管理人NEROが映画について語ります。

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I am Sam アイ・アム・サム (2001/米) 133分






 知的年齢が7歳のため一人で娘を養育するのは不可能だとして
ソーシャルワーカーによって愛娘と引き離されてしまった父親が、
娘を取り戻すために敏腕女性弁護士とともに
勝ち目の低い法廷闘争に挑む姿を描いた感動作。
知的障害者という難役を演じきり、アカデミー主演男優賞にノミネートされた
ショーン・ペンはもちろんのこと、娘役を演じたダコタ・ファニングの演技も
各方面で絶賛された。また、劇中では、シェリル・クロウ、エイミー・マンら
有名アーティストによるビートルズ・ナンバーのカヴァーが使用されている。

 知的障害のために7歳の知能しか持たない父親サムは、
スターバックスで働きながら一人で愛娘ルーシーを育てていた。
妻はルーシーを生むとすぐに姿を消してしまったが、
二人は理解ある人々に囲まれ幸せに暮らしている。
しかし、ルーシーが7歳になる頃にはその知能は父親を超えようとしていた。
そんなある日、サムは家庭訪問に来たソーシャルワーカーによって
養育能力なしと判断され、ルーシーを奪われてしまう。
ルーシーを取り戻したいサムは、敏腕で知られる女性弁護士リタのもとを訪ねるが、サムにリタを雇うお金などあるわけもなくあっさり断られてしまう…

 しまった…『ミスティック・リバー』観る前に見るべきだった。
ショーン・ペンがどうしても邪悪に見えてしまう。
知的障害者の役でアカデミー主演男優賞ノミネートだけど
『レインマン』のダスティン・ホフマンの猿真似に見える。
共演した知的障害者役の人たちの方がリアルに感じた。
こんな卑屈なこと思うなんて、私は多分ショーン・ペン嫌いなんだろな。
でも終盤、折り紙の壁から見えるサムの瞳は綺麗だった。

 ダコタはこれで有名になったよう。『アイアムサムの子』ってよく言われてる。
この頃のダコタは天使のように可愛い。混じり毛無いブロンドの髪が綺麗。
現在では、目の下の影が少し気になる…
ルーシーの名をつけたのも、サムがビートルズの大ファンだったから。
サムお得意のビートルズの話もよく出てくる。
BGMにビートルズの曲がいっぱい流れて嬉しかったんだけど
出来ればカヴァーじゃなく原曲が良かった。

 敏腕の女性弁護士役にミシェル・ファイファー。
ずっとジュリアン・ムーアだと思って観てたよ…似てない?
彼女も息子を持ってて、どう接していいのか判らず悩んでいる。
サムと接することで、この親子の絆も深まっていくんだけど、
私としてはこっちの交流の方が興味があった。
行き詰って本音をぶちまけるシーンとか、こっちの方に感情移入してた。
「辛いのはあなただけじゃないのよ!!」その通り。

 スターバックスで働いているの観るのはちょっと楽しかった。
これ観たらまた行きたくなってきた〜キャラメルフラペチーノ…
やっぱりドジを踏むサム…犬の散歩でも何故かハラハラしてしまった。
子供なだけに無茶ばかりするルーシーもね。
何だかだんだん、里親が可愛そうにもなった。
裁判のシーンで色んな議論が飛ぶ。子育てに最も必要なのは何か。
忍耐と、子供の話をよく聴くこと、不変であること、愛すること…
不利に見えた裁判に勝利する図を期待していたけど、映らなかった。
あのむかつく髭男を負かすシーンが見たかった…

 ラストは肩透かしを食らった気分。ま、いいんだけどさ。
泣けるヒューマンドラマっていう売り文句がよくない。
泣き所を無意識に捜してしまうし、映画商売みたいであざとい。
そんなに長くないんだけど、長さを感じる映画だった。
子供出産して即トンズラするなんて…あんな親っているのかよ!
ソーシャルワーカーの言わんとしてる事も判るんだよね。
愛情だけ注いでも良い人間になるとも限らない。
でも〆は一番良いまとまり方ではあったと思う。


アイ・アム・レジェンド (2007/米) 100分








 リチャード・マシスンの古典小説をウィル・スミス主演で映画化。
邦題「地球最後の男」として過去に二度、映画化されている。
監督は「コンスタンティン」のフランシス・ローレンス。
2012年、ニューヨーク。ガンを完全に治す新薬が発明された。
しかし、その3年後…ニューヨークは廃墟と化し、
一人生き残った男、ロバート・ネビルは愛犬のサムと共に、
何処かにいるかもしれない生存者を捜しながら、夜になると現れる“何か”を恐れ、
人類を救済できる最後の希望である、ワクチンの研究をしていた…

 劇場で鑑賞。結構厳しい意見が多いこの映画ですが、
私は凄いハラハラさせてもらったし、無人で荒れ果てたニューヨークは見ごたえあるし、
色々と隠れたドラマや解釈がありそうなテーマに夢中になりました。
切ないやりきれなさもあって、よく出来てたかと。現実として起こりえそうだし。
全体的なストーリーに多少の矛盾はあるが、深読みして想像する楽しみがあるかな。
でも批難する人の気持ちも、まぁ分かる。仕方ない。
「CMに騙された!こんなジャンルって聞いてない!」「原作はもっと素晴らしい!」
「この展開はないわ!」「キャラの行動理念が…」「感染者の描写が…」
「結局あのラストって…」って所でしょうかね。作品としての不完全さも感じます。

 あの感染者たち、ダークシーカーは原作では吸血鬼の設定らしいですね。
変にCGを多用せず、特殊メイクをした人間を使って欲しかったな。
物語の勢いを殺さない程度に、あの混乱から、どんどん周りの軍人も
感染したりDSに殺されたりして徐々に孤独になってくネビルも見てみたかった。
サムを追ってビルに侵入する時の緊迫感は凄かった。
よく入っていけるよな…でも、それだけ大事な相棒だものな…
軍の戦闘機の上でゴルフやってたけど、あのジェット機運転できるのかな?
出来るなら、他の都市を観に行ってみるとかしないのかな。
バスタブで眠りにつく際、外で聞こえるDSの叫び声とかも(((;゚Д゚)))ガクブル
サム…いや、サマンサ。あの子の言いつけ通りにネビルを守って死んだね(ノД`)
罠にはまったくだりから予想はついたが、いざ見せられると辛いシーンでした。
その後、絶望し自殺覚悟だったネビルを助け、急に現れた生存者。
あの二人がよくなかった。子供は特に喋らない可愛くないし、女は神神言うし。
あんなのが相棒の死んだ次の日にいきなり現れたら、やりきれないよ。
あと、シュレックとボブ・マーリーを宣伝し過ぎ。w
どんどん知能が衰えていると思わせといて、実は罠を張る周到さを持ち、
捕えた女DSにワクチンが効いたっていうのに、DSに人の感情が残っていたのか?
な意味深さを残しておきながら、自爆ドッカーン!非常に残念でした。
紫外線をあの研究室いっぱいに放射する装置を作っておけば良かったのに。
しかしまぁ、ワクチン出来てもあいつらに打ってくの大変だろうなぁ。

もっと濃いこと描ける凄い元ネタがあるのに、100分は短かったよ。

 この映画の感染者たち、素早いし強すぎるよね。新ドーンの連中よりも恐い怖い。
あんな飛んだり跳ねたり、防弾ガラス頭突きで壊したり、あれには勝てない!
イギリス製作の「28日後…」が好きな人なんかは、この映画も気に入るかと思う。
あまり期待してなかったせいか、かなり好印象でした。
もともと、こういう終末世界の話が好きだからかもだけど。
この映画は前半の雰囲気と後半の展開が質が違うので、
そこらへんの切り替えも気に入る人、気に入らない人、いるとみた。
確かに終わり方は、もうちょっと頑張れたでしょとは思う。
上映時間100分くらいと、ちょっと短め。編集の段階で色々カットされたらしい。
結末も、あとから変更して撮り直したという噂。DVDになったら観れるかな?
でも充分、私的合格点には達してたかな。80点くらい。
いやーしかし映画館で観たからか、かなり臨場感味わいました。
終わった後、夜が近づいてきて外出する時、闇がちょっと恐かった。


アイズ・ワイズ・シャット (1999/米) 194分


 かのスタンリー・キューブリックの遺作となった作品です。
はっきり言って宣伝に騙されていました。
トム・クルーズとニコール・キッドマンが裸でいちゃつく映画かと…
でもキューブリック監督だから、そこはまたひと味もふた味も違いました。
衝撃的で異色な忘れられない作品になりそうです。

 ニューヨークに住む医師ウィリアム・ハーフォードとその妻アリス
ふとしたことで妻から性への欲望を赤裸々に告白された夫は
嫉妬と葛藤から夜を彷徨い歩き、危険な冒険をしてしまう…
行きずりの女性の部屋を訪れて金を払って寝ようとしたり
知人のピアニストが目隠しをされてとある秘密のパーティーに行くと知り
乗り込んだそこは、仮面の乱交パーティーだった…

 冒頭から、美男美女ぶりに見とれてしまいました。
ふたりとも別れてしまったのが実に勿体ない…
でもトムってやっぱ背が低いね。二コールの方が若干高いような。
トムと二コールの丁寧で真に迫った演技には驚かされました。
監督と3年間も一緒になってこの作品を作った賜物でしょうね。
 観ているうちに、どんどんストーリーに引き込まれ
謎が謎を呼び、興味は深まるばかり。
常人の知らない未知の世界を垣間見てしまった夫はどうなってしまうんだ?
あの女性は?アパートの子は?貸衣装屋の娘は?
ラストの〆セリフがこの映画のすべてを語るのか?

 この映画のテーマは…ちょっとでも足を踏み外せば
この社会には異形の世界が広がっている。
あの時の電話に出なければ?そのままアパートで続けていればどうなったのか
あのパーティーであの女性がいなかったら?
留まるところ、女は強いね。
妻の助言で何とか救われたような気がしてホッとした。

 特典で二人が故キューブリック監督のことを語っていて
目頭が熱くなっていたり、涙を流したりしてる二人を観て
でつくづく惜しい人を亡くしたんだなと実感した。
キューブリックの作る映画の世界観は芸術的だと思う。
部屋と色の妙な統一感や流れる音楽、それによって加わるムードと緊迫感
映画館に行かずして、心の中すべでが夢中になり、他の事は一時的に吹っ飛び
映画に吸い込まれるような感覚が味わえる映画はそう少ない。
終わったあと、こんなに時間が経っていたのかと驚いた。


アイデンティティー (2003/米) 90分


 キャストはジョン・キューザック(女優の運転手エド)、レベッカ・デモーネイ(女優)、
レイ・オリッタ(囚人を連れて来た警察官)、ジェイク・ビューシイ(囚人)、
アマンダ・ピート(娼婦)、ジョン・ホークス(モーテル管理人)、
クレア・デュバル(カップルの女)、ウィリアム・リー・スコット(カップルの男)、
ジョン・C・マッギンレー(家族連れの夫)、レイラ・ケンズル(家族連れの妻)、
ブレット・ローア(家族連れの子供)、アルフレッド・モリナ(医師)。
監督は「17歳のカルテ」「ニューヨークの恋人」のジェームズ・マンゴールド。
巧みなストーリー展開と驚きの結末が評判となり全米でスマッシュ・ヒットを記録。

 ある大雨の夜。エドは誤って家族連れの奥さんを轢いてしまい、
近くにあったモーテルに駆け込んだ。そこには管理人ひとり。電話も通じない。
雨の影響で道路も通れなくなり、次々に娼婦、カップル、囚人連れの警官が
モーテルに避難。偶然集まった11人が次々と殺されていくことに…

 前々から気になっていた作品。
面白かった!そう来たか!!と。…ある意味、それってアリ〜?なんだけど。
新鮮でしたね。アイディア勝負。でもコレ、題名が軽くネタバレかもしれない。
大雨で、モーテル。そう、まるでヒッチコックの「サイコ」を連想させる。
ミステリー系なので、観客は最初のうちから隠れたヒントを見落とさないようにする。
でも、私は見事に騙されました。あの伏線は囮だったのか!!
鍵のナンバーが何故…な疑問も、部屋のプレートが6から9になるのも、
大した意味ではなかったんですね。いやはや、あんな少年を真犯人に持ってくるとは。
しかしそれも、すべては精神世界の人格同士にしてしまえば何でもあり。
人格統合の治療といってますが、ティミーは治療に協力してるんですな。
人殺したのが別の人格だからって…とか、じゃあ主人格は何処?とか
その治療法はおかしくない?などツッコミ所もあるんですけど、
夢オチならぬ精神世界オチってのが素晴らしく感じましたね。

冒頭の、皆がモーテルに集まるキッカケも連鎖してて良かった。
最初から最後までひきつけられっぱなしで面白い映画でした。
ただ、変な詩や医者が集まる云々の場面は少々退屈だったなぁ。
ジョン・キューザック演じる正義漢ある男エドはなかなかやってくれました。
彼女を残せば…と思い相打ちになったものの、真の敵は他にいたと。
皮肉な結末も私好みで
ニヤリとさせていただきました。
後半の展開に憤ることがなければ、凄く見ごたえのある凝った作品です。


アイランド (2005/米) 136分


 「アルマゲドン」のマイケル・ベイ監督が放つ近未来アクション巨編。
主演は「トレインスポッティング」のユアン・マクレガーと
「ロスト・イン・トランスレーション」のスカーレット・ヨハンソン。
共演には「レザボア・ドッグス」「デスペラード」でお馴染みスティーヴ・ブシュミ
「ロード・オブ・ザ・リング」「ナショナル・トレジャー」のショーン・ビーン
「コンスタンティン」のジャイモン・フンスー(パパ・ミッドナイト役)、
「グリーン・マイル」のマイケル・クラーク・ダンカン(ジョン・コーフィー役)…

 近未来。大気汚染から守られ、生き残った人類は
管理の行き届いた安全で快適なコミュニティで暮らしていた。
住人にとっての夢は、地上最後の楽園といわれる“アイランド”へ行くこと。
そしてその抽選会が毎日のように行なわれていた。
だがある日、リンカーンは換気口から入ってきた一匹の蛾を見て、疑念を抱く。
外の世界は本当に大気汚染されているのか?やがて独自に調査を進めるうち、
自分たちはある巨大企業の商売上生み出された存在であり、
契約を結んだクライアントへ臓器を提供するために生かされているクローンで、
“アイランド行き”の名の下に臓器を摘出される、という事実を知ってしまう…

 映画館で鑑賞。映画館向きだなとは思った。
二人が駆け出した荒野の広大さはスクリーンで凄い栄えてた。
あのシーンが好き。音楽も雰囲気を盛り上げる。
「アイ,ロボット」や「ガタカ」「A.I」といったSF作品を適度に混ぜて
物語的にはもう語り尽くされたような題材を扱っているんだけれど
これは新鮮に楽しめてしまった。時間も長めだけど、気にならなかった。
ユアン・マクレガーが益々好きになってきた。彼の笑顔が良い!
無邪気な感じがよく出てた。格好良いな…しかし。
やはり老けてはきたけど、まだまだ大きくなっていきそう…
スカーレット・ヨハンソンがあまり我が強いキャラじゃなかったなぁ。
あの武器は恐い!!って思ったけど;
ブシュミさんを劇場で観たのは久しぶりでした。好いわ〜あの声あのキャラ(笑)
何だかんだ言ったって…
良い人だったのに、可哀想

 映画宣伝の時点でほぼネタバレしてるので、展開もほどよく読めるんだが
それはそれとして、楽しめたね。二人のユアンの絡みも笑えた。
深刻なテーマを扱っているんだけど、あくまでシンプルな展開。
全部真面目じゃない作りが好感持てた。
ヘビ、初めて知る言葉、夜の趣味、キス、童貞…クスッとしてしまうシーン。
生まれて施設だけで育ち、性的な本能は省かれて生きてきたんだもんな。
キャッチコピーのピュアな魂とはそういう意味か。
X-BoxにMSNサーチとか、見覚えのあるメーカーが…

 最近クローン技術が進んで犬のクローンに成功したとかあったし
臓器や何かを移植したい人にとっては、そりゃああいう商売が出来るのも納得。
代理母のシーンが凄い残酷に映ったね…惨い。
何も知らずに“アイランド”生きを心待ちにしてるあそこの人たちを見てて
監視員は何の情も浮かばないのだろうか。
コピーとか言われても、自我がある以上関係ないもの。
ショーン・ビーンって悪役が多いねぇ〜そんな悪顔かなぁ

 この監督の映画「パール・ハーバー」とかは嫌いなんだけど
この映画は普通に楽しんで観れた。映像も美しいと息を呑む場面が。
アクションシーンが結構多くて視覚的にも退屈しなかった。
カーチェイスのシーンは迫力あったし…
あのバイクの音がスター・ウォーズのスピーダーを連想させた。
この映画で巻き添え食らった一般人たち凄い多そう。
奇跡的に助かり過ぎてリアルじゃなかったけど。彼女は無傷だし…強運だ。
冷静に考えると典型的王道なパターンにも関わらずワクワクして観てた。
あぁ〜楽しかった!!暇を潰すには丁度良い感じ。
俳優があの人たちじゃなかったら、見なかったな。キャラ萌え。


アイリーン 「モンスター」と呼ばれた女 (2003/米・英) 90分


 アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯として人々を震撼させた
アイリーン・ウォーノスの真実の姿に迫るドキュメント。
事件後、逮捕されたアイリーンは当初すべての殺人を正当防衛と主張。
無罪を訴えていたが、裁判が進むにつれ、発言が二転三転…
この映画製作の為、彼女と話して取材をしていたニック・ブルームフィールドは
彼女の真意が掴めず、死刑確定した彼女の元を訪れる…。

 彼女の事件を描いた映画『モンスター』を観たあと、こちらも見ると良いかも。
どういう人たちが殺されて、どういう風に事が露呈したのか…
このドキュメントではアイリーンの生い立ちと事件後の様子と
その裏にうごめいていると彼女が感じている何かを取り上げているので。
アメリカでは有名な事件でも細かいことは何も判らないからね。

 死刑判決から10年後の2002年10月9日午前9時47分、
アイリーン・ウォーノスはフロリダ州刑務所で薬物注射により刑を執行された。
全米に衝撃を与えた“モンスター”と呼ばれた女性殺人犯は、
46歳でその壮絶な人生に終止符をうった。
死ぬ前に彼女が言った言葉。
『私はキリストと舟に乗って旅立ち、再び地上に現れる。…私は必ず戻ってくる。』
2本の主演映画と共に、彼女はこの世界に戻ってきた。
なるほど、シャーリーズ・セロンの風貌とそっくりだった。
短気で気性が荒く、凄みがあった。


 彼女は言う。『私はこの社会に殺されるんだ』
確かに7人を殺したのは自分自身であり、今では反省し深く後悔している。
しかし、あの時はこうするしかなかった。そう生きるしかなかった。
最初の殺人で警察は犯人が彼女だと知っていて、わざと泳がせた。
連続殺人犯として彼女を仕立て上げ、金を儲けて世間を騒がせる為に、と。
「私が普通の家庭で育ち、家族の絆が強かったなら…
私は模範的なアメリカ人になれたはずだ。」

 彼女の恋人であった映画ではセルビーことティリア・ムーアは
現実の本人とはかなり雰囲気が違っていた。
映画でも特に印象深いあの電話のシーンも実録が聞ける。
ティリアはアイリーンの面会には一度も行かなかったらしい。
マスコミはこぞって彼女を取り上げ、金儲けを企み
医師はろくな精神鑑定もしないで彼女を死刑台に追いやろうとする。
モンスターはアイリーンか?それともティリアか?
いや、こんな現状がまかり通る世間、この現実社会なのかもしれない。

 アイリーンと親しくなった監督は彼女の友人として正当防衛を信じたい反面、
何よりこの事件の真相を明らかにしたいジャーナリストとしての立場もある。
真実はこの世にいない被害者と加害者である彼女にしか判らない。
映画では初犯は正当防衛、その後は金目的での計画反抗となっている。
彼女はすでに裁判で戦い続けることをやめて死を待っている。
連続殺人犯アイリーンはそれでも友人が多かった。
カメラの前で喋る友人たちはその後、何を思って彼女を思い出すのだろう。


アイ,ロボット (2004/米) 115分


 アイザック・アシモフの原作をモチーフに製作されたSFアクション映画。
ロボット三原則「1、ロボットは人間を傷つけてはならない。2、ロボットは人間の命令に従う。3、ロボットは1・2の項目に反しない限り、自己を守る」
この3原則を元に人工知能を持つロボットが人間社会に浸透しつつある近未来
シカゴの刑事デル・スプーナーはロボットを嫌う堅物。
ロボット製作の父言われている博士が謎の自殺を遂げたことから
デルは博士の開発したNS−5型ロボット“サニー”を疑い始める…

 単純にサニーがロボットを率いて
人間支配からの革命を起こす映画だと思ってた。
予想に反して、別の意味でこうとも云えるかもしれないけど…
正直「A.I」よりも何倍も分かり易いし観易かった。
手塚治虫の漫画みたいな要素も含まれてた気がする。
ここでも予想外に博士の家に出てきた猫に心奪われる…かわいぃ

 ウィル・スミスがこういう真面目なSFアクションの主演をすると新鮮だ。
彼の冒頭シーンとリンクする過去が明かされるシーンでは
彼と一緒に胸が熱くなり、涙腺が緩んだ。
ロボットの行動は所詮プログラムなんだという事が哀しい。

ロボット三原則のアラを見つけて、ロボットが反乱起こすのかと思ったけど…
「2001年宇宙の旅」やSFゲーム「LIVE A LIVE」の未来編思い出す。
この終わり方も新鮮だったけど、
これからのロボット映画には新たな見方も必要だ。
デルの過去が複線になって終盤での展開は好きだ。


青い棘 (2004/独) 90分


 1927年ベルリンで起こった“シュテークリッツ校の悲劇”の事件を元にした映画。
主演は「ベルリン、僕らの革命」や「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュール。
共演にドイツ本国では有名な劇団出身の若手演技派のアウグスト・ディール。
監督はアヒム・フォン・ボリエス。

 パウル・クランツとギュンター・シェラー。
  僕たちは人生の絶頂、最高の幸福の時に世を去る。
  愛の為だけに死に、愛の為だけに殺す。
  愛を捧げ、その愛を奪った者を道連れにする。

この遺書について尋問を受けたパウルは、重い口を開き事の顛末を話し始めた…
寄宿学校の休みを利用してギュンターの別荘に遊びに来たパウル。
育った環境も性格も対照的ながら、なぜか2人はとても気が合った。
パウルはそこでギュンターの妹ヒルデと出会い、たちまち彼女の虜になる。
しかし、自由奔放な彼女にはハンスという恋人がおり、パウルは相手にされない。
そして、そのハンスはギュンターとも何か深い因縁があると悟るパウルだったが…

 ジャケットの写真が綺麗だったんで、借りてみた。
だんだんダニエル・ブリューエルのファンになってきたぞ。
ミニシアター系コーナーに置いてあっただけに、何とも小さい世界の、
いわゆる青春の若者特有の青臭く、未熟な美意識を感じさせる主張。
作品自体は期待していた程、カメラワークも上手くないし、ハッとするシーンもない。
主張したいことも上手くセリフに表れていなくて、そこは非常に残念。
観ている間はただ流れていく出来事を見せられている気分なんだけど、
ラストで後日談がテロップで流れ、急にドキッとさせられた。
大きな意味は、これが実際に1927年に起こった史実なんだということ。
そして、時代に関わらず今の世でも起こりうるような、
誰しも思春期に感じたことのある変な理想というか、共感できる何かがあったこと。

ヒルデとエリの関係は今でも普通にある。モテモテ美女と、ひきたて役の友人。
ハンスのようないい加減で本心掴めない野郎もいる。
DVD特典で主演3人と監督のインタビューまでじっくり見てしまった。
映画としては全然物足りないんだけど、観終わった後に頭の中で想像し直すと
結構心に残るものがあったような…変わった映画。人には薦められないけどね。


青い春 (2001/日) 83分






 映画化された『ピンポン』の作者としても有名な松本大洋原作の
短編集「青い春」を松田龍平主演で映画化。監督は豊田利晃。
新井浩文、高岡蒼佑、大柴裕介、山崎裕太、忍成修吾、
塚本高史など旬の若手俳優の競演も見物!

 不良ばかりの荒れた男子校の屋上で、新3年生の九条たちは、
新しく学校を仕切る者を決める為、“ベランダゲーム”に興じる。
屋上の柵の外側に掴り、手を離して何回手を叩けるか数を競うのだ。
誤って落ちれば命は無い、この学校の伝統の度胸試しである。
8回叩いて勝利した九条は学校を仕切ることなど興味が無かった。
親友の青木は、その九条の態度にしだいに苛つきはじめ…

 原作の本は持ってます。結構気に入っている。
絵はガリガリな線で、一見読みづらいけど独特さがあって、テーマも好きだ。
この映画には短編集の「しあわせなら手をたたこう」と「夏でポン!」
「鈴木さん」と「ピース」を見事に融合して作られている。
勿論、舞台は男子校だけでほどよく色んな話がミックスされた感じ。
途中で物語から退場した彼らの今後が原作では判る。
何を考えているのか掴めない九条(松田)と、一緒に行動を共にしてきた青木(新井)、
族に入って舞い上がってる大田(山崎)、ギターを弾く物静かな雪男(高岡)、
族に憧れるパシリの後輩吉村(忍成)、
甲子園の夢破れた木村(大柴)と、残された野球部員(塚本)…

 まず、これは不良というイメージを全否定し、軽蔑しかしていない人が見たら
最初から最後まで嫌いなものを見せられた感想を持つかもしれない。
けどもし、少しでも彼らに憧れたり、共感できたりしたことがあったなら
この映画はその美学に最高にハマる作品になるんじゃないかと思う。
一言で言えば痛い青春映画なんだけど、それだけじゃない。
若さで何でも無茶できたけど、決して自由じゃなかった。
学校から社会に出て行くその道は、漠然としてた。
BGMとして使われたミッシェルガンエレファントの曲が凄いはまってて
何ていうか、滅茶苦茶格好良い!こんな格好良い邦画はなかなかないかも。

 あの漫画から、こんな風に映画化するなんて素晴らしいね。
原作にはなかったエピソードも少し加えて、キャラの魅力も出てる。
小さい花田先生(マメ山田)も存在感あったし、場を和ませてくれた。
学食のおばちゃん役に小泉今日子も出演。
松田龍平は「御法度」の時は好きじゃなかったんだけど、これを見てから
180度見方が変わってしまった。格好いいじゃん…何ていうか。
身体がスマートで学生服がよく似合ってたね。ミステリアス。
今では「血と骨」でたけしとも共演した新井浩文も
この映画が初出演とは。凄い全力投球。この後に、「GO」にも出演。

 原作ではアッサリ虚無に包まれていた世界だけど、
映画ではガムシャラさ、後悔、友情、慟哭、、、まさに青春。
屋上から降りていく九条たちのスローショットがお気に入り。
女だからかもしれんけど、男っていいなぁって思ってしまう。
学生時代授業を普通に受けてたからかもしれんけど、あんな風に
サボって屋上で柵にもたれながらため息ついて空を眺めてみたかった。
とにかく刺激的で、切なくて、終わってから不思議な気分になった。
バイオレンスな青春映画だけど、オススメです。是非、拝見あれ☆


悪魔のいけにえ (1974/米) 84分






 アメリカを震撼させた狂気の殺人鬼エド・ゲインを元に
「悪魔のいけにえ」「サイコ」「羊たちの沈黙」など数々の映画が作られた。
今作はその中でも群を抜いて狂気に満ち、以降ホラー映画に多大な影響を与えた。
旅行でテキサスを訪れた若者たちが偶然出会ってしまった殺人一家。
監督・脚本を務めたトビー・フーパーの伝説の作品と言える。
レザーフェイスとチェーンソーという恐怖の象徴を創り上げ、
見る者にまで感じられる異臭と、異様なまでの狂気が描かれている。
今でも熱狂的な支持者が多く、ホラーファンに愛されて(?)いるようだ。

 リメイク作である「テキサス・チェーンソー」を先に見ていて、
こちらもいつか見たいと思ってて、DVDレンタルで発見した時は嬉しかったなぁ。
市販のDVDは廃盤で、凄いレアモノ扱いで…値段も半端ない。
いや、別にホラー自体はそんなに好きじゃないんだけどね。
テキチェを見た時の心臓バクバク、あの動悸をまた体感したくなったのかも。
かく言うものの、一人で夜に見たら悪夢に見舞われそうなので…友人と鑑賞。

 映像が古い分、ドロドロ感とリアルさが出てたような気がする。
冒頭から墓荒らしの噂や車椅子のキャラ、登場人物の昔の家を訪ねてみるなど、
リメイクには無かった場面が出てきて、興味をそそったが
始まってヒッチハイカーを拾うまでは地味なロードムービーみたいだった。
本当にアメリカの田舎道って怖そうだな。夜も昼も。
ガソリンが少なくなってきたら(((;゚Д゚)))ガクブルもんだろうなぁ…
実際のエド・ゲインの事件は趣味が高じて墓荒らして死体で家具や道具を作って
そのうち近所の人間を殺すまでに発展して、発覚したらしい。
その骸骨の山とか人骨で作られた家具が映画にも登場する。
本物の骸骨をどっかから買ってきて作ったらしいよ…呪われそう。

 主演女優のマリリン・バーンズがとにかく絶叫しまくっている。
映画撮影で何度もリトライさせられて、精神的にイライラもつもり、
例のシーンでは実際に怪我して本物の血が流されたらしい。しかも予定外に。
キレまくって演技をしたので、最早演技とも言えない異様さがこうして生まれた。
それと、恐怖の晩餐のシーンで、なかなかオッケーが出ない。骸骨に囲まれ
セットを動かすわけにもいかず熱気と汗と、ソーセージが腐り始めたりと異臭の中で
何時間もかけて役者たちは死に物狂いで演じていたというじゃないか。
とにかくリメイクに比べて殺人一家のシーンが多かった。
狂った一家の様子は、リメイクよりも勝っていたかも。
後半からは恐怖の鬼ごっこと、狂気の食卓だった。
でも妙な要素があって、怖い、っていうか…別な恐さがあった。
テキチェがジェットコースターなら悪魔はTカップでグルグル地獄みたいな。
人によって好み違うだろうけど、私の感覚では、それかな。

 リメイクの方がテンポあって直接的な恐怖がよく描かれている。
でもオリジナルあってのリメイクだし、こんな昔にこの映画が作られたことを考えると
凄い反響だったんだろうなと窺える。
何より、ラストであんなに爆笑してしまうとは思えなかった。
トレイラーの運転手が車から降りてきてレザーフェイスを見て引き返す所。
あのシーンがから凄い物事が滑稽に見えてきて、
「おい、降りるのかよ!」とか…そして見ました伝説のチェーンソーダンス♪
確かに、何故か夕日の中であの舞とチェーンソーの音が…
何の映画だったんだ、これは。と錯覚してしまう。
あの世界から脱出した彼女の大笑い、痛いほど気持ちが伝わってくるわ。
ある意味、そこからリメイクに話が繋がっても面白かったな。
隠してた銃云々が邪魔な設定だけど…そうなったとしたら、彼女悲惨過ぎるわ。


 後に2,3,4と続編が作られて、明らかに質は低下したらしいが
2ではレザーフェイスが恋したり、デニス・ホッパーとチェーンソー対決があったり
かなりぶっ飛んだ作りになってるらしいので、少し気にならないでもない。


アザーズ (2001/米・西・仏) 104分


 製作総指揮トム・クルーズ、主演にコール・キッドマン
1945年、第二次世界大戦末期のイギリス、ジャージー島に立つ巨大な屋敷で
戦地に赴いた夫をひたすら待ち続ける母と子供たち。
子供たちは太陽の光りを浴びてはいけない体質で、
部屋の行き来は鍵をそのつど開け閉めする。窓にはどれも真っ黒なカーテン。
その屋敷で起こる不可解な現象に怯える親子。その真相とは…?

ホラーと聞いていたので構えて見てたんだけれど、そういう類の怖さはなかった。
この世界の不気味さと、主人公たちの不安や恐れを一緒になって体験し、
ラストには衝撃の結末が待つ。
…シックスセンスと同じ同じと言われているけど。
こっちの方が幻想的で好きだ。真相を知ったあとの展開も。
その時代の風格みたいなものも滲み出てたし、何よりにコールが綺麗。

この映画の解釈でいくと、自分は…いやひょっとしたら身近な人達全員そうかも
そもそも、そう判断する定義とは何だ?と考えさせられる。
「そんな場所なんてないんだよ」と言われたような気がする。
雰囲気で禍々しいものを感じるけど、
過激な映像のみで怖がらせることはしてない。
この映画は、上品な印象を受ける。


アサルト13 要塞警察 (2005/米・仏) 110分


 ジョン・カーペンター監督による76年製作「要塞警察」を、
フランスの新鋭ジャン=フランソワ・リシェ監督でリメイク。
主演は「ガタカ」のイーサン・ホークと「マトリックス」のローレンス・フィッシュバーン。
他、ジョン・レクイザモ、ガブリエル・バーンなど。

 激しい雪が降り続くデトロイトの大晦日。
年内で閉鎖となる13分署は処理作業も終わり、すっかり閑散としていた。
ローニック巡査部長はベテラン警官ジャスパーと警察秘書のアイリスの3人で
最後の13分署でしんみりと新年を迎えようとしていた。
するとそこへ、吹雪のため刑務所に護送できなくなった為、
凶悪犯ビショップら犯罪者たちが送られてきた。
彼らを一時監禁するには人手が足りないと不安を感じるローニック。
吹雪の為帰れなくなった心理カウンセラーのアレックスもいる。
その矢先、何者かが署内への侵入を図り、銃声が鳴り響く。
いつしか署は武装した男たちに包囲され、外部との連絡も完全に絶たれてしまう…

 劇場で宣伝を観たんだけど…何ともC級路線なタイトルだこと。
イーサン・ホーク目当てで鑑賞。ちょっとストーリーの筋も気になったし。
映画館で金払って観るには向かないレベルの作品だけど、
ふいにレンタルで暇つぶしに見るには最適な作品でした。
冒頭、「何処が要塞警察??」なんて思ってたら意外な流れ。
前半はちょっと退屈しますが、署に閉じ込められるメンツが分かって
取り囲んでる連中が何者だか分かるくだりから段々楽しくなってくる。
しかし、終わってみれば理由は映画的には重要じゃなかった気がするね。
それとローレンスはちょっとミスキャストな気がしてしまう。
彼がマフィアの大物やってても、何処か瞳に優しさ感じてしまうのよね。
だから、ずっと「この人は絶対色々助けてくれるわ」って思ってた。

 
護送に来た警官2名はアッサリ死亡して、主人公サイドは益々大変。
老いぼれとか弱い女性と犯罪者だけかよ…と主人公の気持ちになる。
しかし、周りに民家がまるでない警察署なんて意味あるのか?
市民が助けを求める場合に も何かと不便過ぎるだろうが。工場じゃあるまいし。
死んだ人物の顔をいちいちUPにするのが何ともバカ丁寧でしたね。
生き残るだろうなと思ってた主人公とちょっとロマンスしてた先生が
途中に言ってた「潔い死に方」を選んであっけなく死ぬのが予想外だった。
民間人なら尚のこと、知っていられちゃ困るからな。どのみち殺される。
結局、手引きしたのはじいさんで、途中参加のパーティー気分さんは冤罪か?
字幕の“燃え尽きデカか”の表現が笑えた。
終わり方は普通のB級アクションの定番。警察到着して、美女迎えに来て。
朝日が昇って…一件落着。でもさ、生き残った2人で弁明しても信じてもらえる?

こういう終わり方だけはちょっと納得いかなかった。


あずみ (2003/日) 142分


 小山ゆう原作の漫画を実写映画化。監督は北村龍平。
徳川の世を磐石のものとするため、残った反乱分子を消すべく
戦で孤児になった子らを集め剣術で鍛え暗殺者に育てる…
そんな子供たちも大きくなり、ついにその任務を果たすべく山を降りる…

上戸彩、髪の毛明る過ぎ!後から原作読んだらハーフの設定だったのね。
でも、漫画のイメージと大分違うな。髪の毛長い方がよかったような。
成宮寛貴が出てたんだね。クールな役だ。こういうキャラ好きだ。
オダギリジョー、美女丸ってなんなんだよ。
キャストは何気に豪華だったなぁ。原田芳雄もいたし。

 でも未だにじぃの精神が理解できんわい
そんなことしても後から困るだけじゃ?って。
人殺すことを経験させたいなら他に方法あると思うし。

やっぱりあんな女の子に200人斬らせるのは非現実的過ぎて…
女だから一切手傷を負わないで圧勝ですか?
あずみだけ特別強そうには見えなかった。
あとこの監督、どうしても血を大量に使わないと気が済まないんだな
「ヴァーサス」よりはましだったけど(あずみは原作もあるからねぇ)
もうちょっと違和感あるアクションを控えた方がよろしいかと…
編集して短くインパクトが栄えるようにした方がいいと思う。
でもこれはまぁ観れた方かしら。



あずみ2 Death or Love (2004/日) 112分




 小山ゆう原作の同名人気コミックを映画化したアクション時代劇の続編。
監督は平成「ガメラ」シリーズ、「デスノート」の金子修介。
主演は上戸彩。共演に前作から引き続き石垣佑磨。
さらに「キル・ビル」の栗山千明が新たに参加。
前回死んだ那智役だった小栗旬や遠藤憲一も再び参加。
北村一輝も殿の復讐の為、続投しているが見せ場なし。
他、高島礼子、平幹二郎、前田愛、坂口拓、宍戸開など。

 徳川と豊臣の戦いもいよいよ終盤を迎えていた戦国時代末期。
少女あずみは徳川の刺客となり、これまでの過酷な任務の末に
唯一生き残った仲間・ながらと共に最後の標的・真田昌幸を追っていた。
そんなある日、夜盗軍団に出くわすが、彼らは結構なお人好し。
頭の金角の弟である銀角は、あずみが斬った初恋の青年・なちと瓜二つだった。

 地雷であることは判っていたのに…ついつい見てしまった。
そして、間違いなく、駄作の領域に達していた。よくこんなの映画館で流せたな。
上戸彩の大根具合にも磨きがかかるし、前作よりもよりアイドル映画になった。
狙ったギャグのように、安住アナがちょこっと出演していたのと、
高島礼子の戦闘服が悪趣味な遊びが効いている点がサプライズだったが。
でもあの鎧、変テコなだけで何のメリットも無いよな〜馬鹿みたい。
あと栗山千明の役がイマイチパッとしなかった。
全体的にも、仲間同士の絆やなんだって言うけどどれも妙に薄っぺらい。
服部半蔵も悲しい位弱すぎるし、まさに「なんなんだこれはー!!」
死んだアイツに似てる…って登場した時点で、「コイツ死ぬな」って思った。
あずみにチョッカイかけただけで盗賊団死亡…手下たちは別に
あずみの取り巻きになって死ぬことに異論なかったのか?可哀想。
偶然生き残った川ちゃんもアッサリ死亡。あずみも仇打たないし怒らない。
忍の衆も、仲間が殺された位で感情あらわにしてるんだもの、幼稚に見えた。
高島礼子も格別強そうに見えないし、ヒステリックなおばさんでしかない。
ラスト、何処に持ってたのかマントとか鎧を着込んで堂々登場。
突っ込み所満載である。仲間が全滅したらスーパーあずみに変身だ。
こうなったら影で暗躍するのが得意なはずの刺客なのに、一人で軍を潰せる。


 あずみの強さに全然説得力ないし、今回登場してきたキャラはどれも、
こいつ、強い…あずみ大丈夫か?としっくり来るワクワク感皆無。
小栗旬の裸見て「うわっ細すぎないか?」って思ったし。長刀振れるの?
そもそも、別に続編なんて要らなかったんだよな。じいも死んだんだしさ。
何ちゃってチャンバラ学芸会なチープな雰囲気出まくりで、
ますます、邦画ってダメだな…って失望させてもらったわ。
全く期待しなくて、悪いの予想しても、それ以下に楽しめない映画は特に酷いね。


遊びの時間は終わらない (1991/日) 111分


 郁井邦彦原作の小説新潮新人賞受賞作を映画化。
監督は、後に難破金融堂ミナミの帝王シリーズを繰り出す萩庭貞明。
主演の本木雅弘はこの映画で狂気的演技で新境地を開く。
他、石橋蓮司、原田大二郎、斉藤晴彦、伊藤真美、甲元雅裕、萩原流行。
あと妙に西川きよし似の人がいると思ったら息子ですか。西川忠志。

 町おこしの一貫として、銀行と警察の合同強盗訓練を変わった趣向で開始。
それは犯人役の行動は筋書きなし、互いに臨機応変、対応すること。
犯人役として選ばれたのは、融通の利かない生真面目な警察官。
約3分で終了するかに思えた訓練が一転、犯人役は銀行に立て篭もり、
マスコミや野次馬を呼び寄せ、静かな町は大騒ぎに。
上司に無断で訓練を考案し実行してしまった警察署長は大弱り。

 レンタルコーナーに紹介文があって、ネットでも妙に評判良かったから借りた。
モックンは凄くいい演技をするんですよ。うん。好きです。
内容はドタバタ・サスペンスコメディー。
三谷幸喜作品が好きな人ならこれも好きそう。
犯人になりきった巡査と、事件を解決することにメンツをかける警察の戦い。
訓練終わりー!と言ってしまえばいいものを、意地になるのです。
おもちゃの銃と紙切れの札束で、いい大人が強盗ごっこ状態に。
なるほど、このタイトルは申し分なく映画に似合っているんだな。
萩原流行が役者として仕事してるの見るの久しぶりでした。
最近はすっかりバラエティ番組のタレントだもんな〜。

 モックンはつくづく男前やね〜あの髪型も、凄く似合ってる。声もイイ!
とても1991年の作品とは思えない、今でも通じる映画かもしれない。
若干、女性たちが古臭い顔をしているのを除けば…笑
「拘束済」や「死亡」、「レイプ」など文字を書いたプラカードひとつで
人を行動不能にしてしまい、玩具の銃で仮死者続出。誰も手が出せない!
だけど、他の人たちもマジになって“遊び”のルールにのっとって
平田巡査演じる犯人を何とか逮捕しようと躍起になるのです。
何処まで行くの?ってスタフロール始まって呆気にとられたけども…
そうだよね、“終わらない”んだもんね…そうですか…
巡査はあれから空港行って5億円要求したんでしょうか…海外逃亡まで…
現実的に言ってしまえば、ホントの事件でも強行突入しちゃうんだろうな。あは。

面白かったんだけど、つき合わされてる銀行員たちの疲れや怒りを考えると…
辛いぞ、あれは。お腹も減ったろうし。赤ん坊はオムツ替えたりミルクあげなきゃ。
「巡査の平田君に質問」『何ですか?』ってあっけらかんとするシーンが好き。


アタメ (1989/スペイン) 102 分


 ペドロ・アルモドバル監督作品。
アントニオ・バンデラス主演のスペイン時代の映画。

 スペイン語でアタメ→縛ってって意味らしいよん。
とある男が出所後、元AV女優を誘拐して、口説く話。
「お前をこんなに愛してる男が他にいるか?絶対惚れさせてみせるぞ!」
…ってな話。邦画の飼育シリーズに限りなく極似でしたがこれの方が古い。
 最初は滅茶苦茶拒否されていた男だけれど
彼女の為に一生懸命になったり危険なことにも飛び込んだり…
次第に彼女も彼に惹かれていく。エロいです。

 でも彼女を自由にしてしまったら、この愛する気持ちも消えてしまいそうで…
ラスト近くになってちょっぴり切なくなった。
スペインってああいう高い柵のマンションが多いのかな。
そして時代だからなのか水玉模様のワンピ着てるのが多いような。
遺跡みたいな所での情景が美しかった。
 人間の本能とモラルみたいなものが交錯してるような女性の心理や
気持ちの移り変わりを描いているのかな?そんな印象



アドルフの画集 (2002/ハンガリー・加・英) 108分


 これはあの有名なアドルフ・ヒトラーの過去の話。
多少脚色はあるけど、事実当選する前は売れない画家だった。
彼が何故あれほど支持を受けて、独裁政権を築けたのかってので
有名なヒトラーの演説、言葉の力、人を惹き付けるパフォーマンス…
これはその権力を手に入れるずっと前の話。

 原題は「マックス」らしい。
マックスっていうのはヒトラーと交友関係になるユダヤ人の画商で
彼が主人公にはなってるんだけど、いかんせんやはりヒトラーに目がいくね。
 ヒトラー役はノア・テイラーという役者
どっかで観たことがある!!どこで?って思っててあとで分かった。
彼は「シャイン」の主役。シャイン…妙に印象に残ってたな。
鼻が大きく筋があって色白でちょっと痩せ気味なんだけど
凄い目に力があってそれでいて凄くか弱い感じ。

 ドイツは前の戦争で負けて多大な損害賠償を払う羽目になって
国民は国に失望していた。
ヒトラーは兵士として戦ったんが、そこではもう貧乏な少佐
自分の描いてたスケフを持ってマックスの画廊を訪れる。

 描いた絵を見せるが「心に訴えかけるものが足りない」と言われて
色々と試行錯誤を重ね、口論したりもして作品を描こうとする反面、
ヒトラーは軍の上司に演説の仕方を習わないかと誘われる。

 ヒトラーは色んな画家を批判して、それでいて自分の作品を描けなくなる。
マックスに「君は口だけだ」と言われて
キャンパスに怒りをぶつけるみたいに描き殴るシーンとか観てて
凄い心が痛くなった。…この役者が印象的なのもあると思う。
ヒトラーの画家としての結末がどうなるのか分かっているけど
途中から、そうなって欲しくない、このままうまくいって欲しいとか思ってしまった。
思えば現実でもその当時、ヒトラーが絵で食べていけたなら
ナチス政権はなくて、ユダヤ人の大量虐殺もあそこまで
酷い第二次世界大戦もなかったのかな…と思った。
でもヒトラーがいなくても誰かが変わりに同じようなことをしたかもしれない。

 正直、マックスの不倫や演劇は別に映画的にはいらなかったと思う。
この映画ではいまいちヒトラーが個人的にユダヤ人のことをどう思っているのか
詳しい描写が足りなくて理解に苦しむけどね。
嫉妬と尊敬の念が混じっていたのかな。芸術への葛藤は描写があったけど…
本心じゃなくて脚本通りに演説こなして成功したのか、
それとも途中からそう思い始めたのか。
マックスとは仲良くはしてたしね。

 作品の良し悪しで言えばそこまで完成度は高くないし
矛盾や話的に至らない点もある映画だと思う。
私としては凄く印象に残った、色々考えさせられる映画でした。
監督が「どうして彼のような人間ができたのか、我々は考える必要がある」

と言っていたのも忘れられない。


穴 (2001/英) 102分





 「穴」というタイトルの作品は多いので、ご注意を。
18歳のときに書き上げたガイ・バートのデビュー小説を、
「アメリカン・ビューティー」のソーラ・バーチ主演で映画化したミステリー。
「スター・ウォーズEP1」で注目を浴びたキーラ・ナイトレイも出演している。
監督は「マーサ・ミーツ・ボーイズ」のニック・ハム。
音楽は「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」で注目されたクリント・マンセル。

 イギリスでも指折りの名門パブリック・スクール、プレイボーン学園。
ここに通う4人の生徒が、野外実習の日から忽然と姿を消した。
やがて、失踪から18日後、4人の生徒のうちの一人、
女子高校生リズだけが薄汚れ、憔悴しきった姿で発見される。
リズに、そして3人のクラスメイトにいったい何が起こったのか?

 ジャケットに惹かれてレンタルしてみました。
謎の穴から生還した黒髪ショートの地味めな女の子リズ、
リズの親友の学園マドンナ・モテモテ系活発美女のフランキー。
そのフランキーに気があるジェフと、その親友
有名ロックスターの息子であり、学園1のモテモテ男のマーティン。
この4人が退屈な野外実習をサボり、学校にも親にも内緒で
リズの幼馴染で彼女に気があるらしいマイクの提供で、
昔使われていた防空壕らしき洞穴で1日遊んで過ごすことになった。
夜になれば真っ暗、光の届かない湿気と汚らしい防空壕。
リズはマーティンと何としても恋愛関係になりたかった為に、これを企画した。
最初はリズがカウンセラーに穴での出来事を話し、閉じ込めたマイクの話をする。
マイクが拘束されるも、容疑を否認、確かな証拠もない。
リズの証言があやふやなのは当人も記憶が曖昧なのもあり、次第に記憶が蘇える。
フランキーとジェフがイチャイチャし出し、マーティンはリズに興味をそそられない。
マーティンを帰したくないリズはこっそり内側から鍵をかけ、閉じ込められたフリをし
4人はいつまでも助けの来ない洞穴で気を滅入らせていく…
恐い恐い。恋愛に夢中になってる女子はこれ程までに恐いのか。
食料も底をつき、体調不良になっていくフランキーを尻目に、リズは彼との距離が
縮まっていくのを喜び、3人の心境も考えずにこの状況を楽しんでいた。
フランキーが死んでしまい、鍵を出そうにも出せなくなったリズ。

あぁ〜すっごく怒りがこみ上げてきます。何ということだ!!
もう後にはひけなくなって、つまらないイザコザでジェフ死亡。世界は二人だけ…
リズはマーティンの言動で少しも幻滅することはなかったんだろうか?おかしい。
告白しちゃったけど罪を公には認めず、哀れなマイクに濡れ衣を着せ微笑むリズ。

現実じゃこうはいかない。それは判るんだけど歯をぎりっと噛締めちゃう。
発想はとても興味をそそられるし、真実はそれなりに理解できたんだけど、
心の中に恋愛定義や倫理のモヤモヤが発生して仕方なかった。
割りと見やすい映画ではあるので、興味があればどうぞ。53点。


あなたにも書ける恋愛小説 (2003/米) 95分


 現実と小説の恋愛がシンクロしていくロマンス・ラブコメ。
主演はケイト・ハドソンとルーク・ウィルソン。ソフィー・マルソーも出演。
監督は『恋人たちの予感』のロブ・ライナー。映画にもちょこっと出演。
莫大な利子の積もった借金を抱え、ギャングに脅され、後30日以内に
小説を書き上げなければならなくなった小説家の男が、
偶然雇った速記者の女性とあーでもないこーでもないと議論しながら
互いの仲を深め合いつつ、恋愛小説を作りあげていく物語。

 出演者も少なく、舞台も小説の世界以外はほとんど作家の部屋。
地味目な映画なんだけど、その分主義一貫としているかも。
小説の内容としては、ホントに“あぁ私でも書けるわコレ”な王道話なんだけどね。
ケイト・ハドソンの色んなコスプレが見れるのが利点。
いやぁ〜彼女ってツンとした顔なんだけど、笑うと別段可愛いんだな。
ソフィー・マルソーも美しかったけど。キャサリン・ゼダ=ジョーンズみたいだった。
ルークって人はキューティーブロンドの彼か。オーウェン・ウィルソンの弟らしいね。
何か全体的にインパクトに欠ける作品なんだけどな…うむ。

まぁ気になったのは、小説の方のラストで…
メイドさんとくっ付いても借金返せなかったら殺されるじゃないか〜
どうやったら一攫千金稼げるっての?現実では何とかなったけどさ…
あと主人公、ケイトも突っ込むようにギャンブルに走るのはいただけないぞ

自分の状況とかぶったせいか、小説がうまくスラスラ進むと
我が事のように嬉しくなってる自分がいたわ…ヤバイヤバイ。自分でガンバレ。
ケイト・ハドソンが好きなら見てもいいかなって映画でした。


あの頃ペニー・レインと (2000/米) 123分






 「セイ・エニシング」「ザ・エージェント」のキャメロン・クロウ監督が
自身の体験を基に、ブレイク寸前のロックバンドのツアーの
同行取材を任された15歳の少年の姿を描いた青春音楽ムービー。
少年が恋する少女を演じるのはゴールディー・ホーンの娘ケイト・ハドソン。
幼い頃から厳格な母に育てられたウィリアムは真面目な性格。
母にウンザリした姉は18で家を出て弟にロックのレコードを置き土産に。
ロックの世界に魅了されたウィリアムは、夢を抱いて成長する…
15歳になったウィリアムは伝説的なロック・ライターに自分の記事が気に入られ、
有名音楽雑誌から仕事をもらう。さっそく取材で楽屋を訪れた彼は、
グルーピーの中にいたペニー・レインに一目惚れする。

 題名は有名で前々から知ってはいたけど、観たのは初めて。
まさか、あんな若い少年がバンドに同行してあちこち周ることになるなんてね。
世渡り上手なペニーのちょっと子悪魔的な魅力にやられました。
目が細くて、なんか遠山景織子みたいだなと思った。
あの甘い初恋がこの映画の良い味付けをしてたかも。
ラッセルの本命を観て、何かブサイクだと思ってしまったのは私だけ?
ロックのことはよく判らないけど、バンドの確執ってよくあるもんだよね。

 批評家がバンドに肩入れし過ぎて絶賛記事しか書けないのは問題ですよね。
でも商業主義の雑誌の意義とか考えると、批評ってそもそも何?ってなる。
正直に書け、とあったけどそれってかなり難しいことなんだなぁ。
ロックの人たちってあんなにもドラッグと女が付いてくるもんなのかしら。
そして気に入られたファンはツアーに同行しちゃってるし〜
日本じゃ考えられないよね?それとも普通にあることなのかな?
ウィリアムが劇中何度か無意味にほくそえむアップがあったのが気になった。
大した山場も無いけど、穏やかに進む空気が好きな人は好きだろう。

 “あの頃”ってフレーズで妙にセンチメンタルな気分にさせるよね。
終盤、ペニーは粋な計らいをしたなぁと笑みがこぼれた。
バンドの喧嘩は見てるこっちも不安になったけど飛行機はちょっと笑えた。
あと、バスの中で皆で一緒に歌を歌いだすシーンが好き。
あんな事が日常茶飯事なら毎度のことさと許せる器量も持ち合わせてなきゃね
ノア・テイラーが出ていたなんて後で知った…

 過保護な母親からの自律という点では状況判らず置いてきぼりがちな母親。
まぁ実際も、あんな感じで良いのかもしれないね。自分の人生だもの。
最後は何となく収拾着いて、ほんわか。
彼はまた、いつか逢えるかもって期待を抱いて生きていくんだろうなぁ。
ロック音楽的にはそんなに深く描いてる映画ではない。
しっとりロード・ムービーを求める人にはお勧めできる映画ですね。
バスの中でラッセルに肩寄せて眠るペニーが美しい。


アフガン零年 (2003/アフガニスタン・日・アイルランド) 82分




 タリバン政権崩壊後の復興アフガニスタンで製作された映画第1作。
日本のNHKが機材などのハード面を中心に全面サポート。
タリバン政権下のアフガニスタンを舞台に、
女性の置かれた過酷な状況を切実に描いたヒューマン・ドラマ。
実話をヒントに、働き手を失った一家を支えるために
少年に成りすまして働く少女の姿を通して、アフガニスタンの重い現実を描く。
主人公を演じたマリナは実際に内戦で2人の姉を失い、
5歳の頃からストリートチルドレンとして生き延びてきたという。
第61回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞。

 長年の戦争の末、タリバンが政権の座についたアフガニスタン。
イスラムの教えを厳格に守ろうとするタリバン政権下では、
女性は身内の男性の同伴なしには外出が許されなかった。
そんな中、生計を支えるべき男たちを全員戦争で失い、
祖母と母親、そして12歳の少女の3人だけになってしまった一家があった。
彼女たちは外出も出来ず生活の糧を失う。
母親は仕方なく少女を男の子に変装させて働かせることを決意。
バレた時の恐怖に怯える少女をなだめると、そのおさげ髪をバッサリと切り
少年の姿にして、亡き父の戦友だったミルク屋に働きに出すのだったが…。

 久しぶりに心の底からズシンときた映画でした。重くて哀しい映画です。
これが現実。ニュースでは判らない、私たちの知らない場所での出来事。
タリバン政権なんて、言葉のイメージだけで何も知らなかった。
映画を観終わった後、ネットで色々調べて回った。
冒頭、まるで実際のドキュメンタリーのようなタッチから物語が始まる。
女性の人権を訴えるデモ行進、蹴散らしにくるタリバン。逃げ惑う女たち。
主役の女の子の表情にずっと釘付けでした。深い哀しみを秘めた瞳。
「V
・フォー〜のイメージも手伝ってか、ナタリー・ポートマンに似てる気がした。
生きる為に仕方ないのだろうけど、老婆と母親は残酷なことをする。
お香屋の少年も監督が道で犬を売ってる彼をスカウト(犬は映画に登場してる)
学校のような場所に連れていかれた時、ふざけで喋ってしまいそうでハラハラした。
が、彼は最後まで彼女を庇った。最後の泣き顔が切ない。
あそこまで女性蔑視して、どういうつもりなんだろう。皆、女から生まれてきたのに。
アフガンでは女性は素肌を隠しているってことは知ってはいたが、
女性だけの外出禁止、更に女性は働けないだなんて、初めて知った。
この映画観る前は、肌を隠すのは国と彼女たちの宗教観からだと思ってた。
違反者は連れていかれて牢獄行き。恥ずかしながら、映画を観て初めて知った。
牛乳屋にいた時から目をつけてた奴は、実は正体に薄々勘付いてたようだ。
あんな老いぼれても天使を汚したいのか…ラストの救いの無さは絶句でした。
実はハッピーエンドを用意していたが、主役の子が泣き出したのを見た監督が
「まだアフガンの悲劇は終われない」とバッドエンドを選択したとか。
監督が好きな映画に「自転車泥棒」や「羅生門」を上げていたなぁ…
唯一の救いはアフガン政権が現在は崩壊したという事実。
しかし、まだ泣いている子はたくさんいるんだろう。

娯楽作じゃないけれど、その世界に引き込まれ、見て得るものはあると思う。
アフガニスタン第一作目の映画ということでも興味深い。
見慣れない異文化の暮らし、砂と布。まだ世界には問題が山積みだ。


雨に唄えば (1952/米) 102分




 主演、監督をジーン・ケリーがこなす有名なミュージカル。
物語はサイレント映画が栄えたハリウッド黄金時代。
トップスターのドンとリーナは売れっ子コンビで数々の映画でヒットを連発。
結婚も囁かれたが実はリーナは声は酷いは性格は悪いわで
無声映画だからこそ俳優として成功していた女優だった。
そんなリーナにほとほと愛想が尽きていたドンはある日
コーラスガールのキャシーと恋に落ちる。
トーキー映画が流行りとなって映画を撮ってみるものの
無駄な音は拾うわ発声が悪いわで製作はお先真っ暗。
ドンと親友のドナルドとキャシーとでミュージカルのアイディアを出す。
声が悪いリーナの代わりにキャシーが吹き替えをすることになり…

 観ず嫌いは本当によくないね。つくづくそう思う。
これは間違いなく映画史上に残る永遠の名作と呼べる代物だ。
観た後にこれほど楽しい気分にさせてくれる映画は珍しい。
「映画は娯楽」という言葉をこれでもかと実感した。
観た後に何かしら気分が高揚し、感情が高まる。
そういった効果が得られる映画は間違いなく成功してる。

 ジーン・ケリーが雨の中、歌い踊る有名なシーンを見て
この古き良き時代は二度と来ない。
この映画に色あせぬまま保存されている…と思う。
テンポよし笑いありダンスも歌も抜群で映像も素晴らしい。
テンション高くてエネルギッシュ。元気を貰おう。
映画に声が吹き込まれた革命は衝撃的だっただろうなぁ…
それから更に映画には色が加えられ、CG合成も加わった今日。
確かに声を出さないで演じるなら簡単かも…と思った。
ドンもキャシーも素晴らしいが私はドナルドが気に入った。
ドンの栄光を裏方で支え、お笑い芸人のようにハジけた彼が面白かった。
そしてとんでもない声のお馬鹿なリーナも見物。
観終わった後、「Singing in the Rain」を口ずさみたくなる。
この映画は老若男女すべての人に自信を持ってお勧めできる作品だ。


アメリ (2001/仏) 120分





 『エイリアン4』等で知られるジャン・ピエール=ジュネが監督・脚本を手がけた映画。
空想好きな女性アメリを主人公に、パリで繰り広げられるちょっぴりおかしな物語。
英国アカデミー賞をはじめ、数々の外国映画賞を受賞。一大ブームとなった。
主演はオドレイ・トトゥ(アメリ)、マチェー・カソヴィッツ(ニノ)、ドミニク・ピノン等…

 幼い頃から普通の人とはちょっと違う環境で育ったアメリはちょっとした変わり者。
今日もモンマルトルの喫茶店で働きながら、空想を膨らませて自分ワールド浸透中。
ある日、部屋で古びたカンカンを見つけたことをきっかけに、アメリは周囲の人々に
内緒で様々なイタズラをしかけて、楽しむ遊びを見つけた。
そんなアメリは駅構内に現れる不思議な青年に夢中になるものの、
自分のこととなると臆病になり、その一歩がうまく踏み出せずにいた…

 当時は凄い話題作でしたね。オシャレな作品に見えて実はお下品だとか、
アメリがムカつくらしいとか、ジャケットのアメリの肌が白すぎて気味悪かったりとかで
今までレンタルも興味示さなかったのだけれど、Gyaoで放送してたから拝見。
確かに、冒頭のナレーションからグイグイ惹き付けられた。面白い語り口だから。
パリのメトロやノートルダム、モンマルトルとか出てきて凄い懐かしかった。
でも何処か、ファンタジーチックで色合いの違いか、人形劇のような雰囲気漂ってた。
ポップでキュート、ビビットな魅力もあり、何か不思議な毒も含んでいるような。
笑う犬のアイアンポットで頻繁に使われてた曲はアメリの曲だったのか!

 アメリは可愛いけど、何処か恐い、っていうか実在したら近寄り難そうな笑顔だよな。
アメリの奥手っぷりにはイライラしたわ〜判っちゃいるけど、「あぁバカ!」と。
あれこれ遠回りするから、男によっちゃ愛想尽きて付いてきてくれなくなるぞ。
イタズラも、可愛いものもあれば、ちょっと酷いと思ったりするのもあったり。
長い間待ち焦がれていたからって、会ったその日にセックスの展開はどーだろう。

フランス語がペラペラと流れるようにキャラの口から飛び出してきて、早口だったし
日本人が日本語喋るのと同じで当たり前なんだが、何かイイなぁって思っちゃった。
自分で言ったら絶対噛むぞ、ってくらいペッラペラとドンドン出てくるんだもん。
現実が舞台だけど、何処かファンタジーな世界観で、細かいこだわりが効いてる。
確かにアレレな演出もちょっと目立ったけど、普通に終わりまで楽しんじゃった。
思えばまぁ内気な女性が恋をして…と月並みなストーリーを、
変わった味付け、盛り合わせで新しい楽しみ方を見つけた映画なんですね。
確かにこの表現でいいのかはわからないけれど、“シャレて”ました。
「どう?このセンス」って主張の映画が嫌いな人はきっと、終始ムカムカするのだろう。
大衆向けだし女の子に大ウケするのも判るし、男性でもそれはそれで楽しめるはず。


アメリカ、家族のいる風景 (2005/独・米) 124分


 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が、
「パリ、テキサス」のサム・シェパードを再び脚本に迎え撮り上げたロードムービー。
主演も同じくサム・シェパード。人生もなかばを過ぎた一人の男が、
初めて“家族”と向き合おうとする姿を美しいアメリカの原風景の中に綴る。
共演はジェシカ・ラング、ガブリエル・マン、サラ・ポーリー、ティム・ロス。

 西部劇のスターとして騒がれたのも今や昔、老年期に入り、
すっかり落ちぶれてしまった俳優ハワード・スペンス。
突然すべてに嫌気がさした彼は、撮影現場から逃亡、母親の所へ向かうことに。
突然の帰郷にも息子を温かく迎える母。そこでハワードに思いがけない事実を告げる。
20数年前、若い女性からハワードの子供を身ごもったとの連絡があったというのだ。
まだ見ぬ子供の存在を知ったハワードは、昔の恋人ドリーンのもとを訪ねることに。

 ティム・ロス出演最新作だったので期待してて、(チョイ役ですが)
県外の映画館にまで足を運ぼうかとさえ思ったんですが…レンタルで足りました。
何だろうな〜正直、薄味過ぎる印象です。とりあえず、荒野は綺麗でした。
家族愛を語るには浅すぎて、雰囲気だけで終わってしまった作品な気がします。
ティム・ロスは俳優ハワードを見つけて連れ戻す得体の知れないキャラでした。
冷めた人間嫌いなんだけど、ちょっと待ってやったりするのね。
カウンターでの変なやりとりには何の意図があったのか…変なの。

 骨壷抱えた娘まで突如現れ、明確な答えのないまま、つづく…で
映画は終了してしまった。いいのか、それで?アリなの?
部屋の中の物を外に投げまくる様は勿体無い病の私にはきっついわ〜
あの息子にしたって、もう20代後半…なんか珍しい設定だよな。
今まで会ってなかったからって親父にああも素直に反発できる年でもないような。

まったり鑑賞系なんだろうな。もっと年を重ねてから再見してみようと思う。


アメリカン・サイコ (2000/米) 102分





 衝撃的な内容で話題となったブレット・イーストン・エリスの小説を
「I SHOT ANDY WARHOL」のメアリー・ハロン監督が映画化。
舞台は80年代のニューヨーク。
27歳のハンサムなヤッピー、パトリック・ベイトマンは一流企業の副社長。
高級マンションに住み、美しい婚約者もいる彼は一見誰もが羨む生活をしていた。
しかし、彼の心の中には深い闇が広がっており、突如襲う衝動に突き動かされ、
夜の街をさまよいホームレスや娼婦を殺害していたのだった…。
主演は「太陽の帝国」で注目を集めた元子役、クリスチャン・ベール
共演にウィレム・デフォー、ジャレッド・レト、クロエ・セヴィニー、
リース・ウィザースプーンも出演してました。

 いや〜サイコ・サスペンスものだと思っていたけど、
ラストが実に意味不明で、2通りの解釈あり、でミステリーにしました。
主人公が連続殺人鬼で、探偵との緊迫感ある心理戦とか…起こらなかった。
クリスチャン・ベールは「バットマン・ビギンズ」の主役で知ったんだけど
凄いハマリ役に思えた。神経質でナルシストで何かおかしいハンサムな男性w
やたらと全裸シーンで肉体美が見られるので、興味ある人はチェックですな。
「マシニスト」ではあの肉体を全部削っちゃったわけだ…勿体ねー!!
ビギンズで再度、そのムキムキが構築されている所が凄い。
やはり、日々ペイトマンのように鍛えていたんだろうなぁ…役者魂。
ウィレム・デフォー、あんなちょい役でちょっと残念。

 エリート階級な彼らだが、名刺の出来や店の予約とかで牽制し合い、
変なこだわりに凄いプライド持ってて、滑稽で笑ってしまう。
スーツ姿にヘッドフォンって似合わないぃ〜そして映画も好きで
3Pアダルトビデオものと「悪魔のいけにえ」見てて後から再現…してるし!
あんな暇そうで副社長、毎日毎日ランチとディナーは良い店で外食、
金持ちな友達とどうでもいい話題を繰り返す毎日。刺激が欲しかったんだね。
真面目そうでいて、どこか笑える要素が散りばめられてる不思議な映画。

ラストは夢オチの線が一番自然なんだけど(死体なんて誰も片付けてくれないし)
私はあえて、あの連中は誰がポールでもペイトマンでもどうでもよくて
真実を訴えようにも洒落た冗談で済ましてしまう、実はサイコなのは世間
自分の弁護士ですら自分のことを認識しとらんってオチの方が好きだな。
自分の顔すら覚えられてない、むかつく野郎を家に呼んで
新聞紙ひいたリビングに通してレインコート着て音楽かけて斧振りかざすわ、
血が漏れてるのに管理人気づかなかったり、奴の家で素手で作業を行う主人公
警察との銃撃戦で難なく逃げれちゃったりパトカーが大げさに爆発したり
「ありえねー!」ってシーンがいっぱい。妄想ならば、スカッとするだろね。
すっぽんぽんでチェーンソー振り回して、落としたら当たっちゃったり…
にゃんこと、秘書の子が助かってホッとした。
あと、殺されそうなのに誘われてると勘違いしたホモ君が笑えた。

 冒頭に出てくる料理、色からしてまずそう。
全体的に映像美を感じさせるものもあって、結構好きなジャンルではある。
主人公の独白が多いので、小説を読むような作りにしてある。
モーガン・フリーマン主演の続編もあるけど、面白いのかなぁ??
原作者は他に「ルールズ・オブ・アトラクション」も書いてるようだ。
あれも、変わった映画だったなぁ。


アメリカン・スター (2003/米) 82分


 旅先のビーチで出逢ったケリーとジャスティンの恋の行方を、
他の恋愛も幾つかからませてミュージカル仕立てで描く。劇場未公開作品。
主演は米国人気オーディション番組“アメリカン・アイドル”で
見事アイドル歌手としてデビューし今後も期待大なケリー・クラークソン。
男女2人がそれぞれ運命的なものを感じ、惹かれ合っていくなか、
女友達のアレクサはケリーからジャスティンを奪おうと画策する…

 ケリーってどうしても主役顔じゃないのよねぇ〜
それがマジマジと判ってチト絵的につらいもんがある…でも歌は最高!
彼女の歌声でその場のクオリティがグングン高まってくのをヒシヒシ感じる。
相手役のジャスティンも、最初から最後まで冴えない君。
そして他出演者も、皆どこか冴えない男女ばかり。何か珍しい。
話も王道過ぎて何のひねりもないんだなコレが。
そこら辺の恋愛漫画によくあるパターンを盛り込んだって感じで。
でも二人船でのデュエットが終わる頃、妙に感動しちゃってる自分がいる。
ミュージカル仕立ての若者の青春恋愛モノって新鮮で面白かったです。

 ケリクラはこれでラジー賞ノミネート…やっぱり演技は大根ですか。
もうね、ノミネートだけだけど、この映画ラジー賞づくし。
作品、監督、脚本、主演男優、主演女優、更にワースト・スクリーン・カップル賞;
ここまでやられると逆にどんな酷さよ?って気になるでしょでしょ?
確かに安い空気は全体的に漂っているこの作品ですが、
歌が聞こえだすと途端に楽しくなってしまうのは何故??
ケリクラ好きなら多分、大丈夫なんだと思う。また見たいかも〜☆


アメリカン・ヒストリーX (1998/米) 120分








 ミュージック・ビデオなどで活躍するトニー・ケイ監督・撮影。
主演は『真実の行方』、『ファイト・クラブ』、『』のエドワード・ノートン、
『ターミネーター2』、『リトル・オデッサ』のエドワード・ファーロング。
エドワード・ノートンは今作でアカデミー主演男優賞ノミネート。

 アメリカのある時代。ベニス・ビーチは多国籍人種であふれかえっていた。
父親を黒人に殺されたことから白人至上主義の過激派ネオナチに所属し、
その凶暴性と信念、カリスマ性から若者たちの人望の熱いデレク。
そのデレクに憧れる弟のダニーは黒人迫害運動を続ける兄の背中を見て育った。
デレクはある夜、車を盗もうとした黒人3人を撃ち過剰防衛で刑務所行きとなり、
懲役の終わる3年後…ダニーの元に帰ってきた兄は思想を捨てていた。

 人種差別の問題を扱った衝撃作として有名ですね。遅れながらも、鑑賞しました。
エドワード・ノートンの魅力がイマイチ判らなかった私は、これを見て開眼致しました。
この映画だけで、青年時代、ネオナチ坊主時代、出所髪あり時代と
3タイプのデレクが登場するわけですが、どれも与える印象、雰囲気が全然違って、
これ本当に1人でやってるの?って驚愕。出所したら心なしか身体もスリム。
弟役のエドワード・ファーロング、コノ頃はまだ幸先楽しみな俳優でしたね…
坊主頭だけど、凄く繊細な顔つきしてるので『V・フォー・ヴェンデッタ』の
ナタリー・ポートマンみたいな感じでした。こりゃ守ってやりたくなりますわ。

 白人至上主義の過激派て恐ろしいもんだなと思ったけど、
差別は意識しなくても誰にでもあったりしますよね。外見や肩書きに左右されたり。
デレクの主張を聞いてると、少なからず自分でも共感できる面がある。
勿論、人を差別するのはよくないことだし、自分も誰かから差別されたら嫌だ。
しかし自分の国に入ってくる異国人たちが、少なくとも自分たちの住んでいる地域で
コミュニティを作って治安を乱したり、陰でこんなことやってるぞと噂が入ってきたら
非常に腹立たしく思うし、道ですれ違うその異国人たちを一色で見てしまう。
でもその異国人で一人でも友好的な人がいて、自分に握手を求めてきたら
快く応じるし、先入観に囚われることなく付き合い方次第で親しくなれたなら、
他の人からどう言われようが「この人は、この人なんだ」と当たり前の事実に頷く。

 でも米国の一昔前の映画の状況下は、私達では真に理解するのは難しいだろう。
白人は黒人に比べると遺伝的に劣勢なのだそうだ。そういう意識もあるのかな。
人類のルーツはミトコンドリアDNAからアフリカだと言われているし、
自分たちの血が異国人と交わっていったら、純粋な白人はいなくなる?純粋とは?
日本人も、特定の国に快いイメージを持ってない人はまだまだ多い。逆もしかり。
でもそこにはそれなりに理由があるし、私もそういう概念を捨てきれない側だ。
そうやって国家別に考えると、異文化交流で血が交わり、実は自分たちの家系は
何代か前に〇人の血が入っているんだと言われるとショックを受けたりもする。
目の色、肌の色、身体的特徴、言語、主義、文化、国境、違いを怖がるな、
人類みな兄弟とうたうアーティストは多いけど現実は単純じゃない。
どう考えてもその考え方は向こうが間違っている、悪しき風習だと思う主義や行為も、
もし自分が向こうの国に生まれ育っていたら考え方は真逆たったかもしれない。
国だけでもこれだけややこしいのに、どこの市町村の出だから、中卒高卒、学歴、
どこどこの宗教入ってるから、どこどこで働いてるから、デブ、ガリ、ブサ、差別の山。

 凶暴な兄貴、ム所から帰った兄貴、彼を変えたのは何だ?
モノクロの回想シーン、スローモーション、ストーリーにグイグイと引き込まれる。
洗濯係の雑談と「謎が解けた」の清々しいデレクの表情がいい。
デレクが刑務所で学んだことを語っただけで弟が考えを改めるのは浅いけどね。
3年間、弟は組織でみっちり洗脳されてたと思うと、再び勧誘されて
ついてっちゃうんじゃないかなと思ったけど。ボスはダニーに執着してたし。
そして組織を抜けた兄は報復され、、、と想像し、緊張感に包まれていたら、
殺されてしまったのは弟のダニーだった。まさにふいうちを食らった気分だ。
ハッとさせられるいいセリフ、心に残る言葉もあったけど、ラストに吹き飛んだ。
ダニーの意志は遺言となってしまったレポートと、憐みを帯びた瞳。
憎しみ争うだけでは何も得られないと気づいたデレクは
自分が死ぬよりも辛い目に遭う。悲痛な顔が焼きついた。
彼はこれからどちらへ向かうのか。映画はその先を描かず語らず終わる。
再び組織に入り黒人を敵視するか、それでも組織に説得に行くか…
後者はありえないと思ってしまう私は、寛大な心は持てないのかもしれない。

多少荒削りだけど、色々と考えが浮かんでやまないのは脚本が凝ってるからかな。
難しいテーマを扱いながらも、観易いのでスラスラと頭に入り胸に響く。
まだ観ていない方、多少過激なシーンもありますが、オススメします。


アメリカン・ビューティー (1999/米) 117分








 第72回アカデミー賞で作品賞ほか5部門を受賞したファミリー・ドラマ。
あるサラリーマン家庭の崩壊劇を、陽気かつシニカルに描写。
現代人の抱える孤独感や不毛感を、可笑しさと残酷さを交錯しながら捉える。
ケビン・スペイシー、アネット・ベニング共演。
ある日突然リストラ宣告されてしまった、不動産ブローカーのレスター。
冷めてもうずっと性交渉を避け、触れ合ってもいない妻と
自分のことをけむたがる、理解の難しい年頃のひとり娘と彼の三人家族。
そんな中、娘のチアガール部の晴れ舞台を渋々見に行ったレスターは
娘の友人の女の子に目を奪われ、その日から彼は変わり始める…
とことん素直に前向きに、人生を楽しくやり直し始めたレスターだったが、
彼の変貌をきっかけに、平凡だった一家の生活も壊れ始める…

 ずっと前に友達の家で見せてもらった時は、変な映画だなぁ…でした。
数年経って、ふいに見返したくなったので鑑賞。
本当に、一度観ただけじゃ分からないものってありますね。
ヘソにバラ印象的なパッケージ。当時話題になってたけど
どんな映画か全然分からなかったし、タイトルには興味惹かれなかった。
ケビン・スペイシーも、この映画で初めて知った役者だった。

 変な映画です。でも、どこか可笑しくて、ロマンティックで
妙に酷な現実があって、そうそう、と頷く場面もあった。
脚本が良い…確かに。ゆったり流れるんだけど、何処も退屈は無い。
ちょっと哲学のような理論も混ぜてあり、でも
それを語らせるのが若者だから、説教臭いおしつけには感じない。
最後まで観てから、また始めを見返すと意識しなかったことも分かる。
この映画に込められたものも、何となく感じ取れた。

 あんなオッサンだけど、どこか妙にチャーミングで、アンジェラの言うことも判る。
鉄アレイ出してきて裸になったシーンを撮ってるの、おかしくてたまんなかった。
夜に窓の明かりで、部屋の中ってマル分かりなんだよねぇ〜
実際に生活してる人たちは全然意識してないけど、
ひょっとしたら、あなたの家の隣の家で…リッキーみたいな奴いるかも?
リッキーも、最初登場した時は眉毛太いし眼力凄くて気味悪いと思ったら
結構、男前なんで驚いた。
でもジェーン、相手がブサイクなオタク君だったら…どうよ?
美人の友達の引き立て役になって、自分を卑下してきた彼女。
二人の恋の模様も、ドキドキした。音楽も雰囲気を引き立てていた。

 レスターの妻のキャロリンの思いっきりっぷりも凄い。
ヒステリックで、何処にでもいそうな身近な母親であり、妻であり、女。
自分を奮い立たせるように独り言云うのが印象的だった。
ドライブスルーでの鉢合わせのシーンが結構好きだ。
普通に考えたら、あんな態度とセリフは出てこなかった。そこが好き。
それと、二人とも、上機嫌の時は運転しながら熱唱するのも。
やっぱ、誰でもやるっしょ?気持ちイイんだよね〜

 滑稽で、深くて面白い映画なんだけど、家族鑑賞には向かないね。
結構エロいシーンが多い。バラが舞うシーンでドキッとした。
窓の誤解のシーンも今では普通におかしくて笑っちゃうんだけど、
最初観た時は、やばいよ、やばいよぉ〜っ違うんだよ、て思って観てたもん。
アメリカの日常、平凡を描いていたけど、結構共感する面ある。
日本版の「ジャパニーズ・ビューティー」ってな映画も観てみたいかも(笑)
何気ない日常の中に見逃していた美しさ。
人生って何だろう?幸せって何だろう?今の自分は生きているのかな?
ふとまた見たくなる映画ですね。お勧めです。


アモーレス・ぺロス (1999/メキシコ) 153分






 「バベル」でカンヌ国際映画監督賞を受賞した
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの長編映画デビュー作。
3つのエピソードを時系列バラバラに綴っていくシビアな人間ドラマ。
その作品の傾向から、“メキシコのタランティーノ”というフレーズも使われた。
最近油ののってきたガエル・ガルシア・ベルナルの長編映画デビュー作。
原題は「犬なみの愛」という意味。各エピソードにも犬が登場する。

 メキシコのダウンタウンに住むオクタビアは兄ラミロの妻スサナに恋心を抱き、
兄の日頃の家庭内暴力の激しさと幼い赤ん坊を養うのに疲労していたスサナは
次第にオクタビアに心を許しはじめていた。
オクタビアは偶然が重なり、自分の飼っている犬が闘犬として使えることが判ると
犬を使って博打で金儲けを始めて、駆け落ち資金を貯めていくのだが…
 スペインから来たモデルのバレリアは仕事も順風満帆、
不倫関係だったダニエルも家庭を捨てて自分を選び、二人の暮らしが始まった。
そんな幸せの絶頂の中、ふいに絶望のドン底に突き落とされる事件が…
 町を捨て犬たちと徘徊するホームレスかぶれの老人、エル・チーボ。
殺しの依頼が舞い込めば鮮やかに標的を抹殺する彼の過去とは…
3つのエピソードが交差点の交通事故を通じて交わり、運命を狂わしていく。

 「バベル」を見た後、この監督に興味がわいたのでレンタルして拝見。
作品の構成が「パルプフィクション」を思わせるものの、こちらはかなりシビア。
見ていて、心が締め付けられる辛さがある。犬好きは更に辛い。
痛々しいほどの本音のぶつけ合いや醜い本性…
なんとも残酷な展開に、2度目観るのを躊躇してしまう映画。
場末の空気、汚れ、生々しいメキシコの荒々しい描写が現実味がある。

 
兄を憎み、死んでも哀しまない弟だが財布には仲良く映る兄弟の図。
自分が闘って勝つと人が、主人が大喜びする。その染み付いた感覚は
恩を仇で返し、自分と同類の仲間ですら無残に噛み殺してしまう犬。
心の拠り所を奪われ憎しみで犬を殺そうとするものの、その手を止める。
犬が穴から出てこない、身体が動かせない、孤独、かつての栄光を思う辛さ、
順調に行けば回復できたのに、精神を病み、その足を失ってしまう悲劇。
腹違いの兄弟を暗殺依頼し、醜く罵り合い銃声が響く。
娘にそっと伝言を残し、犬と荒野を行く老人…
強く印象を残す場面が多く、この映画が評価高いのもうなづける。
スラムの街角で繰り広げられる犬同士の殺し合い、それを煽る飼い主と野次馬。
大量の血を掃除している様、いかに映画といえども、恐ろしいことだ。
見終わった後、メイキングシーンを見てホッとしたくなる。…ホッとした。
登場人物たちは皆、自分の欲望で愛しい相手を破滅させている?
“一人よがり”というか“身勝手”というか…そんな言葉が浮かんでくる。

「21g」も宣伝だけ見たが非常に重い映画だと思うんだけど、
この映画も相当重い。そして退屈な箇所は無く全然眠くはならなかった。
撮り方が上手いのかも。実際に起こっている出来事を見つめている気にさせる。
この人の作品にはこれからも注目していきたいと思う。
なかなか奥深く味のある作品なので、コアな映画好きにはお勧めです。


アラジン (1992/米) 90分


ディズニーアニメ。私の中では最高傑作。
当時、ディズニー嫌いだった私が何故だか店頭で告知を見て予約してしまった。
そうして吹き替え版ビデオを購入し、何回観たことやら…大好きです!!

話のあらすじは誰もが知ってるランプの魔人の話なんだけど、
ジーニーのテンション高いユニークさにやられた。
凄いよもぅ山ちゃん。一生ファンだからね!!
最初見たとき、自己紹介から説明、励ますジーニーに笑いが止まらなかった。
そしてアラジンは格好いいしジャスミンはかわいいし…
二人の出逢いから初デートまでロマンティックなんだぁ
(人´∀`).☆.。.:*
こんな風に愛し合う二人を見てキュンとしない女は感性足りないわ!
中学の頃から見てたから更に思い入れが強いんだと思う。
歌とか、口ずさんでいた時期もあった…

ただ続編の「ジャファーの逆襲」と「盗賊王の伝説」は絵が気にくわん!!
初代の絵が一番いい。
"A Whole New World"の場面が一番お気に入り。
アラジンがたとえ冴えない男だったとしても、世界を自由に飛びまわれる
魔法の絨毯を持つ男だったら凄いモテそうだと思えなくもない。
最近、アラジンの声優が羽賀賢二だったことを知った。キャラが全然違う〜
あんな風に色んな世界を観に飛んでいきたいわ…



アラン・ドロンのゾロ (1974/伊・仏) 120分


 小さい頃からビデオに録画してあった映画。それがこの映画。
黒い帽子に黒い服、黒マントに身を包み、黒マスク…
何から何までパーフェクトに格好よくて夢中になって何度も見返したものです。

 親友がスペイン領のカリフォルニアへ提督として行くことになった矢先
彼は暗殺されてしまい、彼の願いでそこへ行くこととなった主人公。
現地では賢い提督は命取り。あえて能天気バカを装い周囲を欺く。
村人からゾロの話を聞いた彼はゾロに扮して陰ながら民衆を助けていく…

 冒頭から流れるテーマ曲も爽快で面白い。
颯爽と荒野から馬に乗って現れるアラン・ドロンはやはり素敵。
彼の瞳、鼻筋、今では昔の俳優だけどかなりの二枚目ぶりである。
「太陽がいっぱい」もそのうちちゃんと拝見したい。
実は強く賢いのにそれを偽ってるのもユニーク。
彼の話すおとぼけなフランス語も楽しい。

 ヒロインのオッタヴィア・ピッコロも美人でした。
おとぼけ軍曹や犬、おばさんと老兵士とか悪役のスタンリー・ベイカー
教会での決闘シーンは今でも色濃く頭に残ってます。
ドキドキしたもんなぁ〜

 「マスク・オブ・ゾロ」では剣でねじふせていましたが
この作品では主に頭を使ってユニークに敵を倒していて
違った魅力で楽しめると思う。
最終的には剣での対決になったけどね。
蝋燭切るシーンは、やっぱ普通は不可能だろ〜あんな切り方


ある日どこかで (1980/米) 103分






 クリストファー・リーヴ主演のファンタジーロマンス。
リーヴ氏は「スーパーマン」の俳優として有名で04年、享年52歳で亡くなりました。

 脚本家としてデビューし、初舞台を成功させたリチャードは、
そのパーティーで謎の老女に古びた懐中時計を手渡される。
「帰ってきてね」そういい残し、老婆は去った。
それから8年後、恋人と別れ仕事も不調だったリチャードはあるホテルに滞在。
そこの史料館で昔、一世を風靡した大女優の写真に強く惹かれ、調べ始める。
あの時出逢った老婆とこの女優が同一人物だと知ったリチャードは、
彼女がホテルで公演を行った時に遡り、彼女に逢いに行こうと決意する…。

 友達に借りた映画で、初めて観たんだけど名作として有名な映画らしい。
熱烈なファンも多く、今でも愛され続けている物語。
とにかく、映像がぼやけてて、それがまた雰囲気出てた。
女優の写真を見て、観てる自分までハッとする程美しかった。
ジェーン・シーモア。この女優さんも有名らしい。
彼女のマネージャー役…どこかで観たことあると思ったら
クリストファー・プラマーだった!サウンドオブ〜の大佐じゃないですか。
リーヴ氏は何だか顔つきがトム・クルーズを思わせる。(彼の方が年上だが)
登場人物たちの瞳の美しさが印象に残った。

 精神の力だけで時を遡ってしまうなんて、凄い発想だと思った。
私はリチャードが彼女に逢って、ワケを話して帰ってくる気なんだと思い込んでた。
昔の硬貨と服を用意して…随分念入りにやっていますが。
過去に行ってから、なかなか彼女を見つけられなくて
観ているこっちまでソワソワしてしまった。


 「リチャード!!」あの叫び声が木霊した。
何で?どうして?何で彼女とあんな別れをしなければならないんだ?
観終わってから、ただただ切なくなった。
抜け殻のようになったリチャードが本当に可哀想で…。
取り残された彼女も、負けない位可哀想なんだけど。あれから60年も…
けれど、最後に二人は天国で結ばれたようなシーンがあったのが救い。
彼女はあれから、彼が未来から来たことを悟って時計を渡しに来たのだ。
とすると、あの時計は何処から来たんだ?…それは置いといて。
あれだけ経って、あの老女は彼の顔もちゃんと覚えていて凄いよね。
長い孤独…辛かっただろうに。いつか、また逢えると信じて。
逢えたとしても、彼は彼女を知らない。これから知るのだから。



 アメリカ映画なのに、ヨーロッパ映画のような雰囲気なのは
監督のジュノー・シュウォーク氏がフランス出身だから?
原作は小説で、書いたリチャード・マシスン氏。作品が
「縮みゆく人間」や「ミステリー・ゾーン」等、ホラーやSF系が多いみたいです。
この作品は、まさにラブ・ロマンスって言葉がピタリとはまる。切ないけど。
クラシックな雰囲気と音楽も絶品です。大人な映画です。
今思えば、彼の好きな音楽も彼女にとって大きな鍵になったわけですね。


アレキサンダー (2004/米) 173分






 オリバー・ストーン監督の壮大な歴史スペクタクル映画。
若きアレキサンダー大王は世界を手に入れるために何をしたのか…
未だ多くの謎に包まれたアレキサンダー大王の生涯を描く。

 主演のコリン・ファレル…構えて見たけど印象悪かった〜ダサい。
ブロンドの髪が不釣合いな顔つきしてるもんな。
母役のアンジェリーナ・ジョリーは好き。ああいう役まわりも好き。
アンソニー・ホプキンスも出ているし、
ここらへんの歴史は好きだから長くても退屈しないと思って劇場へ足を運んだ。

 何でだろう…全体的に安っぽい印象を受けた。
冒頭でアンソニーの喋りっぱなしで地図上戦がどんどん終わっていってしまうし
戦闘シーンでも、身につけてるものとかが偽物感バリバリ
そりゃ当時の本物っぽさって何なのかと言われたら説明できないけど…うん

 プトレマイオスがエジプトを築いていく映画でも良かったかも。
アレキサンダーは英雄アキレスに憧れ、
シーザーはアレキサンダーに憧れて…そういう繋がりみたいなもの感じた。
 アレキサンダーが同性愛者だった描写は、中途半端だった気がする。
いまいち、男同士の友情の延長線な立場に感じた。
劇場公開に備えカット編集されたという噂も聞くけど、
当時は同性愛に対して差別や偏見は存在しなかった。
それもひとつの人間同士の絆の形みたいなものだった。
その、「自然なものなんだ。」というイメージを観せて欲しかった。

 父が毒殺され20歳の若さでマケドニアの王位に就いたアレキサンダー
母に疑いと恐怖の念を抱き、一緒に暮らすのが嫌だから遠征に出たっぽい。
 いろんな国へ行き、侵略し戦い支配を繰り返しどんどん進む。
アレキサンダーが世界統一して戦争の無い平和な理想郷を築こうとした、とか
そういう理由づけがないから理解に苦しむ。
歩かされ故郷をどんどん離れ戦死していく兵士はそりゃたまったもんじゃない。
映画の後半で兵士たちの反対意見を黙らせるアレキの演説も何じゃそりゃ状態。

 戦の場面も判り辛かった。砂煙だらけで。
「クレオパトラ」や「トロイ」「スパルタカス」等の方がどんなに見易かったか。
終盤の森で象と戦ってたシーンは集中できたけど
馬対象の図をスローで見せられた時には笑うしかなかった。ギャグ?
アメリカで上映時はアレキサンダー早く死ねコールが沸いたとか…

 側近の人間がいっぱい出てきて把握しきれなかったのも原因かと。
愛着持てたキャラが王妃オリンピアスだけだったのも問題…
もっと魅力的なキャラ作りもしてほしい。映画全体で、
偉大な王はこうしてこうして、こうなって、こうなりましたとさ、って印象。
しかし、それもこの時代のことちゃんと勉強してなかったせいかなぁ
外国の古代史なんて義務教育学校じゃ習わないからね。
映画を理解する為にも勉強してもう1回見直さないとダメかな。
そういう意味で非常にとっつきにくい映画だと思う。



アレックス (2002/仏) 99分


 カンヌを揺るがした衝撃の9分間…。
女優のモニカ・ベルッチ主演で贈る問題作。
(世界一の美女と言われてるらしい。マトリックスリロ&レボのパーセフォニー役)
が、頑張って演技してました…しかし、たまらなく痛々しい…

 幸せな恋人同士。とある口論からあるパーティーの夜、
婚約者のアレックスを一人で帰してしまったことから、彼女は凄惨なレイプに遭う
あとから事実を知った婚約者は怒り狂い、犯人をつきとめようと奔走し
あるゲイクラブへと入っていく…

 時間軸を逆回転させて進むストーリー。
この描き方は残酷さを煽るということでは成功と思う。
冒頭から前半くらいでパーティー場面に戻り
そこからはひたすら幸せそうなアレックスと彼氏のシーン。
あんなことが起こるなんて…。彼女は…

 カメラアングルが凄い回ってて、目が疲れるし、
効果音の「グォングォン…」がノイローゼみたいで勘弁…
最後のポケモンの問題シーンのようなチカチカフラッシュもたまんなく…疲れた。
しかも途中であることに気づき、欝になる。

 消化器で頭をぼっこぼこにされるシーン、目を背けたくなった…
あんなの初めてだったよ…今まで観た映画の中で一番痛い映像かもしれない。
もう観たくないや…
ストーリー的にはなんて残酷…なんだけど、
野蛮な国ではそう珍しいことじゃないらしいね。
ある種、被害に遭いたがっているような変人もいるけれど、
リアルに怖い。殺されるかもしれない恐怖、容赦ない暴力…
踏みにじられる心と身体。

 なんてこった…あぁ、ひたすら浮かばれない
清純なゲイの人が見たらひたすら胸くそ悪くなるかもしれない。
ゲイがそもそも女の尻に興味持つかなぁ…
あのゲイバーもぶっ飛んでたし…(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

これって、フランス映画だもんな…ハリウッドとは違う、
ドロドロしてて精神的にズンとくるタイプだ…


アンダーワールド (2003/米) 121分




 『パールハーバー』や『ヴァンヘルシング』のヒロイン役などで知られる
ケイト・ベッキンセイル主演の、ヴァンパイア一族と狼男(ライカン)一族の、
長年続く戦争を現代を舞台に描くアクション・ホラー・ファンタジー。
監督は音楽PVなどでのし上がってきたレン・ワイズマン。
ヴァンパイア一族の女戦士であるセリーンはライカンの王ルシアンが倒され、
ライカン一族をもう少しで根絶やしにできるかと躍起になって戦っていた矢先、
ライカンたちが一人の人間の男性を狙っている事実に気づき、彼に接触する…

 前々から観てみたかったけど何となく避けてた作品。ギャオで鑑賞。
期待していなかったせいか、結構楽しく見れたよ。設定とか漫画チックだったし。
ヴァンヘルの姫とはまたえらい印象違って、ケイトは綺麗で惚れ惚れしちゃった。
ケイトはこの映画でルシアン役をやったマイケル・シーンとの間に子供いたんだけど
後に破局して、ケイトはこの映画の監督のレン・ワイズマンとくっついたという…
ヴァンパイアの大御所にビル・ナイが出てた。このおっさん、何気に好き。

 ヴァンパイアって傷治らないのね〜それじゃライカンの方がちょっと強いかも。
しかし同種族とも、主要武器が銃ってのがちょっと情けなや。
最初の方の地下鉄の銃撃戦とか、まんまマトリックス意識ですね〜
変身したら今度はブレイドもどきで…突っ込み所満載ですが、ストーリーは
最後まで緊張感あって、先どうなるんだろ?って夢中になりました。
そういえばどこかの映画で「ヴァンパイアと狼男が戦ったらどっちが勝つ?」
『狼男。闘いが長引き朝になればヴァンパイアは灰になるが狼男は男に戻るだけだから』
ってやりとりがあったな…何の映画だったっけなあれは…。
ルシアンの過去とか明らかになり、最終的にはセリーンは…あの変異は期待ハズレ。
ヴァンパイアの貴族とか元老院とか長老とか世界深そうで気になった。
イメージのせいもあってか、ライカンの方が底浅そう。ライカンの女っていない??
クレイヴンは何故あんな嫌われまくってるのにセリーンに入れ込むのだろう?
次回ではセリーンの更なる過去が明らかになって戦闘も激化するそうな。
続編がそろそろDVD化になるので、次はレンタルして観ようっと!


アンダーワールド2:エヴォリューション (2006/米) 106分


 ヴァンパイアとライカン一族因縁の戦いを描いた『アンダーワールド』の続編。
前作でライカンを始末する処刑人ヴァンパイアとして一族に仕えてきたセリーンは、
信じていたヴァンパイアの長老ビクターが自分の家族を惨殺していた真実を知り、
ライカンとの戦いの最中、ビクターを殺し一族から追われることに。
ヴァンパイアとライカンの混血児であるマイケルだけがセリーンの味方となり、
残ったヴァンパイアの始祖であるマーカスはライカンの血を浴びて復活を遂げる…

 レンタル新作で借りました。…あれ?何かつまらんかったぞ。
冒頭から、太古の過去話になってマーカスの事情説明が入る。
同族たちからも追われるハメになったというセリーンとマイケルだが、
他のヴァンパイアたちがもう見当たらないのだが。イマイチ緊迫感無し。
やり手クレイヴンもマーカスの残虐アピールの為に早々にクランクアップだしね〜
朝になってこりゃヤバイとセリーンの為に奮闘するマイケルだが、
窓に黒ペンキぶっかけるシーン…効率悪そうだ。
何か急展開で取ってつけたようなララブシーンがこれまた要らん。意味不明。
これのせいで急に安っぽい映画になってしまったような気がする。
長年幽閉されてた記録係の所に乗り込んでのくだりはまぁ楽しめたんだけど、
封印されてたライカンの始祖が復活しても大して迫力なかったなー

そして前回でも微妙だったマイケルが更に冴えない。全く冴えない。
獣化しても格好悪いし、全然強そうじゃないしCGで魅せるにも程があるわ。
デザインからやり直した方がいいんじゃない?役者の顔も冴えないしね。

 セリーンは相変わらず女ヒーローとしてガンガン行くわけですが、
前作を越えるような派手なアクションは無くてアクションゲーム見せられてる気分。
これ、まだ続編作りる気あるっぽいのだが、これ以上広げられない気がする。
光も平気になったヴァンパイアって最早ただの超人ね。
セリーンは銃ガンガン撃つだけで人間の首から血吸うわけでもないし。
前作に比べてストーリーの重要性も欠いており、映像技術も雑さが目立つ。
ただ動くケイトが見たい人なら満足なんでしょうが、私は不満タラタラ。
ヴァンパイアとライカンで引っ張るにも限界かもな。残念だけど駄作の領域。


アンタッチャブル (1987/米) 120分




 名作TVシリーズ「アンタッチャブル」をパラマウント映画が
創立75周年記念として映画化した大作。
30年代禁酒法時代のシカゴを舞台に、史実に多少の脚色を加え、
実在の大物ギャング、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)と捜査官達の戦いを描く。
財務省の捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)が
古参の巡査ジム(ショーン・コネリー)と結託し、
ストーン(アンディ・ガルシア)、ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)を加えた
わずか4人のチームで買収や脅しに屈せずにアル・カポネ摘発に乗り出す。
監督は「キャリー」、「ミッション:インポッシブル」のブライアン・デ・パルマ。
音楽をエン二オ・モリコーネが担当。S・コネリーはアカデミー助演男優賞受賞。
ギャング映画だが、シンプルで娯楽性の強い作品に仕上がっている。

 テレビ放映チラッと見るつもりが、久しぶりにのめり込んで最期まで見てしまった。
ギャング映画はやたら残酷で暗いイメージだったんですが(ゴッドファーザーとかね)
この映画は観易かった。画面に釘付けになって、カタルシスを楽しみました。
乳母車が階段を落ちていく有名なシーンも見れましたしね。
アレは何でも、ソ連の映画「戦艦ポチョムキン」(25’)のオマージュらしいですが。
ロバート・デ・ニーロがこの役の為に髪の毛抜いたのはあまりにも有名。
実際には
アル・カポネはそこまでエリオット・ネスに追い詰められなかったそうですが。
デ・ニーロはこういう役がハマリ過ぎだよな〜バットのシーンが好き。
ショーン・コネリーもいい役でした。彼が死んでしまうシーンでは
あの殺し屋(ビリー・ドラゴ)が凄く憎かったし。メガネの会計士君も無念無念…
アンディ・ガルシア、この後にマフィア役結構演じてますよね。複雑。
エリオット・ネスについて詳しく調べてみたら、彼はその後転落人生なんですね。
この禁酒法時代を人生の絶頂期として語っていたそうな…


 「ワンス・アポン・タイム・イン・アメリカ」でも思ったが、禁酒法なんて無茶や。
全編真面目に徹するわけではなく、たまに笑えるシーンがあるのが良かった。
「あぁ〜残念!」「やった!!」「ザマーミロ」「くそっつ!」と一緒に唸りました。
男達のスーツ姿も格好いいんですよね。イタリアのアルマーニ全面協力とか。
ジャケットの配置もなかなか様になってるんですよね。75点!



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