管理人NEROが映画について語ります。

Caramel Cinema


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ミート・ザ・ペアレンツ (2000/米) 108分


 『オースティン・パワーズ』シリーズで知られるジェイ・ローチ監督作品。
製作総指揮スティーブン・スピルバーグ。
愛する彼女との結婚を彼女の父親に認めてもらうために、
彼女の妹の結婚式の機会に彼女の実家に訪れるグレッグだったが、
その父親が元CIAの頑固者で、度重なる不運にも見舞われ、
二人の仲はどんどん危うくなっていく…
主演は『メリーに首ったけ』のベン・ステイラー、ロバート・デ・ニーロ。
テリー・ポロ、ブライス・ダナー(グウィネスの母)、オーウェン・ウィルソン等。

 全米大ヒット・コメディで、続編にダスティン・ホフマンが出るというので
1を拝見しておこうかと思いました。デニーロ嫌いだったけど、良かった。
オースティン系に比べて随分、現実的な設定で笑わせてもらいました。
爆笑系っていうより、「うわぁ〜、あちゃ〜、えぇ〜」って感じで。
緊張しまくってドンドン印象を悪くしていってしまうんですが、
ベン・ステイラーはこういう可哀想な人がよく似合うねぇ。
猫嫌いなんですか…なのに何で猫に懐かれちゃうんでしょう。
全体的にそれ程インパクトのある映画じゃなくて、何かほのぼのしてた。
彼女ももうちょっと仲を取り持ってあげろよ、とか思ったけど、
後半辺りはもうグレッグの自爆で自業自得な感じがした。

 
骨壷壊しちゃったり、嘘付いちゃったり、誤解されちゃったり、
花嫁に青アザ作っちゃったり、燃やしちゃったり、散々な事があって、
ラストは何か娘が言うから急に無理矢理仲直りしちゃった風で納得いかない。
私が親父の立場だったら、あのくらいで水に流すなんて無理無理。

でも、あのラストのワンシーンと続編がある、ってことで許しちゃうよ。
デニーロは製作にも関わってるんですな。楽しそうに演じてた。
車の中で、猫だの犬だの、この音楽は〜とか、慣れない相手に
お互いに気を遣いつつも空気読めてない感じがなんかナチュラルだった。
元・婚約者の家があんな豪邸だったら、かぁなぁり落ち込むんですけど…
航空会社にあんな目に遭わされたんだもの、荷物預けない姿勢は最も。
あの暴言にビックラこく添乗員が泣き出してくれないかなーなんて思ったけど、
アメリカ女性は日本の女性よりもああいう暴言聞き慣れていそうだね。

フォッカーって苗字のきわどさが、今後の展開でも使われそうだ。
ホフマンが彼の親父として続編登場!楽しみだなぁ。


ミート・ザ・ペアレンツ2 (2004/米) 115分


 恋人の親父がデニーロだったら?!全米で大ヒットした爆笑コメディの続編。
今回はデ・ニーロに加えてベン・スティラー演じる主人公の両親役で大物俳優、
ダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライサンドも登場!!

 恋人パムの父親ジャックから苦難の末にようやく結婚の承諾を得たグレッグ。
だが喜びも束の間、結婚を目前にしたグレッグに新たな試練が待ち受ける。
それはジャックに自分の両親を引き合わせること。
グレッグは元CIAで超堅物のジャックに、父は弁護士、母は医者と説明していた。
しかし実際は、父バーニーは息子の誕生を機に休業して専業主夫となっており、
一方の母ロズは医者とは言っても高齢者向けの性生活カウンセラー。
おまけに2人ともあまりに開放的すぎる変わり者で、
堅物のジャックとは何もかもが対照的なのだった。
グレッグは、この最後にして最大の難関を無事乗り切ることができるのか?

 うわぁ〜!待ってました!借りてきたDVDを即プレイヤーに入れたよ。
相変わらず相性最悪なグレッグとジャック。トラブル災難続き。
ダスティン・ホフマンはあんまり映画には出ないからコメディは貴重です。
小麦色の肌、あの陽気さ、今の彼でも十二分に惚れまくっちゃいます。
もうね、デニーロを役でも演技でも食っちゃってるホフマンが。
いいじゃ〜ん、あんな開放的でフレンドリーな両親。
ナンバーワン派、オンリーワン派、色んな主義主張で対立をあらわにしていく。
でもフォッカー両親vsジャックって感じで。ジャックの奥さんはもうあきれてるだけ。
今回は前回に出てきたパムのお姉さんの子供が何故かひっついてきて
余計に事がこんがらがる、こんがらがる…変なアイテムも登場。
メイキングシーンでデニーロもホフマンもおちゃらけて笑い放題。
そう、演じてる側が楽しいのは、観てるこっちも伝わってきます。
私は勿論、1作目よりも2作目のハチャメチャ感が大好きですね。
3作目はあるのか?もう困難はないと思うが…孫の取り合いとか??


ミーン・ガールズ (2004/米) 97分




 米国ティーンアイドルのリンジー・ローハン主演の学園コメディ。
共演に『君に読む物語』でブレイクしたレイチェル・マクアダムス。悪女役を好演。
監督は『フォーチュン・クッキー』でもリンジーと組んだマーク・S・ウォーターズ。
脚本のティナ・フェイはSNLの構成作家でもあり、本作にも役者としても参加。
 両親の仕事の都合でアフリカで生活し通信教育を受けていたケイディは
16歳になって初めて、アメリカのハイスクールに通うことになった。
最初は溶け込めずに周りから浮いてしまったケイディだったが、
変わり者2人と仲良くなり、学園の派閥関係や暗黙のルールを教えてもらう。
学園内でひときわ輝き、皆の目を惹く存在であるプラスックスの女3人組。
偶然にも誘われたケイディは面白半分で彼女たちのグループに入る。
最初は密偵気分でいたものの、徐々に感化され、ケイディも変わっていく…

 ミーンとは、意地悪の意。普通のラブコメよりも一線を越えてた気がする。
何故だか、共感できるものも多く、考えさせられるテーマだったし
米国のラブコメはまだまだ進化を続けそうだなと感心してしまった。
まぁ今回はラブコメ風味ではあるものの、男の存在は薄い。
女の子の生態、女の子の性格、女の子の心理をついている。
どこの学校にも何故か、スター性を持つリーダー格の女性たちはいた。
満ちる自信から、ファッションや仕草、喋り方を皆が真似する。
人気者なんだけど、それと同時に陰で嫌われ放題でもある存在。
毒気を知らなかった主人公が復讐作戦を進めていく。
でも、やっぱり直接彼女たちに嫌われたくはなかったり、心中複雑。

 
悪口を言うのは自分に自信がないから。
人を悪く言ったって自分が綺麗になるわけじゃない。
自分や周りで相手の存在を汚して、一時的に満足するだけ。
でも毒はどんどん自分の内を汚していく。誰しも経験あると思う。
映画の中で、さりげにケイディが他の人の長所を褒めたりするんだけど、
演技とは知りつつも褒められた人のパッと咲く笑顔が印象的だった。
褒められると自信がつく。自信は、本来の自分を更に高めてくれる。
…とまぁ深読みもしてみたり。DVDの映像特典でも色々と勉強になったわ。
何かよくよく考えれば、あれくらいで全部チャラ?って思えなくもない。
結構酷いことしてたよな。ケイディ。未公開シーンでレジーナと仲直り…


 リンジーが最初はレジーナ役だったらしい。でもリンジー、
「この役をやってて、観た人に“これが地だ”って嫌われたくない」って…
そういうこと言う方がイメージダウンな気がするよ。悪役もやろうよ。
でもリンジーは今までもそうだったように、美人役は似合わない。
美人じゃなくて、あくまで可愛い系。普通の女の子役が一番合うかもね。
レイチェルはこれからも有望そうだね。悪女も難なくこなせる。
女教師役としても出演したティナ・フェイは美人さんだったなぁ…
他にもSNL出身のコメディアンがちょこちょこ出演してるらしい。
食堂のチーム分けとか、私もやっぱり変人テーブルかなぁw
カマっ気あるでかい彼がステージでアギのビューティフル唄ってましたわ。
軽い気持ちで観たけど、結構良作です。女の子にオススメ。


Mr.&Mrs. スミス (2005/米) 118分





 プライベートもアチチなブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの2大スター共演。
監督は『ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマン。
お互いの素性を隠したまま出逢い、結婚したスミス夫妻。
実は二人とも、暗殺組織に所属する殺し屋。そんな二人の依頼がダブルブッキング、
互いに真実を知り、正体を知ってしまった以上、生かしてはおけない。
たちまち夫婦仲は最悪な状況に…お互いに、相手を始末しなければ消される!

 無難、これに尽きるね。別に悪くはないんだけど、格別良いわけじゃない。
二人のファンだから、まぁ楽しく見れるだろうと思っていたんだけど、あれれ?
これといって、宣伝で見た以上に目を見張るシーンも展開もない。
どうにも自分的には微妙な作品と言わざるを得ない。
何かスパイ系アクションではもう見慣れたものばかり詰め合わせた感じ。
お互い家の自分のテリトリーに武器を隠し持ってて、ハイテク完備なのは笑えた。
そしてお互い、何故か男ばかりの、女ばかりの暗殺組織?みたいな見せ方。
家の中で殴り合い、部屋中ボロボロにしまくって結論出して、
そこから先はもうダラダラ。読める展開だし、なんだかなぁ。
二人は楽しんでやってるんだろうし、映画的にもスピーディーな流れ。
…の、はずなんだけど、もうお腹いっぱいなんだよね。観てるこっちとしては。
ラスト近くのスローモーションの銃撃戦とか、もうお遊戯みたいだった。
あの小屋ごとロケットランチャーぶっ放せば組織側が勝ったのにな。

二人による、二人のためだけの映画なんだなって急に萎えた。
黒と白を強調した服や家、家具とかは凄いお洒落感が漂ってたな。
どこかの映画評サイトに、『スパイキッズの冒頭で見せた展開を、わざわざ
2時間かけて映画に伸ばした』みたいなこと書いてあって、成る程と納得。

ちなみにブラッド・ピットは、最初は二コール・キッドマンと共演と聞いて
オファーを受けるのをしぶっていたようだが、アンジーが出ることになって
急にやる気満々になったんだとか…
ブラピ、坊主頭だとますます猿顔が強調されてしまうなぁ。
ジェニファーと結婚した時は何とも感じなかったのに、
アンジーと恋仲になってから急にブラピに興味喪失。
別にアンジーも大好きだから、そういう理由じゃないんだけど、何なんだろう。
ただ、ジャケットの二人が白バックに居るショットはたまらなく良い。


Mr.インクレディブル (2004/米) 115分






 「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファイディング・ニモ」など
数々のメガ・ヒット作を世に送り出してきたピクサー&ディズニー共同による
長編フルCGアニメの第6弾。
ピクサー初の人間キャラクターを主人公に据え、
引退したスーパー・ヒーローとその愛する家族が世界の命運をかけて
勇敢に戦う姿をユーモラスかつハートフルに描く。
監督は「アイアン・ジャイアント」のブラッド・バード。

 かつては世界の危機をいくつも救ってきたスーパー・ヒーローたちだったが、
15年前にその桁外れの破壊力で街が被害を蒙ると問題視されて以来、
スーパー・ヒーローとして活動することを禁じられていた。
いまでは正体を隠し一般市民として暮らし、その大きな身体と特殊能力を
持て余し気味のMr.インクレディブルもそんな元スーパー・ヒーローの一人。
そして彼の愛する妻と3人の子どももスーパー・パワーの持ち主。
彼らは普通の生活を送りながらも、それぞれに不満や悩みを抱えていた。
職場に馴染めず、解雇を言い渡されたインクレディブルは
謎の美女から依頼を受け、高額の報酬とヒーロー復帰を目当てに
家族には出張と偽って謎の島へ向かうことに…

 最初イラスト見た印象…何このキャラ。凄い受け付けない。
上半身が異様にでかくて、正にムキムキの典型アメリカンヒーロー。
ヒーローにまつわるネタもあって、ヒーロー好きには良いんだろうな。
最初の方はヒーローたちの華々しい活躍の数々が見れる。
フロゾン観た時、シャーマンキングのホロホロ思い出したな。
まさに王道な展開で観るにも「んで、こーなるんでしょ」って感じ。
家族愛と夫婦愛は見事だけど、私的に悪役にも救いをあげて欲しかった。

 吹き替えで鑑賞。インクレディブル夫人役の黒木瞳がいい味出してた。
家族それぞれ違う能力を持ってて、それを活用して戦うのは面白い。
フロゾンやヴァイオレットの能力は「X-MEN」シリーズみたいだった。
しかし、『ファンタスティック・フォー』のキャラが原型らしいですね。
お父さんは怪力、息子は脚力と結構単純だなぁ。
普通にヒーローだから簡単に空も飛んじゃうんだろうなと思ったら
そこらへんは普通の人間と同じだったのがミソね。
ヴァイオレットは透明とシールドもあって、便利そうだなぁ。
ヘレンの軟体能力は度が過ぎてて…すご。
バーバ・パパとか、あそこらへんの種族なんじゃないかしら(笑)

 単純明快で伝わり易いメッセージとCG技術。
まさに同時期上映の「ハウルの動く城」と対極を成すような魅力の違いだ。
そういえば、思ったより笑えるシーンが少なかったな。
戦い、戦い、これまた戦い…って印象が強かったです。
ミラージュとシンドロームってどういう関係だったんだろう?
彼女がいきなりああなったのもちょっと不思議。
そしてラストの大円団を迎えるまで展開が急過ぎて驚いた。
てっきり
宮迫がリベンジする次回作があるのかと思ったよ。


ミスティック・リバー (2003/米) 138分


 クリントン・イーストウッド監督作品。
アカデミー賞作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞などなど…
かなーり高評価だったんで気になってたんだよね。
 幼なじみの3人が大人になって再会する…
一人は娘を殺された男、一人はその事件を追う刑事、そして一人は容疑者…
それぞれショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンスといった名優揃い。
ローレンス・フィッシュバーン(マトリックスのモーフィアス)や他にも目立つ顔が。

 一言で片付けてしまうなら、とても暗い映画。救いがない。
でも、それに不快感を感じることで成功したといえる。
もし愛する人が罪を犯したら、それを知って黙認する?
そうすることで幸せで平和な家庭が続いていくのなら…と。
ほとんどの人間は正義や大義名分よりも
自分の身近な幸せを守ることの方が大事なんだよな

 何とも表し難いものなんだけどね…
人はある種、青春時代を振り返って
「あの時、ああなったのが自分じゃなくてあいつだったら」
なんてどうしようもない思いに駆られたりするんだろうな…
ラスト近くになってあのシーンと現在の姿がリンクする場面では息を呑んだ。
あの3人の家族たちの将来を想像するとたまらなく切ないし悲しい
とても理不尽な決着を見たけれど妙にリアルでもあり、
そんな状況を映画というフィクションで見せられて
自分を当てはめて投影したりして色んな見方が出来ると思う。
 こういう種の映画は良い意味で好き嫌い分かれるね。
でも一見の価値はあると思うから、是非お勧めしたい。
宣伝文句の「もうひとつのスタンド・バイミー」というには程遠いと思う。
どちらかと言えば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や
イメージ的には「スリーパーズ」みたいな感じでした。



ミスト (2007/米) 125分


 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』の名コンビ
スティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督作品。
嵐の翌日、妻を家に残しスーパーへ買出しに出かけたデヴィットとその息子。
店には他の住民たちと、軍人もいた。何かいつもよりも様子がおかしい。
サイレンが鳴り、突如として深い霧が立ち込め、店から動けなくなる一行。
霧の中には得体の知れない化け物が人間を襲っているという…

 劇場鑑賞してきました大作扱いかと思いきや、上映館数少なめ。
古典的なホラー。原作も20年以上前の中編ホラー小説もの。
何処かで観たことあるような設定、展開、化け物の造型。
だけど古典なだけに、昔から変わらない人の悪しき本質や
良い方向にと思いながらも裏目に出る選択、皮肉教訓がありました。
密室で人間たちが疑心暗鬼に陥り、自滅していく様が好みでした。
イライラするんですけど、集団ヒステリーって本当に恐ろしいものです。
店奥のボイラー室で主人公が何かにぶつかりまくって
ファック、シットだの色んな罵り言葉叫んでるシーンに何気に笑い、
怪物がシャッターの隙間から出てきた時、「皆で引っ張れ!」と指示しますが
その人助ける人も要るけど、最初からシャッター閉じるの優先すれば…?と。

タコ足CGが出てきた時は急に安っぽさ漂って心配しましたが、
全体的になかなか霧も怪物たちも世界観もクオリティ高くなってた気がします。
大卒だ中卒だの学歴格差社会を匂わせる罵りあいもありましたね。
夜中に虫がガラスに寄ってきたシーンで誰しも思ったこと。
やばい予感がした所で早々に灯り消しておけよ〜!と。
人を飲み込む高波が来る直前の水が引いてく海岸でついつい見とれてか
呆気にとられてか、動けなくなってしまうことってあるみたいですけどね。
虫に咬まれて有得ない位腫れて死亡のシーンではこの間見た

「クローバー・フィールド」を思い出しましたね。時期的に被っちゃいましたね。

 トマス・ジェーン主演。パニッシャーは霧にどう立ち向かうのか?
神様マンセーのおばさん、どこかで観たことあると思ったら
「ジョー・ブラックをよろしく」のお姉さんだったのか。
トイレで瞑想してるシーンから見事に純悪人の道を突っ走りましたね。
アメリカはキリスト教が主に浸透してますが、映画では悪い影響に
例えられることもしばしば。盲信の危険性が皆分かっているのだろうか。
こういう所で日本人だったら、静かに、せめて1週間は何事もなく
食料も分け合って大人しく救助を待っている気がしないでもない。国民性。
一見パッとしないスーパー店員の太っちょオリーさん、凄い活躍でしたね。
銃を使っての見せ場、見た目に反する頼りがいのある意外性が良かった。
普通は真っ先にやられてそうな、最初に命からがら逃げてきたじいさんと
やられそうになったらスプレーシュー!のおばあさんもいい味出してました。
薬局に薬を取りに行って結果余計に犠牲が出て事態が悪化するのは
分かっていつつも、その優しさと勇気には感心しました。
「許してくれ…」と言ってた黒人さんが弁護士とかぶってややこしかったが。
軍人2人が先に首吊って、残された彼が血祭りになるシーンはえぐかった。
「いずれ子供を生贄にとか言い出すぞ」と言ってたら、ホントにそういう展開。
それ観たことかー!と。皆を先導して軍人を殺した時は多少動揺していた女も
次の朝にはクレイジーさに拍車がかかり、観客の怒りもマックスに。
そこでまた美味しい所を持ってくオリーさんであった。

 あの最終的に車に乗り込んだメンバー5人、
無事に助かったなら家族になればいいのに、なんてチラッと思いましたよ。
スーパーに逃げ帰った店長と共に、取り残された人々が見つめる車。
何故か荘厳な空気で、まるで箱舟みたいな演出になってましたね。
でも悲しい哉、家に残した妻の死を確認し、真っ白な死に包まれた街を見て、
巨大な生き物も見て、人間世界の滅亡を悟り、最後の最後で止まれなかった。
皆を苦しませずに逝かせようと、自分は怪物に嬲り殺されることを選ぶ。
しかし近付いてきた音は、軍隊。しかも自分たちが通った道からの。
助け出された者達のなかには最初にスーパーを後にした女性も。
この二重落ちと、デヴィットの激しい慟哭。凄まじい鬱エンドです。
映画鑑賞に慣れた人なら息子が「僕を怪物に殺させないで」の伏線から
薄々どうなるかは分かっちゃいますけどね。もっと良い台詞はなかったのか。
冒頭に出ていって助かった女性も、誰も自分についてきてくれないからって
「皆地獄に落ちやがれ!」なんて捨て台詞吐いて出ていくもんだから、
ラストに助かってるのを観ても全然嬉しくない。凄い皮肉にはなったけど。
むしろ、なんであんなに最善を尽くそうとした彼らじゃなく…なんて。


 最初は73点くらいかなーと思いましたが、これだけ語れる要素満載なので
今思い返してみるとなかなか…私的採点は82点くらいにしようかな。
鑑賞前は、霧の正体は醜い人間の心が生み出した…な展開と予想。
原作には「霧よりも恐ろしいものは人の心だ」的な台詞があったそうですが。
私も長野の霧ヶ峰を車で登ったことありますが、霧に包まれると
真っ暗な闇とは違う不気味さがあって怖いんですよ。真っ白な闇ですよ。
「サイレントヒル」でも思いましたが、濃い霧に包まれていると
本当の意味での“絶望”を感じる気がしてきます。
ホラー映画にしては上映時間が長めです。ラストの展開は原作と違い、
原作者キングは「この結末があったか!ブラボー!」と大絶賛だそうです。


道 (1954/伊) 115分










 イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの最高傑作とも名高い名作。
「その男ゾルバ」「ナバロンの要塞」のアンソニー・クイン、
フェリー二監督の妻でもあるジュリエッタ・マシーナ主演。
フェリーニ作品の常連ニーノ・ロータの音楽も物語に深みを与えている。
レンタルコーナーではどのジャンルに置かれているか知らないが、
ヒューマンドラマの類になるか?私的にはロードムービーだと解釈します。
大道芸人ザンパノに買われた白痴の女ジェルソミーナ。
芸を仕込まれ、嫌々旅に同行していたジェルソミーナだったが…

 戦後初めて入ってきたイタリア映画だそうです。
この映画が封切られた時、「道って何だ?」と人々は興味津々で列をなしたとか。
DVD特典で故・淀川長治さんが「大好きな映画です」と喜々として語ってました。
ジェルソミーナが白痴女と言われて初めて気づきました。抜けてる自分(汗)
それまでは、単に天然でドジで、世間知らずな女なのかと思って観てた。
何かイメージ的にはあったかい感動系かと思ってたんですけどね。
「自転車泥棒」「ひまわり」「ソドムの市」などのイタリア映画ですからね。
もう私的にイタリア映画=
いろいろあって最終的には報われないイメージ。
最初に
ザンパノが女と消えて、酔い潰れてるシーンで、てっきり
これで彼女は逃げ出し、故郷に帰るまでを描くから「道」なのかと思ってしまった。
天性の芸人の才を持っていて、そのうちザンパノを凌ぐ人気が出るのかな?
自分の妹がどうして死んだのか後々、分かってしまうのかな?
あの天使の羽つけた男に付いていって楽しく巡業するのかな?
ザンパノの人間性を見出し、二人寄り添って生きていくのかな?

物語を追っていくにつれ期待は外れ、厳しい事態ばかり彼女を襲う。
最初の方のシーンで、モノクロ画面の風景の中に、
「Esso」の看板があったので驚いた。そんなに歴史のあるガソスタだったのか!
ジェルソミーナが売られた金額は今の時代に換算すると5千円位の価値らしい。

 
「落ちてるタダの石ころすら、何かの役に立つ。お前だってそうだ。
この石に意味がないのだとしたら、この世のすべてのものは意味がない。」
ずっと忘れていたシンプルなテーマをズバリ言われてドキッとしました。
観ている方ではザンパノを見限るのが正解だ!当然だ!と思うのですが、
結局の所、あの芸人の男に諭されて、ザンパノと行くことを選ぶ。
望むならサーカス一座にだって置いてもらえた。
それでも、逃げた自分を追いかけてきたザンパノに着いて行く。
彼には私が必要だ、そう思えたから。たとえ自分が報われなくとも。

今の世のDV夫と離れられない女の心理と同じかもしれない。
DV夫も、後から絶対に追いかけて、謝って、お前が必要だと言うからね。
でも後悔しても反省しないから、そのままループしてしまうんだけどさ。
まぁザンパノは追いかけても自分が悪かったとは言わないが、
それでも警察署から出た時、彼女が待ってたのは意外で、嬉しかったのだろう。
ザンパノと旅を再会して、教会で泊めてもらうシーンも印象的。
「私は神様と巡業してるようなものね」シスターの話。
好意で泊めてもらえたのに、盗みを働こうとするザンパノ。
ジェルソミーナは彼に更正してもらいたいのだが、いつも止められない。
旅立つ時にシスターが彼女に教会に残りたいのか聞くのだが、
あの寂しげな顔は、あそこに留まりたいと思ってしまったのか、
はたまたその後、ザンパノが盗んでいて、それに対する後ろめたさなのか。
その後、彼女を救った男と遭遇し、ザンパノは彼を誤って殺してしまう。
それから全てが狂いだし、ジェルソミーナの心は壊れた。
自分なりに尽くすザンパノだったが、遂には投げ出し、彼女を置いて去る。
数年後、独りで相変わらずの力芸で食いつないでいたザンパノは
懐かしい彼女がラッパで吹いていた曲を耳にする。
そして、彼女が死んだことを知り、彼女の死んだ海で号泣する。
自分の欲求に何よりも正直で、粗野で野蛮で単細胞なザンパノだったが、
愛を知らなかった彼は、その時初めてその感情を理解したのか?
それとも、自分のしてきたことへの深い罪悪感が押し寄せたのか?
救いがない…けれど、ある意味ではジェルソミーナの
存在意義をザンパノの心の中で証明する良い終わりだったのか。
とにかく終わった後の衝撃に驚きましたね。心にズシンときました。

流石は映画史の中に輝く名作の一本ですね。
フェリーニ監督の映画は他に知らないんですが、「世にも怪奇な物語」という
ホラー・オムニバスで「悪魔の首飾り」は観たことあって、雰囲気が不気味で、
この印象からか、ホラー系の映画監督かなと思っていました。
モノクロで古い作品ですから、とっつきにくそうなイメージだけど、
この存在感は素晴らしいですね。二度観たいと思えるかどうかは別ですが、
一度観ただけでも印象深いシーンが多く、最終的には
二人の末路が
薄々判りながらも、そうなって欲しくない
と願う自分がいて、
それだけ物語に入り込めました。生涯忘れない作品のひとつになりそうです。


ミニミニ大作戦 (2003/米) 111分




 金塊を巡って激しいカーチェイスが繰り広げられるクライム・アクション。
マイケル・ケイン主演の69年製作の同名作品をリメイク。
マーク・ウォールバーグ(ティム・バートンの猿の惑星の猿顔主役)、
エドワード・ノートン(ファイト・クラブなどに出演する悪役もこなす怪しい顔)、
シャーリーズ・セロン(同年に「モンスター」もこなしてアカデミー受賞)、
ジェイソン・ステイサム(「トランス・ポーター」シリーズの主役など)
セス・グリーン(オースティン・パワーズのDr.イーブルの息子スコット君)
ちょい出演でドナルド・サザーランドなどなど、豪華キャストでリメイク。
監督は「交渉人」のF・ゲイリー・グレイ。

 イタリア・ベニス。天才的な知性を持つ窃盗のプロ、チャーリーは、
最新型金庫に厳重保管されている50億円相当の金塊を強奪する計画を立て、
その道のプロフェッショナルたちを集め、見事仕事は大成功。
だが、仲間の一人スティーヴの裏切りで、金塊のみならず
チャーリーが父のように慕っていたジョンの命まで奪われてしまった。
1年後、チャーリーたちは、ジョンの娘で錠前屋のステラを新たな仲間に加え、
スティーヴに奪われた金塊の再奪取を計画する。

 カーアクションものには全然興味がなく、これも眼中になかったけど
セス・グリーン見たさにレンタル鑑賞。予想外に面白くてワクワクした。
3色のミニ・クーパーが活躍してるの観てると欲しくなってきちゃうね。
単純に車が走って大金が動くだけじゃなく、私怨も混じるのが自分好み。
「オーシャンズ11」なんかはその筋のプロを何人も絡ませてたけど、
この映画では6人。これくらいが丁度良い。キャラも覚え易い。
セス演じた機械専門ライル君がチビで可愛かったね(笑)
ハンサム・ロブとか痩せのピート、アダ名が面白い。
エドワード・ノートン、私はいつも映画で見かける時は判らなくて
後から「あれがエドワード・ノートンだったのか」と自覚する。
シャーリーズ・セロンのお色気大作戦は不発に終わったものの、
レストランで対峙するシーンはゾクゾクしたな。仲間思いのいい奴等。
軽いノリで突っ走ってきたのに、最後にスティーヴが殺されるのが
どうかって意見をどっかで見たけど、彼は最初にあんな形で人を殺し
仲間を裏切ったんだから当然の報いさ〜ワリと単純な悪でしたね。
ベニスでの仕事でスティーヴの専門分野は何だったんだろう?
仲間に引き入れる必要性もあったんだろうか?後から沸いた疑問。

窃盗計画って精密に計算されてアレコレ準備もして臨むものだから、
実行前の必要経費ってやつもかなりかかるんだろうな、なんて思った。
メンバーがそれぞれ得意分野で活躍して計画が進み、金塊奪取!
面白い技を使う以外には意外性は少ないものの、
爽快で鮮やかで見ていて楽しい。娯楽性の強いいい作品ですね。


壬生義士伝 (2002/日) 137分


 主演、中井貴一と佐藤浩市。
久々の新撰組の映画だったので、レンタルしてきて拝見。

 浅田次郎原作の同名小説を映画化。
幕末の時代を駆け抜けた、無名の新撰組隊士吉村貫一郎を主人公に描く。
新撰組隊士募集に現れた、みすぼらしい姿で田舎者丸出しの吉村だったが
剣の腕前はピカいち。持ち前の人柄でほどよく人気者になる。
隊士の中で、そんな吉村を忌み嫌っていた3番隊組長斉藤一だったが…

 中井の田舎者っぽい演技はなんだか癖になるなぁ。
「おもさげねぇ」(申し訳ない、という意味)なんて耳に残る…
彼は一介の一隊士なんだけど、剣の腕はすこぶるよく、
家族に仕送りがあるので金にがめつい。
おいおい、そんなことして怒られるだろ〜って微妙な空気に
笑って帰す隊士たちがほほえましい。

 新撰組の近藤、土方、沖田の三人がいつも雑談してる時に
餅焼いたりすき焼き食ってたり、のんびりしてるのが笑った。
佐藤浩市はなんとあの斎藤一ですよ…イメージが全然違うんだけど。
そして隊内に気に入らない奴がいたら、影で斬殺するという…
んな勝手な…((;゚Д゚)))ガクガクブルブル すっごいぶっきらぼう。

 そしていつもニコニコしてる隊士は…いわずとしれた沖田総司ですよ。
このイメージはどの映画やドラマでも変わらないよねぇ。
なんで笑いながら人を斬る天才美男剣士のイメージなんだろ。
…あと土方と永倉のキャラがかぶる

 こんな調子で新撰組での暮らしを観ているだけでも見応えあったんだけど、
ところどころ、人の過去や人間模様も見え隠れし始め…
最後はなんだか脱線しちゃったような(゚A゚;)
 有名な役者も多数出ております。中谷美紀、三宅裕司、
…あと名前は浮かばないんだけど「あぁこの人ね」って人が。
冒頭の部分では目を疑ったよ。最初は明治だったのねん。
でも、なぁ〜んか明治って感じが抜けてるような…昭和みたいだった。
ラストはパワーダウンしちゃったけど、音楽は豪華だし、
時代としてのつくりや要所要所は丁寧に作ってあったので安心して見れました。
戦うシーン終わって、何でそうなるわけ?!って思ったけど。
切腹のシーンが一番好きかもしれない…長いけど。


mute ミュート (2001/米) 75分


 監督・製作・脚本、J・T・ぺティ(新人監督だろう)、主要キャストは無名役者揃い。
制作費も激安らしい。宣伝文句「デスペラード以降、最も低予算で効果的な映画」
とあって、音やセリフがほとんどない新趣向な作品らしいので、レンタルしてみた。
隠れた傑作を見つけようと思ったわけですよ。ハイ、だ〜ま〜さ〜れ〜た〜!

 ストーリーは、森に住む一人暮らしの老人が、ある朝、愛猫がいなくなって
猫を探しに森に入っていったら、見知らぬ男と女の子を見かけた。
どうやら、死んだ犬の屍骸を埋めに来たようだった。それからしばらく、森を歩くと
あの二人をまた見かけた。しかしその時、男は女の子の首を絞めていた…。
何も出来ずに遠くから凝視していた老人は、女の子が崩れ落ちた時に
男がこちらを振り返るや否や、急いでその場から逃げ出した。
警察に通報し、森に捜索隊が入るものの、女の子の遺体は見つからなかった。
その日から、老人は殺された女の子の夢にうなされるようになる。

 平凡な内容でも、描写の仕方によってそれは新たな魅力を持つ。
しかし、これはその域を出ていないし、製作者の自己満がかなり出てると思った。
じいさん、コンロの火を止めてよ…気になって仕方ないじゃないか。
窓のお菓子がドンドン減っていくのは何の暗示?別に関係ないんだよね?
最終的には女の子が呪われた子とか変な展開になっていって、
トイレのシーンでは絶叫が長くてうるさくて…あと、首が諤々する映像?あれ観ると
音楽PVの印象が強いせいか、全然恐怖な映像に思えない。シーン長いし。
そして、猫を殺しちゃうのがもっと納得いかない。愛らしい猫なのに。
「お前のせいでこんなことに巻き込まれた」って感情?でも酷くない?猫…

薬指のリングから、老人は妻がいたんだろうな。あんな淋しい場所でも
気ままに一人暮らししてます空気はチョット好きではある。
しかしホラー映画にしてはあまりにお粗末。手は出さない方が賢明です。


ミュンヘン (2005/米) 164分










 「シンドラーのリスト」のスティーヴン・スピルバーグ監督が、
1972年ミュンヘン・オリンピックで起きたパレスチナのゲリラによる
イスラエル選手殺害事件とその後のイスラエル暗殺部隊による報復の過程を
リアルかつ緊迫感のあるタッチで描いた衝撃の問題作。
原作は、暗殺部隊の元メンバーの告白を基にしたノンフィクション
『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』の本。
主演は「ハルク」「トロイ」のエリック・バナ。

 1972年9月5日未明、ミュンヘン・オリンピック開催中、
武装したパレスチナのテロリスト集団“黒い九月”がイスラエルの選手村を襲撃、
最終的にイスラエル選手団の11名が犠牲となる悲劇が起きた。
イスラエル政府は犠牲者数と同じ11名のパレスチナ幹部の暗殺を決定、
諜報機関“モサド”の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する。
チームのリーダーに抜擢されたアヴナーは祖国と愛する家族のため、
車輌のスペシャリスト、スティーヴ、後処理専門のカール、爆弾製造のロバート、
文書偽造を務めるハンスの4人の仲間と共に、報復作戦を開始する。

 スピルバーグがユダヤ系ということもあり、「シンドラーのリスト」では
ヒットラーが築いたドイツ帝国から迫害され、逃げ延びたユダヤ人たち…
その後、彼らの一部は祖国を求めてユダヤ教徒の約束の地、パレスチナへ行く。
国連はそれを認めたが、パレスチナには異なる宗派のアラブ人が住んでいる。
彼らがユダヤ人の建国を認めるわけはなく、長い長い紛争が始まった。
果てしない攻防戦、限りなく破壊される街、無差別なテロ…
ユダヤ人はやっと手に入れた祖国を守る為に、
アラブ人は侵略者のユダヤ人を追い出す為に戦い続ける。
私が知っている知識はだいたいこんな所です…。
手塚治虫の「アドルフに告ぐ」という漫画から得た知識なので、お恥ずかしながら。

 誰もが真っ向から主張するのが難しいデリケートな問題に
スピルバーグがそこに突っ込み、題材にし、映画化した社会派な作品です。
安易な考えは述べられない、何ていうか感想に困る重い映画でした。
宣伝の印象とは大分違い、泣けるとかそういう次元のモノではありません。
「シンドラーのリスト」までとはいきませんが、残酷描写が多く、
それがリアル過ぎて本当に撃たれているのかと思うくらいです。
映画に描かれるものが全て現実にあったものと取るのもおかしいですが、
そう錯覚してしまいそうになるようなシリアスな作品です。
主人公は私怨は無いが祖国の為に報復として指名された11名を捜して暗殺する。
ミュンヘン事件に関わっている、と言われたから殺す。
彼らがどういう経緯で関わって、何をしたのかはよく判らないが…殺す。
殺す側にも愛する家族がいて、殺される側にも家族が居る。
お互いが国の為に命を懸けて敵を殺す。殺ったら殺りかえす。その繰り返し。
憎しみからは何も生まれない
、と言葉で言ってしまえばアッサリなのだが
あえてそういう気持ちを直接言わずに観客に思わせる映画になっている。
ベタベタのシリアスに徹する…というわけでもない。
仲間たちと和気藹々と喋ったり、暗殺行動は淡々としていたりする。

 隠れ家で敵同士が一緒に寝る羽目になったり、情報を得る手段のルイ達が
全く持って怪しいまま、謎で終わったり、気になる部分が色々ある。
食事の誘いを断るモサドの上官や貿易センタービルを映す訳。
主人公が精神的に参って今まで自分たちがしてきたベッドや受話器を調べたり
自分を狙って車が張ってると思い込んだり、殺すのは簡単だが、
身を守るのは凄く難しいし、殺し殺される所に顔を突っ込んだからには
敵が全滅するまでは安らかに眠れる日は来ないのかもしれない。
組織の重役を殺しても、更に憎しみを持った者が後任となり、事態は激化する。

お互いが許しあい、歩み寄ることが出来れば良いのだが簡単にはいかない。
ふたつの民族が欲しがっているのはひとつの土地だから…。
その為に今まで多くの同胞達が犠牲になっている。今更引けないのだろう。

 女の子が電話に出る、ベランダで標的と喋ったり、オランダ女の死…
次々と死んでいく仲間たち。そして自分達の行動の仕返しとして
テロは繰り返され、他の場所で次々と人が殺されていく。
パレスチナ寄りだと言われているけど、私はどちらも正義とは思えない。悪とも。
戸惑う主人公を残したままラストはいきなり終わったような気がしてしまった。
そう、だってこの問題は今だに解決の糸口が見つかっていないのだから…
凄いやりきれなさが残った。私はそう〆るしかなかった。
「君が息子だったらよかった。しかし、君は息子ではない。」
何か意味深な言葉だった。子供たちは無邪気に遊んでいたなぁ…。

この映画をきちんと語るにはやはり、きちんと本を読むべきなのでしょう。
賛否別れる作品でしょうが、私はこの問題を取り上げて世間に目を向けさせた
監督は凄いと思うし、見れて良かったと思います。考えさせられました。


ミリオンダラー・ベイビー (2004/米) 133分






 「許されざる者」「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッドが
監督・主演を務めた衝撃のヒューマン・ドラマ。
厳しいボクシングの世界を題材に、そこに生きる男女の悲愴な人生模様を綴る。
アカデミー賞で作品賞をはじめ主演女優、助演男優、監督賞の計4部門を受賞。
共演は、ともに本作でオスカーを獲得したヒラリー・スワンクと
数々の映画でも見かける、モーガン・フリーマン。
車の窓越しに目を合わせる女の子役はイーストウッドの実の娘。

 ロスにある小さなボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキー。
その指導力に疑いのない彼だったが、選手を大切に育てるあまり、
成功を急ぐ優秀なボクサーは彼のもとを去ってしまう。
そんなある日、31歳になる女性マギーがジムの門を叩き、
フランキーに弟子入りを志願する。
13歳の時からウェイトレスで生計を立てるなど不遇の人生を送ってきた彼女は、
唯一誇れるボクシングの才能に最後の望みを託したのだった。
ところが、そんなマギーの必死な思いにも、頑固なフランキーは、
“女性ボクサーは取らない”のひと言ですげなく追い返してしまう。
それでも諦めずジムに通い、ひとり黙々と練習を続けるマギー。
フランキーの唯一の親友スクラップはそんなマギーの素質を見抜き、目をかける。
やがてマギーの熱意に押されフランキーはトレーナーを引き受けるのだが…。

 話題になりましたよね。
重い内容だけど、号泣した人が大勢いたそうで…でも
私は残念ながら、この世界に入り込むことに失敗したようです。
ボクシング自体、全然興味がなくて最後まで観れるか心配だったんだけど
マギーがどんどん上達していくのを見るのは楽しかった。
だけど宣伝のイメージが付き纏い、常に不幸な空気が漂ってた。
それにイーストウッドの作品って描写の仕方が難しい気がする。
前半と後半で、抱いていたテーマがガラッと変わって
映画が終わって、どう自分の中で結論付けていいのか迷った。
ひたすら哀しい現実を見せつけられて、普段現実を味わってるのに
映画を観る時までこんな思いをしたくないなと否定的に感じてしまった。
それでもまたいつか、見返したいって映画は私の中ではあるんだけど、
この映画はまた観たいとは全然思えなかった。

 他人と他人の間に芽生える強い絆。
スクラップの時のようにフランキーはまた同じ過ちを犯してしまう。
けれど、彼が直接手を下したわけじゃない。不可抗力なのだ。
判っていても、やるせない。誰も彼を責めなくても自責の念は積もる。
ほとんどの人は、マギーの立場になったら楽になりたいと思うよね。
身体が生きていても、心が生きていなかったら意味が無い。
あの母親と家族、娼婦上がりのボクサーがホントにむかついた。
マギーは居場所がなかったんだ。そして、それを見つけたんだ。あそこで。
親子のような、恋人同士のような、師弟のような、絆。
私としては、ハッピーエンドを切望していました。


 ヒラリー・スワンクの鍛え上げた身体が素晴らしかったね。
演技が良かったかとかはよく判らないけど、かなり努力はしたんだろうな。
しかし、やはりボクシングは野蛮で危険極まりないスポーツだ…。
宣伝した会社、大事なところをネタバレしていて、映画が損してるよ。


ミリオンダラー・ホテル (2000/独・米) 122分






 人気バンドU2のボノの原案をヴィム・ヴェンダースが映画化した愛の物語。
ロサンゼルスのダウンタウンにあるミリオンダラー・ホテル。
そこは人生の敗者、社会からはじき出された人々が住みついた場所。
そこで暮らしている知能障害者のトムトムは、親友イジーの死に傷ついていた。
イジーは数日前にホテルの置屋上から謎の飛び降り自殺をしたのだ。
イジーが大企業の御曹司だったことからマスコミが騒ぎ出し、
彼の父親がこのホテルにFBI特別捜査官のスキナーを派遣する。
この事件がきっかけで、トムトムはずっと恋心を抱いていたエロイーズと急接近。
一方、捜査は住人たちの思惑と絡み合い事態は急展開をみせる…

 同監督作品の有名な「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は未見。
賛否両論な不思議な映画と聞いたので、興味が出ました。
トムトム役はジェレミー・デイヴォス。エロイーズ役はミラ・ジョヴォヴィッチ。
スキナー役はメル・ギブソン、他にピーター・ストーメア、アマンダ・プラマー、
そしてティム・ロスがちょこっと出演しているのですよ。
DVDにはメイキング、インタビュー、音声解説、予告編と特典豊富。

 まずこの映画の一番の魅力は映像と雰囲気だと思う。
冒頭とラストのシーンや、ホテルの窓からさす柔らかい太陽の光。
絵や写真のような詩的なショットがいくつかあって、素晴らしい。
しかし、ストーリーの方は少しダラダラしている。それが好きな人は好きだろう。
ミラはコスプレ女優なイメージが強いけれど、こうやって現実的な映画にも
はまることが出来たんだなぁ…掴み辛いキャラクターではあったけど。
メル演じる捜査官は原発の影響で身体に色々支障がある。
世間一般で言う変人たちと接したことのある彼はホテルの住民と同類とも言える。
こういう変人は実際にこういう場所にゴロゴロいそう…と思うけど
何処かこの映画はフワフワしていてリアルな世界でもない気がする。
音楽も一部ボノが担当していて、PVめいた感触も受ける。

 ビートルズの5人目のメンバーとかインディアンとか…
イギーのシーンは急遽撮ることになって、役者が全然決まってない時に
ティム・ロスから電話がかかってきたらしい。「役者が必要だって?」と。
ティムとアマンダが劇中で婚約者設定だったのは、パルプファンはニヤリだね。
ティム好きだからか、私はラストを見てもイギーの自殺動機を勘繰ってた。
死にたくなったから、でいいじゃんと思えばいいんだろうけど、
親友のトムトムを使ってまで(あと、エロイーズの話は挑発する為の嘘とも取れる)
死にたかったのか?しかしトムトムが言うにはイギーの人生糞みたいらしいし。
皆が以前の栄光ある頃の輝きを取り戻してる…ってセリフが何かジンときた。
飄々としているようでも、トムトムはずっと後を追うべきか悩んでいたのかな?
ラストは悲しく見せたくないって監督言うけど、そりゃないですよ。


 日本でホテルは短期宿泊の宿だけど、ここではアパートなんだね。
上空からのロサンゼルスの景色が素晴らしかった。
ああして見るとビルに並ぶ窓ふとつひとつにもスクリーンが、
それぞれ全く違う人たちの人生が映し出されているんだな…なんて。
流れる曲に字幕が付いて、映画の言いたかったことを補助しているようだった。
映像と音楽で雰囲気をかもし出すロマンチックな映画が好きな人はオススメ。
変に構えてストーリーを追ってく観方をするとつまらなくなるので注意。
雰囲気系映画はボーっとリラックスして見るのが一番かな?
何かスケッチに起こしたくなる場面があったので、DVD買って良かったな。




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