アンタッチャブル (1987/米) 120分




 名作TVシリーズ「アンタッチャブル」をパラマウント映画が
創立75周年記念として映画化した大作。
30年代禁酒法時代のシカゴを舞台に、史実に多少の脚色を加え、
実在の大物ギャング、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)と捜査官達の戦いを描く。
財務省の捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)が
古参の巡査ジム(ショーン・コネリー)と結託し、
ストーン(アンディ・ガルシア)、ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)を加えた
わずか4人のチームで買収や脅しに屈せずにアル・カポネ摘発に乗り出す。
監督は「キャリー」、「ミッション:インポッシブル」のブライアン・デ・パルマ。
音楽をエン二オ・モリコーネが担当。S・コネリーはアカデミー助演男優賞受賞。
ギャング映画だが、シンプルで娯楽性の強い作品に仕上がっている。

 テレビ放映チラッと見るつもりが、久しぶりにのめり込んで最期まで見てしまった。
ギャング映画はやたら残酷で暗いイメージだったんですが(ゴッドファーザーとかね)
この映画は観易かった。画面に釘付けになって、カタルシスを楽しみました。
乳母車が階段を落ちていく有名なシーンも見れましたしね。
アレは何でも、ソ連の映画「戦艦ポチョムキン」(25’)のオマージュらしいですが。
ロバート・デ・ニーロがこの役の為に髪の毛抜いたのはあまりにも有名。
実際には
アル・カポネはそこまでエリオット・ネスに追い詰められなかったそうですが。
デ・ニーロはこういう役がハマリ過ぎだよな〜バットのシーンが好き。
ショーン・コネリーもいい役でした。彼が死んでしまうシーンでは
あの殺し屋(ビリー・ドラゴ)が凄く憎かったし。メガネの会計士君も無念無念…
アンディ・ガルシア、この後にマフィア役結構演じてますよね。複雑。
エリオット・ネスについて詳しく調べてみたら、彼はその後転落人生なんですね。
この禁酒法時代を人生の絶頂期として語っていたそうな…


 「ワンス・アポン・タイム・イン・アメリカ」でも思ったが、禁酒法なんて無茶や。
全編真面目に徹するわけではなく、たまに笑えるシーンがあるのが良かった。
「あぁ〜残念!」「やった!!」「ザマーミロ」「くそっつ!」と一緒に唸りました。
男達のスーツ姿も格好いいんですよね。イタリアのアルマーニ全面協力とか。
ジャケットの配置もなかなか様になってるんですよね。75点!


ギャングスター・ナンバー1 (2000/英・独) 103分






 ギャングの世界に足を踏み入れた一人の男。名は呼ばれない。
様々な紆余曲折を経て、のし上がり、ナンバー1となった男は現在55歳。
今では立派なギャングスター。誰もが彼を恐れ、寄り付かない。
そんなある時、かつての自分のボスであった男が出所することになった。
暗黒街の帝王フレディ・メイズ。彼の時代はとっくに終わった。
しかし確かに過去、男が心から憧れた唯一の存在でもあった。
彼は若き頃の自分とフレディ、その時代を振り返っていく…

 若きギャングスターにポール・ベタニー、
年老いたギャングスターにマルコム・マクダウェル。
フレディ・メイズ役にデヴィット・シューリス。
監督はスコットランド出身のポール・マクギガン。

 ポール・ベタニーの悪に徹する姿が最高に輝いて見える。
まず、彼は手足が長くてスーツ姿が凄く栄える。それに驚いて見とれた。
脱いだらそれ程でもないのに…(撮影の仕方にもあるのかな?)
現在から過去に遡り、最後にまた現実の物語が来る作りなんだけど、
最初はちょっとショックだった…あんなハゲた団子鼻になっちゃった…
フレディは老けメイクで登場したんだから、彼もポールのままでよかったんじゃ。
余程、大御所な役者なのかと思ったらマルコム君じゃないですか…
これもまた、二重ショック!「時計仕掛けのオレンジ」の栄光よ何処…
未だに代表作が乏しく、有名な映画には全然出てらっしゃらないのね。
デヴィット・シューリスは好演だった。ギャングにも品は大事。

 ギャング映画って日本でいうヤクザ映画じゃん?そう考えると
敬遠しちゃうんだけど、何でなんだろう、ギャングやマフィアって格好良いイメージ。
ラストの男のセリフを聴いて、何て首尾一貫したわかり易いテーマだったんだろ
これって私も考えたことあるし、とある漫画のセリフを引用すれば、
女を抱いて、いい車乗り回して…こういうのは幸せって言わねぇんだってさ
ってことだろう。
彼はとことん孤独で人生の楽しみも知らずに、
フレディに強い憧れを抱くのだが恋人が出来たことで、
腑抜けた彼を、追い越そうと考える。嫉妬もあるんだろう。

冷酷に徹しての尋問や車の中で惨事を静観している様がゾゾッとした。
ポール・ベタニーは最高に悪役が似合うなと感心してしまう。不気味。
残酷描写や理解に苦しむ妙な心理的映像が挿入されている。
事を行う前に丁寧に服を畳む様がサイコに気持ち悪かった
出所したフレディが彼を見つめる。彼が最高に惨めで哀れに見えてくる
設定やテーマが個人的に凄く好みだったな。
言葉で表すのは簡単だけど、こうして見せられると、改めて実感する。
金や権力が全てな人間は虚しいだけだと。


凶気の桜 (2002/日) 122分


 ヒタキクニオの同名小説を映画化。
主演の窪塚洋介が強く映画化を希望し企画から参加した意欲作。
撮影に当たり渋谷ロケを敢行。
監督は本作が初作品となる薗田賢次。
窪塚洋介、モデルのRIKIYA、格闘家の須藤元気が
若きナショナリスト”ネオ・トージョー”の3人組を演じる。
窪塚演じる山口に惹かれる女性に高橋マリ子、
消し屋三郎に江口洋介、右翼の会長に原田芳雄、幹部に本田博太郎。

 山口、市川、小菅の3人は特注の白い特攻服を纏い
自分たちが育った渋谷をうろつくゴミを退治する日々。
知り合いである右翼の政治結社の会長青田に見込まれ世話になる。
あるクラブで麻薬を捌く外国人たちを暴行したのが原因で
次第に三人はヤバイ世界に足を突っ込んでいくことに…

 最初は理解に戸惑いました。
この映画を観て、何を掴み取ればよいのだろう?
暴力を選んだ者は暴力によって潰されていく…?
窪塚洋介が熱意を注いでいた作品なだけに空回りした印象。
確かに今の時期、こういう題材を扱うことは難しいし誰もしなかったことだ。
でも内容がいかにも深いと銘打っておいて、この収拾の悪さは…

 白い服の集団、レイプ、暴行、窃盗などは「時計じかけのオレンジ」の真似?
でもこの映画を観て、理解しようと原作を読んだ。
映画では詰め込みきれなかったエピソードや会話もあった。
だけど、やはり難解だ。何処に魅力を感じろと言うのか。
「GO」の後にまったく逆の立場から日本に苛ついてる人物を演じているね。
脇を固めてくれた原田芳雄はこの映画をどう受け止めてるんだろう。

 W洋介の絡みを楽しみにして行ったけど…
消し屋三郎の手際の良さは驚いたよ。殴るシーン痛々しいけど…
バイオレンスを格好よく描いているようでも映画のテーマとしては否定しなきゃ。
この映画のメッセージとしては「日本をダメにするな!」ってことなんでしょうか。
でもバスで席譲らない大人が汚いとか、そういうのもあんまりだ。
あのお母さんだってあんなことされて席譲ってもらっても気まずい。

 この映画を観て「キングギドラ」に興味を持ってしまった。
「最終兵器」とこの映画のサントラ買っちゃったよ。
エンドロールの音楽と映像が和で綺麗だなと思った。


GONIN (1995/日) 109分










 鬼才・石井隆監督が放つ、究極のスタイリッシュ・バイオレンス・ムービー。
キャストに佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、椎名結平、竹中直人、
そしてバイク事故の後、眼帯をして出演したビートたけしの豪華キャスト。
他、永島敏行、鶴見辰吾、室田日出男、横山めぐみなどなど…

 バブル経済が崩壊して、社会から弾き出された5人の男たち。
多額の借金、リストラ、そして愛する女のために…
瀬戸際に立たされた男たちが取った一発逆転の選択とは…

 権利の問題でなかなかDVD化されなかった邦画の隠れた傑作。
噂だけ聞いてて、発売が決まって嬉しくて、予約して鑑賞する日を待ちました。
なんでも、「邦画版レザボア・ドッグス」と呼ばれているとか。
佐藤浩市が演じる万代はヤクザに多額の借金があるディスコ経営者。
本木雅弘が演じる三屋はコールボーイを装いカモから金をせびるチンピラ。
根津甚八が演じる米頭は汚職事件を起こし解雇された元・警官。
椎名結平が演じるジミーは元・ボクサー。商売女ナミィのヒモでヤクザの下っ端。
竹中直人が演じる萩原はリストラされたサラリーマン。妻子には内緒らしいが…
この5人が、何とヤクザの事務所を襲い金庫から大金を強奪。
勿論、それ相応の報復が彼らを徐々に襲う…たけし演じる京谷が恐い。
モックンはここでも静と動でメリハリ演技を見せつけております。
強盗シーンで机の上を颯爽と滑っていたのは三屋だそうで。

 万代と三屋の絆。
最初のシーン、三屋の夢を見て目が覚める万代は何を意味したのかな?
てっきり、三屋って危ない奴だと思ったんだけど、意外や意外、
免許書の誤解が解けたら万代に従順なカワイイ奴になっていた。
万代が急遽計画を変更してヤクザに囲まれながらも
一緒に被害者演技してるシーンではなるほどな、とハラハラして観てた。
万代さんの、指詰められて登場したシーンが無性に格好良かったっす。
三屋との最後のキスシーンは???てなったけど。
で、万代が殺されて勢いよく復讐しに行くのかと思ったら気弱なのな。
京谷を殺せたのに去ったのは…恐怖からか、二人を重ねたからか。
ラストシーンの時が止まったような演出はナイスだった。


 米頭の渋さ。
最初に万代と会うぼったくりバーでの演出はよく分からなかった。
汚職の詳しい説明も特になかったよね?奥が深そうなんだが…
金ができて家族で食事してて、無人になるのは恐すぎる…どうやったの?!
そして、手を振りながら無残に子供すら殺している。
三屋と最後の特攻を仕掛けるシーンも渋いねぇ。


 ジミーの執念。
パンチドラカーで喋るのもままならない。でもナミィの為なら何でもする。
元ボクサーとしての戦力にはならないし、計画通りにも行かないし(汗)
どうせ喋るならナミィが無事なうちに喋れば良かったのに…
どうせナミィが死んでしまうなら、死んでも喋らなければ良かったのに…
なんて、不可抗力なことを考えてしまう。最後の闘志で一矢を…!!


 萩原の狂気。
意外なホラーが…娘が出てきた瞬間、栗山千明?と思ったらそーだった。
キレて虐殺して登場した時から狂いっぱなしだったんだね。恐るべしバット。
風呂場のシーンとかもゾッとした。京谷が撃ってくれてホッとした。
その後、京谷と一馬のプレイが始まったのはビックリしたけど。
だいたい、アイツがナミィのパスポートを持ち出さなければ…
でもどうせバレたと思うけどね。ジミーも万代も怪しまれて当然だもの。


 意味不明に思えるシーンもちょこちょこあって、
セリフもシーンによっては聞き取り辛いんだけど、
強盗後の展開はスピーディで、ジワジワと追っ手が
生き残った彼らに伸びていく過程がドキドキしました。
こういう変な男の美学、哀愁、愚かな生き様は非常に好みでした。
♪ズカジャジャジャジャッのテーマ曲も印象強い。
続編では5人は女で、前作の5人が別役でカメオ出演してるとか。
もう揃えることは出来ないだろう豪華なメンツ。お宝入りです。


ジャッキー・ブラウン (1997/米) 155分


クエンティン・タランティーノ監督の第3作目。
「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」ときてこれも期待作だったけど…
正直、あんまり世間の評判がよろしくない。それなりに期待しないで拝見。

 パム・グリアが主人公のジャッキー・ブラウン
ヤクザな男役にサミュエル・L・ジャクソン、相棒にロバート・デ・ニーロ
軽い金髪娘にブリジット・フォンダ、クリス・タッカーも出演。
密売の売り上げ金を調達する裏の仕事をしていたスチュワーデスのジャッキー
警察に目を付けられ、ボスのオデールに証拠隠滅の為消されることを察した
彼女はうまく立ち回り双方をかみ合わせようと計画する…

 全体的に黒人が多い映画。それが第一印象かな。
人数的にじゃなくて、主要キャラ二人がそうだからなのか兎に角濃いと思った。
70年代の要素がふんだんに取り入れられているのはタラ流だろうけど
今回は「面白い遊びキャラ」というのがいなくて
全体的に話も緊迫してるし(私はそう感じた)真面目に犯罪ドラマしてた。

 保釈屋という仕事があるのを初めて知ったよ。
マックスはどこか抜けてて頼りなさげで行動起こすたんびにハラハラした。
後からカセット探してるし姿がかわいらしかったけど。
サミュエルの髪型が変テコで笑った。
デ・ニーロもっさぁ〜い。どんくさい感じがよく出てた。

 ジャケットが銃かまえてるからバイオレンスものかと思ったけど
頭を使った心理戦が多かったような気がする。
あったかいB級ハッピーエンドが何だか意外。
普通、店の方にも私服監視の警官居ないのか??
生かして捕まえたら全部バレちゃってただろうなぁ…


処刑人 (1999/米) 110分


 監督・脚本は新人監督トロイ・ダフィー。
主演にショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス。
共演にウィレム・デフォー。
アメリカでは当時、コロンバインの銃乱射事件の影響もあり公開中止となった。
カルト・ムービーとしてファンから熱狂的な支持を得ている珍作としても有名?

 信心深いマクマナス兄弟。二人は世の理不尽さに嘆いていた。
偶然のトラブルで、マフィアを正当防衛で殺したことから、
悪人を処刑せよ!と神の啓示を受け、武器を揃え、二人は行動を起こす。
街のマフィアたちが次々と誰かに消されていっている…
事件に伴い、派遣されたFBI捜査官は徐々に犯人の狙いに気づいていく…

 ジャケットは随分前から覚えていたけど、復讐B級アクションだとばかり思ってた。
そう、アメコミの「パニッシャー」みたいな感じのね。だから見る気はなかった。
でも、妙にこの映画が好きな人もいるみたいで。興味が沸いた。
私怨からくる復讐じゃないんですね。悪人を殺していく…そう、まるで
簡単に言うと「デスノート」の、ノート使わないで手作業バージョンみたいな。
ただ、基本はアメリカのバイオレンス映画ですからお粗末です(笑)
兄弟も、最初はあたふた、計画通りにいかないことが逆に功を奏したり、
「フ〇ック」って言葉が飛び交いまくりです。家族鑑賞はお勧めできません。
それに、最初の方は時間軸のパターンが掴めなくて戸惑いましたね。
3人目のメンバーになっちゃった運び屋でもあるロッコは
ただのウザキャラにしか思えなかったので、
あの展開にも…でした。
デフォーさん演じる変人FBIが一番オイシイ。最高にキレた役でした。
最終的には
兄弟の思想に共感し、更に手助けまでしちゃうから凄い。
教会で偶然が重なり、次の場面で普通に連絡取り合ってるのも強引だわ。
彼らが敵の罠に!って時も、女装しちゃうんだもん…アゴ、アゴ!
笑いを堪えながらハラハラ、ディープキスには驚いたね。
そんで、最強の殺し屋と再びバトル?!って時に…親父かよっ
!!!
筋と展開とデフォーさんのキャラにすっかりやられた私は、
他の感想に「兄弟が美形、カッコいい」って表記を見つけて、
「そういや、兄弟の顔に全然注目してなかった。思い出せないや」状態。

 二人とも、
ロッコが悪人だと言ったら特に詮索しないで処刑しに行くのね。
「あいつ、悪い奴なんだってさ」「殺っとく?」ってノリ。
私的には、
裁判所で名乗り出るのはよくないんじゃと思った。
あれで顔も知られたから色々と不便になってくし

エンドロールで世間の意見を流すのは面白かったかも。
こっちの方が製作早いけど、テーマとしてはかぶる「デスノート」が
あっちで上映されたら、こういう意見が飛び出すんだろうなと思った。
タランティーノ作品が好きな人はこっちも楽しめる、という意見にだいたい同意。
真面目にやってるけど、笑いも飛び出すおバカB級アクションムービーです。
8年ぶりに、続編製作決定の噂が流れて、ファンは首を長くしてることでしょう。


TAKESHIS’ (2005/日) 107分




 2005年のベネチア映画祭でサプライズ出品という特別待遇で
大きな話題を集めた北野武監督作。
芸能界で成功を収めたタレント“ビートたけし”と、
売れない役者の冴えない中年男“北野”が出会い、いつしか
両者の世界が重なり合い混沌としていくさまを斬新なタッチで描き出す。

 大物タレントとして多忙でリッチな毎日を送るビートたけし。
一方、そんなたけしにそっくりな売れない役者・北野は、周囲からバカにされ、
オーディションに落ちてばかりで、コンビニ店員をしてなんとか暮らす日々。
ある日、北野は偶然にも大ファンであった大物ビートたけしと出会う。
これが引き金となり、ビートたけしが演じる映画の世界へと迷い込んでいく北野。
しかし、それは夢とも現実とも分からない不思議な世界だった…。

 キャストはビートたけしを始めとして、
京野ことみ、岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲、六平直政、
美輪明宏、上田耕一、竹重勉、ビートきよし、津田寛治、松村邦洋、内山信二、
「座頭一」でもタップを披露していたTHE STRiPESも参加。

 私の嫌いな邦画のイメージを寄せ集めたような映画でした。
何でも監督は誰にも判らない、面白いとかつまんないとか言えない作品を
意図して作ったらしいけど…ハッキリ言ってつまんなかったです。
凡人には理解が及ばないだけで、この映画には隠れた主張が込められてるとか
熱心なファンは細密に分析しているようだけど、監督は別に意識してなさそう。
とにかく私が嫌いな傾向だったのは、後半に呆れる程やるドンパチ。
寒い笑いと、こんな状況どう?って試験的に散りばめられたグロ描写。
ヤクザ映画が嫌いな理由が、このドンパチの音なんだよね。
特にこの映画はうるさいうるさい…音量絞ろうかなと思ったけど、
そうすると肝心のセリフを聴き逃す。ボソボソ聴こえない。だから嫌い。
ガラの悪い、いかにもチンピラ系なヤクザがいっぱい登場するし、
観ててイライラするし、誰がどう撃たれてもどうでもいいって感じで。
美輪様が登場して、後半では「ヨイトマケ」とか唄ってくれちゃって、
衣装替えもして登場する辺りを除けば、私にはキツイだけな時間でした。

 短めな上映時間だったから、平気かなと思ってたけど、
それでも最近、邦画のこの変な間には耐えられない。
哲学的なことを装っているのかもしれない。情感やワビサビ気取りかもしれない。
それでも、テンポが悪いと胸がムカムカしてしまう。そして眠気も襲う。
たけしファンか、京野ことみのヌード目的ぐらいでしか観る価値なさそう。
タップシーンも退屈で、毛虫とかもういいよって思った。
理解不能なことが個性的で高尚だとは単純に言えないんじゃない?
たけしは、双拳銃で撃ちまくり、弾をくらっても死なない。
そんなイメージが確立された作品でもありました。二度と観ない。


デス・プルーフ in グラインドハウス (2007/米) 113分






 60〜70年代、B級映画ばかりを2,3本立てで
上映していた劇場を「グラインドハウス」という。
このグラインドハウス映画の大ファンであるクエンティン・タランティーノ監督が
盟友ロバート・ロドリゲス監督とタッグを組み、現代版グラインドハウス映画を製作。
タランティーノが監督した「デス・プルーフ」と、
ロドリゲスが監督した「プラネット・テラー」の2本の他に
フェイク予告編を4本合わせたものをアメリカ本国では上映したが
日本ではデスプルとプラテラの完全版を単独公開することになった。

 監督・製作・脚本・撮影を手掛けたタラはここでもバー店主として出演。
出演者は「バックドラフト」「ポセイドン」のカート・ラッセル。
前半にプラテラの主演を務めたローズ・マッゴーワンが端役で出演。
「RENT」「シン・シティ」のロザリオ・ドーソン、
「RENT」「プラダを着た悪魔」のトレイシー・トムズ、
「キルビル」などでユマのスタントをこなしていたゾーイ・ベル、
「ボビー」「ダイハード4.0」のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。
「フロム・ダスク〜」「キルビル」でも出てきたウエスタンハットの警官親子が
ここにも登場。親父は「プラテラ」にも登場します。マニアの為のサービスだね。

 夕暮れのテキサス。オースティンのラジオ局の人気DJジャングル・ジュリアは
親友のシャナ、久しぶりに地元に戻ってきたアーリーンと街へ繰り出した。
お気に入りのバー、グエロスからテキサス・チリ・パーラーをはしごする3人。
彼女たちをドクロマークの付いたシボレーがつけまわしはじめる。
この不気味な車を運転しているのは顔に傷跡のあるスタントマン・マイク。
最初は気味悪がっていた女達だったが、バーで話していくうちに打ち解け…

 デス・プルーフ=タ耐死仕様。スタントマン・マイクの車だそうです。
愛知県内では上映してる所が1つ。はるばるベイシティまで行って見てきた。
ホントにタラ部分だけの編集版なんで、ウソの予告編観れなくて残念。
率直な感想としては、自分は好きだけど、他人にはそうそう薦められない。
他の人の感想でも大方そういう意見だけど。
タランティーノ節炸裂な、趣味出まくりなBGMや画面の劣化具合、
古い映画の雰囲気演出と、無駄な長セリフと一筋縄でない映画のテンポ。
「タメ」の長い我侭なペースに退屈する人がいても仕方ないかなと。

 グラインドハウスの2作品は細かい部分でリンクし合っているので
確認しきれなかった部分もあって今更になって気になってます。
窓から足をズンと出して走行してるのは恐かったな。そして予想通りのことが。
恐ろしい車が襲ってくるって、もっと一人一人残虐に轢き殺すのかと思ったら
あっけなくバーンなのね。そして本人自身も大怪我。
その後は交通事故扱いで飲酒ドラッグ運転してた女達が悪いことになる。
スタントマンならではの快感?な命掛けの悪趣味な遊びなわけですね。
あの保安官の解説のお陰でスタントマンマイクが何故女を襲うのか分かったし、
「さぁ次はこの子たちだぞ〜」って後半からは他の楽しみ方も増える。
ボンネットの上に人がいる状態でのカーアクションにはハラハラしたし、
女たちの逆襲の勢いでスタントマンマイクが押されっぱなしにもビックリ。
きっと現実ではこうなのかも…なリアルさはあったような。
あの終わり方
だけはビシッとしてて誰も文句言えない!!!

 長セリフ演出に関しては、「レザボア・ドッグス」や「パルプフィクション」とは
またちょっと違うんだよね…小ネタやウンチクやニュアンスとかじゃない。
若い女の子のキャピキャピ無駄話。裏があったかもしれないけど読み取れず。
タラさん視点ではきっと、男性の話の種にはオチがあるけど、
女性の話にはオチがなく、ひたすらグダグダなのな(笑)
カーチェイスがメインって聞いてたんですが、自分が思ってたのと随分違った。
「激突」みたいな感じかと…でも後半のカタルシスはハンパなかったです!
あんな小気味の良い衝撃音を久しぶりに聞いたわ。
プラテラは1発で好きになる映画だけど、デスプルは2度目からどんどん
隠し味が滲み出てくるタイプの映画かもしれない。DVD化したらまた見たいし。
完璧に楽しむには雑談に出てきた映画や俳優も熟知しないとな(笑)


ナチュラル・ボーン・キラーズ (1994/米) 119分





 ハリウッドの異端児クエンティン・タランティーノが原案し、
権利を買い取ったオリバー・ストーンが脚本にも参加し、監督を務めた作品。
 史上最悪の大量殺人鬼としてアメリカ犯罪史にその名を刻む
ミッキー&マロリー。運命的出会いをした二人は愛を誓い合い、
各地で殺害を繰り返しながらルート666を疾走していた。
そんな2人をTVが追って報道、それを見ていた民衆は、
いつしか彼らをヒーローとして崇め奉るようになってゆく…。

 タランティーノ繋がりということで、この映画を拝見しました。
この映画と「トゥルー・ロマンス」の脚本を売って
「レザボア・ドッグス」の制作費が出来たらしいです。
本当は2作品とも、自分で監督したかっただろうなぁ。
最初、題名の意味が判らなかったけど…
生まれつきの殺し屋ってことね。

 ミッキー役のウディ・ハレルソンはよく知らないが凄い役だったなぁ。
あの眼鏡とか、スキンヘッドにした後も異様な存在感。
マロリー役のジュリエット・ルイスは「ギルバート・クレイプ」や
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のあの娘かぁ…
身体細くて華奢で一見薄い顔だけど個性的なキャラが多い。
「バスケット・ボール・ダイアリーズ」にも出ていたのね。
あと有名俳優といったらトミーリー・ジョーンズかな。

 映像が斬新!普通のフィルム映像から、TVの映像、
モノクロのホーム・ムービー、アニメーション、実際のニュース映像、
窓がテレビみたいだったり、断片的に変な映像が流れたり…
隙も無く色んなものを見せようとしてるね。
全編を通して非常にバイオレンスな犯罪ムービーなんだけど
彼らをヒーローのように担ぎ上げるマスコミとファンの人々。
実際に自分たちが殺される立場になったらどうなのよ。
暴力を娯楽として消費してゆく現代アメリカの歪んだカタルシス。
何故か日本人リポーターが出てきて喋ってるのには驚き。

 二人の精神が理解できずに苦しむ。
あのインディアンの時だけ、何故マロリーはああも真人間的反応なんだろ。
ミッキーの態度に怒ってガソスタ行くマロリーは何かかわいい。
二人は何故ああも意気投合してるんだろう。
マロリーの家族を殺す場面は、こっちも妙にスカッときたけど…
後半の展開が読めなくて戸惑いつつも、二人のキャラで想像した。
ウェインがぶちキレちゃう所がおかしいが真理なのかなぁ
ミッキー、お前だって自分本位で行動してるじゃん。
ただ単に、自分達が利用されてるのがむかついただけでしょう。

 冒頭と、刑務所から突然現れた謎のキャラクター。
DVDのもうひとつのエンディングで彼の存在する意味を知った。
あのラストにも家族が遊ぶ未来がブツ切れで入ってるよね。
普通エンディングの方が衝撃作だけど、あのラストの方が好きだな。
やっぱ、許せないもん。そりゃないっしょ。
暴力だけではない、何かが含まれているような作りだけど
私は暴力だけでお腹いっぱいである。嫌いな人は虫唾が走るだろうね。
発想は面白いと思うんだけどね…見せ方も。
いかんせんスピード感あり過ぎて理解という言葉を越えた表現方法だ。
後半、二人の価値観が全く変わっていたら面白かったような…
でもソレだと題名がおかしいか。
これに影響されて勘違いしちゃう馬鹿がいないことを祈る。


パルプ・フィクション (1994/米) 154分






 クエンティン・タランティーノ監督の第2作品目。
その斬新な趣向は喝采を浴び同年のアカデミー脚本賞に輝く。
ジョン・トラボルタ、ブルース・ウィリス、ユマ・サーマン、サミュエル・L・ジャクソン、
ハーヴェイ・カイテル、スティーヴ・ブシュミ、ティム・ロス等、出演者も豪華。
勿論ながら、タランティーノ自身も出演。

 映画の中で複数のエピソードが時間軸バラバラに展開する。
喫茶店で強盗を企てるカップルのパンプキンとハニー・バニー
取引にしくじり、ヘマをした連中に制裁を加えに行くジュールスとヴィンセント
ボスの奥さんの相手を頼まれたヴィンセントの話
八百長試合を仕組まれたボクサーのブッチの話…

 これを最初見た時は正直、ついていけなかった。
麻薬とか危ないプレイとか、下品なセリフとか…高校生の頃に見たっけな。
それからしばらく経って、思いなおして見直すとそんなり心に入ってきた。
くだらない話、妙にツボにくる例え話、役者の喋り方。
かなり血は多く観る映画ではあるけど、何だか平気になってる。
最初は抵抗あってもそういうぶっ飛んだ社会なんだからと思える。
ある意味怖いけどね。この映画を観てる最中はそういうもんだとなる。
トラヴォルタとユマのツイスト・ダンスはイカすよね☆
独特のセンスのある、お洒落だけどぶっ飛んでる映画。
音楽も凝ってて、サントラもかなりオススメ☆

 特に派手な映像はないのに、ここまで心を捉えて離さない。
タラちゃん自身がコーヒー片手に「
俺の家の前に看板があったか?
と話し始めて「やばい…笑えるし」と実感。どんどん、いろんな会話が魅力的に。
脚本が面白い映画って意味をようやく理解した気分だった。
「ファック」という言葉が異常に多いのもタラちゃん映画の特徴?
すぐカッとなって一触即発ムードになるのが好きになった。
ファミレスのシーンから始まってミザルーが流れるのも最高だね!
あのハニー・バニー役のアマンダ・プラマーが
クリストファー・プラマーの娘だと知ると何だかとっても不思議な気分。

 コレクターズ・ボックスを購入しましたとも!
撮影風景とか授賞式とか削除シーンが見れるのでたまんない。
タランティーノのマシンガントークには毎度感服するよ。
こんな映画オタクだから、こんな変な映画ばっかり作れるんだなぁ。
トリビア解説字幕付きで吹き替えで見るのも乙なもの。
本編が結構長いんだけど、その長さを感じさせない面白さ。

 腕時計のエピソードは、リアルだったなぁ。
クリストファー・ウォーケンがいい仕事をしています。
トイレでミーティングするビンセントは結構観てて面白い。
ジェールスの熱論には、何だかよく理解もできないが感心した。
ユマは…顔が怖い。マジでイっちゃってるのかと思った。
黒髪の彼女は凄いミステリアスでエキゾチックで魅力的に感じた。
どう転んだんだか、予想もつかない展開ばかり起こるので楽しめる。
後から時間軸の系列も頭の中でアレコレ考えて、もう1回観るのがいいかと。
ていうか、はまったら何回でも観ちゃうでしょ!!


プラネット・テラー in グラインドハウス (2007/米) 105分










 B級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映する映画館“グラインドハウス”
タランティーノ監督と盟友ロドリゲス監督がそれぞれの作品を担当し共同制作。
2本立てムービー「グラインドハウス」のうちのロドリゲス版で、
独立した1本の作品として再編集されたディレクターズ・カット完全版。

 謎の化学兵器でゾンビと化した感染者が溢れかえる田舎町を舞台に、
ゾンビに片脚を奪われたセクシー・ヒロインの怒りの“片脚マシンガン”が炸裂する
近未来エロティック・バイオレンス・アクション・ホラー。
主演は「ブラック・ダリア」のローズ・マッゴーワン。
この映画の縁あってかロドリゲス監督は妻と離婚し彼女と交際しているとか。
なお日本での上映に際しては、本編前にダニー・トレホが主演する
架空のアクション映画「マチェーテ」の予告編も上映される。

 「ポセイドン」「ボビー」のフレディ・ロドリゲス、
「ターミネーター」「アビス」のマイケル・ビーン、
「ホワイトハンター、ブラックハート」のジェフ・フェイヒー、
「ビー・クール」「ポセイドン」のブラック・アイド・ピースのボーカル・ファーギー、
「アップダウン・ガールズ」「シン・シティ」のマーリー・シェルトン、
「グーニーズ」「インビジブル」のジョシュ・ブローリン、
米人気ドラマ「LOST」のサイード役でお馴染みナヴィーン・アンドリュース、
ゾンビ映画常連俳優であり、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」で
かの有名なセックス・マシーンを演じたトム・サヴィーニも出演!
「シン・シティ」からの縁か、ノーギャラで特別出演のブルース・ウィリス。
そしてタランティーノ監督が一般ゾンビ&謎の軍の隊員役で特別出演。
劇中登場する子供は監督の実子だそうです。

 テキサスの田舎町。軍事基地で謎の生物化学兵器が流出・拡散、
そのガスを浴びた人々が次々と凶暴なゾンビへ姿を変えていく。
一方、ゴーゴーダンサーをしていたチェリー(ローズ)は、
元彼エル・レイ(フレディ)と車で事故に遭い、
ゾンビ化した人間に右脚を喰いちぎられてしまう。
病院では体調不良を訴える駆け込み患者が後をたたず、
恋人とこっそり逃げようとしていた女医のダコタ(マーリー)は
旦那(ジョシュ)に計画がバレて絶対絶命の危機に…

 タラ通好みのストライクゾーンが狭いデスプルよりもこっちの方が
全編娯楽ゾンビ映画と化してまして、自分的には文句なしに楽しめました。
視覚的にも飽きがなく、こういうの平気な人なら十中八九ハマるかと。
グロ度が思ったより凄くて、気持ち悪い、痛そう、生々しい描写もあり、
でも妙な遊びゴコロも詰まってて、ブラックユーモア炸裂です。
女医さん役やってたマーリー・シュルトンは「シン・シティ」の冒頭で
ジョシュ・ハートネットと絡んでた女性なんですが、
このプラテラの凄い形相が今でも頭の中にこびりついてます。

 あらゆるゾンビ映画を観てきた!とまではいかないけどゾンビ映画は
今まで10本以上は観てきた私としては今までで一番過激で
エキサイティングだったような。色々詰まってました。
死にそうなキャラが死ななかったり、死ななそうなキャラが死んだり。
前半のパニックになってく様も、後半の展開も燃えっぱなし!

 主演の片足銃の彼女を演じてるローズ・マッゴーワンて人は
初めて観たかな。彼女は「デス・プルーフ」にも別の役で登場。
デス・プルーフの方では金髪で全くイメージが違う!
歩き辛そうだけど戦ったら強いぜ!もっと戦ってるシーン見ていたかった。
プエルトリコ系らしい主役級の超人君はフレディ・ロドリゲス。
どっかで聞いた名前だなーと思ったら「ポセイドン」のマギー真司君だったのね。
彼のアクションシーンに痺れたね。またじっくり観たい。
二人のSEXシーンからフィルム消失。次のシーンでは店が火事に…
粋な演出ではぐらかされてしまったが、真面目に撮るには照れがあったのか?
映画の流れ的に安全ラインにいるはずの子供とワンコはあっさり自爆。
双子や支配人など、死んでも大してかまわんキャラは生き残る。
エル・レイが死んじゃうのは王道ながらも哀しかった〜格好良かったもん!
ブルース・ウィリスは説明するだけしてアッサリと死亡してしまったね。
傷口の化膿やブクブク、アソコがタラーンと気持ち悪いし、
ゾンビたちの身体の破裂具合がド派手過ぎて顔をしかめながら見る。
指かまれた警官や血をソースと一緒に舐めちゃったおっさんが
いつゾンビ化するのかと思ったら最後までしなかった…。
生き残った主要メンバーたちはガス吸ってもゾンビ化しない特殊体質なのね。
…で、彼らを調べれば治療薬出来るはずだったんだけど科学者即死(笑)
最終的には世界はゾンビに滅ぼされチェリーたち生き残りが
死守するサンクチュアリが創られ、故レイとの間に生まれた娘を守り、
勇ましく彼女はこれからも戦っていくのだ…弾切れ大丈夫か心配だけど。


 タラちゃんの演じた役はやっぱり変態さんでした。
「うわ、本人メチャクチャ楽しんで演じてそうだな」てほくそえんで観てました。
ゾンビ役ではファーギーに歯型が残るほど噛み付いたとか。見逃した!
ストリップダンサー、運動神経抜群な謎の解体屋、神経質な保安官、
ドジな警官、注射器を足に隠し持つ女医、サイコなその夫の医師、
その女医の愛人、その女医の幼い息子、女医の父親の変な警官、
ベビーシッターの双子、役立たずな劇場支配人、
隠しレシピにこだわる料理店のオヤジ、そこで飼われてるワンコ、
凄いものを収集してるマッドな生体科学者、謎の軍隊、登場人物たちが
どれも魅力的で、映画には描写されない様々な過去がありそうで、
奥行きがあるバリエーションで面白い。

 総合的に私はデス・プルーフよりもプラネット・テラーを推します。
デスプルも、そのうちどんどん評価上がるかもしれないけど。
製作者側が一生懸命楽しんで作っているのが浮かぶようで、
気持ちがいいんだよね。ロドリゲス監督バンザイ!!!
恐くないゾンビ映画だから、そこらへん割り切って下さい。
展開といい、終わり方といい、このぶっ飛び具合が最高だね!
言わずもがな「フロム・ダスク・ティル・ドーン」好きならハズレないはず。
日本での興行成績ではデスプルの方が上みたいだけど、
明らかにこちらの方がウケやすいと思うんだけどなぁ。


フロム・ダスク・ティル・ドーン (1996/米) 109分


ロバート・ロドリゲス監督、脚本クエンティン・タランティーノの夢の合作。
ハーヴェイ・カイテル、ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、
ジュリエット・ルイス、サルマ・ハエック、チーチ・マリン、ダニー・トレホ…
ロドリゲス作品に欠かせない脇を固める俳優も。

 弟リッチーの手助けで刑務所から脱走したセス・ゲッコー。
ゲッコー兄弟は銀行強盗ののち、国境を越えメキシコを目指す。
モーテルでたまたま居合わせた親子を無理矢理同行させ
国境を無事に越え、待ち合わせの酒場で一息つくが…

 凄い映画を観てしまった。
犯罪バイオレンスアクションものとホラーを一色だにしてしまうとは!
映画の雰囲気もある地点からガラッと変わるので見物。
ジョージ・クルーニーはこの映画だけは超格好いいと思う。
首まで伸びた刺青が何気にセクシー。
あんまり似てない兄弟だこと…でも絆みたいなものがあって意味深。
タランティーノがあそこまで真に迫ったクレイジーな役所をこなすのも凄い。
もしかして本質?かなりリアル感あったわ。
実際にああいう短気で妄想壁で危ない奴はああいう風体をしてそうだ。
ハーヴェイ・カイテルもよくあんな役をやったもんだ…真面目に。

 冒頭のシーンのああいうビックリ演出が好きだ。
しかし残酷なシーンやエグイ映像てんこ盛りなんだけど
怖い、というより…何だろう。どこかおふざけ空気が漂ってるんだよね。
俺達B級路線まっしぐらだぜ!どうだ文句あるか!!ってイメージ
でもこの映画は斬新だし自分の中では傑作だと思う。
続編は滅茶苦茶評判悪いので観ていません。
ゲッコーのその後の話じゃなさそうだし…
見たいと思っても大抵のレンタル店には置いてないしね。
でもメイキング付きのDVD−BOXが凄い気になる!!
ロドリゲスファンなら買うべきか?!


野獣死すべし (1980/日) 118分


 ハードボイルド作家大藪春彦の同名小説を映画化。
遊戯シリーズのコンビ、村川透監督、松田優作主演。
共演に小林麻美、室田日出男、風間杜夫、鹿賀丈史、根岸季衣、
岩城滉一、泉谷しげる、安岡力也、阿藤海、角川春樹。

 伊達邦彦は、通信社のカメラマンとして世界各国の戦場を渡り歩き、
帰国して退社した今、翻訳の仕事をしながら静かな日々を送っていた。
しかし彼の胸には野獣が宿り、内に秘めた凶暴性は彼を凶行へ走らせた。
ヤクザを闇討ちし拳銃を奪い、ある銀行に強盗に押し入ろうと計画を立て、
偶然同窓会でウェイターをしていた真田を仲間に引き入れるのだった…

 うーん…私には『蘇える金狼』の方が好みかな。
どちらも、結構似てるんだけどね。金目当てで平気で危険に飛び込む優作。
ザッと見所は凄い顔ぶれの同窓会と、優作の弟子役になる若い鹿賀丈史。
あとは…二人のヒロインの扱いと優作のキレた演技ですかね。
ラストシーンは色々と物議を醸し出したようで…
死んだと思っていた刑事が現れて焦って外に出たら、銃で撃たれたようになって
そのうち倒れて息絶えて…画面はどんどん遠ざかっていく…エンド。
実際に刑事が助かってて警官隊に取り囲まれて撃たれたが、
雰囲気的に警官隊の姿と血を一切見せない終わり方にした…か、
死んだ刑事の霊を見た伊達が発狂して精神的に撃たれて死んだ…か。
後者の方が伊達が戦争のショックを呼び覚まし暴れたことからも
大いなる皮肉としてドラマチックになりますね。

この頃は流行ってたハードボイルド。最近では観なくなりましたね。
今こういうの作っても人が入らなそうだし、演じる役者もそういない。
凄みのある恐さを出せる若手実力派俳優よ、後に続け!


レイヤー・ケーキ (2004/英) 105分




 英国の裏社会を舞台にしたスタイリッシュな群像クライム・サスペンス。
主演は、ピアース・ブロスナンの後を引き継ぎ、
6代目ジェームズ・ボンドに抜擢され注目を集めるダニエル・クレイグ。
共演の端役に「パフューム ある人殺しの物語」で主演を務めて有名になった
ベン・ウィショーもいる。(彼は他の作品でも度々ダニエルと共演。)
監督は、「スナッチ」のプロデューサー、マシュー・ヴォーン。今作が監督デビュー作。

 麻薬ディーラーとしてロンドンの裏社会を着実に駆け上ってきた一人の男。
好調なうちに引退しようとした矢先、ボスのジミーから新たな仕事を任される。
大物エディの失踪した娘を探し出すことと、ギャングのデュークが手に入れた
大量のエクスタシーを売り捌くというもの。どちらも簡単に片づくと思いきや、
エディの娘はなかなか見つからず、エクスタシーは出処が訳ありだった為、
男は取引にも八方塞、殺し屋に狙われるハメになってしまう…

 最初は興味なかったんだけど、評判が良いから鑑賞。
イギリス映画らしく、派手な演出は一切ないギャング映画みたいな感じ。
麻薬ディーラーだからマフィアじゃない、とはいっても世界は似通ってる。
この映画では007やってないんだけど、007っぽいショットが出てきてニヤリ。
登場してくる人物が多く、名前と顔と所属を覚えるのに少し困る。
J・J・コノリーの原作はもう少し事態が複雑なようだ。
イギリスの建物を楽しみながら、主人公がどう立ち回るのかを楽しむ。
殺し屋を始末する殺し屋を用意したものの、アッサリ返り討ちに遭ったり、
予定してた大金が貰えず、大損になる所が予め保険をかけておいたり、
「おっそうきたか」な展開があって、まぁまぁ面白かった。
結局、捜すはずだった娘はどこかで見つかって施設入り…何だかなぁ。
ベンが演じたシドニー君は端役だけど最後、おいしい所を持ってくね。
「俺の名前?それが判れば君は俺以上にキレ者だ…」な〜んて
格好よく映画を〆ようとしていた所に思わぬ伏兵!
原作者は続編も書くつもりらしいので主人公の生死は曖昧にしたとか。

「ギャングスター・ナンバー1」でも思ったけど、イギリス人ってスーツが似合うね。
シャツから浮き出る肉体の輪郭とかも、溜息もん。スタイルいいなぁ。
DVDには未公開シーンともうひとつのエンディングもあるので見逃さずに。
もっと軽めな作品だと思ってたけど、結構へヴィーでした。でも嫌いじゃない。


レザボアドッグス (1991/米) 100分










 クエンティン・タランティーノ監督の衝撃のデビュー作。
彼がレンタル屋で働いてる最中にアイディアが浮かんで作られたとか…
主演のハーヴェイ・カイテルがこの脚本を読んで気に入り、
主演をつとめることで製作資金を援助したんだとか。
共演にティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシュミ
クリストファー・ペン、ローレンス・ティアニー、監督のタラも出演。

 宝石店を襲った強盗団一味が、待機していた警察官に出くわし
仲間は数人殺され、命からがら逃げて秘密のアジトにたどり着いた彼らは
仲間の中に、警察の犬が混じっていると言い出す…

 強盗団のメンバーが皆ミスターホワイト、ミスターオレンジなど
色の名前で呼ばれているのが、ちょっとおかしくて良かった。
本名を知ったらお互いの為じゃないからか。
メンバーが朝食をとりながらくだらない話を真剣にしてるとこから始まり
タイトルが出たと思ったらいきなりやばい場面。
これ観てティム・ロスって凄くない?!とその演技に感心した。
ハーヴェイ・カイテルの渋さにもやられた。
スティーヴ・ブシュミって本当にいかにもな小悪党な顔してるね。ナイス!
後にキルビルに出てきたバド役のマイケル・ハドセンが観れて
きっとバドも現役時代はこういう風に…と思った。

 たびたび回想に入って、ちょっとよくわからない会話も多かった。
だけど2回目からはよく分かった。2回目から活きてくるんだな。
この映画は1回観ただけじゃ良さが表れないと思う。
宝石店を強盗したというシーンも実際は映らないから
各キャラの発言を聞いて、強盗現場を想像する。
マドンナの歌の歌詞内容についての討論とか
ラジオの選曲話とか、現地の人なら分かる笑いも多かったろうな。きっと。
一般受けも考えると「パルプ・フィクション」の方が華やかで面白いんだけど、
私はコレも甲乙付け難く気に入っている。
友人にも大いに勧めたい一品なんだけど、癖の強い作品だから評価が割れそう。

 ラストは
驚愕…あぁ〜!!って思っちゃったけど
彼の心境になったら、そうせずにはいられなかったのかな…二人とも

こんなに後引くストーリーを低予算で作れるなんてな。
役者の名演技の賜物だろうけど…とにかく凄い作品。
この映画の後、出演者たちがどんどん出世していったので
今では凄い豪華キャストなのです。今じゃ集めるの大変だろうな。
レンタルしたんだけど、あとから未公開シーンや特典映像が気になって
スペシャルエディションを購入してしまいました。

 ティム・ロスがイギリス人だってこの時知ったよ。
…そういえばどことなくそういう顔だ。彼のイギリスでの作品も気になった。
イギリス英語とアメリカ英語は発音が違うので、色々苦労したらしい。
タランティーノとのエピソードとかも語ってて、仲良いんだなぁって。
インタビューのマイケル・ハドセンに笑った。面白い人だね。
いつまでも飽きないであろう作品になるよな。きっと。

 タラちゃんワールドって共通しているんだろうな。
この世界ではギャングがガレージで仲間割れしたり、マンション乗り込んで
聖書読んで銃ぶっ放したり、はたまた田舎の教会で虐殺事件が起こったり…
実際に、レザボアで名前の挙がった“マーセルス”や“看護婦のボニー”は
「パルプフィクション」にも居たし、パルプのジュールスが後に、
「KILL BILL」の教会のピアノ弾きになったって線も考えられる。
“アラバマ”は「トゥルー・ロマンス」に出てくる女性と同一人物で、
“スカグネティ”は「ナチュラル・ボーン・キラーズ」に出てくる。
なかなか作品作らないけど、その分次が楽しみだ。


わらの犬 (1971/米) 117分


 かなり古い映画。主演は若りし日のダスティン・ホフマン
イギリスの田舎町に引っ越してきた数学者の夫婦。
地元民に小馬鹿にされたり周囲の仕打ちにも無抵抗主義を貫く。
しかし、とある事件に巻き込まれたことをきっかけに
その怒りを爆発させる…

何か眼鏡かけてもさい感じの学者の役なんだけど
凄いウッチャンとかぶって見えたのは何故??
とてもレインマンの人とは思えなかった。

 奥さんがレイプされてしまうんだけど、それまでに奥さん挑発し過ぎ。
ブラつけないでセーター着るし、平気で裸で窓通るし
奥さんは少なくともあの元彼氏には好意的だったと思う。
なりゆき上かもしれないけど、少なからず寂しかった彼女は
彼に甘えてしまったかのようにも写る。
夫婦共に、人間の心の闇を体現していたということなのかな?

自宅で仕事する人間にとって奥さんの構ってチャンは困るだろうなと思った。
毎日が休日のようで、自分で仕事する時間、趣味に費やす時間、
妻と過ごす時間…生活を自己管理しなきゃいけないってのにいつも構って×2
ペットの犬みたい…と思った。

 ラスト近くの闘争は凄かった。
普段おとなしい人間を怒らせるとこうも極端に恐い、という映画。
しかしこの男の沸点があまり理解できない。
何でそんなにむきになってるんだ?!と思ったけど…
最後の台詞は印象深かった。



ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版 (1984/米) 227分





 マカロニ・ウェスタンの巨匠セルジオ・レオーネ監督の遺作となった映画。
劇場公開版より約30分未公開シーンが追加された完全版。
出演はロバート・デニーロ、ジェームズ・ウッズ、
エリザベス・マクガヴァン。(彼女の少女時代をジェニファー・コネリーが演じる)
エンニオ・モリコーネの音楽が哀愁を誘う。

 1920年代初頭ニューヨーク。
貧困街に住むユダヤ系移民の少年ヌードルスたちは小さな盗みを働く日々。
新しく街にやって来たマックスと知り合い、禁酒法の目を掻い潜り、
密輸の手伝いをすることで稼ぎも上がり、マフィアにのし上がっていった。
数年後、危険の大きい仕事に手を出すと言い出したマックスに
ヌードルスは、長年の親友に残酷な決断をさざるをえなかった。

 名作の部類に入る、有名な映画だったので借りて見ました。
…長かった…雰囲気重視の映画ですね。ちょっと苦手な映画でした。
ロバート・デニーロの頬のほくろ…アレが気になって仕方なかった。
あのほくろは特徴的だけど、なんていうかムサさも演出してるよな。
少年時代の話の方がわかり易くて見やすかった。
ジェニファー・コネリーが可愛いのな。成長したらアリャだけど。
冒頭の長い電話のコールにイライラしてしまったのは私だけでしょうか?
最初は状況掴めなくて、展開についていくのが困難だった。

 
駅で切符買った後、急にデニーロの髪が白くなるから
てっきり追っ手を撒く為に変装したのかな?なんて…時間飛んだのね。
あの恋人を撃ち殺した追っ手たちはその後どうなったんだ?ん?
何処か見落としたかな?後で感想サイト回ってようやく理解出来た。

マックスの顔観てるとどことなく中井貴一を連想してしまった。
ジャケットにもなってるあの風景は綺麗でしたね。
その後、映画ではあんな展開が待っているとは。
一番背が低く幼い彼が問答無用に殺されてちょっとショックだった。
ヌードルス、警官まで刺さなければ正当防衛で済んだんじゃ?
ケーキでヤラせてくれる彼女が太った娼婦になっていた…。
彼が抜けていた分も、仕事の報酬を分けてくれる仲間たちはイイ奴らだな。
ヌードルスのラストの笑みの解釈は…
@仲間を助ける為に仲間を売って、結局見殺しにしてしまった…罪悪感
A実はお前等に付いてくのが苦痛だったんだよ…アハ
B何たる皮肉…もう人生、どうにでもなれ。
う〜ん、他にも色々説があるけど、きちんと見れなかったような。
少年時代からずっと憧れていた女性を強姦してしまうシーンは胸が痛い。
金を受け取らなかった運転手は憤っていたんだろうが、阻止までしなかった。

細かい表現方法などコアな映画ファンには絶賛の嵐のようですが、
テンポが遅く、いやにノスタルジックで長いし全体的に見やすくはない。
個人的には「ゴッド・ファーザー」系の方が好きです。




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