管理人NEROが映画について語ります。

Caramel Cinema


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ユージュアル・サスペクツ (1995/米) 105分





 銃器強奪事件の容疑がかかり、面通しで集められた五人の前科者
(これがタイトルの指す“常連の容疑者”)を主人公に、
歯車の狂い始めた犯罪計画を卓越した構成で描いたサスペンス・ミステリー。

 ある夜にカリフォルニア、サン・ペドロ港で
アルゼンチン・マフィアの所有する船舶の炎上事故が発生。
それはコカインを奪おうとした犯罪者一味とマフィアの闘いの結果であった。
一味の生き残りであるヴァーバルを尋問していた関税特別捜査官クインランは、
6週間前、銃器強奪事件の容疑者として集められた
5人の男たちの身にふりかかった奇妙な話を聞く事になる。
元汚職警官のキートン、マクナマスとフェンスターの強盗コンビ、
爆破の専門家ホックニー、そして詐欺師のヴァーバルら5人は、
釈放後、協力して宝石強奪を決行。次の事件のヤマで殺人を犯す失敗をする。
そして恐慌状態の彼らの前に、伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の
右腕と名乗る謎の弁護士が現れたというのだ…

 題名は前々から知っていたけど、こんな内容の話だったとは…
キャストはガブリエル・バーン(アル・パチーノに似てるなと思うのは私だけ?)
ベネチオ・デルトロ(地味過ぎて最初アレ?っと思った。目の隈が印象的。)
ケヴィン・スペイシー(平凡そうなんだけど、味のある役者なんすね。)
ピート・ポスルスェイト(ロミ&ジュリの神父役が印象に残ってる。)
全体的に地味目な映画だと思うんだけど、脚本と配役がモノを言った。
前半は正直、退屈しちゃったけど、後半から目が離せない。
あの銃の持ち方も当時流行ったらしいね。

 最初のシーンが何故か様になってて格好良いな〜なんて思った。
漫画のワンシーンみたいだった。
後からその後の謎の映像にも納得。
ネタバレが映画の楽しみを奪う類だと思うので感想も書きづらい。
「騙された!」ってどんでんがえしのストーリーだってのは知ってた。
でも自然と5人の中にソゼがいるぞ、って思わせぶりになってきた所から
だいたい予測は出来る展開だと思う。
ガブリエルは悪役もこなせる顔だとは思うんだけど
黒幕がキートンだとは到底思えなかった。
ヴァーバル視点で話が進むから普通に彼が主役として観てた。
でも絵的にコーヒーカップ落としてからの展開が好きだ。
ケヴィンの変わりようも見事。あそこは別の意味で「やられた!」

観れば観る程、この世界にハマリそうな感じ。
理解もより深まると思うし楽しみ方もいっぱい出てきそうだ。
まさに、サスペンス。ラストの爽快感は絶品かも。
アマゾンではこの映画のDVD(現在廃盤になっている)中古がが高値ですね;
廉価版が出るまで待機してるファンがいっぱいいそうです。

 このサイトでは、この映画のことが詳しく載ってるので
映画を観て更に知識を深めたい人は是非どうぞ〜☆


ユーロトリップ (2004/米) 93分


 高校の卒業式に、突然彼女に別れを告げられたスコット。
信じていた彼女に裏切られ、家族・兄弟・友達みんなから笑われ超ショック。
そんなスコットには1ヶ月間メール交換をしている、ドイツ人の友達がいた。
名前で、そのメル友のことを男だと誤解していたスコットは
「逢いたい」というメールに対し、同性愛者と勘違いし酷い返事を送ってしまう。
後からメル友が美人の女性で、ミアという名前だったと知り、
急いでメールをするものの…相手の方から受信拒否。
思い立ったスコットはエロバカな友達と一緒にドイツに向かうことに。
たまたまドイツ行きの便が出ていなかった為、
もののついでにヨーロッパを満喫しようとイギリスへ飛ぶ…。

 オープニングの変な航空機内アニメーションで、どんな映画か予想つかなかった。
これは、おバカでお下品なコメディ・アドベンチャーですな。
イギリス、フランス、オランダなどなど謎の国にも行ったりして
多少、誤解と偏見を混ぜたユニークなヨーロッパ旅行。
相棒はヨーロピアン・セックスに興味深々。
イギリスの過激なフーリガン・サポーターの集団や
とんだヌーディスト・ビーチ、列車で遭遇する変なおっさん…
地図の変わりに料理テーブルで道順が出たりして少しお茶目。
物価の違い過ぎる謎の国で、あんな事になろうとは…
「もう独立してやる!」って、それ幾ら分に相当するのよ?!
ローマ法王の事件とか、やり過ぎだろぉ〜ってもう、爆笑しちゃった。

 出てる役者は新人ばっかりで、歌っていたのはマッド・デイモン。
メジャー映画の主役を張るようになった彼だけど
たまにこういうB級(C,D級あたりかもしれん)コメディに顔を出すんだよね。
深夜に軽い気持ちで見たからそれほど気にならなかったけど、
この映画はちょっとエロいですね。DVDにも無修正版とか…。
話も本当にふざけた内容なので、正にこういう環境で見るに最適でした。
でもこういう映画好きな人は稀だろね。ちなみに、劇場未公開作品。


夢 (1990/日・米) 121分


















 黒澤明が、自分の見た夢をもとに撮りあげたオムニバス。
「日照り雨」、「桃畑」、「雪あらし」、「トンネル」、「鴉」、「赤富士」、
「鬼哭」、「水車のある村」の8話を収録。
ILMによる特撮の他、ハイビジョン・システムでの合成を導入。
幻想的な雰囲気の映像と豪華なキャストで話題となった。
製作総指揮にスティーブン・スピルバーグ、
衣装にワダエミ、さらにマーティン・スコセッシ監督も出演している。
主演は寺尾聰。倍賞美津子、原田美枝子、井川比佐志、いかりや長介など。

 「日照り雨」
天気雨が降っていた。外に遊びに出かけようとする子供を制止する母。
こんな時は、キツネの嫁入りがあるから、外で遊んではいけないよ。
しかし、男の子はこっそり出かける。そして、森で観てしまうのだ。

 小さい頃に見たらちょっと恐かっただろうな〜
キツネたちが音楽に合わせて「ちょんっ」となるのも不気味。
しかし、母ちゃん、平然と小刀持たせて謝りに行かせるとはシビアだね。
虹の下…しかし、物語は唐突に終わる。
でもこういう感じが夢らしいちゃらしい。

 「桃畑」
3月3日桃の節句。おめかしして、はしゃぐ姉とその友達たち。
雛壇が飾ってあり、お菓子を運んできた弟が観た、知らない女の子。
姉たちには姿が見えないようだ。彼女を追っていくと…

 
桃畑があったが、切られてしまった。嘆き、少年を叱る桃の精たち。
桃畑の段をそのまま雛壇に見立て、何種類かの雛人形たちが舞い踊る。
お内裏様とお雛様、三人官女に5人囃子。桃の華が咲き乱れる。

この幻想的かつ壮大な図を撮ってみたかったんだろうな。
映像美は素晴らしいが、これも
中途半端。夢だからなぁ…

 「雪あらし」
雪山で遭難中の男たち。テントがある地点まで、雪嵐に見舞われながらも
必死に進もうとするものの、体力を奪われ次々と力尽き、倒れていく…
そんな時、男が薄れ行く意識の中で見たのは雪女だった…

 
これが一番「夢」の中では意味不明で好みじゃないかもしれない。
あの雪女は男を殺そうとしていたのか?布をかけてあげてたけど…

しかしこういうシーン出てくる度に思う。雪山なんか絶対行かない!と。
自然なめんなコノヤロー!ですよ。あんな所で死にたくない…

 「トンネル」
夜道を歩く男。トンネル前に来た時、中から出てきたのは手榴弾を付けた犬。
襲いかかりそうな敵意を見せる犬を恐る恐るかわし、トンネルを抜ける。
遠くに村らしき灯が見える。すると、トンネルの中から行進する足音が…

 「夢」見てて最初に心底恐くなった瞬間ですね。
顔面蒼白な、死者。戦時中に亡くなった部下たちの整列、行進。
「頼む…帰ってくれ!お前たちはもう死んだんだ!」と言われて、
表情がうかがい知れない兵士達。生き残ってしまった隊長。
死者が家に帰ったっていいじゃないか、と思ってしまったのは私だけ?
戻っていったあと、再び登場して主人公を威嚇する犬は何を表すのか?


 「鴉」
画材を抱えた男性が展示してあるゴッホの自画像の前に立った。
男は次第にゴッホの絵の世界へと誘われ、ゴッホと出会う。

 この短編は「夢」の中でもかなり気に入ってます。
ゴッホに扮しているのはマーティン・スコセッシ監督なんですが…太めw
何をしている?絵を描きたまえ。そこらへんの風景何でもいい。
どんな景色も、描き方次第で素晴らしい作品になる。
そんなことを言ってたような気がする。絵が動き出すのが素敵だ。
ゴッホはどんどん自分の絵画の世界を突き進んでいき、男はそれを追う。

鴉の群れから、このタイトルがついたのだろう。意味など求めない。

 「赤富士」
原子力発電所が爆発した!恐怖に駆られ、逃げ惑う人々。
それに巻き込まれた男性は、真っ赤になり噴火する富士山を呆然と見る。
そのうち、人々の姿は消えた。残ったのは彼らが抱えていた家財道具等々。
その場に取り残された男と、女性と、その子供達と、スーツのおじさん。
色のついた風がやがて彼らを追い詰めてゆく…

 
「有害な物質に色をつけて区別したのだ。バカバカしい。
死神に名刺をもらったって何にもならない。」この言葉が印象的だった。
こういう妙な設定も、何故か凄く夢らしくて良いと感心した。
絶望したスーツのおじさんは人々の後を追い、海へ身投げ。
子供たちだけでも!と死神の風に奮闘する男と母。暗転。

ここから一気に説教臭さが目立ってくるんです。

 「鬼哭」
恐らく、「赤富士」の続編みたいなものだろうと思う。
水爆が落ちて廃墟と化した日本。ボロを着てさ迷い歩く男。
周りは巨大なタンポポが…水爆の影響で、生態系が狂ってしまった。
真っ黒な土と石だらけの山を登っていくと、角の生えた鬼と遭遇する。

 これ、子供の時に見たらトラウマ確実だよ。
血の池で泣き続ける鬼の集団も怖かったし、
いかりや演じる一角鬼がグワーッとなるシーンはゾッとしたもの。
これまた嫌な終わり方なんだ。
続きを本当に夢に見たらどうしてくれる。

 「水車のある村」
綺麗な小川の流れる静かな村。訪れた男。
村人たちが橋を渡って岩に華を添えていく。
水車小屋にいた気さくな老人と話し込む。

 これの舞台になった長野県の大王わさび農場に行ったことあります。
天気が良ければもっと、この映画みたいな幻想的な雰囲気味わえたかな。
でも、観光客が結構いたから無理か。でも綺麗な所でした。
老人は、人は便利なものに頼り過ぎて、もっと価値あるものを自ら捨て、
地球は人間たちのものだと勘違いし、星を汚す…愚かだと旅人に諭す。
初恋のばあさんの賑やかな葬式は良いけど、老人の歳はどうでもよし。

「夢」のオムニバスの最後に暖かい物語を持ってきてくれるのは有難い。

 この「夢」という作品は古参の黒澤ファンからしたら駄作なのだという。
カラーになってから、明らかに衰えた、と。私はよくわからないが、
この美しさは素敵だと思う。説教臭い点は、黒澤の自由なのだろう。
歳をとったからこそ、ちょっとわがままに作ってみた、そんな作品じゃないかな。
ワーナーから出ているので、廉価版で手軽に楽しめる黒澤作品です。
この後、「八月の狂想曲」「まあだだよ」を製作した後、
「雨あがる」の脚本執筆中に病に倒れ永眠することになる。
「七人の侍」や「椿三十郎」の方が有名で偉大な作品だとは思うが、
「八月の狂想曲」や「まあだだよ」の方が好きな私はちょっと変かも。
黒澤作品てモノクロでチャンバラで見る気しないなぁと思う人は、
まず「夢」から入ってみるといいかもしれない。見易い部類だと思う。
夜寝る前に枕元で鑑賞するのが個人的ベストじゃないかなぁと(笑)


夢の旅路 (1997/米) 103分


 ニューヨークでしがないタクシードライバーをやっていたヘンリーは
ある日タクシー強盗に遭い、自分の退屈な人生にも嫌気がさしていた。
その直後に老人3人が半ば無理矢理タクシーに乗り込み、行き先を告げる。
赤の他人であるヘンリーに彼らはしきりに人を愛する尊さを訴える。
嫌々付き合っていたヘンリーだったが、次第に感化され、
“運命の女性”を捜す旅に出るのだが…

 監督は新鋭映像作家マイケル・ディ・ジャコモ。本作でデビューとなる。
主演にティム・ロス、共演に『オー・ブラザー!』のジョン・タトゥーロ、
『夜の大走査線』のロッド・スタイガー、『少年の町』のミッキー・ルーニーなど
そうそうたる名優陣が出演し、脇を固める。
夢のような詩的で美しい映像描写で贈る風変わりなロード・ムービー。

 ティム・ロス主演のロード・ムービー??
そう聞いただけですぐ見たくなった。評判もまぁ悪いわけではない。
でもね…そうね…何か変な映画だったな。ちょっとガッカリ。
ピーター・ガブリエルやロマン・ポランスキーが絶賛コメントしてるけどさ。
何か“滑稽”って感じの音楽がずっと流れていて、のんびりしてた。
一時間半と、決して長いわけじゃないのに2回くらい睡魔に襲われ見直した。
山場がない映画は許せる。オチは…なんか中途半端で、
意味は…これを見出すのが凄く難しいと思った。

 夢みたいなこと言ってるんじゃないよ〜現実問題、生活どうするよ?
なんて、映画をまるで楽しめない思考が終始頭を支配してしまった。
最初に出てきたあのじいさんの所…あの続きが知りたかったのに。
ある意味、夢は叶う前までが一番楽しい、なんて意味もあったりして。
情熱も行き過ぎるとダメ、ってことなのかなぁ。
ちなみに監督、その後全然映画作ってないじゃないの。
個性的で独特すぎて、ストライクゾーンが狭い映画だとは思った。
もっともっと歳をとったら、この映画を再び見てみようかな。


許されざる者 (1992/米) 131分





 マカロニ・ウェスタンの傑作「夕陽のガンマン」などで知られる俳優
クリントン・イーストウッドが、自分の映画の師である二人
セルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げた“最後の西部劇”
アカデミー賞の作品・監督賞を勝ち取った渾身のウェスタン映画。
主演はクリントン・イーストウッド。共演にモーガン・フリーマン、
ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス…

 女・子供も平気で撃ち殺す無法者だったウィリアム・マニーは
クローディアという女性と結婚し、2人の子供に恵まれ新しい人生を始めた。
その後、妻が病気で他界した後も、子供たちと細々と暮らしていたが、
ある日、キッドと名乗る若いガンマンが訪れる。
娼婦に傷を負わせ賞金をかけられたカウボーイ二人を追う為に、
一緒に組んで仕事をしないかと持ちかけられ、暮らしに困っていたマニーは
かつての相棒ネッドを仲間に加え、3人で追跡に出かける…
その頃、町の実力者の保安官ビルは治安を乱すとして疎ましい
賞金稼ぎたちを捕まえ、袋叩きにしているところだった。

 凄く評判が良い映画なので、見てみたんだけど。
私はイーストウッドの作品はどうもソリが合わないようだ。
「ミリオンダラー・ベイビー」も何か何をどう思えば良いんだ、って思ってしまったし。
今回も、そんな複雑な疑問ばかりが頭に沸いてしまった。
まず、西部劇と言えば復讐劇。題名からしても、連想できると思う。
私は単純な勧善懲悪ガンアクションが見たかったんだろうか。…多分そうだった。
暗い映画だってのは判ってたけど、ここまでグダグダに感じてしまうのは。
主人公は昔、極悪人だった、って設定も自分好みなのだけど。
現役を遠のいた今になって、金目的とはいえ何故銃を取ったのだろう。

 保安官、最後の方になるまで悪人だとは思わなかった自分って一体。
そして、冒頭で暴れた娼婦を切った二人、ってなってたけど、
明らかにあれは一人が暴走しただけで、もう一人の方は可哀想な気がしてしまう。
二人で悪ノリして、それこそ耳を切るくらいまでの暴挙に…さ。
馬で弁償で、一応収まったんじゃ?って思ってしまった。
そうだね、馬貰ったのは主人だもんね。あの被害者ではない。
でも本当に、賞金かけて殺される位までの所業なのかな…って考えてしまう。
皆、それぞれちょっと歪んでる。その曖昧な善悪がこの映画の肝なのかも?
アウトローに憧れていた若造ガンマンがすっかり目が覚めるのはイイ。


 誰が“許されざる者”なのか?彼か?奴か?すべての者か?
人を殺すってのがどういうことなのか、判っているのか?
単純明快爽快アクションな西部劇には似つかわしくない、テーマ。
その重いメッセージを込めたイーストウッドはきっと根っから平和主義者なんだろか。
しかし、後半の銃撃戦に何の深みも見出せずに楽しんでしまった(?)
映画の空気の読めないバカがおりました。私です。
ラストのテロップの裏の意味すらもよく汲み取れなかった…
ただ、あの夕陽と家のシルエットがとても淋しげだった印象のみ。
この作品のあまりの評価の高さに戸惑う。自分には理解できませんでした。


ゆれる (2006/日) 119分






 「蛇イチゴ」で注目を集めた新鋭・西川美和監督が描くミステリードラマ。
ある出来事をきっかけに対照的な兄弟の間に巻き起こる
心理的葛藤が巧みな構成で緊張感いっぱいに描かれてゆく。
主演にオダギリジョー、香川照之。
共演に真木よう子、伊武雅刀、新井浩文、蟹江敬三、
木村祐一、ピエール滝、田口トモロヲ。

 東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛(タケル)。
母の葬式にも顔を出さなかった彼は、その一周忌に久々に帰郷し、
そこで父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔と再会する。
猛は頑固な父とは折り合いが悪かったが、
温厚な稔がいつも2人の間に入り取りなしていた。
翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く智恵子と3人で近くの渓谷に足をのばす。
ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。
橋の上で呆然とする稔の姿。橋の下にいた猛は惨事に気づき、稔に駆け寄りる。
兄弟の証言から、最初は不幸な転落事故として処理されたが、
数日後、稔が突然“自分が突き落とした”と自供し、
事件の真相を巡って裁判へともつれ込む。
猛は弁護士である伯父を立て、稔の無実を晴らそうと努めるが…。

 評判が良いのでレンタルで鑑賞。
こういうミステリーは非常に自分好みでしたね。人の心の汚さも突いてて。
まず観終わって誰しも思うこと。あの事件の真相だよね。
弟が実際は観ていなかったことは確かだ。見る人によって変わると思う。
香川照之が橋の上で女性にしがみついてるシーンは、確かに
好いてない女性の立場なら気持ち悪い存在にしか映らない。
そのナヨナヨした姿勢にうっとおしくなって、つい暴言吐くこともあろう。
そして核心を突かれたことにより動揺し突き飛ばすことも人なら有り得ること。
でも最終的に、兄の腕に残った彼女の爪あと。これが全てじゃないかな。
彼女が落ちそうになって、腕を掴んだんだけど、残念ながら助けられず。
兄は弟の本音を言い当てる。自分の身内から殺人者が出るのが嫌なだけだと。
田舎に縛られて生きるパッとしない地味で女にモテない兄と、
人生謳歌し都会で気ままに好きなことやって暮らすイケメン弟。
兄の稔にはこう投影され、好意を抱いていた女性が弟に惚れてる事実も知る。
家を守って真面目に尽くしている社交的な兄と、やりたくないことはしないだけ、
面倒事から逃げてばっかりでちょっと情けない弟。弟の弁解はこうだ。
お互いがお互いに持ってないものに憧れ、奥底にコンプレックスを抱く。
男の兄弟とは人生において最も身近なライバルである。
しかし主観でも客観でも、弟の人生の方がどちらかといえば羨ましい。
だから兄は、そんな弟に戒めたかったのかもしれない。
もしくは、自分自身を真に信じてくれていない弟を突き放したのかもしれない。

 裁判が終わり月日が流れ、弟も以前のような派手な暮らしはしていない。
ガソスタの店員だった男にファミレスで奢ってもらうような立場だ。
終わってみれば、兄には今でも信頼してくれてる仕事仲間がいて、
弟には相変わらず特定の恋人もいない、寂しい生活をしているようだ。
あの店員君は最初から最後まで兄の無実を信じて疑っていないんだね。
だからこそ、法廷で嘘(正確には怒りのあまり見たと思い込んでたんだが)を
証言し彼を刑務所に送った猛を責めているのだ。
一番可哀想なのは娘を亡くした母親…といいたいところだが、
再婚して娘とは疎遠になってたようで、哀しむ描写は控えめでしたね。
何故娘が死んだのか、事件の真相を知りたいという権利は充分あるけども。
しかしこの作品では彼女の死によって疑心暗鬼に陥る兄弟が主体なので
彼女のことにはあまり触れられない。弟もあまり哀しんでないしね。薄情者。
彼女も田舎特有の空気が嫌で弟と一緒に逃げたかったんだろな。
そして、そんな空気が分かるから、ちょっと鬱陶しかったんだな弟。

 フィルムを見返して、自分の手を引いている兄を見て、
弟は深く後悔し、彼の出所に駆けつけようと車に飛び乗る。
バス停で自分に気づき、振り返る兄。あの笑顔。

やっと分かってくれたんだな」そんな言葉が浮かびました。解釈様々でしょうが。
裁判シーンの粗野な木村祐一のキャラはちょっと嘘臭かったけど、
この映画で初めて、香川照之という役者が好きになりました。
寂れた田舎町、人間模様、心の探りあい、そんな描写がリアルで良かったです。
濃いヒューマンドラマが好きな人にオススメですね。ジャンルはミステリーですが。




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