管理人NEROが映画について語ります。

Caramel Cinema


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空中庭園 (2005/日) 114分




 直木賞受賞の人気作家・角田光代の“家族”をテーマにした
第3回婦人公論文芸賞受賞の同名連作短編集を小泉今日子主演で映画化。
監督は「青い春」「ナイン・ソウルズ」の豊田利晃。
共演に板尾創路、鈴木杏、弘田雅裕、國村隼、瑛太、
今宿麻美、勝地涼、ソニン、永作博美、大楠道代。

 “ダンチ”と呼ばれる東京郊外のニュータウン。そこに暮らす京橋家では、
“家族の間で隠し事をつくらない”というのが一家のルール。
だが内実は、それぞれ誰にも言えない秘密を抱えていた。
娘のマナは学校をサボって遊び歩き、見知らぬ男とラブホテルに行き、
弟のコウも学校をサボりがち。また父の貴史は浮気に走り、
妻の絵里子は母との長年の因縁に悩んでいた。
そんなある日、貴史の愛人ミーナがコウの家庭教師として京橋家に現われ
それをきっかけに、家族の歪みが少しずつ表面化してゆく…。

 評判が良いので拝見。この監督のことだから、また無駄にグロかと思ったら
今回は視覚的なグロさじゃなくて(それも多少有けど)精神的なグロさを描いてる。
キョンキョンはますます演技が上手になってきたような気がする。
裏表の無いお母さん、妻、主婦を演じながら、闇を抱えている。
最終的には「何だ、なんてことないじゃん」な解決みたいな形だったけど、
オープニングのホワホワして地に足が着かない感覚がずっと続く。
ソニンもすっかり汚れが似合う配役になっちゃったなぁ〜。

 これもぶっちゃけ、見た後に何も残らないようなタイプだけど
肉をそぎ落とし合うかのような醜い本音のぶつかり合いをした後でも、
時間が経ったらいつもの日常に戻ってしまう家族の奇妙さはよく出てる。
誰しも思春期とか、疑問に思ったはず。友達同士だったらきっと、
それ以降、気まずくなって距離を置き、離れていったりするんだけど
いつも同居してる家族となると、次の日、その次の日と過ぎていくと
ふとした朝、喧嘩の前の日常に戻ってしまっているのだ。
勿論、直接謝ったり家族会議で解決する家族もいるんだろうけど、
うちの場合はこういう展開が多い。内心お互い反省すべき点は反省するけどね。
全体的に嫌いじゃないんだけど、
血のように赤い豪雨の中、絶叫するシーンは
正直、耳が痛くなったし、あんな場面入れなくても良かったんじゃないか
と思う。
この監督、やっぱりこういう映像撮りたくて仕方ないんじゃないの〜なんて。


クジラの島の少女 (2002/ニュージーランド・独) 102分






 マオリ族出身の作家ウィティ・イヒマエラの原作を、
ニュージーランドの女性監督ニキ・カーロが映画化。
時代の流れの中で次第に伝統的価値が薄れつつあるマオリ族を舞台に、
伝統を守ろうと奮闘する長老たちの苦悩や、
女であるために伝統を継ぐことを許されない少女が
それでも因習を打ち破り自ら運命を切り開こうとする一途な姿を描く。
2003年のサンダンス映画祭観客賞。各地の映画祭で“観客賞”の栄誉に輝いた。

 ニュージーランドの小さな浜辺の村。
祖先の勇者パイケアがクジラに導かれこの地へ辿り着いたという
伝説を語り継ぐマオリ族。彼らは代々男を族長として村を守り続けてきた。
ある時、族長の長男ポロランギは双子の男女を授かった。
だが、喜びも束の間、男の子と母親は出産時に命を落としてしまう。
ポロランギは悲しみに暮れ、一人娘を残して村を去って行った。
娘は伝説の勇者と同じ名前パイケアと名付けられ、祖父母のもとで育てられるが
族長である祖父はそれが気にいらない様子。それでも祖父に認めてもらおうと、
パイケアは村の後継者育成の訓練に関心を抱く。
しかし、女であるパイケアはその訓練への参加を許されなかった…

 フランス行きの飛行機の中でこの映画を拝見した。
暇つぶし程度に観始めたんだけど、この映画に引き込まれた。
ニュージーランドの自然美、村の人々の素朴な暮らし
そして何よりも、パイケア役のケイシャ・キャッスル=ヒューズの可愛さ。
絵画の天使のように中性的でもあり、純粋な瞳。
彼女はこの作品が初出演作で演技が評価され
13歳でアカデミー主演女優賞にも堂々ノミネートという最年少記録。
彼女の憂いを含んだ表情に終始見とれたり、満面の笑顔に幸せ貰ったり…
スター・ウォーズEP3での彼女は…見なかったことにします。
これから、良い作品に恵まれて活躍することを大いに期待。

 パイケアを内心嫌う祖父(といっても見え見えですが…)と
それでもおじいちゃんが大好きなパイケア。
二人の交流に心が釘付け。パイケアの気分になって悩んでしまった。
パイケアの味方になってくれる気の強い祖母もいい味出してる。
原作の小説を読めばもっと詳しく判るんだろうな。

 パイケアが通う学校の同級生も、それぞれ素朴な顔してる。
彼らが集まる村の集会場みたいな所とか…
パイケアのお父さんの弟も出てきて、ちょっと場が和む。
独特の間もあって、邦画みたいでもあるんだけど自然な雰囲気が好き。
クジラのシーンでは飛行機の微妙な揺れとマッチして
自分が大きなクジラに乗っているかのようにも錯覚。
高度な機械文明が介入していない島で
それでも時代の変化を徐々に受け入れ、民族の結束を守る…
歌のシーンで、よくわからないけど涙腺が緩んだ。
ふと、自分も産まれる場所が違っていたら、あの村で
それなりに楽しく暮らしていたんだろうかなんて考えてしまった。

 これはミニシアター系映画だと思う。
心がほんわか暖まる、普段身近に感じない自然界の恩恵みたいなものを
肌で感じさせてくれる私としては全く新しいジャンルの映画だと思った。
DVD発売日を心待ちにし、購入して再見しました。
もっと幼い頃にこういう映画を観ていたら、ちょっと性格変わったかも。
そんな衝撃的な映画では決してないけど、私にとっては特別な存在です。



グッバイ、レーニン! (2003/独) 121分






 東西ドイツの統一という時代の波を背景に、家族の絆を描いた作品。
監督は本作が長編2作目となるヴォルフガング・ベッカー。
ベルリン国際映画祭で最優秀ヨーロッパ映画賞受賞をはじめ、
様々な映画賞に輝き、本国ドイツで歴代の興行記録を塗り替える大ヒットを記録。
主演はダニエル・ブリュール。良い面構えをしております。

 1989年、東ベルリン。アレックスの父は10年前に家族を捨て、西側に亡命した。
母のクリスティアーネは、その反動から社会主義に目覚めて熱心に活動を始める。
ある日、秘かに反体制の考えを持っていたアレックスは反社会主義デモに参加。
その結果、警察と衝突するところを偶然目撃したクリスティアーネはショックで
心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。
その間にベルリンの壁が崩壊、統一ドイツは資本主義国家となる。
やがて8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するが、
真実を話してショックを与えることは避けようと、アレックスは母が家に帰っても
旧東ドイツ時代の生活品、衣服、食品をかき集めて芝居を続けることを決心する。

 評判が良いので借りてみました。…良かったです。
まず私は東西ドイツ統一云々の歴史にはあまり詳しくありませんので、
東と西の印象とか歴史の勉強にもなったし、非常に興味を持てた。
真面目なテーマなのだけれど、要所要所クスッとした笑い所もあって
キューブリック風な映像とかも楽しめて、いいスパイスになっていたと思う。
時間は2時間だけど、物語にのめり込んで、気づいたら時間が経っていた。
歴史は動く時は急激に動く…8ヶ月でどんどん社会は動いていくんだなぁ。
体制が変わったことにより、こんな部分で大きな違いが…と丁寧に見せてくれる。
マルク札バラまいてたの、勿体なーい。ホントに価値なかったのかな?
アレックスは母親にまずいものを見せてしまうと、映画好きな友人に頼んで
つじつまが合うような報道ニュースを製作して母親に見せる。ここ好きです。
西ドイツの新しい彼氏も出来た姉の心情も理解できるし、アレックスの苦悩も判る。

 
やっぱり母親は内心薄々感づいていってたんだなというのが私の見解。
母親は現実を受け入れる強さは持ってた。アレックスの方が弱かったのかも。
“段々、母の為ではなく、自分の理想の国を捜すようになっていった。”
最後のニュースで、アレックスを観ているのが何よりも印象深い。
母親はアレックスの為にも、最期までそうして死のうと思ったんだろうな…。
お互い想い合っての優しい嘘。宇宙飛行士と遭遇しちゃうのはどーかと思ったけど。
父親との再会もアッサリしているが、あれもよくよく人物の身になって考えたら
凄く切ない…っていうか、何とかならなかったんだろうかって思ってしまう。
父は父で、家族が追ってくるのを待っていたんだけれど、
母は母で、父が亡命したことにより自分たちも立場が危うくなるし、子供もいる。
最終的には、思想や信念をかかげた所で、家族と愛の前では全て倒れる。
こんな風に想われていた母親は最高に幸せ者だと思う。


 ごめんなさい、全然うまい感想書けない。文章の引き出しが貧弱だ…
これを観ると、どうしても北朝鮮と韓国の関係も思い起こさずにはいられない。
ドイツ映画ってたまに凄い傑作を生み出すんですな〜これからもチェックです。
主役のダニエル君も良い。何か、アメリカの俳優にも似た顔の人いたような。
他のキャラクターたちもそれぞれ、味のあるいいキャラばっかりで。
花火と、音楽の使い方も最高です。当事者ドイツだからこそ作れる映画。
この映画は素晴らしかったです。家族で一緒に観て、色々語らいたい。


クリスティーナの好きなコト (2002/米) 84分


 キャメロン・ディアス主演で描く、ちょっとおバカなお下品ラブコメ。
キャメロンとクリスティナ・アップルゲイトとセルマ・ブレアの3人が、
そんなことまでやっちゃっていいの?な女優魂炸裂な笑撃映像満載。
今回のキャメロンのお相手は『ディープ・ブルー』のトーマス・ジェーン。

 クリスティーナはクラブに現れては数々の男性を虜にし、去っていく。
恋愛にはいくつかタブーがあって、聞かれても本当の電話番号は教えない。
恋愛はゲームと豪語するクリスティーナだったが、
実は本気になって傷つく事を恐れているホントは臆病な女性。
始めは軽い気持ちで付き合って、これと決めた相手に本気になる…
そうして恋を楽しむ彼女たちだったが、ある夜、クリスティーナはピーターと巡りあう。
最初は反発し合っていた二人だったが、ひょんなことから意気投合。
彼と別れてから、彼の妄想で胸がいっぱいになるクリスティーナ。
連絡先も判らない彼を追いかけて、彼の兄が結婚式をするという場所まで
友人と一緒に会いに行くことを決意する。

 随分前に、C・ディアスがトイレで穴を覗きこんで…なシーンがTVでやってて
「何だこのお下品な映画…」って思ってた作品。見つけました。コレでした。
キャメロン・ディアスの魅力は、このはしゃぎ演技だと常々思う。
何かこのロングのキャメロンとブリトニーがイメージかぶる。似てる。何か。
大ヒットした『メリーに首ったけ』とはいかないけど、中々楽しい。
でも下品度はこっちの方が若干増してるかな?不潔感もちょっと漂う…
車の中で見つけた臭いの原因とか、こっちもギャーですよ。
いきなり凄い歌詞でミュージカル始まっちゃったり(皆ノリノリなの…すご)
女の憧れ、ファッションショーごっこで悪ノリして色んなタレントパロったり、
ペ〇スが口からはずれなくて「アルマゲドン」感動的に唄い出したり…

それ以降は、ちょっとテンションが下がる…というか、
最後まで最初の変なノリと勢いで突っ走って欲しかったかも。
ラブコメっぽくないトーマス・ジェーンが妄想シーン含め、色々見せてくれる。
あの『パニッシャー』が…なんて想像すると別の意味でニヤニヤ楽しめる。
ラスト、
落胆で終わっちゃうのかと思ったらクリス登場!
写真立てには結婚式の様子…でエンディング後の映像も遊び効いてて面白い

とびきり下品なラブコメ見たい人は是非どーぞ!くだらないの好きなら楽しめる。


グリッター きらめきの向こうに (2001/米) 104分





 アメリカの人気歌手マライア・キャリー主演作。
スターになるまでの自らの自伝的体験を元にマライアを前面フィーチャーし
歌手ビリーとして描いたアイドル映画。
エリック・ベネ、サ・ブラットら音楽界のビッグ・アーティストの出演も話題に。

 幼いビリーは歌手であった母の姿を見て育つが母のアル中が原因で
親子は引き離されることになり、彼女は孤児院で育てられる。
大人になったビリーは親友のルイーズ、ロクサーヌとN.Yのクラブで働いていた。
彼女の歌声に目をつけたプロデューサーは
三人を自分のお抱え歌手のバックダンサーに起用する。
ステージを見たDJのジュリアンはビリーの才能に惹かれ彼女を引き抜き
プロデュース。瞬く間にビリーは人気歌手に。
そのうち二人は恋愛関係に発展し…

 最初の頃の幼いビリーが可愛かったんでそこだけなら逸品。
マライア好きだから、早く成長しないかなーと思って見てたら
成長したマライア、何かおかしいんですけど!!
私服が最高に似合ってないわ。三つ編みも!何てミスマッチ。
全然若い子に見えない。格好だけ若くしてムリしてるみたいで痛々しい
やっぱ派手なドレスとロングが似合うわけね。

 マライア好きなら文句なしで楽しめる映画だと思っていたけど
それでもきついものはきつい。お話の流れがつまらない。安いラブストーリー
しかも彼氏とベッドインしてるマライア、何か彼氏よりも全体的にでかく感じて
不釣合いな二人で不自然だった…
あと連れの二人とビリーがあまりにも差があって悲しい。

 道端ですれ違うおばさんが本物だと思ってしまった。
唯一グッときたのはお母さんとのエピソードだったかも。
ラストでジュリアンの手紙もちょっとグッとはきたけど…

 肝心の歌も、正直あまりパッとした曲がないな〜って印象。
過去の名曲をふんだんに使った方がよかったんじゃないかな?
マライア・キャリーのシンデレラ・ストーリーをそのまま使った方がいいし。
歌手が役者やると大抵大根になるのは覚悟の上でした。
出演者にそこそこの役者を加えることは出来なかったのかな?
所詮はアイドル映画。失敗作になりそうで皆遠慮するかな?
とにかく、こいつは失敗だったなぁ〜とため息もんでした。


グリッドロック (1996/米) 92分




 渋滞した日常から抜け出せ!
ティム・ロス&トゥパックの強力タッグで贈るクールなバディ・アクション?
監督・脚本ヴォンディ・カーティス・ホール
ストレッチ:ティム・ロス(代表作「パルプフィクション」「海の上のピアニスト」等)
スプーン:トゥパック・シャクール(HIP HOP界の神と称される。映画出演アリ)
クッキー:タンディ・ニュートン(「MI:2」のヒロインなど。)
他に、監督であるヴォンディやルーシー・リューも出演。

 いつもトラブルを起こしてばかりのストレッチと、
冷静だが切れると手に負えないスプーンは、キュートな歌声のスプーンと3人で
バンドを組み、ライブとドラッグの自堕落な日々を過ごしていた。
そんなある日、クッキーがドラッグのやりすぎで倒れてしまい、
生き方を変えようと二人はドラッグ絶ちを誓い、更正しようと行動を起こすが…

 このDVDの再販が決まって、予約して購入しました。
ジャケットには炎をバックに、何だかアクション系な匂いプンプンですが、
そうでもない…なんていうか、ゆったり流れるクライム・ムービー。
三人のバンドより、マフィアっぽい連中や警察の事よりも
あちこちタライ回しにされる二人が一番印象的だった気がする。
ほどよくバカで頭に血が昇り易いくせにイザという時、思い切れないストレッチ。
あちこちで、ティム好きさん達が「この役が一番素の彼に近い気がする」とな。
2PACは96年9月にボクシングの試合の帰りに何者かに撃たれこの世を去る。
しかし、その後もCDは出続けて映画にも記録映像で出演したり。
彼の演技は高評価。よくわかんないけど、ふとした表情が可愛らしかった(笑)
ファンの間では未だに彼は何処かで生きているという説が騒がれているんだとか。
ラストに彼のラップが少し聴ける。あのバンドは詩が命のトーク系みたいね。

 お役所のやっつけ仕事ですぜ、っていう皮肉が込められてる。
所かまわずタバコを吸い出す二人〜便りなくて情けない感じもかもし出す。
ドラッグを絶とうと思い立ったら即行動!でもお前らが邪魔するし!って流れ。
全体的にダラダラ感漂ってて、
ラストを迎えても結局はお前ら進歩なし?と。
でもドラッグを他のモノに置き換えて、当てはめて見ると何かリアルに感じる。
束の間、凄い状況に追いやられたけど本質的には何も変われない、っていう。

米国には酒や麻薬中毒者の為のセラピーとか受ける施設がいっぱいあるんだね。


グリーンマイル (1999/米) 188分






 「ショーシャンクの空に」のフランク・タラボン監督&スティーブン・キング脚本
コンビが放つファンタジー感動作。(?)
主演にトム・ハンクス。デヴィット・モース、ボニー・ハント、
マイケル・クラーク・ダンカン、ジェームズ・クロムェル、ゲイリー・シニーズ…

 1935年大恐慌時代のアメリカ。ジョージア州の刑務所の死刑囚舎で
看守を務めるポールの元に少女二人を暴行殺害した罪によ逮捕された
黒人死刑囚ジョン・コーフィーが送られてきた。
巨体に似合わず臆病で大人しいジョン。
重い尿道炎で苦しんでいたポールは彼の不思議な能力で治してもらい…

 ここは死刑を待つまでの仮宿。電気椅子に続く廊下
その廊下は緑がかっていて、その死への道をグリーン・マイルと呼んだ。
話はポールが歳を取り老人ホームで暮らしている場面から入る。
テレビで古い映画を観たことをキッカケに友人の女性に
自分がかつて体験した不思議な出来事を語っていく作りになっている。

 当時、映画館にこれを観に行った時は、感動とは程遠かった。
重く、辛い話だと思った。最初はジョン・コーフィーが何を表すのか判らなかった。
彼はキリストと同じような存在として描かれていたんですね。
スティーブン・キングは信仰深い人らしいので、きっとそうなんだろう。
でも私がポールの立場なら今までの常識に逆らってでも
あの結果を何とか変えようと思った。何とかなった筈だ。そう思いたい。

 看守仲間にパーシーという救いようのない完全悪が出てくる。
これほど、憎らしい悪はそうそういないだろう。
劇中で云ってたけど「役立たず、コネ持ち、性悪の3条件が揃ってる」
ミスタージングルス(芸するネズミ)は可愛かったなぁ〜
この映画の救いはネズミ…だけなのかな。
子供に見せるには忍びない残酷なシーンがいっぱい出てきます。
尿道炎が治った晩や看守の会話にちょっと楽しい空気があるのも良い。
パーシーの末路もギャグが効いてる。

 この映画は長くて退屈すると云われてるけど
私はこれまで3回くらい観たが退屈なんて少しもしなかった。
どれも大切なシーンだと思うし悲しいけれど何かを悟らせる映画だと思う。
最近改めて見直して、感動とは少し違うけど似たようなものを覚えた。
歳を取ってから、また見直せばまた違うものを与えてくれそうだ。
家族や友人の死を見送って自分が一番長生きするなんて辛い。
…愛した人たちに看取られて死ぬ方がどれだけ幸せだろう。


クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち (2004/仏) 100分


 フランスのベストセラー小説を映画化した「クリムゾン・リバー」の続編。
今回は、リュック・ベッソンによるオリジナル脚本。
キリストと12使徒をなぞらえた一味を巡る陰謀を追う2人の刑事の姿を描く。
出演は「レオン」のジャン・レノ、「ピアニスト」のブノワ・マジメル。

 ある日、フランス・ロレーヌ地方の由緒ある修道院で、
壁に掲げられたキリスト像から血が流れ出すという奇怪な事件が起こる。
さっそくパリから派遣されたニーマンス警視が捜査を開始。
間もなく壁に埋め込まれた死体を発見。横には紋章のような印が残されていた。
一方同じ頃、若手刑事レダは麻薬捜査中、道路でキリストに似た
傷だらけの男と遭遇し、精神錯乱している彼を病院へ運ぶ。
黒マントの男が彼を狙い病院に現れ、レダはニーマンスと再会し、捜査を開始。
12人の使徒、黙示録の天使…点と点が線で繋がり始める。

 前作はテレビで随分前に見た。もうほとんど内容は忘れた。
今回は続編だけど、若手刑事レダがヴァンサン・カッセルからブノワに変更。
フランス製作のサスペンスもの、って形で何だかアメリカ作とは雰囲気が違う。
黒マントの男を追っかけるアクションが凝ってて、ここは良かった。
レダの身のこなし、犯人をどこまでも追う執念は凄いな〜なんて(笑)
てか、思いっきりヤマカシしてますね。あんな超人いるんですか?!
終盤になって説明もされるけど、あんな魔法みたいなことは…
連続猟奇殺人事件と、修道院連中が隠している謎。
何かここらへんの設定や展開が着いていけなかった。何故?何故?って。

 悪役にクリストファー・リー様も出演。もっと活躍して欲しかったな。
映画の始まりでは、あんなに雰囲気を持たせていたのに、
終わり方は単純なアクション・アドベンチャーみたいなノリで驚いた。
物語に隠された深い意味とかは別にないんですね。
黙示録の天使たち、って副題付いてるから、驚愕の真実が明らかになり…とか
多少現実離れし過ぎてても衝撃が欲しかった。
あんな凝った方法で殺人犯す理由は特になかったんだろうし。
まだ前作の方が事情に奥行きがあって、膨らみが感じられた。
追いかけっこのアクションは映像的に良いけど、話自体は薄かったです。


クルーシブル (1996/米) 124分




 原題は、るつぼの意。17世紀末にマサチューセッツ州セイラムで実際した
“魔女狩り事件”を基にして、アーサー・ミラーが書いた作品を脚色し映画化。
主演にダニエル・デイ=ルイス(アーサー・ミラーの娘と結婚している。)
ウィノナ・ライダー(万引き常習犯、映画出演ドタキャンなどお騒がせ女優)
ジョーン・アレン(アカデミー助演女優賞ノミネート。ジョンの妻役)
ポール・スコフィールド(聞き分けのない判事役)
ロブ・キャンベル(裁判を疑問視していく牧師役。他出演作も端役が多い。)
ブルース・デイヴィソン(「X−MEN」のケリー上院議員役など)
ジェフリー・ジョーンズ(「アマデウス」ヨーゼフ2世役など。端の悪役でよく見る顔)

 ある晩、森の中で少女が集まり恋占いのような遊びをしていた。
アビゲイル(ウィノナ・ライダー)も、かつて関係を持った妻子持ちのジョンとの
復縁を占うひとり。彼を手に入れる為なら何でもしようと鶏の生き血を飲み踊る。
しかしその現場を牧師が目撃してしまい少女たちは慌てて逃げ帰ったが、
その晩からふたりの少女が寝込んで、目を覚まさなくなってしまう。
町ではそれを悪魔の仕業だと騒ぎ始めて郊外から牧師や裁判官を呼び出す。
少女たちは真相を知られるのを恐れ、集団で共謀し“悪魔を見た”と証言。
土地問題や色恋事情で私怨のある村人たちを“魔女”だと名指しし、
証拠がなくても投獄、罪を認めなければ絞首刑と、狂気は広がってゆく…

 Gyaoで鑑賞。集団狂気と理不尽さを扱った作品で、苛々しました。
宗教の怖さ、盲目さもよく判る。実際に起こった事件だと考えるとおぞましい。
裁く側の正義は誰が証明するのか。純粋潔白な人間なんているのか?
死刑になる村人を観ても罪悪感を覚えず、薄ら笑いすら浮かべ
愛し憎んで執着した男が死刑になると決まった時にようやく後悔するなんて、
アビゲイルは恐ろしいね。最も、そんな無知無恥な乙女に手を出した
ジョンがそもそもの災いを引き起こしたんだけども。
ようやく判事たちの前で言ったジョンだったが、妻が…妻がぁ〜!

ダニエル・デイ=ルイスは指輪物語のアラゴルンみたいでした。
判事連中も頭が悪すぎて困った。今更後には引けない意地もあって、
少女達を問い詰めるにしたって、まず一人一人個別に尋問しなさいよ!
金を持ってトンズラしたアビゲイル、罪を悔やんで置手紙くらい残してけっての。
彼女にはそれ相応のしっぺ返しが起こって欲しかったな。もっと強烈な。

ウィノナという役者自体、大嫌いになりそうな程でした。
命よりも誇りを選ぶ…処刑台で暴動が起これば救われたのに、結局そうか。
実際に犠牲になった人達は何を思ったのだろう?
神も悪魔もいないんだ、と悟ったのかな
…キリスト教は恐ろしい。
人間の醜さを描いていて、好きなジャンルなんだけど最期を変えて欲しかった。


クレイマー、クレイマー (1979/米) 105分





 自立に目覚め、夫と子を捨てて出て行った妻。
翌朝から、夫は慣れない子育てと家事に振り回されながらも、
今まで無関心だった息子との絆を育んでいく…そうして1年半が過ぎた頃、
突然別れた妻が現れ、息子の親権を主張し、裁判に発展してしまう。
四半世紀過ぎた今でもタイムリーな題材を扱った傑作ヒューマンドラマ。
主演はダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー。
監督・脚本はロバート・ベントン。
第25回アカデミー賞で、作品、脚本、主演男優、助演女優、脚色の5部門受賞。
小さな人間ドラマだが、家族を持つ者なら誰でも共感できるテーマがある。

 前々から、見て見たいなと思ってた作品。
『アイ・アム・サム』の劇中でも話題が出てたけど、似てた。
ホントにこれは、かなりインスパイアされてるんじゃなかろうか。
まずダスティン・ホフマンが若い。そして凄く格好良い。
…これは個人的な好みだけど、彼は肩幅狭いし背も低めで、顔も大きい。
そして黒髪で、日本人に近い体格なんだよね。そこも魅力の一部なんだろな。
メリル・ストリープも美しい。薄幸美人っぽい儚い脆さみたいなのが出てた。
子役の演技もズバ抜けてるんだよね。受賞には至らなかったがノミネート。
でも子役だからかその後は、あんまり活躍はないみたいだけどね。
冒頭から、昇進して喜んで帰ってきた夫に離婚をつき付け、家を飛び出す妻。
二人で迎えた朝、“フレンチトースト”を作るシーンが凄く印象に残る。
この映画を観た後は、誰でも作りたくなるんじゃないだろうか?
タイトルは一見??クレーム客?みたいに勘違いしちゃうけど、
原題は『Kramer vs. Kramer』らしい。アメリカの裁判所にこうやって
張り出されると、離婚裁判だな、って巷の人はすぐ分かるんだとか。

 仕事も軌道に乗ってきてるが、あえて息子を誰かに預けることを断って
世話も焼けるし、たまに腹立たしくなって喧嘩したりもするけれど、
後から仲直りして、夜には絵本を読んで、教えているようで、教えられもしてて…
観てるだけで微笑ましくなる親子の交流と、最初は奥さん側だった主婦友達とも
打ち解けて、公園のベンチで子供を見ながらお喋りする。
子供を抱えて道路を走る長いカット、お気に入りのシーンもいっぱい出来た。
フレンチトースト焦がしてフライパンひっくり返してコンロを蹴ったり、
元奥さんと再会した後、帰り際にワイングラスを壁にぶつけて割るシーン、
アイスのシーン、ホフマンが考えてアドリブでやったんだとか。
裁判が始まっても、二人とも正しくて、ただどちら視点か、ってだけな気がしてきて、
二人もそれぞれ目が合って、互いに心底憎んでいないんだな、って思えて
二人の間に立つ主婦友達も凄く苦しい立場だと思う。
最終的に父親は子供を快く送り出してやろうと努めて、
母親が自分から去って行った。元の3人に戻れたら子供にとって一番だろうけど、
一度壊れたものは完璧に元には戻らない。つくづく痛感する。
奥さんが夫に蔑ろにされたシーンとか、カリフォルニアで何を見つけたのか、
詳しくは描かれてなくて、それが卑怯だって見方もあるだろうけど、
それはそれで想像がつくし、奥さんを一方的に悪いとはどうしても思えない。
子供も成長して、考え方も変わってくると思う。父と母の理解も。


 素晴らしい映画でしたよ。DVD買って正解でした。色んな人にオススメします。
気に入った映画は、メイキングまできっちり見る。
ラストにダスティン・ホフマンが言ってた裁判所の速記係の話は興味深い。
何か続編の『続・クレイマー、クレイマー』ってネタだよね??ねぇ?


クレオパトラ (1963/米) 244分


 巨額の制作費をかけて製作されたことで有名な
エリザベス・テーラー主演の歴史スペクタクル大作。
 紀元前48年、エジプトを侵略したローマの将軍シーザーは
クレオパトラと出逢い彼女の美しさと賢さに虜になる…
敵対していた彼女の弟、プトレマイオスから王座を奪い返し
クレオパトラをエジプトの女王として迎えたシーザーは、
ローマに彼女を連れて帰り、元老院にローマ皇帝の座を要求するのだった…

 最初にこれを見た時は中学生だったんですが、虜になりました。
絵画から現実の場面に変わっていく場面など、「どうやって撮ったんだろう…」
と、歴史的な絵画の通り、性格に歴史を追っていると錯覚し夢中になりました。
 エリザベス・テーラーは美しい…の一言でした。
シーザーがアレキサンダー大王の像の前で泣いた話や
クレオパトラが毒見役の侍女に言ったセリフなど、今でも鮮明に覚えている。
「子供を産めない女は水の無い川よ」といったセリフも…
有名(?)な「ブルータス、お前もか!」のシーンも見れます。

 滅茶苦茶長いので前後編に分かれていて
シーザー暗殺までが前編、後編でアントニーと深い仲になり、
彼女がその生涯を遂げて終わる。
物語的に退屈とか、つまらんといった意見が多いみたいだけど信じられない。
やっぱり映画は人によって全然感じることが違うのだなと実感。
セットも衣装もエキストラも、何から何までスケールがでかい。
物語的にイマイチだったとしてもかなり贅沢な映画だと思う。

 ローマに凱旋するクレオパトラのシーンは豪華。派手。
劇中クレオパトラが変なことにこだわり持たなければ勝利してたと考えると
案外、歴史上でも似たような小さなミスで悲劇が生まれたのかもしれない。
クレオパトラはローマでは英雄シーザーをダメにした魔女と呼ばれた。
「クレオパトラの鼻が3cm低かったら世界は変わっていた」とはよく言ったものだ。
でもこの映画を観て、彼女の魅力は外見の美しさじゃなくて
あの時代に男に堂々と意見する度胸や誇り、聡明だったからじゃないだろか
歴史上の彼女は、とても賢く外国の言語もいくつかマスターしていたらしい。

 ラストの指輪に気づくシーンではかなり可哀想だったな…
でも、あのまま従えば自分がどうなるかを考えてああしたんだな。
もしタイムマシーンがあったら、自分の事とかよりまず
実物のクレオパトラを拝んでみたい…なぁ〜んて当時よく思っていた。



紅の豚 (1992/日) 91分


 豚の顔したポルコはアドリア海の飛行機乗り。
いつからこんな顔になったのかは本人も知らない。
今日も今日とて空賊退治の仕事に出かけ、マイペースに生きていた…

 最初見た時は良さが分からなかった。
そういう映画は、後々かなりの好感度と印象を残してくれる。
ポルコが住んでる孤島に遊びに行ってみたい…いいなぁ…
飛行機ってああいう風になってるんだ、と素直に勉強になったりも。

ジーナの大人の女性らしさ、唄うシャンソン「さくらんぼの季節」もウットリ…
カーチスを優しくあしらうところなんて…あのセリフたまんなかった!
どうして豚のくせにあんなにも格好いいんだ!!
まだ子供ながらポルコに惹かれるフィオもわかってらっしゃる。
「格好いいとは、こういうことさ」

映画館で昔の戦友に会って映像と会話の内容がかぶってるのが洒落てる
この映画に出てくる人は皆、いい人。宮崎駿作品には多いけど。
ラストを想像に任せるところも、この映画らしくて好き。
アクションも笑いも雰囲気も色々含んでいて素敵だ。
エンディングの「時には昔の話を」も気に入っています。
こんな素敵な大人になりたいとよく思ったものです…


黒い家 (1999/日) 118分





 第4回日本ホラー小説大賞を受賞した貴志祐介の同名小説を
『家族ゲーム』、『39 刑法第三十九条』の森田芳光監督が映画化。
保険会社に勤める若槻慎二は、保険金の説明に訪れた菰田家で
その女性の息子の首吊り死体に遭遇する。
警察は自殺と判断し、それに基づいて保険金も支払われることになった。
しかし、不審なものを感じた若槻は自殺に疑問を感じ独断で調査を開始する。
そして、夫婦の保険金をめぐる異常な行動が次第に明らかになっていく…。

 キャストは内野聖陽、大竹しのぶ、西村雅彦、田中美里、小林薫、石橋蓮司。
とにかくもう、登場人物全てが何処かおかしい。変人ばかり。
原作者は実際に保険会社に勤務してたことがあり、その体験を元に書いたらしい。
接客をしてると色んなタイプの客がいて、そりゃ話の通じない人もいるでしょう。
それが料理注文したり、商品買ったりするわけではなく、保険金だから厄介。
主人公の恋人が心理学を専攻する大学院生なのだが、
「心の無い人間なんていない」と頑なに信じているわけです。
ラストのあの虚ろな表情から、壮絶な心境の変化を汲み取れる…。
内野って役者さんは初めて見たけど、所々河村隆一みたいなパーツ持ってるね。
冒頭のあの一言さえなかったら、あんな理不尽な不幸には見舞われなかったろう。
大竹しのぶと西村雅彦はかなりネジぶっ飛んでる役回りで凄かった。
インタビューで西村が言ってたけど、確かにああいう人はたまに街で見かけるね。
近寄りたくない、関わりたくない、っていう異様なオーラの持ち主。

 森田監督のは『模倣犯』、『海猫』と微妙な印象あったし、
この映画も評判そんなに良くもない。原作ファンには不満も多かったようだ。
でも私は不思議なことに、この映画結構気に入ってしまった。
家庭環境、環境破壊や食生活も関係して人はサイコパスになるとかの自論も好み。
事の真相が段々明らかになっていき、ある一線を越えてからは
ジェイソン並みの超人殺人鬼が現れるわけです…主人公は一人で立ち向かう。
家に入られた時点で警察に電話すれば捕まえられたのに!とか
おい!ひまわりの肩がチラッと見えたよ?!とか。金魚わざわざ…持ってきたの?
ちょっと主人公の行動に苛つきも覚えましたが。スリラー映画のお約束。
それにしても、あんな目に遭ってもまだ同じ職場で働ける彼もやはりオカシイ。
そして知っていながら普通にボーリングに誘う上司も怖い。
もう全体的に黄色いファッションに身を包んでいる人間を疑ってしまうわ。
西村雅彦はいつ死んだんだ?あの黒い家入った時に見つかったっけ。
何かあのシーンは気味悪いんだけど、何が起こってるのか判りづらかった。
「乳しゃぶれ〜!」の有名なセリフを聞いた時、笑えもせずに眉間に皺が。
大竹しのぶはなんでも出来ちゃうんだなぁ…素はぶりっこな口調なのに。
メイキングで黄色いボーリング玉や乳サブレが出てきて笑った。


 何でそこまで彼に固執するんだ?って思えて仕方ないわけだけど
然程理由が無い、現実にも巻き込まれる恐れがある恐怖を描いていた。
保険金殺人とかたまに事件が起きるけど、指切り族とか、知らなかった言葉だ。
原作ではそういう専門的なことも含めて書いてあるんだろうな。
主題歌のm-floの曲がミスマッチ過ぎ…狙ってるんだろうけどさ。


glowing growing グローウィン・グローウィン (2001/日) 92分


 堀江慶監督は初めて映画を作ったそうで…顔観てビックリ。
若い。百獣戦隊うんたらレンジャー出身だったそうな。
でもまぁ監督は映画には出てないけどね┐(゚〜゚)┌
スタッフ達の平均年齢が22歳だって!!若い連中の作った映画かぁ〜

 内容は、集団自殺。
この映画、映画館で宣伝だけ、たまに見かけてたんだけど
宣伝だけでなんだかウルッときちゃったんですよ…
凄い印象に残ってた映画だったんで、レンタル屋でみかけて即借りました。

 ふたりの男が自転車で500qの距離を走り、
ネット募った出集団自殺するとある港町まで旅をする…
ふたりの死にたいと思う境遇は違うわけなんだけど、
お互い幼なじみで、できれば友情のエピソードとかも入れてほしかったかも。
ひとりは典型的な内気ないじめられっこタイプで
ひとりはちょっと短気で、すぐ行き詰るごくまれにいそうな普通の男。

 ひとりは学校時代でもいじめられ、バイト先でも嫌な思いばっかりしてて
ひとりは彼女に弄ばれ、過ちを犯した罪悪感と逃避から…

 カメラアングルが好き。
自転車で田圃や道路を走ってる映し方が凄い好き。
音楽もたまにウルッとくる…
さすがに初映画だけあって荒削りなストーリーではあった。
所々、テンポが悪かったり、スピードが落ちてしまったり。
でも、なんとなく伝えたいような想いはわかった。

 死ぬこと自体が目的なのではなく、そこに自由への逃避という願望がある。
やはりテーマとなってくるのは、自分は必要な人間なんだろうか
生きてても楽しいことなんて何にもない。という言葉
この映画には残念ながら、ハッキリとした答は見出せていない。

 ちょっと興味を持って「集団自殺」でネット検索してみた。
多くは、実際にあった集団自殺の事件の話や、
死にたい奴は勝手に死ねば?とか
自殺はとめたい…といったようなサイト。
その中で、ちょっと心に残ったのは…

 たとえば100個の悲しいことがあっても1個でも嬉しいことがあるならば
たとえば1000の辛いことがあっても1秒でも幸せだと思う瞬間があるならば
私は、生きていきたいと思う。

 自殺は迷惑だとか、社会の利益、不利益とか、色々議論もされてた。
「自分の人生は自分で決める」劇中でも使われていた痛いセリフだ。
そこまでの凄い衝撃とか、問題作ではないんだけど
この傷の痛みが分かる人が見れば、深読みするだけで充分痛感しそうだから。
かといってそういうのを期待して観てほしくはないし。

 もっとドロドロしてるかと思ったんだけど、
そこらへんの描写は少し下手だったと思う。
でもテーマがテーマだったからなぁ…
「自殺サークル」とは全然違った観点から物事を見てる気がする。
ナイーブというかなんというか…
そして主人公のひとりが凄い吉岡君(北の国からの純くんね。)に似てるような気がしてならない。ちなみにこの映画での役名も「じゅん」でした。
あの雄叫びが今でも残ってる…


クローサー (2004/米) 103分








 ロンドンで巡り逢った男女4人の複雑に絡み合う恋愛模様を
シュールかつ大胆に綴った大人のラブ・ストーリー。
世界中で上演された同名戯曲を、「卒業」のマイク・ニコルズ監督が、
ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、クライヴ・オーウェン
実力派俳優4人を配してスタイリッシュに映像化。
原作者のパトリック・マーバー自身が脚色を担当し、
登場人物それぞれの嘘と真実が織りなす交錯した愛の行方を、
印象的な台詞の数々に乗せて綴る。

 小説家志望のジャーナリスト、ダンはある日ロンドンの街中で、
ニューヨークからやって来たばかりの若いストリッパー、アリスと出会う。
とある事故がキッカケで恋に落ちた2人は間もなく同棲を始める。
1年半後、ついに処女小説の出版が決まったダンは、本に載せる作家写真の為
訪れた撮影スタジオでフォトグラファーのアンナに一目惚れしてしまう。
彼女もダンに惹かれていたが、アリスとの同棲を知って身を引くことに。
アリスの事は好きな癖に、アンナに執着するダンは
“アンナ”になりすましネットのエロチャットでいたずらをする。
まんまと騙され、下心丸出しで水族館のデートに現われた
医師ラリーだったが、彼は偶然そこで本物のアンナと出逢う…

 映画館で拝見。宣伝ポスターに惹かれた。
大人なラブ・ストーリーと、なかなか豪華なキャスティングに期待。
しかし、何だか見事に裏切られたような気分がした。
絡み合う男女4人、それぞれ関係が変化し泥沼化してくわけだけど
その過程が丁寧に表現されていないので、
時が過ぎたと文字で言われて、とっくに別れてたり、付き合ってたり。
誰と誰が知らない間に、ネンゴロになってたとか。
それを観客が想像してくれ、って趣向なのかなぁ?

 R指定されていたけど、エロいのは言葉が多かった。
性交渉を妙に生々しく語ったり、痴話喧嘩で吐き出される言葉も綺麗じゃない。
そこらへんがシュールでサバサバして、
決してロマンチックじゃない大人の恋愛なのかもしれないけどさ。
とにかく、あーだこーだと言い争いばかり見せられたような気がする。
あれだけ酷い本音をぶつけ合っても、元に戻れるんだから凄いわ。
肝心の4人に誰一人として感情移入できませんでした。
ま、私が青いだけなんですかね…理解に苦しんだ。
ぶっちゃけアリス以外、みんなムカついた。
男ってああいうもんなのか?失いたくないのに、他のモノにすぐ手を伸ばす。
女ってああいうもんなのか?ふとしたことでコロッと気持ちが変わる。

 あのナタリーがストリッパー劇場で凄い格好してて驚いた。
際どい…きっと、向き合った人はモロに見えていたんだろな…
ジュリアはきつかった。彼女が魅力的だとは到底思えない。
ジュード・ロウ演じるダンはは精神的に子供なんだろうなぁ…
まんまと引き止められたあの言葉に踊らされ、復讐されたのであった。
ダンが全てを引っ掻き回した原因のようだけど、
ダンがいなければあの二人は出逢っていなかったかもしれないし。
ラリーの往生際の悪い根ちっこさが凄かったな。結果オーライですか。

 欲しいものを手に入れる為に、嘘もつくし、卑怯な手段も構わず取る。
気づいた時には手は汚れて、手にしたものも、染まっていた。
恋愛なんて、決して綺麗で素晴らしい崇高なものなんかじゃない。
欲望むき出しの醜い争いで、結局誰もが自分を一番愛しているんだ。
…私はそんなメッセージを感じとった。
ラスト近く、ナタリーの取った行動が何故か凄い爽快でした。
4人の恋愛模様だけに焦点が絞られていたから、割と集中し易い。
元が舞台だからなのか、会話ばかり流れてたような気がする。
でも冒頭とラストの街を歩くナタリーは目を奪われる男たちの気持ちも判る。


黒蜥蜴 (1968/日) 87分



 原作:江戸川乱歩、戯曲:三島由紀夫、監督:深作欣二という豪華さ。
主演に丸山明宏(現、美輪明宏)、木村功、川津祐介…キャストも凄い。
こんなに特別な映画なのになぜ未だにDVD化されてないのか?

 ストーリーはいたって単純明快。
名探偵明智小五郎が黒蜥蜴と名乗る女賊とダイヤと美女を巡って対決する。

 冒頭のセリフから世界に引き込まれてしまった…
「あなたは批評家?」って続くセリフに。
暖炉と花束の話もぶっ飛んでて興味深い。
言葉のひとつひとつが芸術的に凄い。
こんな表現でしか感動を表せない自分が嫌だ。

 すっごい惹かれちゃって…2回目で更にはまってしまった。
どんどん観るごとに惹かれていく気がするよ。
美輪明宏…なんて素敵な人なんでしょう。
 もう彼(彼女と呼ぶべきか)が画面に映るだけで退屈しない。
話し方、身のこなし、しぐさ、かなりのハマリ役だと思います。
京マチ子バージョンもあるが、やっぱりイメージ的にこちらの方が強いと思う。
彼女の為にこの戯曲を書いたという三島由紀夫もゲスト出演。
事実、恋人同士だった二人のラブシーンは必見です。

令嬢さなえと雨宮もいい味出していました。
二人のスキップ姿はかなりきます!そんな展開…!でもアリか!!
川津祐介を見た瞬間、「どっかで観たことある顔だ!!」とハッとしました。
色々出てたんですね…「地雷を踏んだらサヨウナラ」とか
「ひとつ屋根の下」「きらきらひかる」等ドラマにも。

ラストのセリフとか理屈抜きにして・:*:・(*´エ`*)ウットリ・:*:・してた自分がいた。
くさいセリフって、はまったら凄い感動を呼ぶのですよ。
昔の映画って間とか雰囲気とか退屈するのが常なんだけど
これは何の苦もなく観て楽しめる作品だな〜
時間は短いし、どのシーンも全て目が離せない。釘付けです!


クワイエットルームにようこそ (2007/日) 118分








 劇団・大人計画の松尾スズキが、芥川賞候補にもなった自身の同名小説を
自ら脚本・監督を手掛けて映画化した異色ドラマ。
主演は内田有紀、共演に宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ、
平岩紙、塚本晋也、中村優子、高橋真唯、馬渕英里何、筒井真理子、
平田満、ハリセンボン、庵野秀明、俵万智、しりあがり寿など。

 28歳のフリーライター、佐倉明日香は、ある日目覚めると、
見知らぬ白い部屋でベッドに拘束されていた。
そこは、精神科の女子閉鎖病棟の中にある
通称クワイエットルームと呼ばれる保護室。
仕事や恋で行き詰まっていた彼女は、薬とアルコールの過剰摂取で
昏睡状態となり、ここに運ばれ、そのままこの病棟で監禁状態に。
明日香がどんなに説得しても規則を盾にまるで聞く耳を持たない看護師たち。
ここで明日香は、自分自身の過去と心に向き合うことになる…

 「恋の門」が面白かったので、こちらも是非観ておかないと!劇場鑑賞。
しかし松尾スズキさん、色んなジャンルで活躍し過ぎですよ。土井垣さん。
コメディタッチな宣伝にちょっとだけ騙された気分…
何かこう…ね、精神的にズシンとくるシーンが後半多くなって、
「嫌われ松子の一生」ほどディープではありませんが、ダークでした。
あちこちに遊びや小ネタが散りばめられているのは分かったんですが、
たまにズン!とシビアな描写が来て笑っていられなくなるんだよね。
りょうや大竹しのぶは、こういう役をやらせたら文句なしにハマるし、
この映画の為に7`減量した蒼井優も、他の作品とは全く異なるオーラで。
クドカンも良かった。鉄ちゃんはダメ男だけど、私は惚れてしまったゼ。
ちなみにクドカンの歯がいつもに増して汚いのは役柄的仕様だそうです。
平岩紙さんの演じる癒し系看護婦さんが食器下げるシーンも良かった。
ブルジョア部屋のサエちゃんのエピソードはもっと見たかったけど。

 主人公の明日香は、最初はちょっとした弾みで巡り巡って
運悪くこういう場所に放り込まれたと思い、戸惑いながら
同室の患者たちを物珍しく見ているわけなんですけどね、
そのうち、段々と彼女たちを理解しながらも、やはり自分だけは別だと思い、
それなりに精神科病棟での生活に馴染んで、楽しむようになるんだけど、
彼氏の鉄っちゃんとの連絡が取れなくなり、問題児の暴走もありで、
言ってはいけない言葉を吐いて、友達を突き飛ばしてしまう。
その後、目が覚めた明日香と、覗き込むミキのシーンで涙腺緩みました。
あそこで「ごめんね」とか言わない所がまた胸が熱くなったね。
栗田さんも退院する時、ここでの関係と思い出を捨てていくように、
ミキも色紙に書く。「1時間以内に捨てないと爆発する」とちょっとユーモア含め。
そうして、明日香はお互いの為に鉄っちゃんと別れ、病院を出る。
皆が書いた寄せ書きと、サエちゃんが描いてくれた自分の絵を捨てて。
栗田さんらしき女性が担ぎこまれていくシーンは、明日香のループを予期させ、
ちょっとゾッとした。それでも、車内の明日香の表情は吹っ切れていたけど。
あのアドレスも思いっきり、life_is_happy@loop〜ってあったし。
確かにあの病院では自分自身と向き合える空間があったかもしれない。
似た境遇の同志と心の傷を多少なりとも舐め合えるのかもしれない。
でも、同じことを繰り返す人はいる。根本的な解決は何処にあるのか。

自分は正常だと思っている患者。自分だけは正常だと思っている患者。
ひょっとして壁の外にいる正常な人間こそが、異常だったりして。
純粋だからこそ、狂う。そして、それを隠せない。だから閉じ込められる。
人間社会、精神世界…色々と考えさせるテーマですね。

 
鼻水みたいな食事ってホントにああいう形で出されるんだろうか?
胃に負担をかけない食事なら、おかゆとかでいいんじゃなかろうか…。
あんなの出されたら、食欲なくすだけじゃないのさ。
そして、奥で鼻水すすってる患者のシーンはあざと過ぎてちょっと引いた。
そしてケロイドみたいな蕁麻疹もどうよ?この2点のせいで再見するの懸念する。
明日香の元旦那、あんな手紙残して自殺するなんて酷い男だな。
ひょっとして、明日香が子供をおろしていたことを知っていたのか?なんて。
変な仏壇が届いての騒ぎで、号泣するシーンで内田有紀を見直しました。
鉄ちゃんの足の包帯の本当の理由が分かる場面のシーンとか辛いよね。
私は、ひょっとしたら明日香を追いかけて鉄ちゃんが戻ってくるんじゃないかと
淡い期待を抱いてしまったが、それは本当のハッピーエンドじゃないんだろうね。
爽やかな終わりに見えても、お先真っ暗な感じがして恐いんですけど。
「長い罰ゲームでした。」
何気にこの映画、心に残る名言が多い気がする。
明日香の過去が、謎の部分が、段
々と明らかにされていき、
ストーリーの流れ的にも目が離せない。テンポは良かったです。
患者一人一人に、そこに入るまでのいきさつがあったんだと思うと、
その深みまでも知りたくなるんだけど、本筋ストーリーから外れるんだろうし。
出演者たちも演技に味があって、カメオ出演者も豪華。何か贅沢です。
精神科病棟という、ある種タブーな題材を扱い、しかも笑いも含んでいて、
それでいてシリアスな部分はシリアスに…なかなか良い作品だと思う。
芥川賞候補にもなった原作小説の方も是非読んでみたいものです。



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