青い棘 (2004/独) 90分


 1927年ベルリンで起こった“シュテークリッツ校の悲劇”の事件を元にした映画。
主演は「ベルリン、僕らの革命」や「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュール。
共演にドイツ本国では有名な劇団出身の若手演技派のアウグスト・ディール。
監督はアヒム・フォン・ボリエス。

 パウル・クランツとギュンター・シェラー。
  僕たちは人生の絶頂、最高の幸福の時に世を去る。
  愛の為だけに死に、愛の為だけに殺す。
  愛を捧げ、その愛を奪った者を道連れにする。

この遺書について尋問を受けたパウルは、重い口を開き事の顛末を話し始めた…
寄宿学校の休みを利用してギュンターの別荘に遊びに来たパウル。
育った環境も性格も対照的ながら、なぜか2人はとても気が合った。
パウルはそこでギュンターの妹ヒルデと出会い、たちまち彼女の虜になる。
しかし、自由奔放な彼女にはハンスという恋人がおり、パウルは相手にされない。
そして、そのハンスはギュンターとも何か深い因縁があると悟るパウルだったが…

 ジャケットの写真が綺麗だったんで、借りてみた。
だんだんダニエル・ブリューエルのファンになってきたぞ。
ミニシアター系コーナーに置いてあっただけに、何とも小さい世界の、
いわゆる青春の若者特有の青臭く、未熟な美意識を感じさせる主張。
作品自体は期待していた程、カメラワークも上手くないし、ハッとするシーンもない。
主張したいことも上手くセリフに表れていなくて、そこは非常に残念。
観ている間はただ流れていく出来事を見せられている気分なんだけど、
ラストで後日談がテロップで流れ、急にドキッとさせられた。
大きな意味は、これが実際に1927年に起こった史実なんだということ。
そして、時代に関わらず今の世でも起こりうるような、
誰しも思春期に感じたことのある変な理想というか、共感できる何かがあったこと。
ヒルデとエリの関係は今でも普通にある。モテモテ美女と、ひきたて役の友人。
ハンスのようないい加減で本心掴めない野郎もいる。
DVD特典で主演3人と監督のインタビューまでじっくり見てしまった。
映画としては全然物足りないんだけど、観終わった後に頭の中で想像し直すと
結構心に残るものがあったような…変わった映画。人には薦められないけどね。


青い春 (2001/日) 83分






 映画化された『ピンポン』の作者としても有名な松本大洋原作の
短編集「青い春」を松田龍平主演で映画化。監督は豊田利晃。
新井浩文、高岡蒼佑、大柴裕介、山崎裕太、忍成修吾、
塚本高史など旬の若手俳優の競演も見物!

 不良ばかりの荒れた男子校の屋上で、新3年生の九条たちは、
新しく学校を仕切る者を決める為、“ベランダゲーム”に興じる。
屋上の柵の外側に掴り、手を離して何回手を叩けるか数を競うのだ。
誤って落ちれば命は無い、この学校の伝統の度胸試しである。
8回叩いて勝利した九条は学校を仕切ることなど興味が無かった。
親友の青木は、その九条の態度にしだいに苛つきはじめ…

 原作の本は持ってます。結構気に入っている。
絵はガリガリな線で、一見読みづらいけど独特さがあって、テーマも好きだ。
この映画には短編集の「しあわせなら手をたたこう」と「夏でポン!」
「鈴木さん」と「ピース」を見事に融合して作られている。
勿論、舞台は男子校だけでほどよく色んな話がミックスされた感じ。
途中で物語から退場した彼らの今後が原作では判る。
何を考えているのか掴めない九条(松田)と、一緒に行動を共にしてきた青木(新井)、
族に入って舞い上がってる大田(山崎)、ギターを弾く物静かな雪男(高岡)、
族に憧れるパシリの後輩吉村(忍成)、
甲子園の夢破れた木村(大柴)と、残された野球部員(塚本)…

 まず、これは不良というイメージを全否定し、軽蔑しかしていない人が見たら
最初から最後まで嫌いなものを見せられた感想を持つかもしれない。
けどもし、少しでも彼らに憧れたり、共感できたりしたことがあったなら
この映画はその美学に最高にハマる作品になるんじゃないかと思う。
一言で言えば痛い青春映画なんだけど、それだけじゃない。
若さで何でも無茶できたけど、決して自由じゃなかった。
学校から社会に出て行くその道は、漠然としてた。
BGMとして使われたミッシェルガンエレファントの曲が凄いはまってて
何ていうか、滅茶苦茶格好良い!こんな格好良い邦画はなかなかないかも。

 あの漫画から、こんな風に映画化するなんて素晴らしいね。
原作にはなかったエピソードも少し加えて、キャラの魅力も出てる。
小さい花田先生(マメ山田)も存在感あったし、場を和ませてくれた。
学食のおばちゃん役に小泉今日子も出演。
松田龍平は「御法度」の時は好きじゃなかったんだけど、これを見てから
180度見方が変わってしまった。格好いいじゃん…何ていうか。
身体がスマートで学生服がよく似合ってたね。ミステリアス。
今では「血と骨」でたけしとも共演した新井浩文も
この映画が初出演とは。凄い全力投球。この後に、「GO」にも出演。

 原作ではアッサリ虚無に包まれていた世界だけど、
映画ではガムシャラさ、後悔、友情、慟哭、、、まさに青春。
屋上から降りていく九条たちのスローショットがお気に入り。
女だからかもしれんけど、男っていいなぁって思ってしまう。
学生時代授業を普通に受けてたからかもしれんけど、あんな風に
サボって屋上で柵にもたれながらため息ついて空を眺めてみたかった。
とにかく刺激的で、切なくて、終わってから不思議な気分になった。
バイオレンスな青春映画だけど、オススメです。是非、拝見あれ☆


海猿 (2004/日) 120分






 人命救助のエキスパート“潜水士”を目指す若き海上保安官たちの
奮闘と友情、恋愛を爽やかに描いた青春ドラマ。
TV「ブラックジャックによろしく」の著者・佐藤秀峰が
週刊ヤングサンデーで連載していた人気コミック『海猿』を実写映画化。
主演は「陰陽師 」シリーズの伊藤英明。
史上初となる海上保安庁の全面協力により、
リアルで迫力ある海洋シーンの撮影に成功。

 すべての海上保安官の中で、わずか1%しかなれないという
人命救助のエキスパート“潜水士”。別名“海猿”と呼ばれている。
壮絶で過酷な訓練が課される上、常に死と隣り合わせである職務ながら、
今回もまた選りすぐりの若者たち14名が研修を受ける資格を得た。
その一人、仙崎大輔も海難救助の精鋭を目指すべく研修に臨んでいる。
マスターライセンスを持つ彼は、主任教官・源からの指示で、
劣等生だが純粋な動機で潜水士の道を選んだ工藤とバディを組み、
互いに切磋琢磨して数々のハードな訓練をパスしていった。
そんなある日、大輔はファッション雑誌社に勤める環菜という女性と出会う…

 洋楽の名曲ジャーニーの「オープン・アームズ」に乗せての宣伝。
色んな場所で見かけてたけど、全然興味がなかった。
海上保安官とか、ダイバーとか…
宣伝で、〇〇が〇〇するってバレてるし。出しちゃっていいのかよ。
俳優人はなかなか豪華な面々。伊藤英明は大根だけどね。
伊藤淳史(最近活躍してきたね)、村田充(バトロワやGOにいたな〜)、
國村隼(邦画ではよく観る顔)、藤竜也(有名だけど、今まで観る機会なかった)
藤竜也演じる鬼教官がよかったな…深みあって。
帽子おさえるシーンで、胸が熱くなったし。

 鬼教官と訓練に臨む若者たち、落ちこぼれ君、エリート君…
よくあるキャラ設定だなーと思った。
外泊許可が出て、うかれて町に繰り出すあたりから
何だか「ウォーター・ボーイズ」みたいな若さだなぁ〜と。
水槽をあんな風に使っていいのかよ!!
マスターライセンスを持つ主人公が足手まといな工藤と組まされて
ドベの組は腕立て伏せ〜ってやらされてたりして
きっついだろうなぁと思いつつ体力付いていいじゃん、なんて思ったり。

 人命救助と云っても、遺体を回収するのが主だとか
酸素ボンベの残りでどれだけ保つかとか、専門的な数字とか
ただの体育会系な合宿訓練じゃないんだな…と思った。
身体を鍛えるだけじゃなく、いざという時の正確な判断や注意力。
20`の重りをつけて泳いだりしてて、実際にああいうことしたことないから
どれだけキツイのだろう、と気になった。色んな訓練してるんだな。
邦画で、こういうテンポの良い軍隊系の青春ものって今まで観たことなかったな。
流れ的に、なんだか洋画にありそうな話だった。

 ちょこっと出てくるオマケのような恋愛はアッサリしてたな。
何でそうなるよ?!とか、何でそこでそれ流すよ?!って思ったけどね。
あと仙崎の私服が、凄い田舎者みたいでおかしかった。キャラと違くないか?
最終訓練で皆が工藤を励ましてたけど、
向いていない人を諦めさせるのも大事だとは思った。
情熱だけじゃ勤まらない特殊な仕事もあるし。
あと、熱意の割には結構簡単に根を上げてばかりいたね。彼は。
分かってはいたのに、どうしてもあのシーンでは泣いてしまった。
くそっ、負けたぜ。そして卒業のシーンも。

 例の事件の後から、ちょっと観てる方はダレた。
会議のシーンは、よくあるドラマのパターンだった。
確かに何だか、映画の雰囲気が全体的に古い。男臭い。でも格好いい。
海上保安官の制服姿がビシッと決まってる。
どうせなら再会のシーンもそれで…でも、変か。
2006年の事件とかエンドロール後に流してて、続編出るみたいだね。
潜水士にお世話になったり関わったことがある人が見たら
感動も一塩なのかもしれない。今度、漫画の方も覗いてみようかな。
『愛と青春の旅だち』とよく似てると云われてるので
そっちの方も機会があれば見てみようかな。
「踊る大走査線」シリーズのスタッフが作ったらしく、まずまずの出来。
海が好きだから、ってそれだけの甘い夢じゃない。


8 Mile (2002/米) 110分




 大人気ラッパー、エミネムの半生を基に描かれた青春音楽ドラマ。
貧しい地域で暮らし、いつしかラップ歌手になることを夢見る白人の青年が、
様々な問題にぶつかりながらもやがて成功を掴んでいく。
共演は「L.A.コンフィデンシャル」のキム・ベイシンガーと
「サウンド・オブ・サイレンス」のブリタニー・マーフィ。
監督は「L.A.コンフィデンシャル」のカーティス・ハンソン。

 1995年、デトロイト。中産階級の白人が多く住む郊外とは
“8マイルロード”で分断され、貧困層が多数を占める都市中心部。
ジミーはここで無職の母と幼い妹の3人でトレイラー・ハウス暮らし。
母は男とうまくい付き合って生活を何とかしようとしていた。
彼は昼間プレス工場で働き、夜はヒップホップ仲間たちとつるむ。
・クラブ“シェルター”で毎週行われるラップ・バトルでの優勝を目指し、
プロで成功することを夢見ているが、彼は才能がありながら
本番になると、その実力を発揮出来ないでいた。

 話題になった頃は全然気にならなかったけど、話題作なのでレンタル拝見。
エミネムって率直に言うと嫌いな部類なんだよね。
映画を観ていくうちに、「悔しいけど男前だな〜」とは思った。
ユアン・マクレガーの顔にイライジャ・ウッドの瞳つけたような印象。
ストーリーもざっと流せば何てことない。描写が上手かったのかな。
こういうアーティストが主役の映画ってどこかチープ感漂ってて
どれも大抵は酷評されちゃうんだけど、これは珍しい成功例。
半自伝的な物語で、実際にはエミネムの別れた妻と愛娘が
映画では母と妹という設定になっているらしい。
ラップは英語だし、韻を踏んでるとか上手いこと繋げたとか、
ネイティブじゃないと理解できない部分が多いと思う。
私は英語自体苦手なので、何か“凄い”って雰囲気だけでしか見れない。
字幕を書いた人は頑張ってくれてるとは感じた。

 夜のデトロイトの治安悪そうなイメージがよく撮れてた。
エミネムのファッションもシンプルだけど格好良かった。
これ見て日本に勘違いラッパーが続出しちゃったのもうなづける。
普段から地味にメモ付けたり勉強はするもんなのね。
ちょっと気まずい長めのSEXシーンがあるので家族鑑賞はお勧め出来ない。
危ない雰囲気は漂いつつも、誰も殺されないし、
彼女は結局サッパリしたヤリマンだったし、母親は男に捨てられたが
宝くじというアイテムで解決させちゃうし、エミネムはただ本気出せなかった
のが終盤になってようやく本気出せて良かったねーな展開だし、

監督が違えば充分コケた可能性大きいような気がする。
劇中出てきた悪口ラップは別に惹かれなかったんだけど、
エンディング曲は正直、カッコいいと思った。何言ってるのか知らないけど。
で、DVDに収録されてたエミネムの他の曲のPV見てみたら…
お下品。やっぱエミネムってこういう奴だよね。ウン。
エロ描写って少しの違いでセクシーになるか下品になるか際どいもんよね。
映画見てちょっとだけ見直しちゃったけど、やっぱり嫌いな部類だわ。
それだけ、この映画は不思議な魅力はあるってことで。


エレファント (2003/米) 81分


 1999年に起きた米コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフに、
「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・ヴァン・サント監督が、
事件が勃発するまでの高校生たちの一日を淡々と描いた青春ドラマ。
なお、本作は2003年カンヌ国際映画祭で
パルム・ドールと監督賞のW受賞という史上初の快挙を果たした。

 オレゴン州ポートランド郊外のワット高校。
ある初秋の朝、生徒たちそれぞれの、いつもの一日が始まる。
ジョンは、酒に酔った父と車の運転を交代して学校に到着。
そのため、遅刻した彼は校長から居残りを言い渡される。
写真好きのイーライはポートレート制作の真っ最中。
女子に人気のアメフト部員ネイサンはガールフレンドと待ち合わせ、
食堂では仲良しの女子3人組がダイエットや買い物などの話で持ちきり。
そんな中、いじめられっ子で内向的なアレックスとエリックは、
ネットで入手した銃器を手に学校へ向かっていた…。

 評判が良いので、レンタルで拝見。
ガス・ヴァン・サントの映画は最近「マイ・プライベート・アイダホ」を拝見したっけ。
GWHも観たけど、こっちはそんなに心に残らなかった。
二コール・キッドマン主演の「誘う女」もそうだけど、この監督は
実際にあった事件をとりあげて映画にするのが好きなのだろうか。
マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー〜」とは正に対極を成す映画。
描かれるのはたわいもない学校の日常。
犯人たちが何を思って事件を起こしたのか、判らないまま。
確かに、実際起こった事件の犯人の動機も不明のままだけど。
本当に、“淡々と”って表現が似合う映画でしたね。
正直、かなり睡魔に襲われかけた。万全の体調で観ないときつい。
時間が短めなのがかなりの救いだと思う。
題名の「エレファント」とは、仏教の寓話にある
“目隠しして像を触らせたら、誰も像だとは判らなかった”という話からだそうだ。
ある者は蛇、ある者は木だと答えた。

 役者たちの名前をそのまま役名に使って、チャプターごとに描く。
しかしそれも、彼らの内面を、ではなく、外見の様子だけ。
人物の背後からのカメラ視点で、歩いていくシーンが多かったのが印象的。
いやに眩しい日差し、閑静な住宅街、流れる音楽。
時間軸が多少前後して、事件が始まる。
何のBGMもなく、シューティングゲームの感覚で行われた虐殺は
血生臭さや残虐シーンがちゃんと映らない分、観ている方はバクバクなのかも。
でも実際に起こった事件はもっと凄惨で、阿鼻叫喚の地獄絵図だったらしい。

 ジョンを始め、誰が主人公でもない感覚で、
自分が透明人間か、神様か、見えない存在になって
その場を傍観しているような雰囲気だ。
楽しむ為でも、感動する為でも、興奮する為でもない。
この映画は、ただ作品に込められた意図を自分なりに解釈し、脚色し
「とても、考えさせられる映画だった」と言わせる為の映画だと思った。

 中学生の頃はよく、学校に爆弾が落ちたり、でかい事件が起こって
学校が壊れちゃえばいいのに、なんて思ったものでした。
女子トイレでの彼女たちの会話にドキッとしたね。
他人にとってすれば普通の当たり前の環境。
誰かさんにとっては、心が壊れてしまう程苦痛な空間だったりするのかも。
誰がいつ、何処でこんな暴挙に出ても珍しくない、危うい社会。
ネットで簡単に銃や弾薬が買える銃社会は、つくづく御免だ。
どんな事情が何通り複雑に絡み合っていたとしても、
無差別にイタズラに人の命を奪うことがどんなに酷いことか。


ガチ☆ボーイ (2007/日) 120分






 劇団モダンスイマーズの舞台『五十嵐伝〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜』
を映画化した青春映画。「タイヨウのうた」の小泉徳宏監督作品。
佐藤隆太、サエコ、向井理、仲里依紗、宮川大輔、泉谷しげるなど。
悪役レスラー“シーラカンズ”の一人フジタ“Jr”ハヤトは本物のプロレスラー。
大学生の五十嵐良一が弱小プロレス研究会にやって来た。
人数も少なく覇気も弱まっていた部員たちはプロレス好きの彼を大歓迎。
しかしアマチュアのプロレスは段取りと演出が全て。観客を楽しませるのだ。
だが商店街のイベントで彼はガチンコファイトをぶちかまし、予想外に大ウケ、
五十嵐は人気者に。そんな彼にはある複雑な事情が…

 プロレス全く興味なし、宣伝の段階でも、また難病泣かせ+スポ魂ものか〜って
全然興味なかったんだけど、テレビで佐藤隆太が宣伝してて、見てみようかな、と。
あざとい泣かせ演出は虫唾が走る程嫌いな私ですが、何故か時たま、
ベタな展開でも、読める流れでも、理屈を通り越して胸にダイレクトに届くモノ。
そういった絶妙なツボがこの作品にはあったのか、
映画館で久しぶりに泣くのを堪えた邦画でした。素晴らしかった。

佐藤隆太…マサ、マスター、ジャンボいいねぇ。主役も立派に張れるね。
ヒロインのサエコも、悔しいけど可愛い。
告白のくだり切な過ぎる!!
他は、そんなに有名な役者さんいなかった気がするけど、
誰も彼も上手くキャラが立ってたし、好感が持てた。
部員仲間たちのキャラクター、コスチューム、クスクスしたり感心したり。
伏線もあって、それが今後に見事に活きてて、ニヤリとしたり、切なくなったり。
特に後半あたりはロッキーのような熱さ。分かっていつつもハラハラドキドキ。
観終わって背中にびっちょり汗かいてまった(恥ずかしい;
実際に脳の障害を負っているのなら、プロレスは悪影響には違いないが。
毎朝彼は日記を読んで戸惑い、緊張しながら部室へ行っていたんだなぁ。
そして皆が何食わぬ顔で暖かく五十嵐を迎え入れてくれる。
内心戸惑いながらも、ホッとして笑顔で返す。憧れてた先輩や女の子。
いつも帰宅に使うバスが二人だけの貸切状態なのは不自然だったけど。
告白したことをメモしたくないけど、メモしないと彼女が傷つく。
あの雨が降り出したのは演出臭すぎるけど、やるせなさが凄く伝わった。
「50回目のファーストキス」みたいな具合に、いつか彼にも恋人できるのかなぁ。
刻まれた過去の記憶だけは確かに、永遠に彼女を想ってしまうのだろうか。
父親が事故の起こる前の自分のことを自慢しているのを聞いてしまうのも酷。
彼がバスで居眠りして白紙になっちゃうシーン、緊迫しながらも
景色の綺麗さにハッとしてしまったり。撮り方も上手いのかな。
彼の病気は治らないけれど、毎朝毎朝白紙の人生を刻んでいくんだけど
あの日あったことと、皆との絆、あの写真を見て新しい彼はどう思うだろう。

これは素直に良作でしょう。87点!!家族でも鑑賞可!笑える要素もあったし。
また映画館に足を運んでも惜しくないと思える程でした。
これは絶賛のし過ぎかも(笑)あくまでも大きすぎる期待は捨ててね。
ポジティブな感動を呼び起こすのが素晴らしいと思います。

 ですが悲しいかな、ヒットは望めないかも。題材が題材なだけに。
プロレスだし〜と倦厭しないで、観てみればいい。はまれるからきっと。
私が観た回は、カップル2組と私の5人だけでした(ノД`)オーイ
上映開始前のカップルの五月蝿いノロケ会話にイラっときましたが、
映画が終わる頃にはすっかりストーリーに入り込めたようで、
すぐに立ち上がれない様子。ちょっと見知らぬ彼と彼女を見直した私でした。
THE3名様ファンの私としては、是非ともこの監督の次回作は
岡田義徳主演でお願いしたい。難病テーマがまたあったら見事な三部作に…ネ
あ〜また「タイヨウのうた」見たくなってきた。この監督さん伸びるね!


GO (2001/日) 122分






 金城一紀の直木賞受賞同名小説を映画化した青春映画。
主演に若手俳優の中でも異彩を放つ窪塚洋介を起用し、
在日外国人という複雑な環境下での世界と個人をテーマに描く。
監督は行定勲(後にセカチューや北の零年などを撮る。)
脚本は「池袋ウエストゲートパーク」等で人気になった宮藤官九郎
共演に柴咲コウ、山崎努、大竹しのぶ、山本太郎、新井浩文、村田充、
大杉漣、塩見三省、萩原聖人と豪華キャスト。

 日本の高校生である杉原は、中学までは朝鮮民族学校。
元ボクサーの厳しい父の元で育ち、喧嘩は滅法強い杉原は高校でも問題児。
ある日、高校の友人の誕生パーティーで呼ばれたクラブで
桜井と名乗る不思議な女性と恋に落ちるのだが…

 私が窪塚洋介という役者に入れ込んだのはこれがキッカケ。
ドラマ「GTO」の頃から名前と顔も知ってはいたけど
マトモに他のドラマを観たことはなかった。
どんどん彼が話題になり、この映画で日本アカデミーを受賞。
DVD化したあと、店で何気なくジャケ買いした映画がコレ。
普段は映画をジャケ買いなどしない。だけど、妙に惹かれた。
「国境線なんて、俺が消してやるよ」って書いてあったセリフにね。

 映画の本質はやはりアイデンティティだろうか。
在日問題が大きく作品のイメージにもなってるけど
あえて重く捉えないで描いているのが斬新だった。
個人とか、個性とか、誰でも悩んだり考えたりするテーマ。
世間体や周りの目、育った環境、影響を受ける様々な出来事。
「オレは誰なんだ?」ってね。

 窪塚が格好いいことは勿論、柴咲がこんな可愛い子演じられるんだ!と。
山崎努がこの作品の大黒柱というか、非常に良い支えになってる。
大竹しのぶも、流石な演技。似合ってる。
山本太郎の面白い先輩っぷりと三人のドタバタ。
この映画を観終わった後、思いっきり走ったり叫んだりしたくなる。
あと殴り合いのシーンとか妙にリアル感があったような。
タクシーで父に息子が云ったセリフ。
そんな話で泣ける時代は終わったんだよ。
つか、てめぇらの世代でケリ付けろよ!
あんたら1世や2世がグズグズしてっから俺らがパッとしねぇんだろうがよ。

これが、現代を生きる彼らの本音だと思いたい。
いつまでも過去を引きずってウジウジしてたってダメって。
この映画は、難しいテーマを絡めてはいるけど
要は一風変わった今スタイルの青春映画なんだと思う。
萩原聖人演じる警察官との短い語らいも気に入ってる。
桜井がヤケに気にするアレコレも面白い。
ラストで杉原が叫んでた言葉は忘れられないね。

 最初これを見た時、すぐさまもう1回観てしまった。
心の中で笑って泣いて、胸が熱くなる。こんな映画はそうはない。
今になって改めて見直すと、物語に粗があったりもするんだけどね。
この映画の個人的な評価は、ぶっちゃけ
この監督が良いんじゃなくて、原作と脚本が良かったんだと思う。
これを観る人は、韓国や北朝鮮の印象や意識を捨てるといいよ。
「広い世界を見ろ」この言葉が持つ大きな意味を感じ取って欲しい。


サタデー・ナイト・フィーバー (1977/米) 119分





 公開当時ダンス・ブームという社会現象を起こし、
“フィーバー”なる言葉を定着させた、ジョン・トラヴォルタの出世作。
ベイ・リッジの町のペンキ屋で働いているトニー・マネロは、
日頃のうっぷんを毎週土曜のディスコで晴らしている若者。
今日もいつものようにディスコに繰り出して自慢のダンスを披露していた。
そんな中、新顔の魅力的な女性をダンスに誘った彼は、たちまち魅了され、
彼女をやがて催されるダンス大会のパートナーとして誘うが…

 トラボルタ以外は無名俳優ばかりで目が出たのも彼だけだろう。
ディスコ映画として一世を風靡したこの作品を初見して驚いた。
仲間とつるんでダンス踊って騒いで、恋もして〜って軽い映画だと思ってた。
一人の若者の家庭環境や、好きになった女性との関係…
シビアな現実から開放される為にダンスを踊っていた彼だが
大会でも見せたような遊びではないプライドもあった。
彼は様々な体験をして、ひとつ大人になる…そんな青春映画。

 冒頭から“ステイン・アライブ”が流れて
トラボルタが街を闊歩してるシーンが凄い印象に残っている。
若い!細い!動きがしなやか!正面顔はきもいけど横顔は憂いがあって良い。
親父が無職で自分はペンキ屋の安月給。母の唯一の誇りは神父の兄。
仲間は車で交互にカーセックスを楽しんだり橋で馬鹿騒ぎ。
ダンスの相手役の女性がおばさん顔なのが気に障ったな。
それにあのお決まりの会話も不愉快極まりないんですけど〜!
いくら今までいなかったタイプの女性だからって、惚れるか?
もっと美しい人がいなかったもんだろか。
トラボルタも、ちょっと芋っぽい顔だったけどね。

 予想に反して変わったストーリーだった。
70年代の雰囲気とファッションやアメリカの生活は窺えるんじゃないかな。
「バカな女だな。そんな事を望んでいたのか?」ってのが印象的だった。
トニーは基本的に女性とは優しく付き合えないんだろな。
食卓で叩き合う一家や、髪型にこだわる様が笑えた。
もっと知ってる曲が流れるかと思ってたけど、知らない曲ばっかだったな。
ジョン・トラボルタがこの映画のイメージから抜け出して
新天地を開いて役者として開花したのは凄いね。


シド・アンド・ナンシー (1986/英) 113分


 伝説のパンクロッカーで、セックスピストルズのベーシストとして有名な
シド・ビシャスとその恋人ナンシーの破滅に至る恋愛を描いた実話に基づく作品。
シドを演じたのはこの時が映画初主演だったゲイリー・オールドマン。
ナンシー役はクロエ・ウェッブ。アメリカ映画批評家協会で主演女優賞を受賞。

 私がシド・ヴィシャスについて知っていることは外見と、
セックスピストルズのべーシストってことと、ナンシーとの事の顛末。
で、映画見終わってウィキで調べたら「こんな人物だったのかー」と
イメージが悪い方へ傾いた。だって、ただの馬鹿にしか見えない。
生き方がパンクそのものだったから神格化されたって定義も首傾げる。
まぁ、パンクって要は破滅的で反社会的で不良の好む音楽でもあるから、
元々そんなにパンク好きじゃない人が見てもしょうもなかったんだな。
私はセックスピストルズも魅力が判らないからね。
映画見て、何か正直つまらなかったんだよね。普通のジャンキー映画。

 ゲイリー・オールドマンは好きだし、若々しくて演技も見物ではあったけど。
役作りでシドの母親に話を聴きに行って形見を貰ったとか、ちょっとイイ話だが。
ナンシーはまず外見にビックリした。くたびれたおばさんのようだった。
でも実在の人物も、別に美人じゃなかったんだろな。
例の「MY WAY」も劇中で流れて聞けました。これもカヴァーらしいね。
ドラックに溺れる主人公を描く映画は反面教師とかいうけど、
この映画に関してもそうなんだろうけど、
シドとナンシーに対してひたすら嫌悪感を催した。
可哀想な人たちだ、などとは微塵も思わなかった。
シドはきっと、顔がブサイクだったら神格化されなかっただろうな。
DVD廉価版が発売した時に買おうか悩んだけど、買わなくて正解だった。


16歳の合衆国 (2002/米) 104分


 本作がデビューとなる新鋭マシュー・ライアン・ホーグ監督。
彼の矯正施設で教員生活を送った時の実体験を基に脚本を執筆、
作品に共鳴したケヴィン・スペイシーが製作にも名を連ね映画化を後押しした。
主演は「タイタンズを忘れない」「完全犯罪クラブ」のライアン・ゴズリング。
ドン・チードル、クリス・クライン、ジェナ・マローン、ケヴィン・スペイシー。。。

 ある日、衝動的に人を殺してしまった16歳の少年リーランド。
彼にも理由は判らない。「僕は過ちを犯したと思う」そう淡々と告げるだけだった。
矯正施設の教師パールは作家志望ということもあり、アイディアを求め
彼に興味を持ち、生活環境や人間関係を調べ始める。
殺されたのは知的障害者のライアン。リーランドの恋人ベッキーの弟で
リーランド自身も普段から交流を持ち、仲が良かった。
残された遺族たちはただただ深い悲しみに暮れていた…。

 短めな作品なんだけど、3回も強い眠気に襲われ何度も見返した。
難しいテーマで、描き方も様々だからどうこう言うのは苦々しいけど…
主演のリーランド役はボケーっとしてて無気力な若者って感じなんだけど
何故かあのアンニュイさが非常に印象に残った。
あの口を棒の字にしたり、眩しそうに見つめる眼差しがね。
一見、冷めた若者の持つ妙な危うさみたいなものかな?
ある一点では理解できるけど、あえて理解したくない思いがした。
独白が主な静かで特に山場のない映画なので、見るには覚悟が必要。
少し違うが「エレファント」とちょっと似た印象を受ける。雰囲気で見るのも可。

 何故ベッキーは彼と別れたんだろう?事件に直接関係はなくても、
間接的な関係もなきにしもあらずじゃない?大まかに言ってしまえば
リーランドが恋人に振られ、カルデロン夫人の瞳の輝きが失われ、
自分の今まで持ってた価値観を大きく変えてしまったから起きた事件だと思うし。
主人公は自分の書いたノートの中で必要悪の理論も展開してたけど…
「彼は本当は気づいてる。自分が嘲笑か同情の対象でしか見られないことを」
この言葉が一番響いたかも。例え行き場なく苦しんでいたとしても
やはり殺すのは筋が通らない。「もう大丈夫だよ」は何を込めて言ったのか。
何が怖いのか、それはごく普通の少年が理由無く人を殺せること。
結局リーランドは「本当は凄く後悔している」とは言ってる。
日本でもどんどん少年犯罪が増加してく。嘆かわしいことだ。


 主人公のトレードマークのような赤いパーカー。判り易い。
ベッキーの家族の同居人とか、関係が凄くわかり難い。
あの教師も父親も勿論、良い人間だとは思えないし…。
何故加害者の両親の所にマスコミが行ってるシーンがないのだろう?
想像の中だけの殺人なら皆子供のうちから持ってたと思う。
私は小学校3年生の頃、いじめてきた輩をナイフで刺し殺すのを想像して
自分を慰めていた。この映画とは関係はないが、ふと思い出した。


深呼吸の必要 (2004/日) 123分





 沖縄の離島を舞台に、サトウキビ刈りのアルバイトに集まった
若者たちの姿を描いた青春群像劇。
広大なサトウキビ畑を前に悪戦苦闘し、互いに反発・葛藤しながら次第に
新たな自分を見出していくさまを沖縄の美しい自然を背景に綴る。
監督は「月とキャベツ」「はつ恋」の篠原哲雄。
タイトルの「深呼吸の必要」は映画製作の発端となった
詩人長田弘の同名詩集から採られた。
出演者は香里奈、谷原章介、成宮寛貴、金子さやか、久遠さやか、
長澤まさみ、大森南朋、北村三郎、吉田妙子。

 2月。沖縄のとある離島。本土とは比べものにならない
陽射しが降り注ぐこの島に5人の男女がやってくる。
彼らはみな“キビ刈り隊”の募集に集まった若者たち。
それは、人手の不足した農家を手伝いサトウキビを刈り取るアルバイト。
5人を迎えるのは年老いた平良夫妻と“キビ刈り隊”の常連・田所豊。
彼らはこれから35日間で約7万本のサトウキビを刈り取ることになっていた。
だが、全くの初心者である5人は慣れない仕事にもたつくばかり。
おまけに、先輩ヅラして偉そうに振る舞う豊にも苛立ちを募らせていく…。

 ほのぼのヒューマンドラマでしたね。
劇的な山場はないけど、グサッとくる言葉がふいに出てくる。
“皆、ここに逃げてくるんだ”社会という現実で挫折し、
傷ついた若者たちが沖縄に集まってサトウキビを刈る。
住み込み食事付き、休日もあって日給5千円。
ちょっと憧れてしまうけど、何だか夜を迎えると切なくなりそう。
日本各地にこういう住み込み期間限定の働き口があるみたい。

 ワケありの他人同士の彼らが、交流を深めていく。
それで過酷な現実に影響を与えてくれるとは限らないけど
その触れ合いがそこまで深くはない所がまた現実感があった。
出演者の演技も過剰じゃなくて素っぽくてそこが雰囲気出てた。
キャラ全員の過去を細かく描いてるわけじゃなくて
ほどよく連想させる程度の事しかわからなかったのもソフト。
沖縄のおじいちゃん、おばあちゃんってあんな風にあったかいのかな。


スタンド・バイ・ミー (1986/米) 89分


 スティーブン・キング原作の映画。
ホラー作家として知られてるけど、こんな青春ものも書けるのだと感心
 今は亡きリバー・フェニックスも子役で出ているし
最近流行った米ドラマ「24」主演のキーファー・サザーランドも出ている。
 小学校の頃から録画したビデオを何十回と観ました。何百と観ても飽きない。
子供の頃からこういう映画を観るのって大切だと思う。
今でも私のルーツになっている気がする。
友達がどんなに大切か、教えてくれる。そんな気になる。

 片田舎に住む少年ゴーティ、クリス、テディ、バーン。
四人はふとしたことから巷を騒がしている行方不明の少年の
死体がある場所を知り、発見者になりテレビに出てヒーローになろうと
家族に内緒で村を出て線路を辿って旅に出る。

 才能溢れ若くして事故でこの世を去った兄に未だに執着し
自分を観てくれないと悩むゴーティ、家庭に問題があるために苦しむクリス、
精神を病んだ父親に耳を焼かれそうになっても愛し続けるテディ…
それぞれに心に秘めた思いと深い傷がある。

 旅の中で数々ハプニングを経て、彼らは何かを失い、得て成長してゆく。
ささいなことで怒ったり、くだらないことでメチャメチャ笑ったり…
その頃だからいる友達や、出来ること、話せること、あると思う。
夜の告白と啖呵を切る場面では不覚にもいつも泣いてしまう。
 主要人物が男ばかりというのも凄い。
女性で重要な役割だったのはゴーティの母親役くらいだ。
この映画に出逢えたことに感謝したい。心の底からそう思う。
素晴らしい映画だと思います。


卒業 (1967/米) 107分








 サイモン&ガーファンクルの名曲に乗せて送る青春映画の名作。
若りし日のダスティン・ホフマンの演技も見所。

今は亡きアン・バンクロフトの代表作のひとつでもある。
今でも結婚式のシーンは有名でパロディやオマージュも後を絶たない。
60年代を過ごした人たちにとっては欠かせない青春の象徴であろう。

 大学を主席で卒業したベンジャミンは卒業祝賀パーティーで
前々から長い家族付き合いを続けていたロビンソン夫人に誘われ
最初は抗いながらも、ずるずると秘密の関係を持ってしまう。
自堕落な日々を送り、将来のことも見えない毎日…
そんなある日、ロビンソン夫人の娘のエレンが現れたことで、
親のお膳立てで彼女と渋々つき合わされることになるが、次第に惹かれ合い、
ベンジャミンはエレンを本気で愛するようになる。
そんな状況に嫉妬の念を燃やしたロビンソン夫人は…

 前々から観たい観たいと思っていた作品。
感動ものの映画かと思っていたけど、全然違った!
諸所、ユーモアや皮肉めいたものが散りばめられていて
色んな所で突っ込みながら鑑賞してしまった。
こんなもどかしい映画だったとは…生々しいし
古い映画だけど、全然退屈しなかった。見せ方がうまい。
音楽だけのシーンもプロモーションビデオのように様になってた。

 始まって即、ダスティン・ホフマン若い!って思った。
彼は美形ではないんだろうけど、何だろうな。
顔が大きめでなで肩で身長が高くない。
少し日本人に近い所があるから日本で好かれてるのかもね。
彼のもどかしい演技は、リアルで凄いと思った。
自宅プールでダラダラ過ごす様も笑える。
大学を卒業して、何をしたらいいのか迷う…期を失うとそうなるんだよね。
ホテル言って皆に挨拶されるシーンも笑ってしまう。
ストリップバーでのあの図がどうしても爆笑もん。
エレン演じたキャサリン・ロスも可愛い。

 勝手に結婚宣言したり、執念深く追いかけたり…
今で言うとストーカーの部類になっちゃいますな。
母親と娘、両方手を出すなんて生理的に凄い嫌なことだと思うし。
あの瞬間だけで、何故エレンは彼を選んだのか…
奪われる花嫁って図が、そんな自分が快感だっただけなんじゃ…
あの後、バスに乗って「さーどうしよう」って不安げな表情が良い。

甘い恋愛映画なんかじゃない。現実を突きつけられる。

 結婚するよ、ってそれだけで安心する両親もどうよ。
所帯持つ前に、ちゃんとした仕事見つけてないなんてなぁ。
夫人の立場だったら、怒るのも無理はないけど…
エレンをひっぱたくシーンは間違いなく女としての怒り。
娘の身を考えて…ってわけじゃないのだ。


 当時、ダスティンはベンジャミンの役をロバート・レッドフォードと
ジャック・ニコルソンと取り合ったっていうらしいじゃない。(三人共同い年とか)
二人がそれぞれベンジャミンの役をやっていたとしたら
全く異なるタイプの映画になっていたかもしれない。

 レンタルで借りて観たんだけど、これはなかなか。
また、ふと見たくなってしまいそうだ。不思議な魅力がある。
しっかしアメリカって家でかいし普通にプール付きがあるもんなぁ。
ホテルの部屋取りとか、社会に飛び出したばっかりで
世間知らずで…何か気持ちが判る挙動不審さであった。


旅するジーンズと16歳の夏 (2005/米) 118分





 4人の仲良し女の子が初めてバラバラに過ごす16歳の夏休みに、
異なる4つの体験を、ひとつの不思議なジーンズを通して綴る青春ドラマ。
世界的ベストセラー、アン・ブラッシェアーズの小説『トラベリング・パンツ』を映画化。

   仕切り屋でスポーツ万能な明るいブロンド娘のブリジット、
   読書や絵を描くのが好きな、控えめで大人しいリーナ、
   見た目も中身も個性的で黒ロングに緑のメッシュの入ったティビー、
   豪快だけど実は繊細、スペイン系で体格が大きめなカルメン。

 偶然が重なり、一緒の時期に産まれて一緒に育った仲良し4人組は、
夏にそれぞれ、ブリジットはサッカーの合同キャンプでメキシコへ、
リーナは祖父母が住むギリシャへ、ティビーは一人地元でバイトしながら、
負け犬人生を綴るドキュメンタリー製作をし、カルメンは離婚した父に会いに、
別れて過ごす夏休みを前に、ショッピングを楽しんでいた4人は
不思議なジーンズを見つけて大ハシャギ。体格の違う4人にピッタリはまったのだ。
4人は夏休みの間、このジーンズを1週間ごとに着回していこうと決める。

 ミニシアターコーナーで発見。変なタイトルだなと思いつつ、惹かれた。
てっきりロードムービーものかと思ってたけど、違いますな。
4人それぞれバラバラに異なったエピソードが同時進行していき、
ジーンズと一緒に回される手紙で、各々が離れている仲間を想う。
不思議なジーンズはとっかかりは作るけど、非現実的な展開にはならない。
まず私はリーナの行ったギリシャの映すだけで絵になる風景に惹かれた。
あぁ…行ってみたい。ギリシャ素敵すぎ!そして漁師の男と恋に落ちるとか、
正に女性の旅の理想みたいな展開でした。ちょっとロミジュリ要素あり。
リーナ役の子、どっかで観たと思ったら「シン・シティ」のベッキーか!
サッカー合宿のブリジットはコーチの男性に目をつけ積極的にアピール。
の始まる前にブリジットには伏線あったけど、あんまり意識してなかった…
ティビーはスーパーの店員をしながら映画制作。地味だけどこれも良かった。
カルメンの父親&その他家族が凄いイラついたんですけどー!!
ガラス割った時点で、父親は追いつかなくても追いかけるべき。
あの後、気まずそうに家族の晩餐を続けましたじゃ、カルメンが惨め過ぎる…
結局、映画の締めの描かれ方でもカルメンの方は解決してなさげ。
だけど、友達がいるもんね!カルメンもそのうち恋人が出来るでしょうよ。


 いい掘り出し物でした〜若者青春ドラマ好きならお勧め。
全体的に明るいし、4人の主人公がそれぞれ別の場所で過ごすので
絵的にも見てて飽きないし、そのうち「さぁどうする?」と先が気になる。
個人的にナターシャ・べデ
ィングフィールドのアンリトゥンが流れたので興奮。
何よりもギリシャの舞台が素敵で素敵で…旅先って設定なのがまた良い。
4人を繋ぐのがジーンズって設定なのも斬新で凄いね。
2度観て2度感動。ガチで人にお勧めしたい作品です。


トレインスポッティング (1996/英) 93分






 アーヴィン・ウェルシュ原作の本をダニー・ボイル監督が映画化。
この監督はのちに、『ザ・ビーチ』や『28日後…』の監督も務めている。
ドラッグに翻弄される青年の物語。本国はもとより、アメリカ、日本でも大ヒット。
主演は当時25歳のユアン・マクレガー。この映画をきっかけに、大ブレイク。
ユエン・ブレスナー(ズバッド役)
ジョニー・リー・ミラー(シックボーイ役)…アンジェリーナ・ジョリーの元夫。
ロバート・カーライル(べグビー役)…演技派俳優としてそこそこ有名。
ケリー・マクドナルド(ダイアン役)
仕事もせずにヘロイン漬けの日々を送っていたレントンは、麻薬絶ちを決意。
紆余曲折を経て何とか更正し、イギリスで定職に就けた彼だったが、
腐れ縁の仲間たちは再び彼を誘って、ドラッグ絡みの話を持ちかけてくる…

 この映画のユアン・マクレガーのポスターは色んな所で見かける。
これが当時は凄く流行ってて、「ユアン格好良い、こんな生き方してみたい」
なんて、さらりと言える奴はおかしい。人として普通に軽蔑してしまう。
ドラッグをやってる若者を格好良く見せる映画は、私は大嫌いだ。
低俗なヤンキーが粋がってるのと一緒で、美学でも何でもないから。
そんな堕落したスコットランド人の若者5人が登場するわけだ。
冒頭の音楽と勢いと、語りはぐいっと引き込むのには良いと思う。
有名なトイレのシーンは、ある意味スプラッタ映画より強烈で目を覆いたくなる。
奴等、ロクな連中じゃねぇ。こんな風にはなりたくない、って思うさ。
それが、教育的で真面目過ぎて、つまんないって言えるのも若さ故だ。
…なんて直面からドラッグの危険性についてなんて書いたって仕方ない。
これは、ドラッグが大きなイメージを締めているけどソレが主役の映画じゃない。

 ドラッグを他のモノに置き換えて見るのも良いかもしれない。
自分にとっての現実逃避。頭をカラッポにできる何か。そして、為にならないモノ。
タバコ、酒、テレビゲーム、インターネット、余計過ぎる睡眠とか。あくまでも過度。
それぞれ、好きな人には利点がドンドン思いつくと思う。
ドラッグ常習者の意見もそう。快楽を得る、嫌なことが吹っ飛ぶ、アイディアが湧く…
私が日課にしてる映画鑑賞にしてもそう。適度な趣味なら一般人に留まるが、
常にそればかりの日々を続けていたら映画依存症となるし、為にはならない。
ダラダラ続けてしまう惰性。それを振り払う勇気をくれる映画でもないんだよな〜
そこら辺が、一種のアート止まりというか。主人公は
更正してないもの
ビジネスマンになった主人公の元に悪友が転がりこんできて、
「追い出したいけど、腐っても友達…」みたいな思考が出てきて、
ちょっと判る。
ラストは
一応、一種の爽快系なんだが深読みするとネガティブに思う。
「最後の1本…」って結局打つアイツは、ドラッグが手に入ったらすべてフリダシ

結果がすべてじゃない。問題定義して放り出す作品も別にキライじゃないし、
反面教師な作品も好きだったりする。だけど何か認めたくない何かがこれにある。
…関係ない話、ユアンはSW2の撮影中アル中だったらしく、共演してたナタリーが
酒臭いし、下品な冗談言うし、一緒に絡むのを凄く嫌がってたとか。
イギー・ポップの音楽も映画に華を添えてて、サントラは人気らしい。
当時は映像の撮り方が斬新だったらしいけど、何かPVみたいだった。


渚のシンドバッド (1995/日) 129分


 とある高校での同性に思いを寄せる男子生徒とそれにちょっかいを出してくる
変わり者の転校生の女子生徒3人の友情と愛の青春映画…かな。
これは浜崎あゆみがまだ歌手になる前、役者だった頃に出演してた映画。
あゆの役柄はレイプされて転校されてきた女の子。
つっぱっていて、それでいてチョコチョコちょっかいをっかけてくる。
サバサバしてて可愛いかった。人って変わるね。
何か雰囲気はシビアな中学生日記みたいでした。

 この映画に出てくる子ほとんど気持ちを言葉にしない描写が多くて
長い沈黙や暴走っていうか物に八つ当たりしたりするのが多かった。
そういう意味では真面目に観ないとわかんない感じ。
一般受けはしないだろうなぁ…眠い時に見たら熟睡しそう。

 あゆは結局、あの伊藤君が好きだったんでしょーか。
そして吉田君は伊藤君の思いを一応受け止めたと受け取っていいのか。
一般的な男女間に生まれる恋愛感情って性的欲求とか混ざるだろってことか
でも「好き」って言い合うだけで満たされるだけなら
小中学生精神だとかなんだろな。個人で意見は分かれるでしょうが…


バス男 (2004/米) 95分






 製作費わずか400万円ほどの超インディーズ作品ながら、
ティーンの熱狂的な支持を集めて全米で40億円以上を稼ぐ大ヒットとなった
イマドキでは斬新な冴えない君を主役にした話題の脱力系学園コメディ。
アイダホの片田舎に暮らすどうしようもなく冴えないオタク高校生の
イケてない日常が独特のダルなリズムで綴られてゆく。
MTVムービーアワードでは「スパイダーマン2」や「キル・ビル Vol.2」を抜き
見事作品賞を受賞。ちなみに邦題は、オタクつながりということで
日本でヒットした「電車男」にあやかり付けられた。
バスは主人公が通学に使う程度でまったく物語に絡んではこない。

 アイダホの高校生ナポレオン・ダイナマイト。
ルックスもダサければ頭も良くない彼は、当然のように学校でも友達もいない。
おまけに家族もナポレオンに負けず劣らずの変人達。
兄は32歳にもなってヒッキー。毎日ダラダラと女の子とのチャットに夢中で、
叔父さんは過去にすがり、通販のタイムマシンを買おうと怪しげなビジネスを。
そんなナポレオンにも、メキシコ人の転校生ペドロという友だちが出来た。
女の子にモテたいペドロはダンスパーティーに学園マドンナを誘ったり、
無謀にも生徒会長に立候補、ナポレオンも彼の応援にそれなりに精を出すが…。

 よくさ、金髪の青い瞳、長い手足の外人に生まれたかった…って
ファッション誌見てため息ついたりする人も居るかと思う。
でも、アメリカでもイギリスでもフランスでもきっと、こういう人は多いと思う!
そう、冴えない人は世界共通そういうポジション与えられてそこに居るのだ。
主人公のナポレオン君は世間一般的にお世辞にも付き合いたいタイプじゃあない。
日本の“電車男”は女性に好かれたい為に変身を遂げるストーリーだけど、
この“バス男”は違う。自分は自分らしく無理しないでマイペースに生きて
気づいたら、何か、それなりに悪くない感じになってってますよ〜って感じ。
もうね、変人具合が凄く良い。なで肩、ダラダラした歩き、しぐさ、無気力な顔。
喋り方さえトロくさくて、冒頭の行動からもう意味不明で困った(笑)
主役を演じたジョン・へダーは見るからに…な男に見えるんだけど!!
それでも、検索してみたら、素顔はコレですもん!こんなに化けちゃうもん?!
ちなみに、学園マドンナ的存在のサマー役はヘイリー・ダフ。
そう、あの人気アイドルのヒラリー・ダフのお姉ちゃんです。
冴えないのは主人公だけじゃない、周りの人すべてが冴えません。

 心理描写一切無しで、主人公ですら行動が読めない。
誰が何に怒り何に喜んでいるのか、直接描写がない部分は手探りな映画だった。
兄貴が見つけたソウルメイトでさえ、あんな展開安易に予想しなかった。
無職のヒッキーで前途多難だろうけど、守るモノが出来れば大分違うと思うから
何だか彼らの未来を明るく考えてしまう。それなりにお幸せに〜☆
あんな砂だらけの屋外にそのまんまケーキを路上に置いていくなんて!!
ナポレオン君の絵とダンスには仰天したね。ペドロが当選してから、
特に生活が一変したわけじゃない感じの主人公が何だかちょっとリアル。
大喝采を浴びたからって、話しかけずらい人種なのは変わりないっていうか。
ようやく、何かが始まりそうな雰囲気になって終わったのも微笑ましい。

エンドロール後にも長い続きが用意されているので、お見逃し無く。
展開が早くて分かり易い映画が好きな人は眠くなってしまうかも。
でもこれは、それなりにクスクスな脱力系青春コメディです。
特典映像でコレとよく似た監督の短編映画やメイキングが見れます。
冒頭のキャスト紹介の仕方の映像の懲り方も良かったな。


54 フィフティ★フォー (1998/米) 101分





 1970年代後半から'80年代にかけてニューヨークに実在した、
ディスコ〈スタジオ54〉を舞台にした青春ドラマ。
1979年、ニューヨーク対岸のニュージャージーに住むシェーン。
彼はガソリン・スタンドで働く単調な毎日に嫌気が差していた。
彼はセレブレティたちが集まりスキャンダラスな話題を振りまくディスコ
〈スタジオ54〉に憧れ、いつか自分もそこに仲間入りすることを夢見ていた。
憧れの女優ジュリー・ブラックが54にいる写真を見つけたシェーンは意を決し
父親の車をこっそり借りて友達とニューヨークに向かう…。
54には招待された特別な人間しか入れない。幸運なことに、
ディスコのオーナーであるスティーヴ・ルベルが群がる大勢の希望者の中から
相応しい人物を選ぶなか、選ばれたシェーンは54の世界にすっかり魅了され、
そこで働くことを決心し、シェーンはどんどんのし上がっていく…

 主演はライアン・フィリップ(リース・ウィザースプーンの夫らしい)
サルマ・ハエック、ネーヴ・キャンベル、セーラ・ウォード、ブレッキン・メイヤー、
オーナーのルベル役にマイク・マイヤーズ。

 若さという名の美だけでのし上がる主人公。
そこではスター気分でいつまでもこんな日々が続くことを疑わなかった。
時代は54。芸能人やお偉いさんも集まる流行の最先端の特別な店。
ドラッグとセックスには困らない、刹那的な危うさが同居した天国。
これぞ青春!そして、青春は誰にでも訪れ、誰からも去っていく…
ウェイターやバーテンダーは全裸にパンツで接客する。
皆からチヤホヤされて、まるでそこではスター☆
何か、アメリカ版・ジャニーズ青年の物語としても見れるかもしれない。
主役のライアンは確かに美しかったです。演技は酷評されてるけど。
サルマ・ハエックのセクシーさと歌も堪能できて、幸せ。
ネーヴ・キャンベルは影が薄すぎる。いてもいなくても良かったんじゃ?
マイク・マイヤーズは地味めでギャグってないけど何か似合っていた。

 雑誌の取材とか受けてチヤホヤされていたシェーンが、
ディナーの席で教養のなさをバカにされたり、おばあちゃんが急死して
何かおかしいことに戸惑いを隠せなくなったりと印象深いシーンが多かった。
流行の波に夢中で乗り続けて、知らないうちにドンドン周りが見えなくなるんだ。
自分が本当に欲しいものは何だろう?何になりたいのだろう?
天国の夢が覚めた時、それが一夜限り戻ってきた時…
再会した4人がそれぞれ笑い合うのが何故かたまらなく切なく嬉しかった。

エンドクレジットで本物の54のお客さんやルベルが映ってる写真が出てきて
アメリカのそんな時代に、日本のバブル絶頂期を思わせた。(体験はしてないが)

 有名な人が何人かカメオ出演してるらしいが分からなかった。
当時流行った音楽も流れて、ディスコ好きには良いかもしれない。
青春の光と影を描いてるね。私はその流れが個人的に凄く気に入った。


ベルリン、僕らの革命 (2004/独・オーストリア) 126分





 革命思想に燃える男2人女1人が主人公の青春映画。
現代ドイツの社会を背景に、革命とは何か?大人と若者の溝、青春の葛藤を描く。
監督は今作が二作目となるハンス・ワインガルドナー。
主演のヤン役に『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリューエル。
ヤンの15年来の親友ピーター役にスタイプ・エルツレッグ。
二人の間で揺れる女性ユール役にユリア・イェンチ。
富豪のハーデンベルグ役にブルクハルト・クラウスナー。
ドイツ映画としては11年ぶりにカンヌ映画祭に正式出典され、大喝采を浴びた。

 ヤンと親友ピーターは、夜な夜な豪邸をチェックし、留守中に忍び込んで
家具などをいじってメモを残す。金品は一切盗まない。
“贅沢は終わりだ。エデュケーターズ(教育者)”とメモを残す反体制活動をしていた。
ピーターが旅行に出かけている間に、ピーターの彼女のユールと親しくなったヤンは
ユールの境遇に同情し、ついついエデュケーターズのことを喋ってしまう。
私怨のある豪邸をたまたま見つけたユールは悪ノリして、ヤンを誘って
屋敷に忍び込んでしまう。そこで好き放題鬱憤を晴らすが…。

 ドイツ映画はあんまり観たことないので新鮮でした。ドイツ語。
左翼思想というか、赤軍派というか…日本にも通じるテーマではあると思う。
貧富の差に憤り、表向きは不買運動などをしている3人が事件を起こす。
あの子がケータイ忘れたり、色々と足ひっぱるのでちょっとイライラした。
友情にヒビが入ってしまうのも、痛々しくて観てられない。ピーター哀れ。
顔を知られてしまったことから、金持ちの中年を誘拐してしまうのだが、
ここからどうしても暗い展開になってしまいそうでハラハラした。
オヤジは幸いにも殺されず、アルプスの山々で活き活きし出す。
自分もかつては活動家だった、年をとると保守的になり、思想は変わる。
若者だからこそ、持てる情熱というヤツ。多くの先人達は結局変革できずに終わる。
財産を捨てようと思うとか言い出した辺り、今そこに居るから言える事だと思った。
家に帰ってくれば、その気なんてなくなる。勿論、寄付云々もね。それが人間。
それでも、逃げれる時に逃げずに、飄々と生活に溶け込んで仲良くなった
あのオヤジには、凄く親しみ感じたし、自分が若者の立場だったら
やはり通報を充分承知で、もう釈放する気になってしまうだろうな。
オヤジはオヤジで、心情は違うけど、やはり通報する。これが現実。
オヤジの立場からしたら、そりゃ自分で働いてここまで築いただけなんだから、
金で物買って、収入に見合う暮らしして何が悪いんだ!って思うのも無理ない。

でも、人生の選び方次第で勝ち組負け組になるとかそういう単純なもんでもない。
若者3人は、自分たちが負け組側だから、活動家になったと言い切れなくない。
世界中の皆が豪邸を持って豊かな暮らしが出来るなんてコトは絶対ないわけで。
バランスの為にも、貧富の差は決して無くならない。ユートピアはあくまで理想。
だけど、理想通りとはいかなくても、その理想に近づくことぐらいは可能かな?
映画はちょっと洒落た終わり方で、「
何も変われないか…」と考え込んだ。

 “僕らの”革命ってところが、重要だね。資本主義を否定しているけど、
別に彼らにそれ以上に良くなる解決策があるわけじゃない。
現状に満足してないから反発しているだけの、若さ故の行動だから。
革命には、思想と行動力と、その後の新しい改革案が必要だと思うんだよね。
いつの時代も、若者が反発して、老人たちは保守派に回る。
そのサイクルが少しづつ世界を変えていくと監督は言っている。
でも、最近は革命思想自体が衰えていっている。とも。
こんなこと言ってる私も、金に困ったら偉そうなこと言ってられなくなるのかな。
金持ちになったら、その“人間性”を真っ向から否定してしまっているのかも。
ハレルヤとか音楽もいいテイスト。切なさややりきれなさを倍増させた。
なかなか深いテーマで、山々の自然とかもいい味出してました。結構オススメ。


真夜中のカーボーイ (1969/米) 113分


 ジョン・ボイドとダスティン・ホフマン共演のアメリカン・ニューシネマの1本。
監督はイギリス出身のジョン・シュレシンジャー。
同年のアカデミー賞で作品・監督・脚本賞を受賞。
テキサスの田舎からやってきたジョー(J・ボイド)は女を抱いて金を稼ごうと
都会を夢見てカウボーイスタイルに身を固めニューヨークへ。
そこで現実の厳しさに直面し、女からは金を貰うどころか取られてしまう始末。
金がなくなり途方に暮れたジョーはネズ公と呼ばれる片足の不自由な男に出会う。
金も職も家もない二人は次第に絆を深めていくのだった…。

 結構有名な作品だったけど、今まで縁がなかったもので。
フラッシュバック式で見せられる映像の断片が多く回想や妄想がしつこ気味。
映像だけで何となく理解は出来たけど、ちょっと判りにくいかなぁ。
テンポもあまりよくないけど、後半からは見事に世界に吸い込まれた。
とりあえず、ジョン・ボイドって人は有名らしいけど、私は初見。
どうやらアンジェリーナ・ジョリーの親父さんらしいじゃん。微塵も似てない。
ダスティン・ホフマンはネズ公と呼ばれる哀れな小男を演じるわけだけど
私にはどうしても粋がる田舎っぺジョーよりもネズ公の方が男前だと思っちゃう。
ホフマンは「卒業」から一変、こんな役を演じるとは。凄いの一言。
汚くて小ズルイ、格好悪い役なのに、何故か格好良い。

 
彼の咳き込み具合が酷くなっていき、結末は予想できた。
マイアミに着く前に死んじゃうんだろうな…って。でもその瞬間が来て
ジョーがシャツを買ってあげて、普通に働くよ、って言ってる傍で彼は死ぬ。
何だか無性に悲しくなりつつも、ジョーの淋しい顔がやりきれなかった。
でも、あのハゲのおっさんを何も殺すことはなかったんじゃないか…
ラッツォがジョーを見守りながらマイアミでの日々を想像するのだが
あれが流れるから確実に実現しないんだろな…って思ったよ。
みんな凄く楽しそうで違う映画みたいなカラーだったなぁ。

よく流れるあの曲はどこかでも頻繁に聞いたことあるんだよな…
あの情緒あふれる曲のお陰で映画がかなり引き立ってる。
痛い青春。共感できるけど、その痛みが自分の胸に来てちょっと辛い。
真夜中のカウボーイって夜に馬じゃなくて女に乗る、って意味だったのね。


リボルバー 青い春 (2003/日) 93分


 映画化された『ピンポン』の作者としても有名な松本大洋原作の
短編集「青い春」収録の「リボルバー」を映画化。監督は渡辺武。
主演に玉木宏、守山未
來、佐藤隆太の三人。
退屈に学校生活を送っていた三人が、ふとしたことから一丁の拳銃を入手。
リボルバーに弾は3発。三人は、これを使って何をするのか…

 映画「青い春」が大好きなので、こっちも観てみたんだけど
全然雰囲気や世界観は別物ですね。軽いスペシャルドラマ見た気分。
女とセックスしたくてたまんないオサム(玉木宏)
サッカー部だがイマイチ手ごたえを感じないタツトシ(守山未來)
ひとり生物部の変人コージ(佐藤隆太)
拳銃を持て余していた三人はガンマニアの三田相手に金儲けしようと
拳銃の弾を買いに新宿へ。そこで三人がそれぞれ体験することとは…。

 とりあえず、主演の三人ともあまり好きな役者じゃないんだよね。
守山はセカチューの役で有名になったけど、演技下手だよね。玉木も。
映像の撮り方も、何だか凄く安っぽいなぁ…うーむ。
もっと工夫して改造してくれれば、面白い作品になったと思う。
原作の漫画の三人のキャラ(というか格好が凄い)が、こうなるとは。
物語的には凄く判り易くて先が気になる流れだと思うんだけど
映画で観るとまた、違った印象を受けたね。
あぁ〜ダメだ。これの唯一のインパクトは
大杉漣演じるサラリーマンとタツトシの妙な交流。
漫画にも無いエピソードで、終わり方も無情感溢れてたね。


ロッカーズ ROCKERS (2003/日) 105分




 君は伝説のロッカーズを知っているか?!
博多のアマチュアバンド“ロッカーズ”。メンバーは、
勝気なボーカルのジン(中村俊介)、惚れっぽいドラムのモモちゃん(岡田義徳)、
脳バカなベースのガクちゃん(佐藤隆太)、ナヨいギターのコーちゃん(塚本高史)、
というバラエティーに富んだ4人。ある日、自分たちのロックに
限界を感じたジンは新メンバーを募集。そして抜群のギター・テクニックを持つ
タニ(玉木宏)の加入が刺激となった彼らは、真剣にプロを目指し始める。

 上原美佐、白竜、大杉蓮、はなわ他、
豪華ゲスト出演に風間トオル、小泉今日子、佐藤浩市、
鈴木京香、中井貴一、松重豊、モト冬樹、八嶋智人。
本作で監督・原案を務めたのは陣内孝則。そう、これは彼の自伝が元なのだ。

 青臭いドラマだ…筋は単純で熱い青春ドラマです。
役者が好きなら楽しめるでしょう。そして当時のロックに身を投じた人たちなら。
中村俊介は若干無理して突っ張った演技していう風だったな〜
最初は博多弁で何言ってるのかよく分かんなかった。喋るの早いし。
THE3名様がそのまま一緒のバンドだからね〜イイ脇でした。
今回、一番輝いてたのは…やっぱり玉木宏でしょうか。カッコええんです。
まずね、スタイルが格好良かった。一匹狼的空気も好きだけど。
上原美佐の使い方も良かった。恋愛漫画じゃ王道ベタ展開だけど、爽快。
タニがイイトコ全部持ってく映画なんだけど、ライバルのバンドもなかなか。
玉山鉄二がキザったらしいちょっとビジュ入ったバンドボーカルなんだけど
そのムカつき具合が良かった。悦に入った歌い方も入り込んでるね〜

 肝心の歌の方も、歌詞はともかく、曲はノリノリロックで、
今とは何か違う雰囲気も出てた。音楽のことは詳しく語れないけども。
しかしジンの頭は当時としてもちょっと浮いてそうな気する。
タニの髪型とか、当時あったのか?時代流行はごっちゃだと思う。
自伝が元だけど、やっぱあんな美談じゃなかったんだろな。
バンドが解散したのだって、メンバーの仲たがいとかあったろうし。
ラストに“タニに捧ぐ”とあるんだけど、劇中タニは何割美化されてんだろ。

1980年に活躍してたらしい。知ってる人はどう観るのだろう?
映画公開当時、陣内孝則も出演してるものと思い込んでたら出てないや。
ブツブツ何言ってるのか判んない静な邦画よりも勢いあって好き。
元気が出る映画系。ラストはちょっとしんみりしちゃうけど。




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