管理人NEROが映画について語ります。

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アフガン零年 (2003/アフガニスタン・日・アイルランド) 82分




 タリバン政権崩壊後の復興アフガニスタンで製作された映画第1作。
日本のNHKが機材などのハード面を中心に全面サポート。
タリバン政権下のアフガニスタンを舞台に、
女性の置かれた過酷な状況を切実に描いたヒューマン・ドラマ。
実話をヒントに、働き手を失った一家を支えるために
少年に成りすまして働く少女の姿を通して、アフガニスタンの重い現実を描く。
主人公を演じたマリナは実際に内戦で2人の姉を失い、
5歳の頃からストリートチルドレンとして生き延びてきたという。
第61回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞。

 長年の戦争の末、タリバンが政権の座についたアフガニスタン。
イスラムの教えを厳格に守ろうとするタリバン政権下では、
女性は身内の男性の同伴なしには外出が許されなかった。
そんな中、生計を支えるべき男たちを全員戦争で失い、
祖母と母親、そして12歳の少女の3人だけになってしまった一家があった。
彼女たちは外出も出来ず生活の糧を失う。
母親は仕方なく少女を男の子に変装させて働かせることを決意。
バレた時の恐怖に怯える少女をなだめると、そのおさげ髪をバッサリと切り
少年の姿にして、亡き父の戦友だったミルク屋に働きに出すのだったが…。

 久しぶりに心の底からズシンときた映画でした。重くて哀しい映画です。
これが現実。ニュースでは判らない、私たちの知らない場所での出来事。
タリバン政権なんて、言葉のイメージだけで何も知らなかった。
映画を観終わった後、ネットで色々調べて回った。
冒頭、まるで実際のドキュメンタリーのようなタッチから物語が始まる。
女性の人権を訴えるデモ行進、蹴散らしにくるタリバン。逃げ惑う女たち。
主役の女の子の表情にずっと釘付けでした。深い哀しみを秘めた瞳。
「V
・フォー〜のイメージも手伝ってか、ナタリー・ポートマンに似てる気がした。
生きる為に仕方ないのだろうけど、老婆と母親は残酷なことをする。
お香屋の少年も監督が道で犬を売ってる彼をスカウト(犬は映画に登場してる)
学校のような場所に連れていかれた時、ふざけで喋ってしまいそうでハラハラした。
が、彼は最後まで彼女を庇った。最後の泣き顔が切ない。
あそこまで女性蔑視して、どういうつもりなんだろう。皆、女から生まれてきたのに。
アフガンでは女性は素肌を隠しているってことは知ってはいたが、
女性だけの外出禁止、更に女性は働けないだなんて、初めて知った。
この映画観る前は、肌を隠すのは国と彼女たちの宗教観からだと思ってた。
違反者は連れていかれて牢獄行き。恥ずかしながら、映画を観て初めて知った。
牛乳屋にいた時から目をつけてた奴は、実は正体に薄々勘付いてたようだ。
あんな老いぼれても天使を汚したいのか…ラストの救いの無さは絶句でした。
実はハッピーエンドを用意していたが、主役の子が泣き出したのを見た監督が
「まだアフガンの悲劇は終われない」とバッドエンドを選択したとか。
監督が好きな映画に「自転車泥棒」や「羅生門」を上げていたなぁ…
唯一の救いはアフガン政権が現在は崩壊したという事実。
しかし、まだ泣いている子はたくさんいるんだろう。

娯楽作じゃないけれど、その世界に引き込まれ、見て得るものはあると思う。
アフガニスタン第一作目の映画ということでも興味深い。
見慣れない異文化の暮らし、砂と布。まだ世界には問題が山積みだ。


アメリカン・ヒストリーX (1998/米) 120分








 ミュージック・ビデオなどで活躍するトニー・ケイ監督・撮影。
主演は『真実の行方』、『ファイト・クラブ』、『』のエドワード・ノートン、
『ターミネーター2』、『リトル・オデッサ』のエドワード・ファーロング。
エドワード・ノートンは今作でアカデミー主演男優賞ノミネート。

 アメリカのある時代。ベニス・ビーチは多国籍人種であふれかえっていた。
父親を黒人に殺されたことから白人至上主義の過激派ネオナチに所属し、
その凶暴性と信念、カリスマ性から若者たちの人望の熱いデレク。
そのデレクに憧れる弟のダニーは黒人迫害運動を続ける兄の背中を見て育った。
デレクはある夜、車を盗もうとした黒人3人を撃ち過剰防衛で刑務所行きとなり、
懲役の終わる3年後…ダニーの元に帰ってきた兄は思想を捨てていた。

 人種差別の問題を扱った衝撃作として有名ですね。遅れながらも、鑑賞しました。
エドワード・ノートンの魅力がイマイチ判らなかった私は、これを見て開眼致しました。
この映画だけで、青年時代、ネオナチ坊主時代、出所髪あり時代と
3タイプのデレクが登場するわけですが、どれも与える印象、雰囲気が全然違って、
これ本当に1人でやってるの?って驚愕。出所したら心なしか身体もスリム。
弟役のエドワード・ファーロング、コノ頃はまだ幸先楽しみな俳優でしたね…
坊主頭だけど、凄く繊細な顔つきしてるので『V・フォー・ヴェンデッタ』の
ナタリー・ポートマンみたいな感じでした。こりゃ守ってやりたくなりますわ。

 白人至上主義の過激派て恐ろしいもんだなと思ったけど、
差別は意識しなくても誰にでもあったりしますよね。外見や肩書きに左右されたり。
デレクの主張を聞いてると、少なからず自分でも共感できる面がある。
勿論、人を差別するのはよくないことだし、自分も誰かから差別されたら嫌だ。
しかし自分の国に入ってくる異国人たちが、少なくとも自分たちの住んでいる地域で
コミュニティを作って治安を乱したり、陰でこんなことやってるぞと噂が入ってきたら
非常に腹立たしく思うし、道ですれ違うその異国人たちを一色で見てしまう。
でもその異国人で一人でも友好的な人がいて、自分に握手を求めてきたら
快く応じるし、先入観に囚われることなく付き合い方次第で親しくなれたなら、
他の人からどう言われようが「この人は、この人なんだ」と当たり前の事実に頷く。

 でも米国の一昔前の映画の状況下は、私達では真に理解するのは難しいだろう。
白人は黒人に比べると遺伝的に劣勢なのだそうだ。そういう意識もあるのかな。
人類のルーツはミトコンドリアDNAからアフリカだと言われているし、
自分たちの血が異国人と交わっていったら、純粋な白人はいなくなる?純粋とは?
日本人も、特定の国に快いイメージを持ってない人はまだまだ多い。逆もしかり。
でもそこにはそれなりに理由があるし、私もそういう概念を捨てきれない側だ。
そうやって国家別に考えると、異文化交流で血が交わり、実は自分たちの家系は
何代か前に〇人の血が入っているんだと言われるとショックを受けたりもする。
目の色、肌の色、身体的特徴、言語、主義、文化、国境、違いを怖がるな、
人類みな兄弟とうたうアーティストは多いけど現実は単純じゃない。
どう考えてもその考え方は向こうが間違っている、悪しき風習だと思う主義や行為も、
もし自分が向こうの国に生まれ育っていたら考え方は真逆たったかもしれない。
国だけでもこれだけややこしいのに、どこの市町村の出だから、中卒高卒、学歴、
どこどこの宗教入ってるから、どこどこで働いてるから、デブ、ガリ、ブサ、差別の山。

 凶暴な兄貴、ム所から帰った兄貴、彼を変えたのは何だ?
モノクロの回想シーン、スローモーション、ストーリーにグイグイと引き込まれる。
洗濯係の雑談と「謎が解けた」の清々しいデレクの表情がいい。
デレクが刑務所で学んだことを語っただけで弟が考えを改めるのは浅いけどね。
3年間、弟は組織でみっちり洗脳されてたと思うと、再び勧誘されて
ついてっちゃうんじゃないかなと思ったけど。ボスはダニーに執着してたし。
そして組織を抜けた兄は報復され、、、と想像し、緊張感に包まれていたら、
殺されてしまったのは弟のダニーだった。まさにふいうちを食らった気分だ。
ハッとさせられるいいセリフ、心に残る言葉もあったけど、ラストに吹き飛んだ。
ダニーの意志は遺言となってしまったレポートと、憐みを帯びた瞳。
憎しみ争うだけでは何も得られないと気づいたデレクは
自分が死ぬよりも辛い目に遭う。悲痛な顔が焼きついた。
彼はこれからどちらへ向かうのか。映画はその先を描かず語らず終わる。
再び組織に入り黒人を敵視するか、それでも組織に説得に行くか…
後者はありえないと思ってしまう私は、寛大な心は持てないのかもしれない。

多少荒削りだけど、色々と考えが浮かんでやまないのは脚本が凝ってるからかな。
難しいテーマを扱いながらも、観易いのでスラスラと頭に入り胸に響く。
まだ観ていない方、多少過激なシーンもありますが、オススメします。


アレックス (2002/仏) 99分


 カンヌを揺るがした衝撃の9分間…。
女優のモニカ・ベルッチ主演で贈る問題作。
(世界一の美女と言われてるらしい。マトリックスリロ&レボのパーセフォニー役)
が、頑張って演技してました…しかし、たまらなく痛々しい…

 幸せな恋人同士。とある口論からあるパーティーの夜、
婚約者のアレックスを一人で帰してしまったことから、彼女は凄惨なレイプに遭う
あとから事実を知った婚約者は怒り狂い、犯人をつきとめようと奔走し
あるゲイクラブへと入っていく…

 時間軸を逆回転させて進むストーリー。
この描き方は残酷さを煽るということでは成功と思う。
冒頭から前半くらいでパーティー場面に戻り
そこからはひたすら幸せそうなアレックスと彼氏のシーン。
あんなことが起こるなんて…。彼女は…

 カメラアングルが凄い回ってて、目が疲れるし、
効果音の「グォングォン…」がノイローゼみたいで勘弁…
最後のポケモンの問題シーンのようなチカチカフラッシュもたまんなく…疲れた。
しかも途中であることに気づき、欝になる。

 消化器で頭をぼっこぼこにされるシーン、目を背けたくなった…
あんなの初めてだったよ…今まで観た映画の中で一番痛い映像かもしれない。
もう観たくないや…
ストーリー的にはなんて残酷…なんだけど、
野蛮な国ではそう珍しいことじゃないらしいね。
ある種、被害に遭いたがっているような変人もいるけれど、
リアルに怖い。殺されるかもしれない恐怖、容赦ない暴力…
踏みにじられる心と身体。

 なんてこった…あぁ、ひたすら浮かばれない
清純なゲイの人が見たらひたすら胸くそ悪くなるかもしれない。
ゲイがそもそも女の尻に興味持つかなぁ…
あのゲイバーもぶっ飛んでたし…(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
これって、フランス映画だもんな…ハリウッドとは違う、
ドロドロしてて精神的にズンとくるタイプだ…



運命じゃない人 (2004/日) 98分




 2005年のカンヌ国際映画祭で批評家週間に正式出品され評判を呼んだ異色作。
PFFアワード2002で入選を果たした内田けんじ監督の長編デビュー作。
主演は中村靖日。霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏。

 浮気を見つけて婚約者と別れ、一人で生きていく決意をした真紀。
未だにショックから立ち直れず、帰る家もなくレストランで途方に暮れていると、
男性に声をかけられた。「一緒に食事でもどう?おごるよ」誘いに乗って席に行くと
その男性はすぐに席を外し、冴えないサラリーマンの男性と二人きりになった。
彼の名前は宮田武。結婚を前提にマンションを購入した矢先、
肝心の恋人あゆみに突然去られてしまっていた。失恋した者同士、
ぎこちないながらも、親しくなった二人はその宮田のマンションへ…。

 見事に知らない役者ばかり。こんな邦画も珍しかった。
主演の人はホントに冴えない感じで、絶対主演向きの顔じゃないのだけれど、
こういうタイプのキャラを主役に持ってっても面白いかもしれないなーと思った。
この人、ファブリーズのダブル除菌の宣伝の人だよね?
単純なギャグ、ってわけでもなく、やんわりしたローテンションドラマって感じ。
失恋した真紀、新しい恋を見つけた宮田と、友人で探偵である神田、
ワケあり故に出ていったあゆみ、あゆみの恋人の極道組長の浅井。
この5人にスポットが当てられ、あゆみ意外の4人それぞれの視点で
物語が語られ、時間軸が交錯して「この人はこの時、こんなことしてたのか!」と
次々と真相がハッキリしていく。しかし緊迫感はあまりない。リアル。

 
「人殺して始末するのもお金かかって大変なんだよ〜」って現実的。
世の極道の組長さんが、実はああいう人だったらいいなぁって心底思った。
真紀ちゃんはバカだねぇ。私でも、番号ちゃんと書くと思う。
でもこの「運命じゃない人」ってタイトルはどういう意味が含まれてるんだろ?
真紀はラスト、再びマンションを訪れて彼の同僚と鉢合わせしてたけど…
真紀を演じた霧島れいかって人、パッと観MEGUMIに見える。
しかし一晩の宿を貸してくれた人の家から札束を盗み出してトンズラか…
真紀ちゃんも案外薄情なんだな〜もう人信じたくないが故だと思うけどさ。

凄く地味で大人しい印象を受ける作品なんだけど、脚本と構成が面白い。
ミニシアター系隠れた傑作邦画をお探しの方は是非御覧下さい。


キスキス、バンバン −L.A.的殺人事件− (2005/米) 103分


 「リーサル・ウェポン」「ラスト・ボーイスカウト」などを手掛けた
人気脚本家シェーン・ブラックが自ら初監督も務めたクライム・アクション・コメディ。
主演は「チャーリー」のロバート・ダウニー・Jrと「ドアーズ」のヴァル・キルマー。
ヒロインには「スタンド・アップ」のミシェル・モナハン。

 ニューヨークのしがない泥棒ハリー・ロックハート。
警察に追われて逃げ込んだのは、ハリウッド映画のオーディション会場。
俳優に間違われたハリーはオーディションをパスし、
探偵役のスクリーンテストのためにロサンジェルスへ。
彼はそこで役作りのため、通称“ゲイ”と呼ばれている
本物の私立探偵ペリーに弟子入りし、ある人物を見張ることに…
ハリーは、女優を夢みてハリウッドへやって来た幼なじみハーモニーと再会。
やがてハリーとペリーは奇怪な事件に遭遇。ハーモニーも関わり事態は複雑化。

 ロバート・ダウニー・Jrって冴えない顔してますなぁ。
ヴァル・キルマーがすっかりぽっちゃり体型になっててビックリ。
中身は偶然が重なってすったもんだしてるうちに、偶然が重なって…と。
アクションものとしては物足りず、コメディとしても物足りない。
でも、この情けない感じがちょっとだけ好きかもしれない。
本当はクリス・ペンが出てる「キス★キス★バン★バン」が観たかった。

 
自分以外の同級生全員と寝た女…それでもよく想い続けられますこと。
それに失礼だけど全然惹かれないしね。美人じゃないし、人としても。
下の娘を犯してた父親に何でヴァル・キルマーが会いに着て
軽蔑してるのかも、ちょっとよく判らん展開だった。
妹のことを訴えるのは姉の役目じゃないのかね?

謎解きに関しても、ちょっと荒っぽい推理も目立ったかな。
主人公のおっちょこちょい具合に突っ込みまくって見る分には面白いかも。
何でそういうことするかなー?!何でそんな展開が?!は好み。
しかし、完成作品としては華がないというか、少々お粗末かも。


キャリー (1976/米) 98分


 スティーヴン・キング原作小説をブライアン・デ・パルマ監督が映画化。
厳格カトリック教徒の母親の元で育ったキャリー・ホワイトは
地味で大人しく学校からも浮いた存在で、クラスの皆から苛められる日々。
だが彼女は超能力を持っており、感情が爆発すると暴走する性質を持っていた。
学園祭が迫ったある日、トミーから一緒に行かないかと誘われる。
常々皆と同じようになりたいと願っていたキャリーは母親の反対を押し切り
パーティーに参加するのだったが、キャリーを嫌うクラスメイトたちは
密かにある計画を練っていたのだった…

 ホラー映画として有名なタイトルでしたが、観るのは初。
しかしこれってホラー映画じゃないだろ。オカルト込みの苦い青春映画っていうか
キャリー役のシシー・スペイセクの表情が良くて、実際に居そうな子だった。
一見陰気な子なんだけど、お洒落すると綺麗に変身。
判ってはいたものの、パーティーでのあの笑顔…凄い残酷。
悪役にジョン・トラヴォルタも出演。若いね〜
キャリーの味方の先生、凄い先生なんだけど、あんな先生いるか??

 スーは最初は計画の一種としてトミー使っていたんだと思ったけど、
終盤の流れを見ると、どうやら本当に反省して、
キャリーに学園祭を楽しんで欲しかったみたいだね…
トミーも途中から頼まれたからじゃなく、本当にキャリーに好意を抱いてたし。
スーも先生も、そしていつの間にやらトミーもトバッチリで…なわけだけど
一番可哀想なのは、暴走してしまって、激しく後悔して
傷ついて帰ってきたのに母親にまで仕打ちを受けるキャリーだよ。
とことん可哀想な残酷物語でした。
ラストのB級ホラーのような流れはいらんでしょうに!


 画面がカット割になったのは良くなかったね。
病的な母親に育てられて、悲惨なキャリー。学校でも悲惨なキャリー。
昔の映画なので、直接的な残酷描写は控えめだけど
その分、心にズシンと来るものがあった。
キャリーの立場になると、ああなるのも無理はない。
確かにこれは、言い方は変だけど傑作と呼べる代物かも。
23年後に作られた続編「キャリー2」は評判イマイチ。製作も監督も違うしね。


グリッドロック (1996/米) 92分




 渋滞した日常から抜け出せ!
ティム・ロス&トゥパックの強力タッグで贈るクールなバディ・アクション?
監督・脚本ヴォンディ・カーティス・ホール
ストレッチ:ティム・ロス(代表作「パルプフィクション」「海の上のピアニスト」等)
スプーン:トゥパック・シャクール(HIP HOP界の神と称される。映画出演アリ)
クッキー:タンディ・ニュートン(「MI:2」のヒロインなど。)
他に、監督であるヴォンディやルーシー・リューも出演。

 いつもトラブルを起こしてばかりのストレッチと、
冷静だが切れると手に負えないスプーンは、キュートな歌声のスプーンと3人で
バンドを組み、ライブとドラッグの自堕落な日々を過ごしていた。
そんなある日、クッキーがドラッグのやりすぎで倒れてしまい、
生き方を変えようと二人はドラッグ絶ちを誓い、更正しようと行動を起こすが…

 このDVDの再販が決まって、予約して購入しました。
ジャケットには炎をバックに、何だかアクション系な匂いプンプンですが、
そうでもない…なんていうか、ゆったり流れるクライム・ムービー。
三人のバンドより、マフィアっぽい連中や警察の事よりも
あちこちタライ回しにされる二人が一番印象的だった気がする。
ほどよくバカで頭に血が昇り易いくせにイザという時、思い切れないストレッチ。
あちこちで、ティム好きさん達が「この役が一番素の彼に近い気がする」とな。
2PACは96年9月にボクシングの試合の帰りに何者かに撃たれこの世を去る。
しかし、その後もCDは出続けて映画にも記録映像で出演したり。
彼の演技は高評価。よくわかんないけど、ふとした表情が可愛らしかった(笑)
ファンの間では未だに彼は何処かで生きているという説が騒がれているんだとか。
ラストに彼のラップが少し聴ける。あのバンドは詩が命のトーク系みたいね。

 お役所のやっつけ仕事ですぜ、っていう皮肉が込められてる。
所かまわずタバコを吸い出す二人〜便りなくて情けない感じもかもし出す。
ドラッグを絶とうと思い立ったら即行動!でもお前らが邪魔するし!って流れ。
全体的にダラダラ感漂ってて、
ラストを迎えても結局はお前ら進歩なし?と。
でもドラッグを他のモノに置き換えて、当てはめて見ると何かリアルに感じる。
束の間、凄い状況に追いやられたけど本質的には何も変われない、っていう。

米国には酒や麻薬中毒者の為のセラピーとか受ける施設がいっぱいあるんだね。


クワイエットルームにようこそ (2007/日) 118分








 劇団・大人計画の松尾スズキが、芥川賞候補にもなった自身の同名小説を
自ら脚本・監督を手掛けて映画化した異色ドラマ。
主演は内田有紀、共演に宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ、
平岩紙、塚本晋也、中村優子、高橋真唯、馬渕英里何、筒井真理子、
平田満、ハリセンボン、庵野秀明、俵万智、しりあがり寿など。

 28歳のフリーライター、佐倉明日香は、ある日目覚めると、
見知らぬ白い部屋でベッドに拘束されていた。
そこは、精神科の女子閉鎖病棟の中にある
通称クワイエットルームと呼ばれる保護室。
仕事や恋で行き詰まっていた彼女は、薬とアルコールの過剰摂取で
昏睡状態となり、ここに運ばれ、そのままこの病棟で監禁状態に。
明日香がどんなに説得しても規則を盾にまるで聞く耳を持たない看護師たち。
ここで明日香は、自分自身の過去と心に向き合うことになる…

 「恋の門」が面白かったので、こちらも是非観ておかないと!劇場鑑賞。
しかし松尾スズキさん、色んなジャンルで活躍し過ぎですよ。土井垣さん。
コメディタッチな宣伝にちょっとだけ騙された気分…
何かこう…ね、精神的にズシンとくるシーンが後半多くなって、
「嫌われ松子の一生」ほどディープではありませんが、ダークでした。
あちこちに遊びや小ネタが散りばめられているのは分かったんですが、
たまにズン!とシビアな描写が来て笑っていられなくなるんだよね。
りょうや大竹しのぶは、こういう役をやらせたら文句なしにハマるし、
この映画の為に7`減量した蒼井優も、他の作品とは全く異なるオーラで。
クドカンも良かった。鉄ちゃんはダメ男だけど、私は惚れてしまったゼ。
ちなみにクドカンの歯がいつもに増して汚いのは役柄的仕様だそうです。
平岩紙さんの演じる癒し系看護婦さんが食器下げるシーンも良かった。
ブルジョア部屋のサエちゃんのエピソードはもっと見たかったけど。

 主人公の明日香は、最初はちょっとした弾みで巡り巡って
運悪くこういう場所に放り込まれたと思い、戸惑いながら
同室の患者たちを物珍しく見ているわけなんですけどね、
そのうち、段々と彼女たちを理解しながらも、やはり自分だけは別だと思い、
それなりに精神科病棟での生活に馴染んで、楽しむようになるんだけど、
彼氏の鉄っちゃんとの連絡が取れなくなり、問題児の暴走もありで、
言ってはいけない言葉を吐いて、友達を突き飛ばしてしまう。
その後、目が覚めた明日香と、覗き込むミキのシーンで涙腺緩みました。
あそこで「ごめんね」とか言わない所がまた胸が熱くなったね。
栗田さんも退院する時、ここでの関係と思い出を捨てていくように、
ミキも色紙に書く。「1時間以内に捨てないと爆発する」とちょっとユーモア含め。
そうして、明日香はお互いの為に鉄っちゃんと別れ、病院を出る。
皆が書いた寄せ書きと、サエちゃんが描いてくれた自分の絵を捨てて。
栗田さんらしき女性が担ぎこまれていくシーンは、明日香のループを予期させ、
ちょっとゾッとした。それでも、車内の明日香の表情は吹っ切れていたけど。
あのアドレスも思いっきり、life_is_happy@loop〜ってあったし。
確かにあの病院では自分自身と向き合える空間があったかもしれない。
似た境遇の同志と心の傷を多少なりとも舐め合えるのかもしれない。
でも、同じことを繰り返す人はいる。根本的な解決は何処にあるのか。

自分は正常だと思っている患者。自分だけは正常だと思っている患者。
ひょっとして壁の外にいる正常な人間こそが、異常だったりして。
純粋だからこそ、狂う。そして、それを隠せない。だから閉じ込められる。
人間社会、精神世界…色々と考えさせるテーマですね。

 
鼻水みたいな食事ってホントにああいう形で出されるんだろうか?
胃に負担をかけない食事なら、おかゆとかでいいんじゃなかろうか…。
あんなの出されたら、食欲なくすだけじゃないのさ。
そして、奥で鼻水すすってる患者のシーンはあざと過ぎてちょっと引いた。
そしてケロイドみたいな蕁麻疹もどうよ?この2点のせいで再見するの懸念する。
明日香の元旦那、あんな手紙残して自殺するなんて酷い男だな。
ひょっとして、明日香が子供をおろしていたことを知っていたのか?なんて。
変な仏壇が届いての騒ぎで、号泣するシーンで内田有紀を見直しました。
鉄ちゃんの足の包帯の本当の理由が分かる場面のシーンとか辛いよね。
私は、ひょっとしたら明日香を追いかけて鉄ちゃんが戻ってくるんじゃないかと
淡い期待を抱いてしまったが、それは本当のハッピーエンドじゃないんだろうね。
爽やかな終わりに見えても、お先真っ暗な感じがして恐いんですけど。
「長い罰ゲームでした。」
何気にこの映画、心に残る名言が多い気がする。
明日香の過去が、謎の部分が、段
々と明らかにされていき、
ストーリーの流れ的にも目が離せない。テンポは良かったです。
患者一人一人に、そこに入るまでのいきさつがあったんだと思うと、
その深みまでも知りたくなるんだけど、本筋ストーリーから外れるんだろうし。
出演者たちも演技に味があって、カメオ出演者も豪華。何か贅沢です。
精神科病棟という、ある種タブーな題材を扱い、しかも笑いも含んでいて、
それでいてシリアスな部分はシリアスに…なかなか良い作品だと思う。
芥川賞候補にもなった原作小説の方も是非読んでみたいものです。


コックと泥棒、その妻と愛人 (1989/英・仏) 124分


 ある夜のレストラン。泥棒とその妻が自分の経営する店でディナーをとる。
美食家を気取る下品で横暴な夫に愛想が尽きていた妻は
別の席で一人で本を読む男に惹かれる。
無言で示し合わせたかのように女子トイレで逢う二人。
その日から隠れた浮気が始まった…

 題名は随分前から知っていたので興味を持って観た。
ちょい役でティム・ロスが出演していると聞いたけど
ちょい役でもない。コックと泥棒とその妻と愛人の次に要るキャラじゃないかな。
その泥棒(泥棒というかマフィアに近くないか?)の手下。
彼が出ているお陰で大分観るのが楽しくなったと思う。
冒頭からかなり嫌な仕事をしている。本人は楽しそうでもあるが。

 この映画の凄い所は異様な雰囲気だろうか。
薄暗い駐車場から話は始まり、真っ赤っ赤なレストランの内装。
厨房は緑っぽいし、トイレ内は真っ白。
その部屋に合わせて衣装の色まで変わってたから斬新。
あの色はそれぞれの欲望などの象徴らしい。
暴力などが妙に生々しいし、気持ち悪さも魅力だ。
場面移動や撮影の仕方が舞台劇のようだった。
立派な芸術的作品だと思うけど好むのは趣味悪いかしら?
ブラックなユーモア満載。まさに欲望を召し上がれ。

 経営者だからって無茶苦茶過ぎるよな。
自分の食事を楽しむ為だけに他の客を虐めて追い出したり。
コックは一見忠実そうに見えるけど淡々と妻と愛人を助ける。
厨房に居る歌を唄う少年に誰も文句云わないんだろか。うるさい
出てくる食事がほぼ全部まずそうなのも凄い。
音楽を担当するマイケル・ナイマンが映像と絡ませ雰囲気作り。素晴らしい。

 ジャケットで大事な所がほぼネタバレしてしまってるのはいかがなものか。
あれを知らないままこの映画を観たかった。壮絶だっただろうに。
妻役のヘレン・ミレンが岩下志麻っぽいと思った。
肉の貯蔵庫で裸で抱き合う二人やトラックは気色悪いが凄い発想。
こういう映画は貴重だと思うけど観る人を選ぶ映画かもしれない。
私はラストで爽快感を得た。…ような。


素肌の涙 (1998/英) 100分





 個性派俳優ティム・ロスの初監督作品。英国で大きな反響を呼んだ
アレキサンダー・ステュアートの“THE WAR ZONE”を原作に、
近親相姦というタブーに真っ正面から挑んだ意欲作。
透明感のある、叙事詩的な映像で、心の荒涼感を醸し出した演出が秀逸。
両親とともに、ロンドンから田舎町に越してきた15歳のトムと18歳の姉ジェシー。
しばらく経つと、両親との間に3人目の子供、娘のマリアが誕生。
そんなある日、外出先から帰宅したトムは、父と姉の恐るべき秘密を見てしまう。

 ティム・ロスは監督なので、映画には出演していないのだけれど、
高評価なこの作品、レンタル店で見かけたからには目を通さずにはいられまい。
ジェシー役は今作初主演で抜擢された新人女優のララ・ベルモント。
トム役はフレディ・カンリフ。こちらも出演作はまったくない。
父親役にレイ・ウィンストン。母親役はティルダ・スウィントン。皆、イギリス俳優。
ララ・ベルモントが壮絶だった…がくがく震えるシーンが凄く印象的。
トム役はいかにも思春期、無口で無愛想でニキビ面の暗いキャラなんだけど、
彼の抱える大きな悩みを象徴してこそ、なんかリアルだった。
ティルダ・スウィントンは細身なイメージから一変、妊婦を演じていて、
そのお肉は実際に映画の為につけたのかな?と吃驚した。

 内容からして暗いテーマなのは判っていたけど、何とも風景が印象に残った。
イギリスの田舎、淋しい海岸沿いにポツリと建つ一軒家。
車を使わなければ行き来は困難で、道路も外灯はまったくない。
それにしても、淋しい海だ…冷たくて、心の底まで孤独感に凍るような。
展開は静かに丁寧に進むが、ラスト近くになると急展開。
あの父親は最悪だね。最後までしらばっくれる。刺してしまう気も起きるわ。
廃墟での例のシーン、弟はビデオ撮影していたのだろうか?捨ててたけど…
あの廃墟の雰囲気が、どこか音楽のPV撮影のセットのような錯覚を覚えた。
とてもリアルで、胸をえぐられるようなジェシーの心境を思うと居た堪れない。
彼女は家族を壊してしまうよりはと、今まで懸命に耐えていたのだろう。
トムも姉の気持ちを察してか、なかなか踏み込めなかったとは思う。
そういう姉弟愛にも、ジーンときました。
トムの言動だけで、悟って夫を遠ざけた妻も少しは救い。
子供の言うことを信じないで、盲目に夫を信じてしまう妻も多いと思うもの。
廃墟が遠ざかっていくなか、彼らはこれからどうなってしまうんだ…と


 絶望感が残ってしまった。後味はよくない。でも、凄い作品だと思った。
ティム好きの贔屓目もあるかもしれないけど、凄く印象に残ったね。
エンドクレジットの最後、“父に捧ぐ”って観て、一瞬困惑しちゃったじゃないか。
別に、実体験ではないのでしょう。物語の舞台となった淋しい場所とかは
本人の過ごした環境が影響しているそうだけれど。…シリアスです。
でも、何ていうか、人には薦められない系統の作品ですよね。
DVDに特典映像や音声解説が一切付いてなかったのが哀しい。
主演のララ・ベルモントは他の映画に出演しないんですかね。勿体ない。


ソドムの市 (1975/伊) 118分


 詩人であり小説家でもあるピエル・パオロ・パゾリーニ監督作品。
原作はマルキ・ド・サド(SMサドの語源にもなった人物)『ソドムの120日』
舞台はフランス、ルイ13世統治下の時代だったが、この映画では
第二次世界大戦末期のナチス占領下の北イタリア。
気持ち悪い思いをしたくない人はこっから先は読まないで下さい。

 大統領、公爵、司教、権力者たち4人が市町村から美男美女を吟味し
厳しい基準で選りすぐられた18人の若者たち。
途中、脱走を図った者は殺され、ある秘密の屋敷へと連れてこられた。
彼らはこれから4人を楽しませる為だけにあらゆる快楽を体現させられる。
男と男、女と女、近親相姦、レイプ、アナルセックス、スカトロ、拷問…
あまりに衝撃映像の為、国によっては規制で見ることすら出来ない問題作。
興味本位で覗いてしまった者は激しく後悔するだろう。
数ある映画の中でも「最も気持ち悪い映画」に挙げられる作品だ。

 何故、観てしまったのだろう…興味本位で。
淡々と、変態行為を見せられ、彼らの主張は
「変態と呼ばれる行為でも追及し極めればそれは究極の美だ。」
別にそれが好きな集団が集まって何やってもいいけど
無理矢理連れて来た人たちにそれを強要するなんて…
けれど、実際にそういう趣向の人間たちが居るのも現実。
それによって起こっている犯罪も、細かい描写は報道されないものの
身の毛もよだつ凄まじい行為は行われている。

 あんな事に延々付き合わされるならアッサリ殺された方がどんなに楽か…
しかし、その状況から本能的に彼らに寝返った者もいた。
でも心情的にはあの場に居るどの立場の人間にもなりたくはない。
(当たり前だけど…)
唯一、反発した青年の無言の抗議が印象に残った。

 権力者たちが女装して結婚式を挙げたり
ちょっとあれだけはギャグみたいだった。しかし晩餐は勘弁。
反抗的だった者は懲罰リストに名を書かれ拷問される。
蝋燭の火で陰部を焼かれたり、鞭でさんざん叩かれ
ナイフで目を刳り抜かれたり、頭の皮を剥がされたり…
「それを安全な場所で望遠鏡で覗くお前は4人と何も変わらない。」
と云われてしまったようで実におぞましかった。

 ラストのシーンが一番怖いと思えた。
この映画には救いは無い。延々と続く無限地獄…
絶望的で、退廃的なこの光景は現代に何を突きつけるのか。
ピエル・パオロ・パゾリーニはこの映画が遺作となった。
この映画の公開前に17歳の少年に惨殺されたのだ。
監督はホモセクシャルとしても有名であった為、この死は物議をかもし出し
今でも研究を続けるファンが多いのだとか…

ハッキリ云って私のくだらない感想よりも↓の方が凄い研究されています。
興味のある方は覗いてみて下さい。写真付きです。

ピエル・パオロ・パゾリーニ研究ホームページ


それでもボクはやってない (2007/日) 143分










 「シコふんじゃった。」「Shall We ダンス?」の周防正行監督の新作。
ある“痴漢冤罪事件”を報じる記事に関心を持ち取材を進める過程で、
現在の刑事裁判のあり方そのものに疑問を抱き、
その問題点に真正面から向き合った異色の社会派ドラマ。
主演は「硫黄島からの手紙」「ハチミツとクローバー」の加瀬亮。
共演に役所広司、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、
尾美としのり、大森南朋、鈴木蘭々、田口浩正、本田博太郎、清水美砂、
増岡徹、大和田伸也、竹中直人、高橋長英、小日向文世など。

 フリーターの金子徹平は、会社の面接に向かう為通勤ラッシュ電車に乗車。
そして、乗換えの駅でホームに降り立った彼は女子中学生から腕を掴まれ、
痴漢行為を問いただされる。驚き戸惑うまま徹平は、
そのまま駅員によって駅事務所へ連れて行かれ、やがて警察へ引き渡される。
警察署、そして検察庁での取り調べでも徹平は一貫して“何もやっていない”と
訴え続けるが、そんな主張をまともに聞いてくれる者はいなかった。
そして、徹平は具体的な証拠もないまま、ついに起訴され、
法廷で全面的に争うことになるが…刑事手続きにおける“推定無罪”の
原則が揺らぎ始めている現代社会に一石を投じる力作。

 いやぁ…やはり始めに出てくる感想は「恐いなぁ」でしょう。
男性諸君はこれを見て、痴漢に間違われないように、くれぐれも注意!
そして女性諸君は痴漢をよく見極めてから捕まえろ!お互いの為に。
毎朝満員電車に揺られてる男性にはホラーかもしれません。
その人がやってないと真剣に訴えても、事実やっていなかったとしても、
やったという確かな証拠がなくても、痴漢はほぼ確実に有罪。
無罪を訴えて裁判を続けても、裁判費用はかかるは、期間も1,2年はかかり、
その間に世間から変態のレッテルを貼られ、名誉も汚され、会社もクビ。
まさに人生メチャクチャにされる理不尽この上ない事件。
さっさと罪を認めれば3〜5万円払って釈放。これも納得いかないよね。
罪を犯してないから認めない人より、罪を犯して認めた方が得なんてさ。
認めなければ何ヶ月も拘留されて厳しい取調べの日々。心身ボロボロ。
何度も同じことを同じように説明し、ただただ切実に訴えても相手は信じない。
言動のアラを探しウラを読み、攻め立てる。

 映画では、被害者女性も本気で信じて疑わないので
きっと彼女と彼女の家族にとってはもう、彼は変態以外の何者でもないんだな。
でも、裁判はきちんと見届けて欲しいもんだなと思った。
その後、訴えた彼女は裁判の結果だけ聞かされるだけなんだろな。
世の中、逆恨みからか意図的に陥れられるケースもある。
女子高生にケータイ使用を注意した男性サラリーマンが
その女子高生からいきなり「この人、痴漢です!」と叫ばれ、
駅員に捕まりそのまま警察へ…なんてことも。
きちんと事情を説明しようと大人しく連行されたら罪を認めたと一緒らしいですね。
その場で自分の身分を明かし、きちんと身の潔白を訴えるしかないのかな。

 映画の冒頭の言葉も意味するように、
「疑わしきは罰せず」って大事なことなのだと思い知る作品です。
確かに罪を犯し罰を免れる人間がいるのは許せないことだけど、
罪を犯していないのに罰を受けなければならない人間を出してはいけない。
勿論、本当に痴漢は存在するさ。パンツに手入れる以上のことをしてくる輩も。
多くの女性は触られても恐くて声も出せない。卑劣な犯罪だ。
そんな奴は会社にも知らせてガッポリ慰謝料取ってもいいはずだ。
けれど、近くにいたから、動きが怪しかったから、何か痴漢ぽいから
そんな曖昧な理由で突き出されたらたまったもんじゃないだろな。
あと人の記憶は曖昧だから、自分の立場を擁護するような言葉を選んだり、
どう聴こえたか錯覚したり、真実を捻じ曲げてしまったり、事実確認は難しい。

 
最初の裁判官が良い人だったのに、小日向さんが憎たらしくてねぇ。
検証ビデオも作って健闘したんですが、アッサリ切り捨てられる。
小日向裁判官の長回し&長セリフにはちょっと感心した。

始まり方も終わり方も首尾一貫としてて作品としての完成度が高い。
「あの子がねぇ…」と落ち込む、もたいまさこ母さんも、
ルームシェア友達・山本耕史も、お馴染み役所広司もいい配役でした。
ただ、やっぱり瀬戸朝香の一本調子演技は好きになれないかな。
加瀬亮はこれでもかってくらい幸薄顔だから、役が似合い過ぎですね。
これが他の役者だったらリアル感が出なくて失敗してたかもしれません。

 周防監督がZIPに出演したとき、こんな興味深いことも言っていました。
「痴漢という犯罪は日本とアジアの一部の国でしかない特殊な犯罪なんですよ」
う〜ん…何故だろう? セクハラは欧米諸国でも普通にあるらしいのだが。
電車や乗り物に乗ってて見知らぬ他人の身体に触るという行為。
朝のラッシュ時には人ぎゅうぎゅう詰めで
乗車率が250%になる日本の現状が特殊なのかもだけど。
監督は、アメリカや他の国でどのような反応が返ってくるか楽しみです、と。

 久しぶりに家族揃って映画鑑賞したんですけど、
皆主人公の行く末に釘付けになって魅入ってました。
何度も見たいとかそういう映画ではありませんが、
かなり入念に痴漢冤罪事件のことを調べて描かれているし、
丁寧な説明もあるので、いろいろと勉強になると思います。お勧めです。94点。
これから日本にも陪審員制度が出来ますが、こういった問題も改善しなければ。


デッドベイビーズ (2000/米) 102分


 原作はイギリスの若者に絶大な支持を得るマーティン・エイミスの同名小説。
一癖ある若者たちが週末に集まってドラッグキメて楽しもうと計画。
一人は屋敷の主である変な母親を持つ過度に心配症なジャイルズ。
新婚ホヤホヤ、ラブラブなカップルのクエンティンとセシリア、
倦怠期でセックスレスなカップル、アンディとダイアナ。
チビ、デブ、ニキビ面、短小、ワキガ、と嫌な要素を併せ持つ卑屈なキース、
クエンティンのアメリカの友人であるドラッグマニアなマーヴェルと、
その連れであるロクサーヌとゲイで精神的にやばめなスキップ、
更にアンディやクエンティンともかつて恋仲だったルーシーを含む10人。
イカレたハイで楽しい週末になるはずが、巷を騒がす殺人論者のメンバーが
この中に混ざっていると判り、事態はどんどん狂い出す…。

 『ダ・ヴィンチ・コード』関連でポール・ベタニーが出てたからレンタル。
他メンバーはほぼ無名。スキップ役は『ラブ・アクチュアリー』のダサ男君だった。
今まで観た映画の中でも5本の指に入るくらいふざけた映画だった。
この“ふざけた”ってのは決して面白いわけじゃない。
どういう意図があって作られたのか理解に苦しむ、ふざけ感。
レンタルコーナーではミステリージャンルだったけど、犯人探しがメインじゃないし
10人とも、非常識人なので感情移入も難しい…そして何より、
ドラッグキメた時の映像効果というか、描写が気持ち悪いし不快感を催す。
恐らく、ドラッグ使ったことある人はこういう感じ受けるのかな??
冒頭のジャイルズの独白は、これからが楽しみになったんだけど、
観終わってから、何をどうしろと?ってひたすら思った。

 キースを観てるとその肉のタプタプ感、ニキビな肌、哀れな背丈、
仲間内からも「臭い臭い」言われてて、その醜悪さが実感できる程キモくなった。
ポール・ベタニー主演で、
もう犯人誰だか丸判り。でも動機ないし唐突だなぁ
この人は何か眉毛薄いケヴィン・ベーコンだな。変な役多いし。
あとアンディ役の人がふと、平井堅に似ていてビビッタ。諸所似てる。
ジャイルズ役の人、チャーリー・コンドウって名前にちょっとビックリ。
元々ドラッグ映画はちょっと引いちゃうから、ダメなんかなぁ?
ひたすら破滅的で全てに置いて付いていけなかったよ。
思わせぶりな癖に中途半端なエロさ加減にもちょっと腹立ったよ(笑)
あの連中は平日は何か仕事してるんだろうか…世界狭く感じた。


ドッグヴィル (2003/デンマーク) 177分








 舞台は床に家や道などを表わす白線を引き、必要最小限の家具などを
置いただけの殺風景なセットを村に見立てて3時間弱に及ぶ全編を撮り上げ、
初公開となったカンヌ国際映画祭で話題騒然となった衝撃の問題作。
ギャングに追われる一人の女性をかくまうことにした小さな村を舞台に、
女性と村人の関係の移り変わりをプロローグと9つのエピソードに分け、
緊張感溢れるタッチで綴ってゆく。

 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアー監督、脚本による
“アメリカ三部作”の第1弾。主演はニコール・キッドマン。
あまりにも独創的なスタイルゆえに、撮影期間を通して戸惑い、
追い詰められていく出演者たちの姿を捉えたドキュメンタリー
「メイキング・オブ・ドッグヴィル 〜告白〜」も製作され、別途劇場公開される。

 ロッキー山脈の麓に孤立する村ドッグヴィル。
ある日この村の近く、ジョージタウンの方向から銃声が響いた。
その直後、村人の青年トムは助けを請う美しい女性グレースと出会う。
間もなく追っ手のギャングたちが現われるも、
すでに彼女を隠し、その場を切り抜けるトム。
彼は翌日、村人たちにグレースをかくまうことを提案した。
集会の結果“2週間で彼女が村人全員に気に入られること”を条件に受諾。
そうしてグレースは、トムの計画に従って労働を始めることになるのだが…

 予備知識一切無しで観たので吃驚した!
まるで舞台で演劇稽古しているようなセットで話が進んで行く。
たとえ一人の人物にスポットを当てていても他の村人たちの暮らしが丸見え。
これは確かに、演じる側にしても新鮮で戸惑うだろうな。
何とも奇妙な映画だけど、壁がある、家がある、と想定して観た。
主にナレーションで多くが語られ、まるで小説を朗読されてる気分。

 物語は冒頭で語られるように、悲しいお話だ。
ドッグヴィル=犬の街。実際に犬もいるし、劇中で皮肉な場面も出てくる。
小さな町は世界の縮図か。人間の醜さをこれでもかと描く。
最初はトムの好意で住むことになったグレースにとって
そこは確かに美しい街に見えただろう。
章が進むごとに話が危うい方向へ…
最後の方では私は完璧に村全体を憎らしいと思った。
こんなに徹底した悪なんて存在するのだろうか。
しかも、本人たちは悪とは思っていない。彼女が悪いのか?
私は単純に、ラストで爽快感を味わってしまった人間である。
ああいう人間同士が自己を守ろうとして嘘をついて、
嘘と知っても黙認して…そういうやり取りが凄いやるせなくて堪らない。

 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とは別の質を持った暗い話だ。
この作品を見ることによって、自分という人間を考えてしまう。
もし、あちらの立場だったら、こっちの立場だったら…
人の弱みにつけこんで、自分の要求を当然と思い込み
相手のことを考えないで、こうも人間、醜くなれるのか。
この監督は余程、人間が嫌いなんだろうか。
哲学的で、何とも難しい作品だな…映画というより劇みたいだ。
ただ、長いのが欠点…もう、眠くなって休憩入れて見ました。
終盤に近づくにつれ、目が釘付けにもなったけど。

 子供を殺して、声を出さずに耐えたらやめてやる、って
凄い拷問だと思ったよ。勿論、あの過保護ママが言い出した卑劣な行為だけど
生意気な子供も、ゲスな汚い男共も、嫉妬深い嫌らしい女たちも…
あの村人たち、これでもかってくらい嫌な人たちだった。

しかし、救いのようだがダークな終わり方だ…


二代目はクリスチャン (1985/日) 101分


 あの『蒲田行進曲』でも原作・脚本を務めたつかこうへいの原作・脚本。
監督は毒舌でお馴染み井筒和幸。一風変わったコメディ任侠の角川映画。
単純に言ってしまえば、『セーラー服と機関銃』がシスターになった感じ。
「笑う犬の冒険」でミル姉さんこと内村光良が薦めていたので拝見。
ウッチャンはこの映画の主演の志穂美悦子が凄く好きらしい。
最初で最後のファンレターを出して、返事が来てないって話したら
その後、それを知った本人から返事の手紙と絵が届いて
ウッチャンは素に戻って感動しまくっておりました。家宝にするそうな。

 教会に捨てられた赤ん坊が美しいシスターに成長し、
とある極道の跡目のボンボンに好かれ、色々あって彼女が二代目に。
ヤクザ映画当然の流れで、抗争に巻き込まれていくのであった…
脇には岩城滉一(この頃は結構男前だったんですな。)
柄本明(ホントによく見かける。アンタが一番凄い人だよ。)
蟹江敬三(この頃は体型スラッとしてたのね。ホテルの悪ふざけに笑った)
かたせ梨乃(極妻でもこんな役だったね。何でああいう流れ??)
北大路欣也(こういう男に惚れちゃうんだよねぇ…ちょっと共感。)

 つぶれかけた組員の皆様はどうしてああもお約束…。
シスター今日子が凄いお人よしで、イライラしちゃうんだけど、
人としては好感持てるし、磯村さんが言ってる事も間違っちゃいない。
ご都合主義過ぎて笑っちゃう強引展開もあるけど、ご愛嬌だな。
ミル姉さんが真似したシーンがどれだけ似てるかな?って
それだけで借りて見たんだけど、その例のシーンで
何でか勝手に胸が熱くなってる自分がいたよ…
啖呵を切るシーンも結構迫力あって、意外な収穫。
容姿だけじゃなく、演技と雰囲気も味のある女優さんなんですね。
そして、
全て片付いた後にサラリと言っちゃう神代さん…
アンタ、心底惚れていらっしゃる!「いいんですかー!?」ってビックリ。
運の強さといい、その愛の力さえあれば何でも出来ちゃいそうですな。
でも組員が総崩れで、誰も生き残ってないのは辛い。
何かエンディングではしゃいでる映像見てちょぴり悲しくなった。

井筒監督の映画をマトモに観たのは初めてでした。


バタフライ・エフェクト (2004/米) 114分






 一匹の小さな蝶のはばたきが地球の裏側で竜巻を起こす…
初期のごく小さな差違が、将来的に予測不能な大きな違いを生じるという
カオス理論を効果的に取り入れた異色サスペンス・ラブ・ストーリー。
主演は「ジャスト・マリッジ」のアシュトン・カッチャー。
愛する者を救うため、過去を書き換えようとした男が体験する想像を絶する出来事。

 少年時代、エヴァンは記憶を喪失する“ブラックアウト”を起こすことがあった。
そこで、精神科の医師の勧めに従い日記をつけるようになるエヴァン。
エヴァンが13歳の時、ひとつの出来事が原因で幼なじみケイリーとの仲が
引き裂かれてしまった時にも彼にはブラックアウトが起きていた。
やがて大学生となり、ブラックアウトもなくなり平穏な日々を送っていたエヴァンは、
ふと幼い頃の日記を手にとる。すると突然13歳のあの時の記憶が鮮明に蘇った。
やがてケイリーのその後の運命を知ったエヴァンは、彼女への想いのあまり、
過去の運命の分岐点となった出来事を変えようと決意する…

 まず、キャッチコピーの“最も切ないハッピー・エンド”って言葉に惹かれました。
見始めたら目を離せない展開ばかりで、ドキドキした。
結構、残酷な描写もあって(でも直接映像では見せてなかったり)
学園生活の様子は何故か凄いラブコメっぽい“軽さ”もあって…
ようはタイムスリップと恋愛が絡んでる内容なんだけど、
主人公が過去を改変すればするだけ、未来もガラッと様変わり。
この人物は、あそこで間違わなければこんな人間に成長していたんだなぁと
人間の可能性の偉大さを感じました。(何だそれは)
主人公と、彼が愛する彼女と、彼女の兄貴と友人の4人が主に関わってくる。
エヴァンが取った行動が影響して、いろんな人生を歩む彼らを見る。
エヴァンは皆が幸せになれる道を探して何度も過去へ遡るわけです。

 人生のターニング・ポイントが…3つ。
@ケイリーの父親が映画を撮ろうと二人を地下室に連れていった出来事
A爆弾を見つけて、おふざけで郵便箱に入れて…大惨事に。
Bトミーが残忍になり、愛犬を焼き殺してしまう出来事。
そうして何度かやり直した末、記憶を詰め込んで脳がパンクしそうになりながら
エヴァンはみんなにとって最良の方法を見つける。
Cエヴァンとケイリーの初めての出逢い。
ケイリーがエヴァンに好意を抱いた結果、離婚の際に嫌いでも父親を選び、
着いていった兄ともども、人生が台無しになってしまったというわけか。
ラストの二人は、それぞれ幸せな日々を過ごしている。
エヴァンにだけ、彼女との幸せだった時間を知っていて、
彼女を失った悲しみを背負いながらも、自分に言い聞かせて生きていく。
“結ばれるハッピーエンド”ではないけれど、“ハッピーエンド”
しかし、同じ能力で悩み、きっと何度も過去を遡り、結果病院送りになった父親。
彼もどうにかして救ってあげて欲しかったと物語の筋から蛇足ながら思ってしまう。
トミーが、最初の悪い印象から二転三転していくので複雑。
あのレニーの変わり様も。役者は体重を激変させて頑張ったらしい。


 タイムマシンとかじゃなく、自分の不思議な能力で過去に遡る。
印象は違うけど、「ある日どこかで」をちょっぴり思い出す。
刑務所で同室になった日系顔のカルロスが気になった。
ケイリーの父親役に、あのエリック・ストルツが出演してました。
アシュトン・カッチャーはラブコメ色の印象が強いので、見慣れてる人は
彼が本気に演技してても何処か受け入れられなかったりするとか。
監督と製作の人が「デッド・コースター」の人なだけあって、
映像的に似たような感じのが多かったかもしれない。
見る人を飽きさせない演出も、うまいと思う。
余計なダルさは残さずに、目的だけを追う主人公。見易かった。
DVDには異なるエンディングが2個用意されてて、どちらも気に食わなかった。
やっぱり、あの形だからこそ、美しく終われるんだね。
セル専用のDVDには更に違うエンディングも何種かあるらしい。
エンディングに流れるオアシスの曲も感動を増幅させてくれました。切ない…
この映画、私は凄く気に入った!他の人にも薦めてみたいと思う。


パピヨン (1973/仏) 151分





 胸に蝶のイレズミをしている所から“パピヨン”と呼ばれている主人公が、
無実の罪で投獄され、13年間にも及ぶ刑務所生活を強いられながら、
自由を求め脱獄不可能と言われたフランス領ギアナから脱獄を繰り返すのを描く。
脱獄囚アンリ・シャリエールが書いた実録小説が原作となっている。
彼は撮影現場にも立ち合い映画制作に協力したが、作品が完成する前に他界。
監督は初代「猿の惑星」でも有名なフランクリン・J・シャフナー。
主演にスティーヴ・マックィーン、ダスティン・ホフマン。
二人には当時としては異例の出演料が支払われた。(300万$・140万$)

 ダスティン・ホフマンが出てるからレンタルして拝見。
古い映画だから、眠くなりそうだななんて思いはすぐに吹っ飛んだ。
長い作品だけど、「どうなっちゃうんだ?」って思いでドンドン話は進む。
ホフマンが演じたのはパピヨンと親しくなった金コネのあるルイ・ドガ。
この人は心底凄いね。いや、マックィーンの熱演も凄いんだけども。
二人の他に、脱獄にあたって仲間が出てきたり、いなくなったりして
壮大なRPGを見ているような気分にもなった。

 独房に入れられているシーンを見れば、どんな食事もおいしく感じる。
鬼気迫るマックィーンの顔が恐かった…偉い、あんた偉いよ。
深い恩が出来たドガが裁判のやり直しの話を持ちかけた時、
普通の人なら大人しく待つよね…無理に脱獄して死んだら元も子もないし。
でも、パピヨンは信じなかった!…そして、哀しいかな、それは正しかった。
足怪我して砂浜に置き去りにされたドガが可哀想…だったんだけど、
彼は天性の才能か、世渡りは上手そうなのよね。再登場して安心した。
原住民の皆さんが急に消えたのだけは納得いかないけど。
看守にも怒りがこみ上げるが、一番憎たらしかったのはシスターだな。
騙して、しかも金はもらっとく、と。そして罪は許されましたよ〜なんて。
独房生活のその後、孤島に連れてこられた老いさらばえたマックィーン。
もうすっかり隠居老人になったかに見えたパピヨンとドガだったが、
パピヨンはまだ懲りない!すべてはあの夢の中の裁判が物語る。
「人生を無駄に生きた罪」…それを言うなら私も充分、罪人ですよ。
「すまん、行けない」とすまなそうに言うドガの気持ちの方が共感できる。
字幕だけで声確認してないんだけど、途中からパピヨンは
彼のことを“ドガ”から“ルイ”ってファーストネームで呼んでいますね。
映画のラストシーン、海に揺られるパピヨンとイカダの下に
支えるダイバーの脚が映っている、というアリャリャな映像があるそうですが
見終わってから感想サイト回って知って良かったわ。素直に感動してたもん。
足なんて全然見えなかった…ってか意識してなかったら見えないもんかも。


 映画を観終わって、冬なのに真夏の太陽に照らされているように熱かった。
素晴らしかった。こんなに凄い映画だとは思わなかっただけに。
今度、マックィーンのもうひとつの脱出劇「大脱走」も拝見せねば。
メイキングも拝見。原作者と出演者が固い抱擁をしてたのが印象的。
撮影も大変な様子が伝わってきます。ワニも怖かったしなぁ。
シリアスな題材ですが、生きる力が沸いてくるというか、強いパワー貰った気分。
硬派で凄まじい映画ではありますが、見て欲しい。多くの人に見て欲しい。


Be Cool/ビー・クール (2005/米) 120分




 ジョン・トラヴォルタ主演の95年製作「ゲット・ショーティ」の続編。
取立て屋から映画プロデューサーに転職したチリ・パーマーが、
インディーズ・レーベルの会社を経営する友人が殺されたのをキッカケに
今度は音楽業界に飛び込んでマフィアも敵に回し大騒動を繰り広げる。
ユマ・サーマンとの「パルプ・フィクション」以来の再共演も話題。
ハーヴェイ・カイテル、ダニー・デヴィート、ザ・ロック、
スティーヴン・タイラー(エアロスミスのヴォーカル)、KISSのジーン・シモンズ、
アウトキャストのアンドレ・ベンジャミンも出演。
更には新人歌手役でクリスティーナ・ミリアンも出演。
監督は「交渉人」「ミニミニ大作戦」のF・ゲイリー・グレイ。

 「パルプ・フィクション」好きなら一度は目を通したい作品ですね。
パッとしない、印象薄い世間の評判でしたが、私は気に入ったなぁ。
…最初、観てる間に寝ちゃったんだけどね。映画のリズム掴めたらオッケー。
しかしジョン・トラボルタはああいう大物演技が上手だね。
「俺を観ろ」と常に余裕ぶっこいて上手く相手を利用しちゃう。カッチョいい!
冷酷さの無い「ソード・フィッシュ」のガブリエルみたい。
チリと手を組む女社長役にユマ・サーマン。彼女も素敵☆
二人がダンスする所は勿論、二人が家に帰ってきたシーンを見ても
あのパルプの二人を思い出して二人の絡みを終始ニヤニヤして観ちゃう。

 物語の幸運の女神となるリンダ・ムーア役の子、ポッと出の新人かな〜
って思ってたら後でクリスティーナ・ミリアンだったこと知ってビックリ。
あんなに童顔な子だったんだね…歌は別に文句はないが、突出して上手いか?
エアロスミスと共演ライブも楽しめるので音楽好きも是非拝見してね。
敵になる連中が程よくおバカだから見てて楽しい。
チクリ電話のシーンなんて、ガキじゃんお前ら〜!!って。
黒人ギャングスタ軍団も程よくイイ奴等で和解しちゃうんだもん。
リンダの曲はともかくPVのセンスはいくらなんでもセンス悪いと思う。

チリ・パーマーって名前どうしても頭のこと想像しちゃわない?
ザ・ロックの役もビックリ。最終的には
奴の夢を実現させちゃうチリも凄い。
スティーヴン・タイラーの顔が素で気持ち悪いので苦笑。
これは薄味だけど癖にもなりそうな変わった映画だなと思った。


ブロウ (2001/米) 124分





 1970年代に若くして伝説のドラッグ・ディーラーとなった男
ジョージ・ユングの波瀾の半生を描いたドラマ。
彼自身に取材し、当時をリアルに再現。本人は今も服役中。2015年に釈放予定。
主演はジョニー・デップ、共演に「バニラ・スカイ」のペネロペ・クルス。
1950年代、マサチューセッツに生まれたジョージ・ユングは幼い頃、
父の会社が倒産、貧乏暮らしを強いられた。成長したユングは家を飛び出し、
ヒッピー文化が花開いた激動の60年代の時代の流れに身を投ずる。
マリファナの小売りに手を染め、味を占めてドンドン規模拡大を図るが、
たびたび捕まっては実家に顔を出して両親を苦しめるのであった…

 ジョニデの演技が光る作品としても名高いこの映画。
でも私は基本的にはドラッグ映画は嫌いです。理解に苦しむ。
でも、主人公がドラッグを売りさばいてドンドン金持ちになってく過程は
見ていて楽しかったし、そんなホイホイ行くならやりたいよとか思った(笑)
でも世の中そんな甘くありません。結構捕まるんだけど、懲りない奴。
「ロード・オブ・ウォー」のユーリもそうだけど、自分にはこの才能しかない!って
思い込んでるんでしょうね。売らなきゃ誰かが売るんだし…と。
ジョージの半生がメインなので、ドラッグ自体の危険性には触れてない。
60年代のせいか、服装のセンスにも苦笑する。そしておかっぱ頭。
ペネロペが登場するのはかなり先でした。

 
一度一攫千金の味を占めたら堅気の仕事なんて出来ないんだろうな。
妻にしたって、金が消えると同時に愛も何処へやら。急にビッチに変貌。
麻薬王との取引や、裏切りに遭ったりなどハラハラしたり怒りがこみ上げたり。
でもやっぱり、みんな主人公の自業自得で片付くな。
散々贅沢して豪遊した分、人生の後半に運がなくなっちゃったんだ、うん。
「今になってやっと親父の言ってた言葉が判った」とテープに吹き込むシーン。
あそこのジョージが一番良い表情してたし、劇中一番ジンときた。でもね、
本当に娘のことが心底、何よりも大事だったら、危ない橋など渡らない。
きっと彼は、出所しても元気があったら同じ仕事をしそうだもの。
まぁ映画の儲けが入ってきて残りの人生、金には困らないかもね。

 映画が終わりにさしかかって、ホラー映画並のゾッとする寒気を味わった。
何がって、ラストにジョージ・ユングの本人の顔がアップで出てくるの。
何ていうか、凄く気持ち悪かった。異様で、グロテスクな…
ついでだから本人のインタビュー見てたら、余計にこの人嫌いになった。
ジョニデは彼の仕草や喋る特徴を上手く掴んでいると高く評価されてて、
ユング本人も「あいつは俺そのものだ」とか言ってるんですが
ユングは若かった時だってこんなにハンサムじゃねーだろ?と思った。
こんな大勢の人にも多大な迷惑をかけまくる人生を歩み、
根本的な反省はしてないだろうなって人は嫌いです。娘もそりゃ来ないよ。
未公開シーンで裁判場面があったけど、私的にはこれ入れて欲しかった。
あと、ジョニデの老けさせ方がいい加減。腹の膨らみが不自然です。
でもジョニデも本質的にはユングに似た人生観だとは思った。

反面教師としての自伝でしょうな。でも何かと苛付いた映画だった。


マッド・シティ (1997/米) 115分


 ダスティン・ホフマン、ジョン・トラボルタ共演の社会派ドラマ。
博物館に立て籠もった銃撃犯と地方局に飛ばされたニュース記者を通し、
視聴率主義の興味本位なメディアとそれに踊らされる民衆を風刺してゆく。
『セブン』、『ディアボロス悪魔の扉』のアーノルド&アン・コペルソン製作。
博物館のガードマンの職を突然失い、雇い主に抗議に向かったサム。
だが冷たい態度に苛立った彼は威嚇のつもりで発砲、流れ弾が同僚に当たり、
博物館見学に来ていた子供達を巻き込み事態は大事件へと発展してしまう。
そこに偶然居合わせた敏腕記者のマックスは、全国ネット界への返り咲き、
絶好の特ダネのチャンスとばかりにサムに接触、単独取材を敢行するが…。

 マスコミのいい加減さ、メディアの怖さ、と社会批判なテーマ。
二人の共演が目的で借りましたが、ジャケットの印象よりもシビアでビックリ。
所々、笑える要素があったので、軽い映画なのかと思ったら裏切られた。
ダスティン・ホフマンもいつもの善人とは言い切れない役柄だし、
ジョン・トラボルタの演じたサムはバカで短気で、でも好い奴で、
マックスと一緒になってハラハラしながら顔色をうかがってしまった。
終始、右往左往振り回される展開に判っていつつも苛立った。
テレビの情報だけで人は様々な憶測をして、そうと決め付けてしまう。
グヴィネス・パルトロウの母親でもあるブライス・ダナが女館長役。
彼女がまた、適度に小憎たらしい。でも、不景気は仕方ない…
マックスの助手の女がラストにはすっかり毒されているのも恐い
アラン・アルダ演じる人気テレビマンの飛行機墜落ニュースも半端じゃない。
立て篭もり犯の末路はわかり切っているのに、何故さっさと降参しないんだろ。
テレビでのマックスの発言のひとつひとつ、言葉を選んで発言することが
どれだけ微妙な確立で人々の同情か反感になるかも思い知る。
中々教訓含んだ作品だったけど、何だか異様に疲れた。
もう2回目観る映画ではない気がしてしまう。二人ともいい演技なんだけども。


マンダレイ (2005/デンマーク・スウェーデン・蘭・仏・独・米) 139分





 床に白線を引いただけのこれ以上ないシンプルなセットで観客を驚かせた
「ドッグヴィル」に続く、ラース・フォン・トリアー監督の“アメリカ三部作”第2弾。
今回、ヒロインのグレースを演じるのは前作のニコール・キッドマンに代わり、
「ヴィレッジ」のブライス・ダラス・ハワード。
共演にウィレム・デフォー、ダニー・クローヴァー、クロエ・セヴェニー。

 1933年。ドッグヴィルをあとにしたグレースは、父親らと共に
新たな居住地を求めてアメリカ深南部へとやって来る。
やがて“マンダレイ”という名の大農園にたどり着いた彼らは、
そこで驚くべき光景を目にする。白人が黒人を鞭打っていたのだ。
70年以上も前に廃止されたはずの奴隷制度がここには残っていた。
グレースは黒人たちを今すぐ解放し、彼らに自分たちの自由と人権を
教えてあげたいと思い、父親の制止を聞かずに街に身を置くことするが…

 「ドッグウィル」もそうだったけど、非常に見るのに神経を使う映画だ。
セットが簡易的で劇場の舞台稽古のような虚しさがあるが、
込められたメッセージは痛烈で、終わった後の気の滅入りようは凄いのだ。
グレースは前回であんなに帰りたくなかった親父と結構仲良く喋り、
父親に干渉されたくない娘なのに部下を借りて街の体制に介入する。
マンダレイの女主人が亡くなり、奴隷制度は終わったのだと言われ、
今までの日常の唐突な変化に戸惑いを隠せない黒人たち。

 
民主主義の素晴らしさを教えようとお節介を焼いた結果、
厳しく統制がなされていた仕事が散漫になったり、
何の為に生えていたのか知らずに切って、後から痛い目に遭ったり、
多数決で人を断罪し処刑する残酷さ。善意が空回りするのも辛い。
これは監督による辛辣なアメリカ批判と受け止めるべきなのかな。
前作でもいいように弄ばれる結果となったグレースは今回でも懲りてない。
こんな調子で第三弾ではどんな結末が待っているのか…
こちらでも人間の身勝手なエゴ、性根の醜さが顕わにされているが
グレースが街に囚われると知り、簡単に見限り見捨てる様は滑稽だな。
正義なき力はただの暴力、力なき正義もまた無力…
黒人たちを連れてきてこんな世界を築いたのはあんた達なのにサと
痛い所を突かれて逆上するグレース。最初のシーンの再現。
ギャングのパパが迎えに来るから…あぁ良かった!と。
最初に来た時と何も変わってない様を見てニヤリとするパパ。

小説を読むように進むので非常に眠気が襲うんだけど
エンドロールの写真と一緒に映画を振り返るのだが、
今回のは民族間の差別意識も重なって、なんだか飲み込みきれない。
風刺や皮肉のこもった物語の設定や脚本も素晴らしいが、
こういう問題定義作を堂々と世に出す監督は凄いなとひたすら感心してしまう。
でもやっぱり、また見たいとか好きとか言える映画じゃないなぁ…。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」といい、よくこんな暗い作品ばっかり作れるな。


マンボ・キングス/わが心のマリア (1992/米) 103分


 原作者オスカー・イフェロスにピューリッツアー賞をもたらした小説
『マンボ・キングス、愛のうたを歌う』を、アーネ・グリムシャー監督が映像化。
アメリカン・ドリームを夢見てキューバからやって来たミュージシャンの兄弟。
アーマンド・アサンテが兄のセサール役を演じ、
これが英語圏の映画初出演となるアントニオ・バンデラスが弟のネスターを演じる。
彼らがアメリカのショウビジネス界を轟かせ、のし上がっていく姿を描く。
中でもアメリカの伝説的なコメディ番組「ルーシー・ショー」に
二人が出演する場面は出色で、実際のオンエア映像に、主演二人とカメオ出演の
デジ・アーネスJr.(実際に番組司会をしていたデジ・アーネスの実子)の映像を
カットインすることで、あたかも番組に出演しているかのような効果を上げている。
ラテン・ミュージシャンのトップ・スターたちの演奏も素晴らしい。
(セリア・クルーズ、ティト・プエンテ、リンダ・ロンスタッド、ロス・ロボス、他)

 アントニオ・バンデラス・ファンにとっては伝説的な映画が、遂にDVD化。
特典映像には短いドキュメンタリーと劇場予告編、監督による音声解説付き。
発売日に即購入して、今の今まで、いろいろあって見れなかったのを拝見。
ラテンの音楽が熱い!!セサールがアレを叩き始めた所から胸が高鳴る。
マンボ・キングスというバンドでキューバで活躍していた兄弟。
兄は歌って踊って演奏して仕切って、弟は作曲してトランペットを吹く。
音楽映画で、色んな曲が楽しめる♪サントラ欲しくなった!!
兄弟の絆が熱い!あんな仲の良い兄弟、暑苦しくても羨ましい。

 兄貴のセサールは自信家で楽観主義で、社交的で大胆。
弟のネスターは真逆な真面目な男。キューバに居た頃の恋人、
マリアをふっきることが出来ず苦悩し、彼女への想いを歌にする。
セサールの、「キューバでは君を守る為に軍隊が必要だな。」とか、
洒落た冗談が笑える。いい加減そうなんだけど、大事な人は大事にしてる。
アーマンド・アサンテは初めて見たんだけど、男前ですね。芝居も濃い。
バンデラス共々、ワイルドなラテン系好きな人ならたまんない世界です。
バンデラスは…やばい。かなりバンデラスを堪能できる映画でした。
あの、シャンパンの静止シーンは息を呑んだ。
バンデラスの表情をじっくり拝んで感心したよ。真に迫ってた。

 内心惹かれ合ってるセサールとドロレス。
でも、こういう形が最良なのだとお互い感じ取ってる雰囲気があるね。
セサールは自分とよく似たラナと過ごすのが自分にとっても楽だと思ってるっぽ。
ネスターの現実主義や、未練タラタラの愛も仕方がないんだよね…
「僕なりに君を愛した」って言葉が出た時、薄々ラストを予想したものの、
やっぱり、物凄く悲しくなった…残された兄貴も凄く可哀想で可哀想で…
セサールはラストに救われたのだろうか?どうしても切ない余韻が。

映画を見終わって、改めてジャケットのイラスト見直して感慨深くなった。
あんまり映画の感想見ない作品で、確かに癖の強い映画だと思うけど
バンデラスか、ラテン好きなら間違いなく楽しめると思う!
ラテン・ミュージシャンとか、詳しかったら更にたまらんのだろうなぁ。


ミュンヘン (2005/米) 164分










 「シンドラーのリスト」のスティーヴン・スピルバーグ監督が、
1972年ミュンヘン・オリンピックで起きたパレスチナのゲリラによる
イスラエル選手殺害事件とその後のイスラエル暗殺部隊による報復の過程を
リアルかつ緊迫感のあるタッチで描いた衝撃の問題作。
原作は、暗殺部隊の元メンバーの告白を基にしたノンフィクション
『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』の本。
主演は「ハルク」「トロイ」のエリック・バナ。

 1972年9月5日未明、ミュンヘン・オリンピック開催中、
武装したパレスチナのテロリスト集団“黒い九月”がイスラエルの選手村を襲撃、
最終的にイスラエル選手団の11名が犠牲となる悲劇が起きた。
イスラエル政府は犠牲者数と同じ11名のパレスチナ幹部の暗殺を決定、
諜報機関“モサド”の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する。
チームのリーダーに抜擢されたアヴナーは祖国と愛する家族のため、
車輌のスペシャリスト、スティーヴ、後処理専門のカール、爆弾製造のロバート、
文書偽造を務めるハンスの4人の仲間と共に、報復作戦を開始する。

 スピルバーグがユダヤ系ということもあり、「シンドラーのリスト」では
ヒットラーが築いたドイツ帝国から迫害され、逃げ延びたユダヤ人たち…
その後、彼らの一部は祖国を求めてユダヤ教徒の約束の地、パレスチナへ行く。
国連はそれを認めたが、パレスチナには異なる宗派のアラブ人が住んでいる。
彼らがユダヤ人の建国を認めるわけはなく、長い長い紛争が始まった。
果てしない攻防戦、限りなく破壊される街、無差別なテロ…
ユダヤ人はやっと手に入れた祖国を守る為に、
アラブ人は侵略者のユダヤ人を追い出す為に戦い続ける。
私が知っている知識はだいたいこんな所です…。
手塚治虫の「アドルフに告ぐ」という漫画から得た知識なので、お恥ずかしながら。

 誰もが真っ向から主張するのが難しいデリケートな問題に
スピルバーグがそこに突っ込み、題材にし、映画化した社会派な作品です。
安易な考えは述べられない、何ていうか感想に困る重い映画でした。
宣伝の印象とは大分違い、泣けるとかそういう次元のモノではありません。
「シンドラーのリスト」までとはいきませんが、残酷描写が多く、
それがリアル過ぎて本当に撃たれているのかと思うくらいです。
映画に描かれるものが全て現実にあったものと取るのもおかしいですが、
そう錯覚してしまいそうになるようなシリアスな作品です。
主人公は私怨は無いが祖国の為に報復として指名された11名を捜して暗殺する。
ミュンヘン事件に関わっている、と言われたから殺す。
彼らがどういう経緯で関わって、何をしたのかはよく判らないが…殺す。
殺す側にも愛する家族がいて、殺される側にも家族が居る。
お互いが国の為に命を懸けて敵を殺す。殺ったら殺りかえす。その繰り返し。
憎しみからは何も生まれない
、と言葉で言ってしまえばアッサリなのだが
あえてそういう気持ちを直接言わずに観客に思わせる映画になっている。
ベタベタのシリアスに徹する…というわけでもない。
仲間たちと和気藹々と喋ったり、暗殺行動は淡々としていたりする。

 隠れ家で敵同士が一緒に寝る羽目になったり、情報を得る手段のルイ達が
全く持って怪しいまま、謎で終わったり、気になる部分が色々ある。
食事の誘いを断るモサドの上官や貿易センタービルを映す訳。
主人公が精神的に参って今まで自分たちがしてきたベッドや受話器を調べたり
自分を狙って車が張ってると思い込んだり、殺すのは簡単だが、
身を守るのは凄く難しいし、殺し殺される所に顔を突っ込んだからには
敵が全滅するまでは安らかに眠れる日は来ないのかもしれない。
組織の重役を殺しても、更に憎しみを持った者が後任となり、事態は激化する。

お互いが許しあい、歩み寄ることが出来れば良いのだが簡単にはいかない。
ふたつの民族が欲しがっているのはひとつの土地だから…。
その為に今まで多くの同胞達が犠牲になっている。今更引けないのだろう。

 女の子が電話に出る、ベランダで標的と喋ったり、オランダ女の死…
次々と死んでいく仲間たち。そして自分達の行動の仕返しとして
テロは繰り返され、他の場所で次々と人が殺されていく。
パレスチナ寄りだと言われているけど、私はどちらも正義とは思えない。悪とも。
戸惑う主人公を残したままラストはいきなり終わったような気がしてしまった。
そう、だってこの問題は今だに解決の糸口が見つかっていないのだから…
凄いやりきれなさが残った。私はそう〆るしかなかった。
「君が息子だったらよかった。しかし、君は息子ではない。」
何か意味深な言葉だった。子供たちは無邪気に遊んでいたなぁ…。

この映画をきちんと語るにはやはり、きちんと本を読むべきなのでしょう。
賛否別れる作品でしょうが、私はこの問題を取り上げて世間に目を向けさせた
監督は凄いと思うし、見れて良かったと思います。考えさせられました。


奴らに深き眠りを (1997/米) 142分


 1930年代のハーレムで繰り広げられる、実在したギャングたちの
血で血を洗う抗争を描くバイオレンス・ドラマ。劇場未公開作品。
出所したやくざ者のバンビー(ローレンス・フィッシュバーン)は、
ハーレムを仕切っていた“ナンバーズ”のマダム・クイーンの元へ帰る。
その頃、かつては小物だったダッチ・シュルツ(ティム・ロス)が
勢力を拡大し、大物ギャングとしてクイーンと対立関係にあった。
ダッチの策略で、刑務所行きとなったクイーンの代わりを任されたバンビーは
仲間を仕切って復讐を始めるが、次第に抗争は激しさを増し…

 隠れた傑作ってやつを見つけた気分。
マフィア・ギャング系映画はあんまり観ないんだけど…夢中になってしまった。
出演者は、他にもアンディ・ガルシアやクイーン・ラティファもいた!
邦題がイカスよね。惹き付けられる。
黒人 対 白人 対 イタリア人 って三つ巴のような展開に。
ニューヨークにハーレムって地域があるのは知ってたけど、
実際に昔はこんな物騒な地区だったんですね…
話自体は簡潔で判り易いので役者の演技力を堪能できる。
派手さは無いけど、そこがまた味があって良い。

 ティム・ロス目当てで観たのだけど、大正解。
人を馬鹿にしたようなふざけた仕草、冷たい目つきが実に似合ってた。
りんご、うまそうにムシャムシャ食べてたシーンが好き。
アンディ・ガルシア演じるラッキー・ルチアーノの恐いくらいの落ち着きと
存在感もよかったけど、ダッチの方が見てて面白い。
バンビーは最初、モーフィアスの印象強かったんだけど、何とか観れた。

 自分たちの領域を守る為に戦い続け、知らない間に
敵が奪わないものすら、自分で自分から奪っていった…
彼が「眠れるか?」と言った言葉から、邦題がきてるのかな?
白人が黒人を雇って争わせ、黒人同士が殺しあう。
守るために戦って、愛するものが去っていく。
勝利したとしても、失ったものは帰ってこないのに…
彼には最後、何が残ったのだろう。すべてが終わったという、安堵だろうか。


許されざる者 (1992/米) 131分





 マカロニ・ウェスタンの傑作「夕陽のガンマン」などで知られる俳優
クリントン・イーストウッドが、自分の映画の師である二人
セルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げた“最後の西部劇”
アカデミー賞の作品・監督賞を勝ち取った渾身のウェスタン映画。
主演はクリントン・イーストウッド。共演にモーガン・フリーマン、
ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス…

 女・子供も平気で撃ち殺す無法者だったウィリアム・マニーは
クローディアという女性と結婚し、2人の子供に恵まれ新しい人生を始めた。
その後、妻が病気で他界した後も、子供たちと細々と暮らしていたが、
ある日、キッドと名乗る若いガンマンが訪れる。
娼婦に傷を負わせ賞金をかけられたカウボーイ二人を追う為に、
一緒に組んで仕事をしないかと持ちかけられ、暮らしに困っていたマニーは
かつての相棒ネッドを仲間に加え、3人で追跡に出かける…
その頃、町の実力者の保安官ビルは治安を乱すとして疎ましい
賞金稼ぎたちを捕まえ、袋叩きにしているところだった。

 凄く評判が良い映画なので、見てみたんだけど。
私はイーストウッドの作品はどうもソリが合わないようだ。
「ミリオンダラー・ベイビー」も何か何をどう思えば良いんだ、って思ってしまったし。
今回も、そんな複雑な疑問ばかりが頭に沸いてしまった。
まず、西部劇と言えば復讐劇。題名からしても、連想できると思う。
私は単純な勧善懲悪ガンアクションが見たかったんだろうか。…多分そうだった。
暗い映画だってのは判ってたけど、ここまでグダグダに感じてしまうのは。
主人公は昔、極悪人だった、って設定も自分好みなのだけど。
現役を遠のいた今になって、金目的とはいえ何故銃を取ったのだろう。

 保安官、最後の方になるまで悪人だとは思わなかった自分って一体。
そして、冒頭で暴れた娼婦を切った二人、ってなってたけど、
明らかにあれは一人が暴走しただけで、もう一人の方は可哀想な気がしてしまう。
二人で悪ノリして、それこそ耳を切るくらいまでの暴挙に…さ。
馬で弁償で、一応収まったんじゃ?って思ってしまった。
そうだね、馬貰ったのは主人だもんね。あの被害者ではない。
でも本当に、賞金かけて殺される位までの所業なのかな…って考えてしまう。
皆、それぞれちょっと歪んでる。その曖昧な善悪がこの映画の肝なのかも?
アウトローに憧れていた若造ガンマンがすっかり目が覚めるのはイイ。


 誰が“許されざる者”なのか?彼か?奴か?すべての者か?
人を殺すってのがどういうことなのか、判っているのか?
単純明快爽快アクションな西部劇には似つかわしくない、テーマ。
その重いメッセージを込めたイーストウッドはきっと根っから平和主義者なんだろか。
しかし、後半の銃撃戦に何の深みも見出せずに楽しんでしまった(?)
映画の空気の読めないバカがおりました。私です。
ラストのテロップの裏の意味すらもよく汲み取れなかった…
ただ、あの夕陽と家のシルエットがとても淋しげだった印象のみ。
この作品のあまりの評価の高さに戸惑う。自分には理解できませんでした。


宵闇せまれば (1969/日) 44分


 ウルトラマン、ウルトラQシリーズ、「帝都物語」の実相寺昭雄監督
脚本は「戦場のメリークリスマス」「御法度」等で知られる大島渚。

 44分というとても短い映画である。
出演者は斉藤憐、三留由美子、清水紘治、樋浦勉の4人のみ。

 戦後の昭和貧乏アパートの一室。
男3人で女1人で退屈を持て余し、ある余興を考える。ガス栓抜いて、
部屋にガスを充満させ誰が一番持ちこたえられるか我慢する勝負をし出した。
ユダヤ人は殺されることが判ってアウシュビッツのガス室に
なんで誰も抵抗せずに入っていったんだ?とか会話してて、
「もう遅いからだよ」
「いや、こういう時だからこそ立ち上がれるんだ、
極限の状態だからこそ限界を超えることができる。俺達は不幸だ。
何も無い。命の危機も極限状態も体験できない…今の時代戦争も恐慌もない!」
刺激を求めて馬鹿な遊びをし出した若者達の末路は…ここには書かない。

 平和だから危険に憧れ、危機の中にある時は平和をも飲める。
人間は喉元過ぎれば熱さ忘れる性分なんだよね。
蒸し暑い夏には冬のがマシだと云ったり
凍える冬になれば夏の方がよかったと云ったり。そんな感じ。


リトル・オデッサ (1994/米) 98分


 ロシア系移民街リトル・オデッサを舞台に繰り広げられる
裏社会の殺し屋と、彼の捨てた家族の物語。
いざこざを起こし、しばらく離れていた古巣に次の標的がいる為
帰ってきた殺し屋のジョシュア。こっそり最愛の弟と再会し、
母親が脳腫瘍で先が短く、父親は看病に疲れ愛人を作っていることを知る。

 監督・脚本ジェームズ・グレイ
主演にティム・ロス。弟役にエドワード・ファーロング。
母親役のヴァネッサ・レッドグレーヴはヴェネチア国際映画祭にて
助演女優賞を受賞。作品は銀獅子賞を受賞。

 普通のアメリカ映画とは一味違う映画でした。
単純に分けるならはギャング・マフィア系なんだろうけど、
抗争云々よりも家族を描いているような気がする。
聴き慣れぬロシア語も頻繁に出てくるから雰囲気も少し違う。
ティム・ロスが冷酷な殺し屋を演じている。
エドワード・ファーロングはあの「ターミネーター2」の子供。可愛いです。
ティムと彼が兄弟?!雪の中走る二人を観てると穏やかな気持ちになった。

 映画館に誘ったり、弟の心労を察してでしょうか。
思わぬ兄弟愛にやられてしまった。優しい母親にも。
冒頭で見せる非情な殺し屋の顔とはまた別になるんだよね。
母親との再会シーンが凄い印象深くて、切なくなった。
ああいう父親も多いんじゃないかと思う。
愛しているんだけど、何処かで間違ってる。
言葉だけで登場人物の過去が鮮明に想像できる。

 兄の命が危ないと知って、飛び出していく弟。
後で見つけた兄が取り乱さないで黙ってる所が妙にリアルに感じる。
「弟を頼んだわよ」ジョシュアが死体を運ぶ姿が凄く残酷で
何も言わないだけ、心情が汲み取れる。
あのシーンが彼が満ち足りた幸福を感じた時だったんだろうか。

弟が自転車を移動手段にして雪道を行くのが印象的。
観終わったあと、何とも言えない気持ちが襲ってきて
しばらく自分の心が沈黙してしまった。


レクイエム・フォー・ドリーム (2000/米) 102分




 斬新な低予算SF映画「π」で世界を驚かせた
ダーレン・アロノフスキー監督が描く衝撃のドラマ。
主演は「エクソシスト」のエレン・バースティン、「17歳のカルテ」ジャレッド・レトー、
「ハルク」のジェニファー・コネリー、絶叫計画シリーズのマーロン・ウェイアンズなど。

 古いアパートに住む孤独な未亡人サラは、ヤク中で荒れる息子が出て行き、
大好きなTVのクイズ番組を見るくらいしか楽しみがなかった。
そんなある日、出演依頼の電話を受け、大喜びで届いた申込書にサイン。
思い出の赤いワンピースを着て出場しようとダイエットを決意する。
一方その一人息子ハリーと恋人マリオンと友人のタイロンが麻薬密売を画策。
一時はそれぞに人生がうまく回り始めたかに思えたのだが…。

 そんじょそこらのホラーよりもよっぽど恐い。
そんな噂を聞いたんで、このタイトルを捜して発見!レンタルに至りました。
アッサリまとめてしまえば、薬の恐ろしさを描いた作品。展開も読める。
でも、一人暮らしの老婆が儚い夢を見て近所の老人たちと騒いで
楽しそうにしてるのを見るのが非常に心苦しい。何が待ってるか薄々分かるから。
ハリーたちはどうしようもないジャンキーだから別に同情の余地なしなんだけど、
見ている内に幸せな未来設計を語る姿に哀れな気持ちでいっぱいになる。
特にハリーが儲かって母親に会いに行き、薬の話を聞いてやめるよう説得する所。
「ああ、コイツは薬の恐ろしさは充分判ってるもんな、やめたんだな」
いやそうじゃない。売る側になっても結局は自分たちも抜け出せてない。
でも、自分の母親にはそんな目に遭わせたくないのだ。
そして、そんな息子の心配をふりきり、彼女は苦しい胸の内を叫んで吐き出す。
…いやーしかし、毎日毎日あんな錠剤ばかり飲んでいたら気も狂いますよ。
ボロボロになったサラがテレビ局におしかけるシーンは目も当てられない。
病院送りになっても食事をせず、荒療治電気ショックの末、あんな姿に…
誰だろうね、あんな残酷な悪戯をしたのはさ…あぁ可哀想。
薬の恐さも改めて痛感しながらも、親を大切にしようと思ったよ。
ハリーの友達のヤク中黒人はやっぱり彼だったか。真面目な役もやるんだね。
彼はハリーを病院に置いて旅を続けるもんだとばかり思っていたよ。
薬と商売も大事だけど、友達の方が心配か…中途半端な人間性が響く。
ハリーの腕の傷も凄い気持ち悪い。
これは立派な麻薬撲滅ビデオだ。
他のドラッグ・ムービーと違って真正面からこれでもかと悲惨さを訴えてる。
ラストシーン、4人が似たようなポーズで眠りにつく(夢を見る?)
実現し得ない夢。あぁ、もうハリーは左腕が切断されたんだ…
しかしあの番組の主旨はよく理解できない。ダイエット番組?

どんどん見る側を不安にさせる音楽も強烈な印象を残す。
今まで「救いがない映画」といえば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を挙げてたが
これもそれに負けないくらいじゃないかな。刺激に飢えてる人は観てみれば?


ロード・オブ・ウォー (2005/米) 122分





 史上最強の“武器商人”と呼ばれた一人の男の実像をシニカルに描いた
ニコラス・ケイジ主演作。タブーとも言える戦争事業の裏の実態に迫る。
監督は「ガタカ」「シモーヌ」のアンドリュー・ニコル。
共演にイーサン・ホーク、ジャレッド・レトー、ブリジット・モイナハン、
ドナルド・サザーランド、イアン・ホルム。

 ソビエト連邦崩壊前のウクライナに生まれ、少年時代に
家族とともにアメリカに渡ったユーリー・オルロフ。
やがてニューヨークにレストランを開いた両親を手伝っていたが、
ユーリーはある時、ギャング同士の銃撃戦を目撃し、自分の道を決めた。
武器を必要としている人に武器を提供する仕事。
弟のヴィタリーと2人で武器売買の事業を始めたユーリーは、
危険と隣り合わせの裏社会で天性の才覚を発揮し、
世界有数の武器商人へと成長していく。
しかし、そんな彼にインターポールのバレンタイン刑事が付き纏う。

 ニコラス・ケイジの映画はあまり手を出さないんだけど、
この映画は宣伝見た時から気になってはいた。なかなかの秀作だそうな。
出だしの言葉でグッと惹き付けられ、弾丸が製造され、渡っていく様子で
ググッと心は映画の世界へ…これは、かなり面白い作りだし、
最後まで飽きは来ないし、色々と考えさせられるテーマもあるし、
ブラックなユーモアも含め、ザクッとくる残酷な現実も突きつけられる。
最初は軽いノリの映画だな〜って思って見てたけど、
主人公の心境と一緒に見方も自然に変わっていった。

 
弟は、ドラッグに溺れていく様観てダメ人間だなぁと思ったけれど、
最終的には彼は兄よりもよっぽど人間的で優しい人だったんだな…
愛する妻と子、両親と弟…全てを失っても、金の為でもなく、
それでも武器商人を続けるのか…潔いのか、狂っているのか…
自分のとっての天職だとか、才能だとか、言い分はあるけども、
妻の「合法だろうと間違ってる」って言葉が何気に重かった。
やっと追い詰めたイーサン演じる刑事も、予言が当たって愕然とする。
常任理事国がこぞって各地の戦争事業で金を稼いでるという現実。
もっと幼い頃は、常任理事国が世界の戦争をなくそうと頑張ってくれていると
ただ漠然と思い込んでいたっけ…現実はとことんシビアだ。


 私は武器商人のことなんて今まで全然考えたことなかった気がする。
そういう意味でも非常に勉強にもなったし、無知だけど、判らないけど、
実際にこういう人たちが世界を飛びまわってるんだなって信じた。
こんなことを終わりにする為には何をすればいいのだろう…。
核よりも危険な銃。「ボウリング・フォー・コロンバイン」とか好きならオススメ。
期待以上に良かったです。かなり良作。DVD欲しくなった。


ロスト・イン・トランスレーション (2003/米・日) 102分


 フランシス・フォード・コッポラ監督の娘、ソフィア・コッポラ監督作品。
本人が日本に滞在して経験したことなどを参考にこの映画を作ったそうな。

歳を取ったアメリカの映画俳優が日本にCM撮影しに来日。
ホテルで滞在し、ビジネスで日本人にぎこちなく接し、
故郷の国では気まずい奥さんが待ってる状況。
同ホテル滞在の若いカメラマンと結婚して仕事でくっついてきた
同じくアメリカ人の若い娘と意気投合し、街を一緒に周ったりして過ごす…

いやぁ〜!もう、ハッキリ言って長い。長く感じた。
そして民族意識的に劣等感を感じてしまった。
日本の(東京)街があんなに退屈そうに映るとは…
「あそこに行けば楽しいのに!」という場所が浮かんでこなかったし;
都会を楽しむという点ではアメリカの大都会には敵わないとは思う。
だって、もともとアメリカの真似みたいなもんもあるし…高層ビルの群れとか
自然を楽しむにしても、やはりアメリカの土地の方が広いし
大自然がある所にはあるしなぁ…
主人公と彼女の日本人を見る冷静な視線が痛かった。

 しかし!カラオケの魅力はどうよ〜
結構、映画宣伝で来日してる俳優とかはこれで楽しむらしいよ。
「カラオケ」は「スシ」みたいに世界共通語だしね。
今作ではこれまたいまいち楽しめていなかった主人公たちだったけど…

電車の中でエロ本読んでるおっさんや
ゲーセンで夢中になってる人をはたから見ると滑稽だけどさ。
最初に出てきた日本人が二人もそろってダサい黒ぶちメガネなのは…?
きちんと全部訳してくれないなんて、そんないい加減な通訳さんがいるの〜?
それにあのストッキングおばさんは何したかったんだ?アレなのか?
日本人の、日本の嫌な部分ばかり描いてるみたいで残念。
唯一救われたのはゲスト出演したマシュー南の番組かもしれない。
夜ホテルでテレビチャンネル変えてる所、マジでつまんなそうだった…

静かで落ち着いてる映画で、ヤマ場も強烈なオチもなかった。
あの二人のエピソードだけなら、舞台は日本じゃなくてもいいと思うんだけど。
でもこういう形の映画も凄い想像広がりそうで面白いと思った。
せっかく日本に来たんだからいい日本人との出会いものが良かったなぁ




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