方がよかったのでは?
ハンニバルが最初から異質な方が良かったとか、
最初は普通の少年だったことを強調する為に
初めての殺人には多少なりとも躊躇したり葛藤あった方が良かったか…
ま、ハンニバル・レクターをどう分析してるかで意見分かれますね。
裏がありそうな刑事が登場したけど事件とはほとんど関わらない(汗)
復讐相手に妹と同じくらいの娘が生まれてて溺愛されてる様は
酷く残酷に映ったなぁ…娘をチェリーで誘うハンニバルも怖い。

今までサスペンスだったけど、これは…なんかジャンル変わったな。
ウリエル君の物腰や歩き方、ホプキンスの演技を意識したせいか、
私はたまーにあのレクター博士を重ねました。
日本人女性は欲を言えば日本女優に演じて欲しかった。
小雪じゃダメだったかな…英語が堪能で色気のある女優いませんか?
日本刀は
弾も防げて、脇差は携帯できてとっても便利
ウケたら日本舞台の続編登場の噂もありますが、
もっと日本のことを調べて描写してほしいもんですな。
何だかんだ言ってもこういう系統の映画好きなんだよなぁ。65点。


羊たちの沈黙 (1990/米) 118分


 一大サスペンス・ブームを巻き起こしたサイコ・サスペンス。
アンソニー・ホプキンス、ジョディー・フォスター共演。
トマス・ハリスのベストセラー同名小説の映画化。
1991年アカデミーの作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞受賞。

 女性を誘拐し、皮を剥いで殺すという猟奇殺人が多発。
捜査に行き詰ったFBIは新米捜査官クラリスに
元精神科医で殺人鬼のハンニバル・レクター博士に接触するよう指示。

 二人が牢獄で会話するシーンは凄みを感じずにはいられない。
レクター博士の静かで理性と狂気が混じるような存在感。
あまりに彼のキャラが強いのでホプキンスを
「レクター博士の人」と云えば人名知らない人でも判ったりする。
彼にすべてを見透かされながらも犯人逮捕とレクター博士への関心からか
刑務所に通い、独自の捜査もし事件の解明に賢明に取り組もうとするクラリス。

 被害者が誘拐され親族がテレビで犯人に訴えてている場面は
現実の悲惨な事件ともリンクされて悲しい。
レクターが脱獄するシーンも見物。
最早、本筋の皮剥ぎ事件の犯人は印象薄い。
レクター博士が言う程、賢そうには見えないし狂った馬鹿に見えてしまう。
映画だからだけど、相変わらず刑事は一人で無茶をする。

 死体を拝見するシーンや倉庫に入るシーン…
所々、気持ち悪いものも多い。犯人の趣味も気持ち悪いが。
ラストの電話する場面が好きだ。
彼のこれからの自由な人生を思うと…どうなんだろう。
捕まるようなヘマはもうしまい、とは思ってるだろうけど
個人的な趣向もかねて人を殺すのはやめないとは思うし…



ファム・ファタール (2002/仏・米) 115分


 X-MENシリーズのミスティーク役で知られるレベッカ・ローミン=ステイモス
とアントニオ・バンデラス共演のサスペンス。
ファムファタール=運命の女 だそう。

 カンヌ映画祭会場、ゲストのヴェロニカの着ている1千万ドル相当の
ダイヤで散りばめられたビスチェを狙って計画された犯行最中、
一味の仲間であったロールは裏切り宝石と共に姿をくらました…
一味の報復を恐れ逃げていたロールは自分そっくりの他人と間違えられ
ひょんなことからパスポートと航空チケットを手に入れアメリカへ逃亡。
7年後に米大使の妻として再びフランスに舞い戻ることに。
 写真撮影を禁止し素性を隠そうと必死だったロールだったが、
とあるカメラマンに写真を撮られ…

 不思議な映画でした。あの蛇の絡みついたような
露出度激しいビスチェは結局どうでもよかったのね。
公開当時、あれが妙に印象に残っていたから、なにか発展あるかと勘違い。
 レベッカはプロポーションは文句なしに美しいですが、
エラ張ってますね…青木さやかに激似なような。
バンデラスは今回、銃を使うわけでもなく病的に情熱的でもなく、
とりわけ賢いわけでもなく普通の平凡な男。
そこが逆に新鮮でしたな。喋り方が変で…なんかキュートでした。

 物語の趣旨がよく掴めず、主人公の企みもよく分かりません。
せっかく捕まえた手がかりを簡単に殺そうとする辺り、金はどうでもいいのか?
写真をいっぱい貼り付け繋げたコラージュだけ素敵な映像だったかなぁ…
ふたつの人生…ということで色々思う所もありましたが。
あんな夢を見てみたくもあるけれど。
いまいちな印象。もっと破天荒な冒険も欲しかった。
魔性というけどもっと怪しい魅力が欲しかった。音楽は坂本龍一だったのね。


フォーン・ブース (2002/米) 81分


 全編ほぼ電話ボックスの中だけで展開する異色のサスペンス。
たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったことから
何者かに命を狙われるハメになってしまった男の悲惨な運命を、
緊迫感溢れるタッチでスリリングに描く。
主演は「デアデビル」のコリン・ファレル。
監督は「評決のとき」「9デイズ」のジョエル・シューマカー。

 マンハッタン、タイムズスクエア。自称一流のパブリシスト、スチュは、
今日もアシスタントを従え、携帯電話からクライアントや業界に
口八丁で得意げにビジネスをまとめ上げている。
そんな彼はアシスタントと別れた後、1台の電話ボックスに立ち寄り、
結婚指輪を外してクライアントの新進女優パメラに電話を掛けた。
スチュは彼女をモノにしようとしていたが、上手くいかずに受話器を置く。
その時、今使っていた公衆電話のベルが鳴り出し、
彼女からかもしれないと思わず受話器を取ってしまうスチュ。
すると電話の主は、“電話を切ったら殺す”と脅迫してきたのだった…。

 こんなに短い時間と場所でも映画は作れるんだってことですね。
低予算で良質?サスペンスを楽しめるとは視聴者にとってもお得な1本。
コリンは濃ゆい顔であんまり好きじゃないんですが…
(アントニオ・バンデラスの濃さとは異なる濃さだから、ね)
理不尽さにイライラするんですが、そのうち主人公も悪いしなぁと
「さぁどうなる?」感覚で見はじめてしまいました。「そうきたかっ!」
謎を残す部分もあるけど、あの人がオイシイ役してたな、ってことで。
携帯電話がない時代でも良かったんじゃないかな。
むしろ、その時代の方がより恐怖があるかも。
とりあえず、
あの風俗女たちの嫌がらせは度を越してたような気がする。
そして、あのお人好しの警察官がちょっと可哀想だった

「SAW」のジグゾーよりは少し愛嬌も優しさもあるおせっかいな犯人ね。
81分だから終始のめり込んで楽しみましょう。映像はドラマっぽい。


フライトプラン (2005/米) 98分










 最新鋭のジャンボ旅客機内で娘を捜して暴れるジョディ・フォスター映画。
共演にショーン・ビーン、ピーター・サースガード、マーリーン・ローストン。
監督はドイツ人のロベルト・シュヴェンケ。
 最愛の夫が、ある日突然屋上から飛び降り自殺して亡くなった。
そのショックから立ち直れないカイルは一人娘のジュリアを連れ、
自分の設計した最新の航空機に乗って帰国の途に着いていた。
真夜中のフライト。つい転寝し、起きたカイルは隣の席に娘がいないと気付く。
急いで機内を探し回るが、見つからない。娘を誰も見ていない、
そもそも貴女の娘さんは亡くなっていると告げられる…

 テレビ放送にて鑑賞。さてこの映画。宣伝の段階からもう
ストーリーの1時間分くらいは説明されちゃっておりました。
いつも悪役、よく死ぬ役のショーン・ビーン様は今回は機長。
冒頭からちょっと主人公視点があやふやにされているのは
観客自身すらも娘の存在を疑うようにする伏線なんでしょう。
「で、で、結局何処に?何で誘拐された?」と謎が謎を呼び、
見る者をだいたいは釘付けにできるので決して面白くないわけじゃない。
でも脚本や設定に穴が開き過ぎてて凄い映画でしたコレ。

とりあえず観終わった後、誰しも思うこと。

・アラブ人の方にあやまれ!
 幼児愛好家だのストーカーだの凄い嫌疑をかけて
 機内で大騒ぎしちゃってさ…酷いぞアレは。
 機長にあやまらせておいて自分はあやまらないのか!

・孤独な戦いを強いられる立場なのは分かるけど、
 酸素マスクを出して電気ショートさせるなんて荒行、
 きっとあれで今後飛行機に乗れなくなる障害を持つ人が
 出ただろうことを考えると、身勝手過ぎる。
 貨物室で車をぶっ壊してるしね。
 娘がいたでしょ?!って完全に正当化させないで
 ラストに迷惑かけたアラブ人はじめ乗客全員に頭を下げるべきだ!
 だいたい一番の原因は彼女が娘から目を離したからなんだし。

・すっごい用意周到なフライトプランだったことは分かりました。
 でもさ、棺が必要だから旦那を殺して、
 その棺が運良くその便に乗せられることになって、
 娘を機内で誘拐して母親を変人扱いさせるなんてさ、
 神業にも近い偶然の連発がなければ決してここまでいかないっていう。

・娘を観た人がいたと発言した人がいた時点でアウト。
 実際に前の席に座ったうるさい子供たちは
 映画が終わる直前に「だから女の子見たって言ったのに」と
 親にこそっと言ってたりする(笑)なんちゅうこっちゃ。
 だいたい、フライトアテンダントは離陸後すぐに
 客席を回って全員に飲み物配って喋りかけるわけだから。
 お客様を見落とすなんて落度。本物の航空会社からも苦情来るわそりゃ。

・犯人は警官のふりして母親や機長と話してたわけだけど
 機内に他の警官が居合わせたりしたら?上手く立ち回れなくなってしまう。
 「ちょっと待って下さいよ〜」とコロンボが出てこないかと想像してみたり。

・娘が隠されていた場所は共犯の彼女が調べたと思うんだけど
 他の乗務員が再び観に来て見つける可能性もある。
 
・そして何よりも母親が眠らなかったら?
 娘だって知らない人に抱きかかえられてあんな場所まで連れてくのに
 起きないでいる保障はあるのかい?女の子抱えて歩いたら目に留まるだろ。
 
・そして更に母親が寝たとしてもアメリカ着くまで爆睡中だったら?
 こんなリスクの大きすぎる犯罪は出来ません!


 という、突っ込みまくって鑑賞するタイプの映画でしたね。
犯人と二人きりになったら突然消火器でぶん殴りにかかるところは
爽快でしたけど。あれで即再起不能にしてしまっていれば
簡単に娘を連れて飛行機も爆破させずに済んだね。

ジョディ、何か顔が怖くなってきたよね。不健康な白さだし。
原作本があるけど、欠陥はきちんとフォローされているのだろうか。

こうなって、こうなって、更にこういう展開になったら凄くない?
っていう組み立てを先にしておいてから、つじつまを合わせるよう
理由を後からもってくるから犯人側の所業がおかし過ぎるのだね。
本末転倒な悪い脚本の手本のような作品でした。
それが面白いっちゃ面白いかもしれませんが。ここまで真面目に
“上質な新感覚サスペンス”的に売り込まれたら、買わなきゃね。喧嘩。25点。


ペイチェック 消された記憶 (2003/米) 118分




 「マイノリティ・リポート」の原作者フィリップ・K・ディックの短編小説を
「M:I−2」「フェイス/オフ」のジョン・ウー監督が映画化。
出演は「デアデビル」のベン・アフレックと「キル・ビル」のユマ・サーマン。

 時は近未来。フリーのコンピュータ・エンジニア、マイケルは
ハイテク企業と短期契約を結び、極秘プロジェクトに参加し高い報酬を得ていた。
ただし、契約により参加期間の記憶を消されることが条件だった。
そんなある日、彼はビッグ・プロジェクトに携わった巨大企業のオールコム社から
9200万ドルの破格報酬を提示される。その代償は3年間の記憶。
しかし、契約終了後に多額の報酬の権利を自らが放棄したらしく、代わりに
ガラクタとしか思えない19個のばらばらなアイテムが入った封筒を手渡された。
警察に拘束され、オールコム社から命を狙われることになったマイケル。
何らかの陰謀に巻き込まれたと察した彼は、記憶を失う前の自分が
現在の自分の為に残した何かのメッセージと、そのガラクタのような私物が
危機を回避する重要なキーアイテムであることを悟っていくのだった…。

 評判がイマイチだったので、今まで観てなかったんだけど、凄く面白かった。
ジョン・ウーのアクションに面白いサスペンス要素が加わってて、
大根役者の代名詞となってるベン・アフレックは、それなりに許せるし
闘うヒロインとしてユマ・サーマンだもんね。この映画での彼女は美しくないけど。
何の役に立つのか判らないアイテムの使い道が判るたんびにワクワクした。
なるほどね〜伏線が張り巡らされていて、それが上手い具合に繋がっていく。
逃走劇のアクションと緊迫感、自分の消された過去の謎を追うサスペンス要素が
見事に映画を盛り立てていて、終わり方も凄く清々しかった。

 鳩が飛び出した時、あぁ、ジョン・ウーだった!って思い出した。
主役のオファーは最初、マッド・デイモンにあったそうな。
それで、マッドがベンを推薦。この二人はホントに仲良しなんだな。
近未来SFだけど、監督はSF嫌いらしく、世界観は現実に近い。
未来を知った結果、人類が滅びの道を辿る、とかさりげにテーマが深い。
未来を知ってしまったら、それはもう未来ではない。良いフレーズだ。
必ずといっていい程、ああいう誤解を受けて警察に追われる映画とかって
警察側にも一人は理解者というか、擁護派が出来るよね。
人類を救うだけのお人好しか?って思ったらやってくれちゃったよマイケル。
幸せいっぱいの2人+1人?が凄く微笑ましかった。
もうひとつのエンディングは全然良くない。質入れた指輪持ってこられてもねぇ。

インコが出てくるだけで、鳥好きな私は心が和んでしまった。
観終わった後、ニンマリできるアクション娯楽映画でした。


フォーガットン (2004/米) 92分


 最愛の息子を飛行機事故で亡くしたテリーは何ヶ月経っても
その悲しみから立ち直れず、カウンセラーの元へ通う日々…
ある日、息子の思い出の品やビデオに録画された映像まで全て無くなり、
夫も他の人々も口を揃えて言う。「息子なんて最初から存在しなかった」と。
妄想症だと周りから言われ、それでも真実を訴えるテリーは
同じ事故で子供を亡くしたアッシュに会いに行く…

 監督は「危険な遊び」「マネートレイン」のジョセフ・ルーベン。
主演は「ハンニバル」「エデンより彼方に」の演技派ジュリアン・ムーア。
共演にドミニク・ウェスト、ゲイリー・シニーズ(フォレスト・ガンプのダン中尉)

 宣伝の段階では滅茶苦茶興味を惹かれた。
真実を口にすると人間がズバコーンと吹っ飛んでいくではありませんか!
得体の知れない何者かに覗かれているような不気味さ、
周りの人間たちすべての記憶から息子の存在を抹消される恐怖。
サスペンス・ミステリーだと思ったら、SFの要素も絡んでくる。
彼女が狂っているだけなら何故FBIが動くのか?
物語が進むにつれ核心に迫っていき、ドキドキ。
この広大な謎をどうやって収拾させるのか?
…って思いっきり反則技じゃないですか。

 アッシュが思い出すとこが宣伝では印象に残ってたんだけど
あの後、ダレるのがちょっと嫌だった。葛藤なんだろうけど喧嘩しないでよ。
母親と息子、父親と娘、とくるんだから
親子愛をもっと深く描いてほしかった。それだけでも救われるのに。

 ジュリアン・ムーアはヒステリックな女が似合うけど
肌の荒れが気になってしょうがない。頬もこけてるし…大丈夫かよ。
ゲイリー・シニーズを見かけたのはちょっとした収穫。
彼は結局、あの後どうなったんだろう。夫も。
無理矢理ああして終わらせた感が強いんだけど、狙いなのかな?
DVDには別エンディングも収録されているらしい。
多くの人はこの映画を観て金返せ状態らしいけど…
このタイプの映画にはまる人はかなり好きなんじゃないかな。
『ドリーム・キャッチャー』とか好きなら良いかも。
テーマとしては中々興味深いので気になったら一見してみては?


フロム・ヘル (2001/米) 124 分


 1888年にロンドン中を震撼させた実在の“切り裂きジャック事件”
独自の真相を交えて映画化。主演にジョニー・デップ
売春婦たちが次々と犠牲になる中、妻子を亡くしドラッグ漬けになっていた
アバーライン刑事が売春婦たちのグループのメアリと事件解決に動き出す。
狂気に満ちた猟奇殺人の裏に隠された真実とは…

 …捕まらなかった連続猟奇殺人鬼一体誰だったのでしょう。
名前だけ知っていたけど手口があそこまでだとゾッとしたね。
サイコ・スリラーものだったんだけどラストは感動というか…ジンときた。

 あの時代のイギリスが凄い闇の時代な雰囲気出てて恐かったわ。
ぶどうも高くて買えない、あんな時代でもどんなに貧しくても
生きてた人達がいたんだよなとか、妙に感慨深くなってしまう。
 その時代を表す為か、エレファントマンことジョン・メリックが
学会で発表されているシーンもある。
あの脳治療法は、当時は良しとされ多用されていたんだろうけど
言うなれば心を殺すことだよね…恐い



ホステージ (2005/米) 113分






 交渉人として人質事件解決に当たった男が自分の家族も人質に取られてしまい、
同時にふたつの人質事件に立ち向かわなければならないという
極限状況に追い込まれるサスペンス・アクション。
ロバート・クレイスの全米ベストセラー小説を、
フレンチ・アクション「スズメバチ」で注目を集めたフローラン・シリ監督で映画化。
主演は「ダイ・ハード」「シックス・センス」のブルース・ウィリス。

 ロス警察の凄腕交渉人として活躍してきたジェフ・タリー。
しかし1年前の人質事件で失敗を犯した彼は心に大きな傷を負い、
その職を辞してロスを去り、いまは小さな町の警察署長として勤務し
凶悪犯罪とは無縁の平穏な日々を送っていた。
ところがそんなある日、豪邸に押し入った若者3人組による人質事件が発生する。
完璧な防犯設備を備えたその邸宅はいまや、難攻不落の要塞と化してしまう。
人質交渉を一度は他人に委ねた彼だったが、
その邸宅にはある秘密組織が狙う重要な資料が隠されていた。
そして、組織は彼の妻と娘を人質に取り、彼らが機密資料を回収するまで、
警察が踏み込まぬよう現場を指揮しろと、タリーに要求してきたのだった。

 ブルース・ウィリスは前からずっとハゲ頭(失礼;)だけど
結構、歳とっても老けて見えないのはお得だね。まだまだアクション可。
この映画の一番の見所は、ブルース・ウィリスの実の娘である
ルーマー・ウィリスが映画でもブルース演じるジェフの娘役として出演してるとこ。
何か、凄い可愛くなくてビックリ。あれが実の娘じゃなかったら
絶対にミスキャストだってば。ていうか、演技はうまかったんだろうか。
どうせなら妻役の人も実際母親のデミ・ムーアが演じれば最強だったのに。

 最初のCGで作られたキャスト紹介とかは格好よかったんだけど
急に、髭ぼうぼうのやる気なさげなジェフ登場。
交渉人は大変な仕事だ。うまくいけば無血で事件を解決できるが
失敗した時の反動も大きいような気がする。
結構ショッキングな映像も普通に映してて、凄かった。
映画が全体的に茶色っぽかったのも印象的。
謎が多いまま進んで終わったような気もするけど、脳内変換する範囲かな。

 主人公は豪邸立て篭もりと自分の家族を人質にとられた事件
両方を穏便に解決しなければならなくなった。
まるでふたつの映画をくっつけて観ているようでもあった。
ひとつの山場が終わりを向かえ、もうひとつの山場がやって来る。
とりあえずダレる場面は無いので退屈はしない。
ブルースも今作では並外れた強者ではなく、
頭をフル回転させ、命がけで危険に立ち向かうという普通の人間だ。
いかんせん、結構人が死んで、その死がどれも後味の悪いものなので
終わっても
ハッピーエンド、って感じがしなかった。
あの兄弟、可哀想だったな…
ジェフとウォルター・スミス、あんな事しちゃって後々大変なんじゃ…
終わりに、もう少し家族生還の喜びを表して欲しかったかも。

まぁまぁの良作って感じですかね。


マラソン マン (1976/米) 125分


 『真夜中のカウボーイ』のジョン・シュレシンジャー監督、
原作・脚本は『明日に向かって撃て!』で知られるウィリアム・ゴールドマン。
主演にダスティン・ホフマンを迎え、共演に名優ローレンス・オリビエ、
『ジョーズ』、『フレンチ・コネクション』などで知られるロイ・シャイダー、
他にウィリアム・ディヴェイン、マルト・ケラーなど、豪華俳優陣を揃えた。
ニューヨークでユダヤ人と元ナチの男二人が追突事故で死んだ。
これをきっかけに、裏社会に通じている兄ドクを持つ
大学院生でマラソンが趣味のベーブは事件に巻き込まれることになる…。

 ダスティン・ホフマンとローレンス・オリビエの拷問シーンが話題を呼び、
映画館では拷問シーンの時に席を立つ客が続出したという…
どんな拷問なのかと思ったら…なる程、歯医者ほど怖いものはない。
ホフマンはこの当時、なんと39歳。随分老けた大学生なんだけど、
不思議と年齢よりははるかに若く感じる。実際マラソンして鍛えたらしい。
しかしあの体格から、裸で奔走してる姿がジャッキーチェンみたいだった(笑)
のっぽで強面のあの人が兄さんって…めちゃんこ似てないー!!
話事態は把握するのには判りにくい。主人公にとってはハタ迷惑。
暗殺シーンと拷問シーンと不審者進入シーン、逃走シーンと
かなりドキドキする演出が効いてて凄いな〜と感心した。

 映像特典で当時の撮影の様子とかが語られてて、凄く面白かった。
ホフマンがオリビエに恐る恐るダメ出ししたり…でも仲良くなってたみたいだし。
ホフマンはこの頃もアドリブ盛んで演出脚本に積極的に口出すタイプだったのか。
ユダヤ人とドイツ人の確執が大きくこの映画に絡んでて、複雑な気持ち。
デーブがマラソンする場所って『ディアボロス悪魔の扉』で
エディがマラソンしてる場所と同じだよね?定番なマラソンコースなんかな?
何か色んな教訓を含んでる映画でした。体鍛えておくと色々助かる、ってことと
歯医者さん流の拷問はかなりエグイし効果覿面だろう、ってことと
金に目がくらまない人間は強い、ってこと…大逆転でスカッとしました。
でも、あのマラソンしてる人々を見てデーブは何を思うのか…。
ズボン一丁で夜の街を逃げ回るなんて…なんか凄い映像でしたわ

勝ったけど、更に孤独になったデーブ…そう思うと哀しげだ
ダスティン・ホフマンはかなり映画で女性とベッドシーン多い方な気する。
相手役の女優マルト・ケラーはスイス人で、英語まるっきり喋れなかったとか。
それでも映画に出演して喋ってるんだもんね。英語は覚え易いってのホント。
ホフマンは当時、結婚してなかったら彼女と一緒になってたかも〜と発言。
事件の真相とかは、ちょっと肩透かし食らったけど思わぬ拾いもの。
これはなかなか面白かったです!!ホフマン最高だな〜もう。


ミスティック・リバー (2003/米) 138分


 クリントン・イーストウッド監督作品。
アカデミー賞作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞などなど…
かなーり高評価だったんで気になってたんだよね。
 幼なじみの3人が大人になって再会する…
一人は娘を殺された男、一人はその事件を追う刑事、そしてもう一人は容疑者…
それぞれショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンスといった名優揃い。
ローレンス・フィッシュバーン(マトリックスのモーフィアス)や他にも目立つ顔が。

 一言で片付けてしまうなら、とても暗い映画。救いがない。
でも、それに不快感を感じることで成功したといえる。
もし愛する人が罪を犯したら、それを知って黙認する?
そうすることで幸せで平和な家庭が続いていくのなら…と。
ほとんどの人間は正義や大義名分よりも
自分の身近な幸せを守ることの方が大事なんだよな

 何とも表し難いものなんだけどね…
人はある種、青春時代を振り返って
「あの時、ああなったのが自分じゃなくてあいつだったら」
なんてどうしようもない思いに駆られたりするんだろうな…
ラスト近くになってあのシーンと現在の姿がリンクする場面では息を呑んだ。
あの3人の家族たちの将来を想像するとたまらなく切ないし悲しい
とても理不尽な決着を見たけれど妙にリアルでもあり、
そんな状況を映画というフィクションで見せられて
自分を当てはめて投影したりして色んな見方が出来ると思う。
 こういう種の映画は良い意味で好き嫌い分かれるね。
でも一見の価値はあると思うから、是非お勧めしたい。
宣伝文句の「もうひとつのスタンド・バイミー」というには程遠いと思う。
どちらかと言えば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や
イメージ的には「スリーパーズ」みたいな感じでした。



メメント (2000/米) 113分






 前向性健忘(発症以前の記憶はあるものの、それ以降は
数分前の出来事さえ忘れてしまう症状)という記憶障害に見舞われた男が、
最愛の妻を殺した犯人を追う異色サスペンス。
監督は一躍ハリウッド期待の新鋭となったクリストファー・ノーラン。
今作でアカデミー賞脚本賞を受賞。
原案はジョナサン・ノーラン。監督の弟らしい。
主演は「L.A.コンフィデンシャル」のガイ・ピアース。

 ロサンジェルスで保険の調査員をしていたレナード。
ある日、何者かが家に侵入し、妻がレイプされたうえ殺害されてしまう。
その光景を目撃してしまったレナードはショックで前向性健忘となってしまう。
彼は記憶を消さないためポラロイドにメモを書き、
体にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かりを追っていく…
当初公開された館数は少なかったが口コミで人気が出る。

 いやぁ〜難しい映画でした。頭の体操に良いのかも。
ちょっとでも見逃したら映画の面白みがかなり失われそうな流れ。
冒頭から逆再生された映像を見せられ、物語は時間を逆にして展開される。
ほんの10分前の記憶でもメモしておかなければどんどん忘れ
自分がどんな状況下にあったのか、接した人物は敵か味方か…
主人公は常にポラロイドカメラとペンを所持し、大事なことは
逐一メモしておかなくてはならないし、忘れたら即座にメモを読む。
複雑で特殊な状況下におかれた主人公の心理を再現する為か
時間軸がバラバラで観る者が頭の中で考えて組み立てていく。
ラストですべてが明確になる、ともいえない感じで。これも観方次第かも。

 ガイ・ピアーズってなかなか男前ですね。身体もガッチリ。
特に大事なことは身体に刺青として刻む。
朝起きて、鏡の前で裸になって妻の復讐を自分の頭で確認する。
自分が帰るべきホテルの部屋や使う車も写真で確認。
全く、なんて面倒な病気なのだろう。
映画とか観てても最初の部分ドンドン忘れてくから観れないね。
稀だけど、こういう病気は実在するらしい。
せめて1日くらいは記憶が続けばまだ良い。時間が短すぎる…
そんな症状を抱えながら必死に妻を殺した男を捜す執念は凄い。

 共演にマトリックスのトリニティ役のキャリー=アン・モスと
サイファー役のジョー・パントリアーノが出ている!
『テルマ&ルイーズ』や『フォーチュン・クッキー』で顔覚えてた役者
スティーヴン・トボロウスキーも出てた。

 いやはや、記憶というものは曖昧で、そして記録すら信用できない。
痰入りビールや頬の跡…彼女って強かな生き物ですね。
「何しても忘れるんだもの!一生いいお友達でいられるわ!」
最期まで見て、私は普通にあの男の話を全部真実と受け止めました。
きっと彼は
それでも永遠に例の男を捜し続けるのでしょう。
何でもかんでも会った人に、自分の病状説明しちゃダメだね…
DVDに時間軸を普通に直したバージョンも収録されているので
それも観れば更に理解し易いかも。

 全米でリピーターが続出というのも納得。
こういう頭使う映画が嫌いじゃない人と一緒に鑑賞して
アレコレ議論し合うと楽しいかもしれない。
とにかく、集中力が大事な映画だなーって思った。
ま、のめり込んだら他のことが頭からすっ飛んでくけどね。
途中から私は画面に釘付けになりました。先の展開が気になって×2
確かに話題になるだけあって、なかなかの映画でした。
普通の感覚の映画に飽きてる人は是非御覧下さい。


模倣犯 (2002/日) 123分


 宮部みゆき原作のサスペンス小説を監督森田芳光で映画化。
主役にSMAP中居正広、他キャストに津田寛治、藤井隆、木村佳乃、山崎努、
伊東美咲、寺脇康文、小池栄子、由紀さおり、爆笑問題(大田光、田中裕二)、
山田花子、PUFFYなど、細かくカメオ出演等にも有名人を起用した作品。

 古川鞠子が失踪し、数ヶ月経ってから連続殺人事件に巻き込まれた事を
知った祖父の有馬義男は犯人と名乗る男から電話を受けた…
 「これからは理性で人を殺す」新たな視点で描く猟奇殺人事件。
テレビで殺人を告白し死体現場のヒント写真を見せ視聴者に捜させたり
テレビと携帯で殺人を生中継させたり…
殺人事件を楽しむ犯人、マスコミ、世間の残忍さや
残された遺族の悲しみと怒りを描いた前代未聞の作品…となるはずだった。

 CMで流れる中居正広ことピースの笑い声に惹かれて劇場で鑑賞。
やたらと長く感じた。映画の諸所に妙なユーモアが散りばめられてもいた。
イチゴ練乳やパイナップル、鳥の丸焼き…食べ物がやたらと印象に残った。
津田寛治演じる栗橋浩美の変なキャラにはちょっと惹かれたけど
全体的に荒っぽい作りで込められたメッセージみたいなものも
「うんとね、こういうね、なんていうかね、えぇ〜っとぉ…うーん」みたいな感じ。

 中居正広は演技上手くないんだな、って確信。
ピースのセリフは良いんだけど言わせる役者にもっと腕が欲しい。
サイコで知的で魅力的な殺人犯になるはずが、思いっきり失敗して殻回りだ。
劇中出てくる監禁された女性たちの描写も、低級AVまがいな映像で気色悪い。
有名人たちがちょっと出てくるCMは変なこだわりで好感持てたけど…
娘の安否を嘘で繕う絵葉書は悲しさが滲み出ていた。
由紀さおりのキャラも良い。栗橋と高井の友情も嫌いじゃない。

 ラストの展開には唖然ですね。
もう、今まで観せられてきたものを覆すある意味凄い発想です。
ピースを半端に正当化したかったのなら、もっと犯人の動機を描いて欲しかった。
この映画の出来の悪さに、自ら森田監督を指名した宮部みゆきも
途中で退場したとの噂。



ユージュアル・サスペクツ (1995/米) 105分





 銃器強奪事件の容疑がかかり、面通しで集められた五人の前科者
(これがタイトルの指す“常連の容疑者”)を主人公に、
歯車の狂い始めた犯罪計画を卓越した構成で描いたサスペンス・ミステリー。

 ある夜にカリフォルニア、サン・ペドロ港で
アルゼンチン・マフィアの所有する船舶の炎上事故が発生。
それはコカインを奪おうとした犯罪者一味とマフィアの闘いの結果であった。
一味の生き残りであるヴァーバルを尋問していた関税特別捜査官クインランは、
6週間前、銃器強奪事件の容疑者として集められた
5人の男たちの身にふりかかった奇妙な話を聞く事になる。
元汚職警官のキートン、マクナマスとフェンスターの強盗コンビ、
爆破の専門家ホックニー、そして詐欺師のヴァーバルら5人は、
釈放後、協力して宝石強奪を決行。次の事件のヤマで殺人を犯す失敗をする。
そして恐慌状態の彼らの前に、伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の
右腕と名乗る謎の弁護士が現れたというのだ…

 題名は前々から知っていたけど、こんな内容の話だったとは…
キャストはガブリエル・バーン(アル・パチーノに似てるなと思うのは私だけ?)
ベネチオ・デルトロ(地味過ぎて最初アレ?っと思った。目の隈が印象的。)
ケヴィン・スペイシー(平凡そうなんだけど、味のある役者なんすね。)
ピート・ポスルスェイト(ロミ&ジュリの神父役が印象に残ってる。)
全体的に地味目な映画だと思うんだけど、脚本と配役がモノを言った。
前半は正直、退屈しちゃったけど、後半から目が離せない。
あの銃の持ち方も当時流行ったらしいね。

 最初のシーンが何故か様になってて格好良いな〜なんて思った。
漫画のワンシーンみたいだった。
後からその後の謎の映像にも納得。
ネタバレが映画の楽しみを奪う類だと思うので感想も書きづらい。
「騙された!」ってどんでんがえしのストーリーだってのは知ってた。
でも自然と5人の中にソゼがいるぞ、って思わせぶりになってきた所から
だいたい予測は出来る展開だと思う。
ガブリエルは悪役もこなせる顔だとは思うんだけど
黒幕がキートンだとは到底思えなかった。
ヴァーバル視点で話が進むから普通に彼が主役として観てた。
でも絵的にコーヒーカップ落としてからの展開が好きだ。
ケヴィンの変わりようも見事。あそこは別の意味で「やられた!」
観れば観る程、この世界にハマリそうな感じ。
理解もより深まると思うし楽しみ方もいっぱい出てきそうだ。
まさに、サスペンス。ラストの爽快感は絶品かも。
アマゾンではこの映画のDVD(現在廃盤になっている)中古がが高値ですね;
廉価版が出るまで待機してるファンがいっぱいいそうです。

 このサイトでは、この映画のことが詳しく載ってるので
映画を観て更に知識を深めたい人は是非どうぞ〜☆


容疑者 (2002/米) 108分


 原題は『
CITY BY THE SEA
監督はスコットランド出身『ジャッカル』のマイケル・ケイトン=ジョーンズ。
主演はロバート・デ・ニーロ。娘のドレナ・デ・ニーロも出演している。
共演に『ディーン』、『トリスタンとイゾルデ』のジェームズ・フランコ、
『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド、『チアーズ!』のエリザ・ドゥシュク。

 ピュリッツァー賞を受賞した報道ジャーナリスト、
マイク・マッカラリーの取材記事が原案のサスペンス・ドラマ。
ニューヨーク市警の刑事ビンセントは
故郷のロング・ビーチで起こった殺人事件を調査していくうちに、
容疑者が昔離婚の際に元妻が引き取った別れた息子・ジョーイだと知り、
戸惑いながらも彼を追うことになるが、事態は更に複雑化していく…

 ジェームズ・フランコは親父と因縁深い役が多め?
内容からして、暗いドラマなんだろうなと構えて見た。
滅んだリゾート地…って感じな海沿いの街が雰囲気出てました。
ジョーイは家も貧しく麻薬漬けで、彼女との間に子供もいて…酷い環境。
自他共に誇らしい時期、父親を訪ねようとしたエピソードとか、切ないな。
『スパイダーマン』シリーズではスパイダーは親の仇!って存在だったが
今回も“スパイダー”という厄介な輩から身を隠すことになるジョーイ。
病院から盗んだ指紋付きの銃をスパイダーが犯行に使ったんだな。バカー
息子にあげるつもりだった指輪はいつ取り返したのかな?
親父が人殺しで、息子も人殺して…と哀しき連鎖。
親父を捕まえた刑事に育てられるなんて、どんだけドラマチックよ。
最終的には、どちらかが撃たれて死ぬと思ってたから
あの終わり方は凄くホッとした。そうだ、償って生きなきゃダメ。
しかし、母親はあのままエスケープか…父親もいつ出てくることやら。
ビンセントの彼女は結局、復縁しなかったのかな。うーむ。

やっぱりもの哀しい話。60点。デ・ニーロとフランコの共演をどうぞ。


蘇える金狼 (1979/日) 131分




 大藪春彦の同名小説の映画化。
遊戯シリーズでコンビを組んだ村川透監督、松田優作主演のハードボイルド。
ヒロイン永井京子役に風吹ジュン。ヌードで体当たり演技を見せている。
他、千葉真一、岩城滉一、佐藤慶、岸田森、阿藤海、角川春樹など

 朝倉哲也は表向きは平凡なサラリーマンだが、猫かぶってるだけ。
生真面目な男を演じ、夜は身体を鍛えて巨大資本乗っ取りを企んでいる。
朝倉はある日、3億円事件を真似た手口で銀行の金1億を手に入れる。
その金で手に入れた麻薬で上司の愛人、永井京子を手なずけた。
愛人からの情報で会社幹部達の横領事件などをネタに、朝倉は動き始める。

 「家族ゲーム」で初めてマトモに松田優作の演技を見た者です。
今回、Gyaoで配信していたこの映画をふと見てみることに。
…タイトル、中身とどう関係してるんだろう?そんなことはさておき。
非情で何考えてるか判らない、長身マッチョで強い優作。
悔しいけど、カッコよかった…今でも人気耐えないの分かるよ。
演技が格別上手い?というか自分色に染めてるんだよね。
ぶっきらぼうな喋り方、そのキャラ作りがユーモアと深みを出してたな。
この人物はどんな人生を送ってこんな思想の変人に?と。
ストーリー展開は若干分かり辛いし、よくよく考えたら要らないシーンあったかも。
千葉真一がどこに出てたのかサッパリ分からなかった。
今のいかついヒゲのおっさんのイメージしかなかったから顔わかんない。
あの桜井君だったのね。「憎たらしい何じゃこいつー」としか思わなかった。

 
どんな佳境にあっても平常心を失わず自信満々な朝倉君。
ランボルギーニ・カウンタック乗り回すのが夢だったのね…嬉しそう。
奪った金が麻薬に化け、麻薬は情報源になり、情報で地位と大金を得る。
まるで荒っぽいわらしべ長者のような筋書きに思えたな。(笑)
桜井の恋人相手に胸をもみしだく尋問にはビックらこいたよ。
風邪薬の宣伝でお馴染み風吹ジュンが脱いで喘いでるのが衝撃でした。
昔はアイドルだったんですねぇ。私にはCMのイメージしかなかったから。
どんなヤクザや社会的地位の高いお偉いさんにも力と頭で勝った朝倉だが
女には勝てなかったんですねぇ…彼女を落としたあと、懐から出したチケット
彼女と一緒に高飛びする予定だったんだね。哀しい。
飛行機のラストシーンは映画見てない私でも他所で聞いたことあった。
あの最後の顔が…マネキンみたいで気色悪いの何のって。壮絶。


 昔の邦画は見辛く、我慢して見終わっても消化不良に終わることが多いが
これは映画の感覚を早い段階で掴み、主人公にほれ込むことが出来れば
後はそのキャラに酔いしれ、展開を楽しみ、夢中なうちに見終われますね。
松田優作ってスリムでスタイル良いなぁ…息子も手足長いから、遺伝か。
一見ゴリ顔なんだけど、動いて喋ってる彼を観てると超ハンサムなんだよな。
変なカツラ被ってても、アフロでも、フェロモン出てる。すげぇ役者だ。


ライアー (1997/米) 102分






 ティム・ロス、クリス・ペン、マイケル・ルーカー、レニー・ゼルウィガー
共演で贈る低予算ながら役者の演技が光る隠れた傑作サスペンス。
何者かに惨殺され、遺体を切断され見つかった娼婦。
容疑者にされたのは彼女と顔見知りだったという一人の男。
ウェイランド。良家の一人息子でエリート大学主席卒業の29歳独身。現在無職。
取調べを担当することになった二人の刑事。
ブラクストン。勤続2年33歳。賭博好き。離婚した妻との間には2人の子供がいる。
ケネソウ。勤続20年のベテラン刑事。44歳。妻と3人の子供がいる。
通称“ホログラフ”と呼ばれる嘘発見器にかけられながら
ウェイランドの真偽を追求していくうちに、話は意外な展開へ…

 ウェイランド視点になったりカメラアングルが面白かった。
“嘘を付くことに免疫が付くと天性の嘘つきになっていく”
誰がどんな嘘を付いているのか?犯人は誰なのか?
ティム・ロス演じるウェイランドの持病発作が真に迫ってて凄かった。
アクションも派手な演出もないのにここまで夢中になって
画面に釘付けになったのは久しぶり。
サスペンスは頭を使うから、なかなか観ない人もいるけどもったいない。
この映画も一度観ただけじゃ理解できない類かもしれないけど
私はたまんなく気に入ってしまった。
ウェイランドの奇行や二人の刑事の裏まで明かされていき
次第に誰が犯人か、ってよりも誰が勝つのかが気になった。

 『レザボア・ドッグス』でも共演したティム・ロスとクリス・ペン
クリス・ペンがショーン・ペンの弟だってこれで初めて知った。全然似てないね。
嘘発見器には何回もかけて、プロには神経質なのか嘘つきなのか判るとか
冤罪でも服役して何回かけてもクロになる奴とか…ホントにいるのかな。
強い酒ってことで漠然と名前だけ知ってたアブサンの話…
画家ゴッホもかかっていたという精神病TLEの話…興味深かった。
娼婦役を務めたレニーは終わるまでレニーだと思わなかったよ。

 三人を中心に展開していく心理ゲームにハラハラドキドキした。
ラストの1年後…のシーンで見事に騙されていたと知った。
薬持っていくシーンで何かあると思い、救急車の黒人も見た顔だなとは思ったが。
あれはブラクストンも買収済みだったから彼は命がけで庇ったんだな。
そして空っぽの棺おけを燃やす父。放蕩息子を処分できて
ウェイランドは堅苦しい立場から開放されて一石二鳥ってわけだ。
殺人は衝動的だったかもしれないが、彼は頭がきれる。
番号のメモを残してしまったのも、すべてはこの為の計算??
ケネソウが土壇場で反則技を使ったので、ラストは爽快でしたね。
結構今では在り来たりな展開と思われるかもだけど、良い。


 ストレスが原因で発作が起きて、発作が起きれば彼は別人になる。
事件の容疑者が精神病を患っていた場合、対処に困るだろうな。
精神鑑定まで行かない微妙な位置の病気だと思うし。
そして刑事二人はどちらも後ろめたい事を抱えてる。
白目ひん剥いたり、大笑いしたりするティムがいやに魅力的に映った。
私が今まで観たサスペンス系では3本に入るくらい好み。
観終わったあと、また始めから見返してしまった。
なかなか良い掘り出し物を見つけた気分。役者好きならオススメですよ☆☆☆


レッド・ドラゴン (2002/米) 125分


 「羊たちの沈黙」「ハンニバル」のトマス・ハリス原作の
レクター博士三部作の1作目に当たる作品。
「羊たちの沈黙」でレクター博士は既に拘束されているが、
これはその過去の話…
主演は勿論、アンソニー・ホプキンス。
彼を追うFBI捜査官役にエドワード・ノートン
彼の上司役にハーヴェイ・カイテル。

 FBI捜査官のウィルは連続殺人事件の解明の為、
精神科医のレクター博士の助言を受けて捜査していた。
だが、偶然彼が犯人であるという真実が判り、傷を負いながらも彼を逮捕する。
のちに引退し、家族と平和に暮らしていたウィルだったが
上司のジャックが訪問し、最近起こった殺人事件の捜査協力を願い出る。
最初は困惑するウィルだったが承諾、捜査が行き詰まり
拘束中のレクター博士に助言を求めるが…

 シリーズ三部作の中でいったらこれが私は一番好きだ。
流れ的には「羊たちの沈黙」と似た展開だけど
レクター博士にとってはウィル捜査官は自分を捕まえやがった人だ。
しかも殺人鬼は自分を崇拝している。
二人の会話のやりとりも興味津々だ。
今回の犯人像は嫌いじゃない。殺人鬼と盲目女性の愛…
燃える家のシーンは寂しい気持ちになった。

 助言を与えつつも犯人の行動を読んで楽しんでるレクター博士。
テンポが良いし、気持ち悪いサイコ・スリラーではないかな。
だから良質サスペンス映画としても観れる映画だと思う。
ラスト近くであんな展開になったのは不意打ちでl怖かった。

 これのオリジナルの映画「レッドドラゴン/レクター博士の沈黙」
はアマチュア映画っぽくて手を出していない。
原作もいつか通して読んでみたいとは思うけど…


ワイルドシングス (1998/米) 108分


 ケヴィン・ベーコンが製作総指揮、主演(?)を務めたエロティック・サスペンス。
共演にマット・ディロン、ネーヴ・キャンベル、デニース・リチャーズ、
ロバート・ワグナー、ビル・マーレイとなかなかの顔ぶれ。
女子高生のケリーが自分の通う学校の教師であるサムにレイプされたと訴え、
田舎町は大騒動。ケリーの家が地位も金もある権力者なだけでなく、
自分もレイプされたと名乗り出る女性スージーも出現。
身の潔白を主張するサムと弁護士には不利な裁判になると思えたが…

 それとなくテレビ放映で観てみたんだけど…
いやはや、安っぽい作りでいかにもなエロB級サスペンス…
しかし、前半でスカッとしたら最初のどんでんがえしで雲行き怪しくなり、
これでもかと展開していくストーリーに、何か笑えてきたよ。
ケヴィン・ベーコン、今回は大人しい役柄かと思いきや、
流石、ケヴィン・ベーコンですよ。そしてバッチリ、ヌードも見せます。
ネーヴやデニースが脱いでて、結構エロが過激。
居間で見てしまって、気まずい空気になっちゃったけど、
グルグル変わる展開が面白かった。多少無理あるけど。
エンディングで説明シーン入れてて、益々笑った。
これは、ひたすらドッキリ、逆転もんを追求した作品なんだな。
最終的には誰が残ってもいいや!って思えてきちゃったけどね。
キャラというよりは役者で見てしまって、何かゲーム感覚に見えた。
軽〜い気持ちで鑑賞する分には、申し分ないかもね。
この映画、ヒットして続編の2,3が作られたけど、そっちは不評のよう。



このページのトップへ戻る








  

 
  

数字
ジャンル別
SF
近未来SF
ファンタジー
アクション
パニック
バイオレンス
アメコミ
アドベンチャー
サスペンス
スリラー
ミステリー
ホラー
モンスター
ラブストーリー
ロマンス
ヒューマン
ロードムービー
青春
スポーツ
ドキュメント
サクセス・ストーリー
コメディ
おバカムービー
ラブコメ
プリティ・ピンクシリーズ
歴史
文芸
戦争映画
時代劇
オムニバス
ミュージカル
テレビ・ドラマ
アニメ
その他
トップページ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送